ロックマンエグゼ:実績『見損なったぞカーネル!』『負けないアイ』開放ルートRTA   作:ヌオー来訪者

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 オマエのために はやおきして 
 おべんとうつくってきたんだ

 なので初投稿です。
 完全に事後報告回なのでRTAパートはなしです。


幕間 リザルト

 案の定というか。

 何千文字にも渡る報告書をつらつらと学校の講義中やら、放課後など隙間時間を縫って書かされる羽目となった。

 あれから数週間。逮捕された売人の素性が明らかになったり、貰い事故で建設途中のビルに欠陥があったということがバレたりした。

 後者はとんだとばっちりだが、同情はしないしそっちはそっちで然るべき処置を取られればそれでいいのだ。

 

 

 九十九は事後処理内容やら何やらの入った報告書のリテイクをぶち込まれ、オフィシャルセンターの事務室の自分のデスクに腰掛け一心不乱にパソコンを叩き続け一区切りつけると、休憩がてらPETに格納した音声記録データを再生し、イヤホンで流れてくる声に耳を傾けた。

 

『お、オレは連中が出して来る給料が良いからやったんだ。だってオレの職場給料安いんだよ……上司はクソだしなんなら、違法建設だって!』

 

 あの売人はあのビルを建設している会社の社員だったようだ。

 噂――デンサンタウン主婦の井戸端会議や、街角掲示板情報なので真偽のほどは便所の落書き程度だが、業務の割には給料がえらく安く泊まり込みはザラ、休日は表向き多めに見えるが実情は半分未満という話だ。

 俺を裁くより先に会社を裁けという論調だろうが、それはそれ、これはこれだ。

 

 オフィシャルも激務やら泊まり込みやらは中々人の事言えないが、役職上致し方ない上に自ら仕事を増やしに行っている九十九にも非があるので割愛だ。

 

『はぁ……だからと言って人にナイフ向けて正当性が認められるわけねェだろ……まぁいいや動機は。……売人を始めた流れを聞こうか』

 

『オレはクソみたいな仕事をしていたけれども、会社のナビが仕事を持ちかけて来たんだ』

 

『それってパイルマンか?』

 

『そう。この仕事をすればまとまった金は出すぜって。それで稼いだら裁判の費用にしてぶっ潰せばいいってさ。アイツは分かってくれたんだ、あの会社が逝かれているって。でも辞めて転職しようにも体力要るしオレは勉強とかネットワークとかそういうの疎くて。オレに全部任せろ、お前はお前のやるべきことをやれって。それに……ムカつくじゃないですか、あんなクソ企業がのさばっているの、お前みたいな税金で食ってるクソ野郎には分からないだろうがな』

 

 あのパイルマン、頭が悪いように思えたが意外に策士なのか。

 それとも誰かが入れ知恵でもしたか。今となっては自爆してあの世逝き。疑問に答えられるものを九十九は知らない。

 話から察するにパイルマンの方がゴスペル残党に近かったというわけか。

 しかしあんなチップを500ゼニー程度で販売するならば割に合わない。……となれば別口で報酬を貰っていたと考えるのが自然か。あのチップを売って換金することはおそらく連中の目的じゃない。

 

『そっちは専門じゃないんでね。おたくと社会派な話をする舌は持ち合わせちゃいない』

 

 尋問官が最早相手をしていないし拒絶し切っている点ではある種パイルマン以下だ。

 なんて偉そうに思っているが九十九が同じ立場にいたら、交渉人みたいに巧く近付いて吐き出させられる自信はなかった。特に、あの陥れられた少年の姿を見せられている以上何処かでキレている。

 

『チッ……だからこの世は腐ってんだ』

 

『そう言えば前のゴスペルも世直し集団だったな。気に入ったってのか? 今のゴスペルの理念に』

 

『当り前だろ。お前たちオフィシャルには分からないだろうけれど、虐げられている人間はゴマンと居る。本当に倒すべき相手に気付いていないんだよ』

 

『本当に倒すべき相手ね……じゃあ参考に訊くが倒すべき相手って――なんだ』

 

『この腐った社会だ。ゴスペルはこの世界を創り直す。まだゴスペルは終わっていない。ヒトが望む限りゴスペルは何度だって甦り、警鐘を鳴らすんだよ』

 

 どっぷり浸かったような物言いに頭痛がした。

 彼曰くゴスペルは滅んでいないのだという。しかし、組織の詳細については黙秘。いや、最初から知らないのかも知れない。

 

『話を戻そう。パイルマンはいつからお前さんの職場に?』

 

