気がついたらオリキャラ(女)になって原始時代にいたけどメス堕ちはしない主人公君 ※   作:キサラギ職員

35 / 35
性教育はダイジ
古事記にも書いてある


35.赤ちゃんはどこからくるの

 

 冬だ。今年の冬は幸いなことにそれほど寒くなく、作業に没頭できる。

 この冬、また20人程が村に合流した。話を聞くと、やはり狼煙に引きつけられたとのことだ。上げていて正解だったな。数年前、十数人しかいなかった頃の十倍だ。ベビーラッシュも続いているので、もりもりと人口が増えていっている。子供増えすぎて人口ピラミッドが凄いことになってる気がするけどな。

 さて探索である。俺は山の頂上から描いた地図をいくつか作り、四方向に向けて人を放つことにした。人がいれば呼び集め、有用な資源があれば場所を確かめるのだ。まずこの半島を探索して、それから大陸のことについて考えよう。

 

「あとは島か」

 

 そう、島である。ソーマディア傍の海岸からは、島が見える。これも予想になるが10kmはあると思う。海流によってはたかが10kmでも到達不可能なケースも大いに考えられるので、今の手漕ぎボートではなく帆のついた船を作ったら挑戦してみたいね。

 

 さて今日は探索に出る前に、教育の時間である。

 何しろこの世界の人は現代的な知識と言うものを全くと言っていいほど知らない。教育しないといけないのだ。そして教師は俺一人である。とはいっても120人同時に教育とか無理ゲーなので、一家から代表者を一名選んで来てもらう事にした。

 何を教えるか。そう………。

 

「性教育の時間だぁぁぁぁっ!!」

「そんなに盛り上がることなのか……?」

 

 俺は呼び出した面々の前でテンションをアゲた。

 なぜ性教育か。優先度の問題とも言えるな。これまでも、『死体は必ず火葬して埋めろ』とか、『魚や獣の肉は必ず火を通せ』とか『糞尿を触ったら必ず手を洗え』とか、基本中の基本は教えてきた。これから教えるのは、人口増加に伴う上で重要なことである。そう、性教育だ。

 

「ということで今日はみんなに性教育をしようと思う」

 

 俺は例のごとく岩に登って話をしていた。村人達が俺を取り囲んでいる。

 

「ちょっと待つのだ。子供の作り方なんて誰でも知ってると思うのだが」

 

 元気よく手を上げたエアセナ君が突っ込みを入れてくる。

 

「おっ、どうやる?」

「どうって、股間から生えてるものを女の穴に入れて白いのを出せばできるのだ」

 

 そうなのだ。大体の認識はあるようで、だからこそ子供を作れていると言えるが。

 

「原理はわかる?」

「………ううん? うううううう……」

 

 誰も答えない。

 

「実は女性の中には小さい卵があって、それに男性が白い液をかけると子供が出来るようになってるんだよね。この中で魚の交尾を見たことがある人!」

 

 俺が手を上げてみると、ちらほら手を上げる人がいる。

 

「魚は体の外でやるんだけど、人間は中でやるんだ。その為に人間の性器―――子作りに使うための部分は、長くなってる。というか長くなる。これを勃起と言うんだけど」

 

 なるほどと感嘆の声が漏れる。君たちはいいよな。俺なんて立つものがないんだぜ?

 

「女性は分かってると思うけど、定期的に血が出るでしょ。あれは古くなった卵を捨ててるのね。目で見ても分からないくらい小さいから、卵はわからないと思うけどね。これを生理と呼ぶと」

 

 俺もだが、この体、ばっちり生理がある。不老不死のせいなのか単純な個人差なのかは知らないがそんなに重くないからいいけどな。

 

「逆に言うと血が出るようになったら子作りをしてもいいという合図になると。一応ね。だから今後の決まりとしては血が出てない子と結婚して子作り―――セックスはしないようにしたい」

「どうしてなのだ?」

「体への負担が大きいんだ。あと、血が出たからと言って、すぐに子作りもよくない。みんな経験的に知ってると思うけど、子供が出てくる穴が小さいと、負担が大きいんだ」

 

 出来なくはないが、あんまり小さい子がセックスしちゃうとねぇ……初潮がきたからってよっしゃ子作りするわは早計だと思っている。妊娠は出来ても出産が辛いからな。やはり、暦を“開発”する必要があるか。

 

「で、男の子供の元と女性の卵がおなかの中で出会うと、子宮と呼ばれる中で―――えーっと、えーっと、三十の………一日が、300回くらい経ったら出産すると」

 

 あ、300回の意味がわかってない人が大勢いるらしい顔だ。ううむ。数字も教えないとダメだな。

 

「えー、というのが子供が出来るまでだ。で具体的な作り方は先ほどもちらっと言ったんだけど勃起させた男性器を、女性の穴―――女性器に入れて白いの――精液を出すと、妊娠―――つまり子供が出来るわけなんだけど」

 

 ここからが本番である。俺は、新世界の性の伝道師になる!!

 

「この、セックスは、気持ちがいいんだっ!!」

 

『……………』

 

 反応がわかれた。男性はまぁそうだなという顔をしている一方で女性のなに言ってだこいつ顔が心に沁みる。

 いいんだよ男は射精すれば気持ちいいからな! だけど! 女は! 準備して! 慣らさないと! あと雰囲気! 気持ちよくならないんだよ! というか痛いんだよ!!

 

「なぁアキラス!」

「なぜ俺に振る」

 

 俺は腕を組みつつ岩から飛び降りた。

 しかし、いちいち単語を補完しないといかんのは難しいな。やはり文字を“発明”するべきか。

 

「行為中に女性の穴―――膣から出てくる液―――愛液が出てくると思う。これは性行為をスムーズにしてくれるものなわけね」

 

 これは分かる人も多いんじゃないかね。頷いてる人もいるしな。

 

「で気持ちよくなる方法なんだけど、あぁーなんていうかな。穴の上のところに小さいぽっちがあるんだけど、そこを刺激することで気持ちよくなるわけなんだけど。すぐに射精しないで長時間動かしてると、気持ちよくなってくる人もいたりする」

 

 あのーすいません。そこの女の人服脱いで確かめ始めるのやめてもらっていいすか。

 

「気持ちいい感じを継続していくと――オーガズムに達すると。オーガズムって俺も詳しくは知らないんだけど、気持ちよさの絶頂っていうのかな? に達すると。ここから先は各自やって貰ったほうがいいかな。なんでこんなこと教えたかって言うとどうせやるなら気持ちがいいほうがいいからってことね」

 

 効率だけ求めるなら、セックスなんて数分で終わるんじゃないか? 入れて出して終わりだもんな。けどやはり人類を名乗るならセックスには時間をかけてみたいだろ?

 

「そうだったのか」

 

 帰り道にアキラスがそんなことを言ってきた。

 

「痛いなら言えばよかったのに」

「いや! そこは男としての沽券にかかわる!」

「ソーマは女だろ……ちなみに痛さと言うのはずっとそのままなのか?」

「慣れてくれば痛くならない! らしい!」

 

 不老不死だ不死身だと言え普通に痛いものは痛いからな。何の痛みかって? うるせぇ。

 

「聞いている話を総合すると気持ちいいことを継続していると、女性側もものすごく気持ちよくなってくるということか」

「それだと男性側も持たないことも多いから、手で触ったり、口と口合わせたり、おっぱい触ったりとか色々あるけどねぇ」

 

 まあやられる側になるとは思ってもみなかったわけだが?

 

「実践してみるか。今日、夜」

「や」

「なぜだ……」

「気分」

 

 俺は不満そうな顔をするアキラスに舌を出してやった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。