ロックマンエグゼ:実績『見損なったぞカーネル!』『負けないアイ』開放ルートRTA   作:ヌオー来訪者

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 ネットナビ……それは高度な人工知能を持ち開発された擬似人格プログラムの総称である。建設、土木、医療、教育などあらゆる分野に広く普及したが、同時にネットナビやウイルスによる犯罪も急増。
ネット犯罪と呼ばれる新たな社会的脅威を生み出した。
 各国家はネット犯罪対策組織、オフィシャルを新設しネットバトラーを輩出。これに対抗した。
 通称、オフィシャルネットバトラーの誕生である。


 予定が変わってエリア3のサブタイ変更が入ったので初投稿です。


エリア3 マリンハーバーの長い1日
Part10 マリンハーバーの休日Ⅰ


 一体何ライド姫なんだ……なRTAはーじまーるよー! 

 

 

 事件終了後事後処理イベントがありますが長々とした会話が始まりますが連打で進めます。

 サロマさんとディンゴとエンカウントするのはこのタイミングからですね。これでアニメで登場した特殊刑事課……もといネットエージェント組と面識ができた訳です。

 

 ホモくんは基本的にNPCから依頼を受けられます。

 受ければ好感度が上がるのと、報酬が美味しいのでじゃんじゃん受けていきましょう。現状受けられる依頼はマサさん、みゆき姉貴、サロマ姉貴、日暮さんです。

 特定の依頼をクリアしているか否かで話の内容が変わったりもするので、行きたいルートがあるなら積極的にクリアしていく必要があります。

 

 特に今回の場合みゆき姉貴については《視えている》ので尚のこと依頼をクリアしていく必要があります。現状の人間関係からおそらくホモくんの秘密も知っているようですからね。

 まぁ……原典だとほんとに出番がないからね、仕方ないね(レ)。

 

 

 それはさておいて、やっとシナリオ3に入りました。

 やっとこさ事後処理が終わったのでマリンハーバーにさっさと行ってバレルさんの訓練に復帰しましょう。センター前でなんか途方に暮れている金髪の人が居ますが話しかけても反応しないのでスルーしましょう。

 ここで学べることはバスティングレベルの向上のコツや、ストーンキューブの悪用、地形パネルの利用、バリアブルソードをはじめとしたコマンド入力チップの活用などですね。

 

 オフィシャルやっている主人公なら誰でも受けられるので別に今回のレギュレーションで通るルートじゃなくても受けられます。なので初心者にとってはとてもありがたい中級者向けチュートリアルというわけですね。

 これを見ているホモの皆さんなら知っているかもしれないので……甥のKMR。加速します(再翻訳)。

 

 

 今回の難題はウイルスバスティングの上位ランク取得ですね。終了条件はランク9以上。

 8以下だと失敗扱いでやり直し。同じウイルスとやり合わなければならないので注意しましょう。

 ガバも積もればロスとなる(至言)。

 

 前準備として事前にアスタリスクのスプレッドガンをレギュラーチップに指定します。これで最初の手札のうち1枚が確定でスプレッドガンが出てきます。

 理屈としては言わずもがな、ダブル並びにトリプルデリートを簡単にできる上に他のチップと組み合わせて時短でクリアできるからですね。

 フォルダも貫通や広範囲系のもので回しますので微調整を一つ。

 

 最初こそウイルスは通常パネルにメットール3体ですが、キオルシン×3やら、ガルー系に誘爆要因のストーンキューブやら、4隅に置かれたマグマパネルやら邪魔が大量に増えていくので適切に処理していきましょう。

 そこで有用なのがスプレッドガンです。こいつなら低容量でレギュラーにしやすく雑に周囲の雑魚を巻き添えにできますからね。

 

 多少時間がかかってもトリプルデリートでリ()()リ出来るのがコイツの良い所です。

 