『昔からだよ。……オレの知っている限りなら6年前からだ』

 

『……過去に同じ企業がネットナビを誘拐されたという被害届を今年の夏頃に出している、パイルマンの身に何かおこっていたりはしなかったか?』

 

『そんなの知る訳ねえだろ』

 

 となれば最初からゴスペル所属ではなかったのには違いない。そこまで前ならばゴスペルは存在しないのだ。

 あの建設会社自体、電脳関係の工事や現実世界の重機制御のために自律型ネットナビを数体所有していた。パイルマンとドリルマンだ。そして夏ごろに誘拐されたのがドリルマンだという。

 察するにこのタイミングで何かあったと見るべきだろう。

 差し当たって件の企業を洗うしかないのだが、多分期待はできない。

 

 一連の録音内容を聞き終えると、九十九はイヤホンを外しデスクに置く。

 

「ゴスペル……か」

 

 オフィシャルに致命的な打撃を与え、世界各国にも打撃を与えたものの光熱斗とロックマンが壊滅させたはずの組織の残党。

 藪蛇どころか、戦車が出て来た気分だ。

 ここまで来れば伊集院炎山出動もあるか。自分のあずかり知らぬ所でどんどん大事になって行くであろうことを思うと中々げんなりする所があった。それに加えてこの――

 

「……腹減った」

 

 空腹感。長々と報告書を作っていると腹が減るのも当然だ。

 いい加減カップ麺も飽きて来たころだ。

 

『ツクモ……ここ暫く魚屋から貰った魚を食べて以来カップ麺ばかり食べているだろう。そろそろ他のもの食べたらどうだ?』

 

 なんてPETからゼロがそんなことをのたまう。

 

「ゼロぉ……お前はオカンか……」

 

 

 まぁ実際の母親も父親ももうとっくの昔にいないのだが。

 実際問題カップ麺ばかり食っているけれども飽きを避ける為に色々味を変えている。

 

 カレー味、シーフード味、味噌味、ワンタン海老塩味、海鮮コク塩味、トムヤムクン味、チキン味、激辛わさび味、ショートケーキ味、キムチ味、すき焼き味、ヨーグルトトマト味、いなり寿司味、チョコレート味、ショートケーキ味……

 

 数か月前WWW事件の後処理で忙殺されていた時は泊まり込みやら飽きやら、時間の無さやらなにやらを考慮したと見せかけた支離滅裂荒唐無稽な事実上のノープランで不味さやらも考えず雑にド◯キで買い込んでオフィシャルセンターの職場に持ち込んだカップ麺だったが、案外減らないもので賞味期限スレスレまで行っていたので慌てて処理をしたがいい加減きつくなってきた。

 今日は違うものでも食べることにしよう。

 

『オレが電脳世界を旅していた時拾った情報だが……バランスの悪い食事は時として成長を妨げ、体調を崩す。余計に体力も消耗することとなる。……身長も伸び悩むと聞いたぞ』

 

「お前は栄養士か……ていうかマジ? それはなんか……困るなぁ」

 

 身長がもうちょっと欲しい身としては由々しき事態だ。

 ……1日ぐらいカップ麺処理をサボってもバチは当たるまい。というか許されていいはずだ。自業自得だけれども。

 ぐるるとなり続ける腹をなだめながら九十九はオフィシャルセンターを出た。

 

 

 そう言えばゼロと言えば彼にも変化があった。

 あの戦いからゼロはパイルマンの突進力に学ぶものがあったらしい。ゼットセイバーを使った刺突攻撃――ブライスティンガーと呼ばれるものがゼロのステータスデータに表示されていた。

 恐らく今後も強い敵と戦えば今回のように新しい技を手に入れていくのだろう。

 

 

 城金が釘を刺した通り、あまり無茶はさせられないが。

 特に――あのゴスペル関係は。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 今更だが、オフィシャルセンターは1つだけじゃない。

 デンサンシティ管轄は今九十九が在籍しているマリンハーバーにあるオフィシャルセンターが請け負っている。

 一応アキンドシティにはそちら管轄のオフィシャルセンターが存在する。

 

 で、例外は才葉シティだが……この辺は色々大人の事情やらなにやらと市長の手腕もあって治外法権と化しているとかなんとか。まぁかなり極端な例外なので今は語る必要はない。

 

 話を戻そう。

 マリンハーバーは観光地としても打ってつけであり、アミューズメント施設やらが豊富にある。マリンハーバーそのものが新興の埋め立て地のため比較的モダンな作りとなっておりデートの若者や家族連れがよく来るのだ。

 

 夏は異様に暑かったりしたが秋に入ったことでちょっとだけ心地よい風が吹く。

 近い内に今年も終わる合図のようで少しもの寂しさを感じる。そんな感傷的に浸っていると、空腹が九十九を我に返した。

 

 今戻ればカップ麺にありつけるが、もう嫌だ。

 メトロのマリンハーバー駅近くにあるカフェはオシャレかつサンドイッチやコーヒーが美味しいが値段に対して量が釣り合っていない。ショッピングモールの飲食店も悪くはないがこの時間だ。おそらく家族連れで混んでいるだろう。

 仕方ない、コンビニ行くか。ちょっと歩くがカップ麺食うよりマシだ。と、センター前の広場を歩くとふと「べんとう」と書かれた旗が立てられた売り場を目にした。

 

 確か――官庁街で見たことがある店だ。

 九十九自身より年下くらいの少女が自然食の弁当を売っているとかなんとか。官庁街以外で見るのは初めてだ。

 

 大体官庁街に行くときは事前に腹ごしらえしていた事も多くて食べる機会はなかったがこの際だ。

 科学省職員にはかなり人気らしいので食べてみよう。そう思い立った九十九はカウンター前に立つと、店番をしている額にバンダナを巻いた若草色の長い髪の少女は少し目を見開いた。

 なんだか意外な人が来たと言わんばかりだ。

 

「……え? どうしました?」

 

「あぁいえ。自然食のお弁当、いかがですか?」

 

「じゃ、一つ」

 

 ゼニーを払い弁当を受け取り、近くのベンチに腰掛けて箱を開いた。

 

 

 

「……いただきます」

 

 中々リーズナブルだ。3桁で抑えてそこそこのボリュームだ。

 自然食というだけあって山菜が多いものの焼き魚もあり、ヤマノイモやら旬のものとバランスよくそろえてあり、しばらくカップ麺で過ごしていた己がちょっと恥ずかしくなりそうだった。

 

「うまいなぁ……山菜系でもそういう感じで出来るのか……ちゃんと家で自炊しよ」

 

 賞味期限スレスレのヤツを全部食べたら……だが。それにまた忙しくなったらコンビニ飯とカップ麺暮らしだ。

 黙々と、弁当を食べていると先ほどの店員が九十九のそばまで来ていた。

 

 店は大丈夫なんだろうか? と思ったものの、アメロッパの民族衣装らしきものを着た少年が代わりに店番をしていた。

 和風っぽいのにネイティブアメロピアンな人まで仕事をしているとは思ったよりあの弁当屋は個性的かもしれない。

 

「お隣、いいですか?」

 

「ん? どうぞ」

 

 少女が九十九の隣に腰掛けると、手に持った別の弁当を開ける。中身を見ると自分が今食べている弁当とは違うがやっぱり自然食のようだった。

 この様子じゃ休憩時間だろう。慣れない場所もあって多分楽ではないように思えた。

 

「官庁街でも時々見かけましたがお仕事、大変そうですね」

 

「あー、気付かれてましたか」

 

「忙しなく動き回っているイメージがありましたから……顔色もあんまりよくなさそうですし」

 

「……」

 

 そう、指摘されて自分の顔に手を当てる。

 寝不足、カップ麺、激務のデスコンボだ。そりゃそうなるか。バレルの訓練は彼自身のスケジュールや九十九の仕事もあり一時離脱しているが、多分このタイミングでやっていたら本当に体をやっていたかもしれない。

 

『だから……ちゃんとしたご飯を食べろと』

 

「んぐぅ……」

 

 弁当屋さんはおろか元ウイルスのネットナビにすら健康の心配をされる男。

 字面にするともう無茶苦茶だ。あの賞味期限スレスレカップ麺を食べたら今度こそ生活見直してやると決意していると、横の少女が口を開いた。

 

「よかったらまたここに来てください」

 

「本当ですか。てかあれ、官庁街は」

 

「しばらくはわたしはお休みです。心配しなくてもうちのスタッフがあのお店を引き継いでいますから」

 

 にっこり笑って、若草色の髪を僅かに揺らす。

 ならば安心だ。官庁街のスタッフが栄養に困らずに済むというものだ。あの官庁街で仕事をしている科学者は割と不摂生しているイメージしかないので安心だ。

 

「しばらくの間はお昼にここでお店やってますよ」

 

 それはありがたい話だった。

 エンドレスカップ麺地獄の60000倍くらい真っ当な飯だしちゃんと腹が膨れたし美味しかったのだ。ここでしばらく店を構えてくれるのは大歓迎だ。

 九十九は完全に食べきったところで弁当の箱を閉じて、手を合わせる。

 