 今のフォルダならフラグ上の挑戦可能な所までギリギリクリア圏内なので頑張って行きましょう。

 会議室に入るとスタートです。片っ端から課題をこなしていきましょう。

 内容は先ほど説明した通り基本項目から応用、そして高レベル縛りのウイルスバスティング。

 

 基本項目についてはレンタルされたフォルダで固定された条件下で戦うので特にガバる余地はないのですが、問題は高レベルバスティングレベル縛りの連戦バトルです。

 こちらは自前のフォルダで戦うしかないため、屑運も見越してスプレッドガンとチャージ攻撃を駆使していきましょう。

 このまま続けると若干時間がかかるので加速をかけますが、その間退屈だと思うので──

 

 

 

 

 

 

 

 み な さ ま の た め に ィ ~

 

 

 

 

 

 ゼロ特有のアビリティについて説明します。

 このゲームは様々なナビを使える都合上、ナビによってできるアビリティが違います。

 ロックマンは初期ステが低い代わりにアーマーチェンジ、スタイルチェンジ、ソウルユニゾン、カオスユニゾン、アームチェンジ、クロスなど変身系能力に優れており、自由度の高い改造もあって他のナビと比べ物にならないほどの自由度を誇ります。更にカウンターを取るとココロウィンドウが変化して次回のチップ発動時威力が2倍になるなどの恩恵が得られたり、人によって千差万別の戦闘スタイルを作り出せるので、プレイヤーにとって写鏡のような存在です。

 

 

 

 

 その一方でロックマンに比べるとゼロはかなり特殊です。

 ソウルユニゾンが存在しませんしスタイルチェンジはチェンジ.bat量産後、他のナビはチェンジが出来るのですがゼロの構成プログラムが根幹から違うので不適応、ナビカスもしばらく使えないなどのハンデを被ります。しかもカウンターとってもロックマンのように攻撃力2倍になりません。相手が麻痺るだけです。

 

 そのかわりスタイルチェンジやソウルユニゾンの代わりがありますし、それとコマンドアーツシステムがゼロの固有アビリティとなります。

 

 

 コマンドアーツというのは……

 

 ゼロがバスターのチャージを終えたタイミングで猶予が発生します。

 いつも通りの3連斬りならもう一度Bを押すか時間経過を待てば撃てますが、猶予中に空いたボタンにあらかじめ設定した技をセットし、その指定したボタンを押すことで敵から学習したり伝授された技をぶっ放せます。

 

 前回の戦いでパイルマンからラーニング技【ブライスティンガー】をラーニングしましたが、そいつをセットすることでチャージ後に突進攻撃ができるようになるわけですね。

 距離を取られた時には有用な技になる上、怯み無敵無しなので繋ぎに使えます。

 

 

 始動技は面倒なコマンドがいりませんが、ゆくゆくはそこからの派生でコンボを叩き出すためにはコマンドが要求されるので行き着く先はガチガチの上級者向けとなります。上手くやれば何処かの悪魔狩りみたいにスタイリッシュな暴れ方も出来ますので要練習です。

 

 

 

 

 

 はい、ここで等速です。

 最終戦が一番面倒でリセポイントの一つになっています。

 

 

 内容はバジリコ、スウォードラ×2。

 負けてゲームオーバーになる訳ではないので、初見はやられて気付くのですが。初心者が序盤に処理するような相手ではありません。

 か な り の ク ソ 難 易 度 で す。

 何故やるのかと言うと序盤のうちにやってしまうとバレルさんに目を付けられるからですね。で、そのクソ難易度たるゆえんのバジリコなのですが……

 

 

 

 バジリコについて……お話します。

 みんな……バジリコって知ってるかな? 

 バジリコというのはね……たとえば……

 

 初っ端からHP200超えで通常時は仮面を被っていてブレイクハンマーのようなブレイク属性以外の攻撃は受け付けない、とか。

 

 あるいは……マスクを前方に置き周囲に毒をまき散らす上にそのマスクが邪魔をして普通の攻撃が当たらない、しかもエリアスチールで逃げ場を奪いに来るような……

 

 鬼畜ウイルスのことをバジリコと言うんだ。

 

 攻撃チャンスは実質その毒をまき散らして来るタイミングにあるんだよ。

 

 

 そしてマスクとバジリコ本体の硬さ……どちらが……上かな? 

 

 もちろん……マスクの方が……通常攻撃無効だから……上だよね? 

 

 マスクの方に近づき過ぎるとね……毒が……ゼロくんに集中してね……

 

 ゼロはティウンティウンするんだって。

 

 嫌だねぇ(絶望)。

 

 今、バジリコと戦っている子は……

 

 これから先……スモールボムのような投擲タイプ……それとスプレッドガンやヒートショットなどの誘爆系。ドリームソードなどの広範囲系を固めて……

 

 戦おうね! 

 

 

 そして……スウォーディンなどの取り巻きを纏めて皆を……

 

 皆殺しにして……生きようね(Gルート並感)! 

 

 

 

 一番厄介なのがヤツら全員エリアスチールを一枚づつ所有しているということです。

 奴らが全員健在な状態でエリアスチールをぶち込まれると逃げ場をほぼ失うので可及的速やかに処理してしまいましょう。短時間でトリプルデリート出来れば最高ですが、多くは望みません。

 

 スウォードラは横2マスまで届くロングソード。バジリコは前1マスに周囲に毒判定のあるポイズンマスクを発動してくる兼ね合いで最低でも毒の直撃。下手に動くとロングソードもおまけに付いてくるという地獄がまっています。

 2発撃たれたらそれこそもう終わりだぁ! (レ)。

 スウォードラに限った話ではありませんがスウォーディン系はワイドソードも使えるのでy軸を多少動かしたところで、エリスチされ切った後は横からワイドソードで撫で斬りにされながら毒で殺されるわけです。

 

 それだけは絶対に避けなければなりません。

 マスクを放つ前にストーンキューブでエアシュートで押し出してぶち込むのもアリですが、しょっちゅう避けられて無駄に終わったりスウォードラが身代わりになったりと一手間かかるので今回のチャートにはありません。

 なのでスモールボム2枚からのスプレッドでスウォードラダブルデリートで安全圏を取っておくパターンか、範囲系PAを根性でそろえて一気に仕留めるのが正攻法と言えましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ……淫夢剣(ドリームソード)が2ターン目で揃ったので問題ないんですけどね、初見さん。

 こんなんだから序盤そこそこガバまみれなのに投稿されちゃうんだよなぁ……(呆れ)。

 

 

 

 

 

 

 じゃあ、死のうか……(トリプルデリート)

 

 

 

 

 

 やったぜ。

 これでバレルさんからの課題が終わりました。

 思ったより早く終わったのでバレルさんびっくりしていますね。これで好感度も通常より高めにもらえます。この人あんまりデレないので貴重な上昇です。

 特に終盤でホモくんの行動のせいで好感度が落ちまくるので事前に高めにとって置かないといけないんですね。

 

 

 ぬわあああああああん疲れたもおおおおおおおおおん。

 

 クソ難易度特訓が終わったら一旦、バレルさんと屋上で情報交換をしておきましょう。

 焼きませんしアイスティーも呑みませんが、やっぱ好きなんすねぇ(曲解)。

 どうもバレルさん、ネオゴスペルについて独自に調べていたらしくゴスペルに未逮捕状態の構成員の存在が浮上してきます。

 エアーマンのオペレーター*1も地味に逮捕されていないんですよねぇ……今回の話とは関係ないですが(白目)。

 

 

 

 

 情報交換を終えると、あとは訓練でやる事はもうないので1階まで降りますとシナリオ2で途中フェードアウトした日暮さんが居るので挨拶しておきましょう。

 適当に話しかけていると今回のこわれてない方の課長が直々にホモくんにお願いをしてきます。

 