「ご馳走様でした。めっちゃくちゃ美味かったです特にあの……!」

 

「ふふっ……」

 

 味もしつこくなくあっさり目。

 また明日同じものを出されても普通にいけそうだ。

 なんて、ベラベラ感想を述べていると年齢不相応な落ち着きを持った柔らかい笑みを浮かべた。

 

「サロマの姐さんーっ! ちょっと混んできたから手伝ってくれー!」

 

「分かったわディンゴ。今行きます!」

 

 少女――いや、サロマが食べきったタイミングでディンゴという店番の少年が悲鳴混じりの声を上げる。確かに若干列が出来上がっている。

 それに加えて知った顔が――史隅管理官の姿もあった。

 サロマは弁当箱を閉じて立ち上がり、後ろで座っている九十九の方を軽く向く。

 

「わたしはサロマ。貴方は――」

 

「星方九十九。お察しの通りオフィシャル……やってます」

 

「ふふっ、それではまたいつか」

 

 何だか意味深な笑みを浮かべてサロマがディンゴの手伝いに向かって行く。そんな彼女の背中を休憩がてらぼんやりと見ていると、代わりに史隈管理官が買った弁当片手にやってきた。

 

「お前も食べていたのか。その弁当」

 

「あ、お疲れ様です史隈管理官」

 

「ふむ、血圧が気になってな。医者にあまりカップ麺ばかり食べるなと叱られた」

 

「……管理官もすか」

 

 オフィシャルセンターはカップ麺中毒者が多いようだ。

 休憩室のゴミ箱はカップ麺で一杯なことからそうに違いない。というかセンターにカップ麺自販機があるのが悪いのだ。

 サロマが座っていた九十九の横に史隈が座り、弁当箱を開けると「ほう……」とちょっと嬉しそうな顔をしていた。好物でも入っていたのだろうか。

 

「まぁ、ここからファミレスは些か距離があるからな。面倒がるのも分からんでもない」

 

「体力温存した結果がカップ麺地獄で体調不良とか本末転倒スからね……」

 

 カップ麺地獄に同じようにうんざりしたようなオフィシャル職員の姿がちらほらと。コンビニ飯にすればいいとは言うが、そこまでちょっと歩くのも面倒がるのだ。

 その気になればセンターで直ぐ食えるカップ麺に飼いならされた体では。

 

 で、サロマの弁当屋はコンビニより近い、安い、そこそこ食えるということで売り場としては恰好と言うわけか。

 この様子なら売り切れそうだ。ディンゴとサロマがせこせこと客を捌いて行く姿を見ながら史隈管理官は弁当を食べていく。そして九十九はぼんやりと空を見上げた。

 

 山の幸を食べてから潮風に当たりながら満腹感に浸る。中々しゃれおつなんじゃないのかとかちょっと思う。

 当面はサロマの弁当屋に世話になろう。そんな飯の事を考えていると史隈が麦茶を一呷りしてから口を開いた。

 

「お前が報告した新たなゴスペルとやらの存在だが――やはり()()()に問い詰めても何も情報はなかった」

 

「……そうすか」

 

 ゴスペル首領がどんな人間だったのか。

 それは伏せられている状態だ。だが情報によるとかなり素直に自白しているらしくこれまでの様子から鑑みて関係があるとは確かに思えなかった。

 加えてゴスペルという組織は顔を合せない者同士の集まりだったらしい。首領もあまりメンバーを完全に把握している訳でもないようであった。

 それにパイルマンについても把握はしていないとのことで、得られたのはカットマンの情報くらいだ。

 

 カットマンは元々ゴスペルが拾った野良ナビだった……というだけ。情報としてはあまりにも頼りないモノだ。

 

「現状は別組織として考えた方がいいだろう。便宜上ネオゴスペルと呼んでおこうか。今回逮捕された売人は末端だ、件のナイトメアチップの売買が止まることはほぼないだろう」

 

「ネオゴスペルときましたか。いつになったら平和になるんすかねぇ……」

 

 5年前の飛行機事故から端を発し多発する大規模なネット犯罪。

 WWW、WWW残党、ゴスペル、ネオゴスペル。今度は何が来るのやら。ネオWWWとでもいうのか。まるで世界が終わる瞬間(とき)を見ているような気分だ。

 いずれ自分たちは折れてしまうんじゃないのか、と。一瞬だがネガティブな感情がよぎるが即振り切った。

 

「人が人である限りは来ることはないだろう。……それに困難があるからこそ、我々は進化し、成長してゆけるのだ。そしてそれを前に躊躇う猶予は我々オフィシャルには与えられていない」

 

「…………」

 

 そうポジティブな考えもあるかと思うと同時に何も起こらないに越したことは無いという思いがせめぎ合う。

 成長と言えどかたや終末戦争の危機。かたやネットワーク崩壊の危機。

 そんなもの連続して起こされてはいずれ精神をやる。

 

 だが――躊躇う猶予は自分たちに与えられていないのは管理官の言う通りだ。

 

「怖気づいたか?」

 

「いや、別に」

 

 試すような物言いだったが、九十九は何の気なしに否定した。

 そうだ。この流れに抗う為に史隈の誘いに乗りオフィシャルになった。故に――怖気づくことは許されない。

 史隈が弁当を食べ終えると、再び言葉を紡いだ。

 

 

 

 

 

「怪我の方はどうだ」

 

「ほぼ治ってます。擦り傷と打撲程度でしたから」

 

 あの深夜の追跡劇からそこそこ時間は経っている。もうほぼ痛むことはない。服は駄目にしたがまぁ衣替えついでと考えれば別に問題はない。

 それに落下と倒壊、轢死の恐怖に怯えてのストレスの方が正直きつかったまである。

 

 

 

 あの事件の直後、犯人を拘束。センターに連行した後ビーフ司令と合流した。

 みゆみゆ曰く、中々酷い姿をしていたらしく服は土と埃だらけで穴も開くわの惨状でビーフ司令は「はやく戻れずすまなかった」と言ってはいたが、犯人拘束の為に人員を割いたこちらの判断は間違っていないと九十九は頑なにその主張を通し続けた。

 結局、自分が増やした仕事なのだから。

 

「ビーフ司令から言伝がある」

 

「なんです?」

 

「また再び共に戦うことを楽しみにしている、と」

 

「じゃあ、管理官にづてでビーフ司令に一つ。いいっすか」

 

「なんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしてビーフなんですか」

 

「…………」

 

 沈黙が訪れた。

 史隈管理官も完全に沈黙し、九十九も神妙な顔持ちで負けじと対抗する。

 

「魚型の警棒かソードか分かりませんけどさか○クンみたいなお魚キャラな感じっすよね? なのにどうして……ビーフなんですか」

 

 どうしても答えが知りたかった。

 まさかただのミスか? それとも何かかなり重要な暗号とか仕込んでいるのか。自分の想像もつかないような高度なナニカがあったりするのだろうか。

 

――もしや、オレは試されているのか……

 

 気になって夜しか眠れないのだ。オチオチ休憩時間に昼寝も出来やしない。

 

「……訊いてもヤツは応えてくれんと思うぞ」

 

「えぇ……」

 

 その後――九十九は人生においてビーフ司令のビーフの意味について終ぞ知る事はなかったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 完!

 エリア3に続く。




 MYK姉貴だけではなくてSRMさんもすこっていけ。





:アーカイブ

 
 会得技(ラーニングアビリティ):ブライスティンガー(武雷突)
 チャージ後設定したコマンドを押すことで発動。ゼットセイバーで横一直線に突撃する。
 オリーブ抜きのピザとストロベリーサンデーが食べたくなる副作用は特にないし、絆を否定したくなる副作用もない
 命中時、ヒット地点から後ろの一マスまでは貫通する。その代わり障害物や敵が進行方向にいると直前で立ち止まり突きを放つため障害物を盾にした上で距離を取られると届かなくなるのが弱点。
 初期威力30。チャージ速度:中 命中時:のけぞり(無敵なし)
 □□□|□□□
 ■■■|■■■
 □□□|□□□

 基本的にゼロの技は漢字表記なのですが、エグゼゼロは違うので横文字に。








 tips

・本作のマリンハーバーの立ち位置について
 エグゼ2にしか出ていない分際で主人公の拠点の一つとして滅茶苦茶出てきますが、本作はお台場モチーフになっています。
 つまりオフィシャルセンターが実質湾岸署(うわなにをするやめr
 そのためちょっと歩けばアミューズメント施設があったり、観覧車があったりします。とは言っても現実のお台場とは当然別ですから半分に聴いていただけたら、と思います。
 

・オフィシャルセンターの数
 大体シティに1つあり、そのシティに支部が点在しているという具合。
 オフィシャルと科学省の関係は非常に近いものがあるため、科学省施設を拠点にしているパターンも存在しているんですって。





 次回、マリンハーバーの休日/マリンブリッジを解放せよ
 チームオブカーネル(仮)回。

 マリンハーバー、封鎖されちゃいました(絶望)。
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