 

 何やら出入口で立ち往生している人間に観光案内をしてやれとのお達しで……

 ホモくんが新人だった頃はマリンハーバーで社会見学の引率やら巡回やらやっていたので取り敢えず案内してやりましょう。

(ここで逆らっても良いことは一つも)ないです。

 

 

 今回はここまで。ご視聴、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 Z

 

 

 

 

 事件が落ち着けばやることは元に戻るわけで。

 今日も今日とて九十九はバレル主催の訓練に参加するためにオフィシャルセンターに向かっていた。

 

 事件も落ち着き、土曜日となればそこそこの人も集まるというものだ。

 メトロラインのマリンハーバー駅を降りれば数えきれないほどの人々が駅を所せましと埋め尽くし、それを掻い潜るように九十九は地上に出る。

 

 駅から出てすぐ、駅前広場があるのでそこを真っ直ぐ進むと突き当りにオフィシャルセンターがある。

 一寸の迷いもなく歩いていると、センター前でキャスケット帽に眼鏡をかけた見慣れない顔が観光案内のカタログを持ったまま突っ立っていた。

 

 それがニホン人なら何も思う事はなかっただろうが、外国人のようだった。白い肌から察するにシャーロの人間だろうか。

 

 ──待ち合わせか、迷子か。

 

 ふと新人時代のことを思い出す。

 昔は依頼遂行だけではなくてマリンハーバーの案内もさせられていた。迷子の子供をオフィシャルセンターまで案内したり、秋原小学校の子供たちの引率で各施設の案内やらなにやら。

 とは言っても今目の前にいる人間は自分と同い年のようだ。多分自力で解決するか、手持ちのネットナビが助けてくれることだろう。

 

 九十九は擦れ違い、そのまま真っ直ぐセンターの自動ドアを潜った。

 それからはいつものルートだ。真っ直ぐ進んだ先にエレベーターがあるのでそのまま職員用のフロアまであがり、いくつもある開きの部屋をやり過ごした先に会議室がある。そこには既に十数人ものオフィシャルネットバトラーが席につき、奥のボード前にバレルが待っていた。

 

 PETの時計を見る──まだ時間内だ。一瞬だけ──一瞬だけだがまさか前倒しになったんじゃないかと言うありえない可能性が九十九の脳裏を過り、焦りが心臓を無駄に脈打たせる。しかし

 周囲は隣の席の仲間と雑談しているか、一人瞑想しているか、PETの調整をやっているヤツもいる。前倒しになっていないことに安心感を覚えながら九十九は空いた席についた。

 それから数分後、バレルが口を開く。

 

 

「これより、ネットバトル強化研修を始める。各員レベル別の訓練プログラムを作動させろ」

 

 現状バレルは人員によって訓練レベルを分けている。早い話がC、B、A、特A、Sだ。

 特に受付など後方で仕事をする人間のバトルスキルはひどく低下してしまっているためレベルCで悪戦苦闘している人間もいる。

 逆にエース級はBまであっさりクリアしてA級クラスのものに挑戦している状態だ。

 

 そして九十九もその中の一人だった。

 割合的には3割がC級、6割がB級、1割がA級と言ったところか。

 今の位置づけはあまり事件関係の処理もあってあまり多くは出席できていないとはいえ一応A級扱いだ。こうして参加できるタイミングでできる限りの課題をクリアしていくことで毎日参加しているメンツに無理やり食らい付いている有り様だ。

 上級の課題に挑戦する条件としてはある一定の課題をクリアすることだ。

 

 

「行くぜぇ! オフィシャル・ビィィィィィィィム!!」

 

 同じく悪戦苦闘するエース級を横目に九十九は黙々と課題を片付けて行き、大物として投げられた地獄のようなウイルスの組み合わせを対処する課題をどうしたものかと思考した。

 九十九が今やっているのは10連戦のバトルだ。それを高レベルのバスティングレベルで勝利しろという難題である。バスティングレベルというのはオフィシャルが課した戦闘評価のこと。ランクは1から10そして最大値としてSが存在する。

 ランクを上げるためには一定時間内でかつダメージを最小限に抑えなければならない。それを10連戦で、だ。

 9戦までは九十九とゼロにとって然したる問題ではなかった。

 これまで事件解決する上で戦ったウイルスと、厄介な地形の上で戦わされるだけなのだ。

 

 

 ただ──最後の1戦に問題があった。スウォードラ2体とバジリコ。いずれもデフォルトでエリアスチールをセッティングしているというあまりにも酷い取り合わせだ。

 

 

 スウォードラは騎士型のウイルスだ。ソード系統を使うスウォーディン系統のウイルスであり、エリアスチールを利用した高速戦闘を得意とする厄介なウイルスに炎属性を付与したタイプだ。

 灰色のスウォーディンとは違ってオレンジ色の装甲をしているのが特徴だ。それが2体。

 

 最後にバジリコというウイルスだ。

 樹木のような姿でありながら珍妙奇怪なマスクを被っている。ただこのふざけた出で立ちに反して厄介な性質を持っていた。

 

 

 それはマスクそのものに攻撃耐性を持っていること。

 この状態でいくら強力なPAをぶち込んでも──無意味。

 

 ゼットセイバーだろうが、ドリームソードだろうが、ギガキャノンだろうが、オフィシャル・ビームだろうが、オフィシャル・デ・バルバロッサ・デンジャラス・キャノンだろうが効かないのだ。

 例外的にぶち抜けるチップはあるが、大体出が遅いのでアテにはならない。バジリコというウイルスは鈍重そうに見えてその実素早いのだ。マスクのない背後から回り込もうにも反応されて塞がれてしまう。

 

 攻撃チャンスはただ一つ。

 奴がマスクを外した瞬間だけ。この瞬間ならバジリコも動きを止めざるを得ないのだ。そのタイミングなら付け入る隙がある。

 しかしただで外してくれる訳ではない。外している間はナビのプログラムを汚染する毒をまき散らす。

 

 過去のゴスペル事件において──オフィシャルスクエアを襲撃したウイルスがバジリコの上位種だったという。

 エリアスチールを利用した高速移動を行いながら毒をまき散らされて迎撃部隊は壊滅状態にさせられた。

 

 

 下位種とはいえ、奴を倒せなければオフィシャルはこの先生きのこれない。

 加えてその取り巻きを巧く捌かなければならないのだ。

 

 逆にそれさえできれば、オフィシャルは強力なウイルスを軽々と倒し強力なレアチップを倒したウイルスから抽出できる→結果的にオフィシャルパワーアップ。というのがバレルのやろうとしていることなのだろう。

 言うだけならシンプルで簡単だが、逆にそれが難しい。

 バレルという男はそれを理解しながらもおそらく敢えてやらせている。……中々容赦のない男だ。

 アメロッパ軍のネットワーク部門で司令官をやっていたのは伊達じゃない。

 

 

 

 とはいえ、勝算が無い訳じゃない。

 

 幸いゼロがパイルマンから学習した新しい技、ブライスティンガーはその高い突進力から敵が持ち込もうとしている高速戦闘をやり過ごせるだけのポテンシャルを秘めていた。

 

 この技はその名の通り、超高速で突進しゼットセイバーで刺突攻撃を行う技だ。パイルマンに工事現場でひどい目に遭わされたが、これで多少はもとがとれたというものだろう。

 エリアスチールを使用した高速移動による斬撃はいくらゼロでも完全に反応し切れない。1体だけならまだしももう一体のスウォードラが尋常じゃないハイスピードで襲い掛かって来るし、バジリコが吐き出す毒がゼロを蝕むのだ。

 

 当然ここで使えるのはドリームソードだが、使い道を誤れば討ち損じが現れてアウトだ。その先に待つものは時間経過による敗北か、泥仕合でゼロが疲弊してくたばるかの2択である。

 一撃を放つ瞬間をはき違えるな。エリアスチールで高速移動するバケモノ3体を前に、九十九はゼロにブライスティンガーを指示する。

 攻撃が目的ではない。突進を利用した高速移動による回避運動だ。

 スウォードラが突進するゼロに反応して炎を纏ったロングブレードで迎撃する。しかしゼロの突進の方が僅かに速かったのに加えて、九十九が指定した角度は微妙にソードの射程圏から外れていた。

 

 発動タイミングは全て九十九がおこない、ゼロはそれに身を預けている。

 一瞬でも集中を切らせばゼロはスウォードラに三枚おろしにされる事間違いナシだ。

 

 ただただ空を切る斬撃がエリア中に広がるのを、見ていた者はひとりごちる。

 

「……攻撃が空ぶってしかいない……!」

 

 スピーカーからはヒュンヒュンと風切り音しか聞こえてこない。その上、ウイルスもエリアスチールの高速移動を行っているせいで姿を捉える事すらも困難だ。

 一気に掻っ捌くためにはバジリコが仮面を外し、毒をまき散らしているタイミングしかない。

 

 

 事前に3枚のチップを同時転送し、いつでも一撃を振れるようにPETにストックさせる。

 リアルタイムの逐次データ転送に比べてPETに負荷が余計にかかり次のチップ転送が可能になるまで時間を要するが、今この瞬間それ以外に使えるチップはない。

 PETのグリップは手汗でびっしょりだが、それを一瞬でも意識すればやられる確信があった。

 ゼロのスピードを追いながらエリアスチールをぶん回して追いすがるウイルスたちも追う。自分自身の知らない引き出しを無意識に引き出しながら神経を尖らせる中で、バジリコの仮面に刻まれている()()()()()()()()()()()()が大きく開かれた。

 

 ──来た。

 

 バジリコが仮面を外す合図だ。

 

「……バジリコが仮面を外す! 構えろゼロ!」

『……ムッ!』

 

 ゼロの連続ブライスティンガーを打ち切らせ、スウォードラをバジリコ近辺まで誘導するとゼロはバジリコの真上にジャンプする。そして、ゼロが落下に差し掛かったところで九十九はPETの発動キーを強く押し込んだ。

 

「プログラムアドバンス!」

『ドリームソード!』

 

 

 

 

 

 

 

 ほぼ紙一重の戦闘だった。巨大な光の剣はあっさりと複数体のウイルスを呑み込みバジリコを真っ二つにし、スウォードラを消し飛ばしてしまった。

 戦闘終了を告げるアラートと共に、ゼロの握った光の剣が消滅する。

 結果は──

 バレルが課した制限時間ギリギリでかつゼロの損傷は一瞬だけ入り込んだ毒によるもののみ。A級難易度を終えた九十九はひどく疲れ切った表情でだらんとPETを握る力以外の力を抜いた。

 

「一番乗り……か」

 

 ゼロの力が大きいとはいえ先輩陣を一度出し抜けたことへの達成感と同時に疲れからの脱力感が襲い掛かる。もう暫く何かを考えて生きるのが嫌になりそうだ。

 完全に脱力し切っていたところを、大きな影が差した。

 

「……随分とやるようになったようだな。まさかお前が一番乗りになるとは思いもしなかったが」

 

 見上げると鬼教官──もといバレルがそこにいた。

 周囲を見渡すと、未だ規定時間のクリアができていないのか膠着状態に陥っている。一歩間違えれば九十九も同じ目に遭っていたであろうことは想像に難しくない。

 

「……ついて来い」

 

 そう言い残して会議室から去って行くバレルを九十九は慌てて、ゼロをプラグアウトさせて追った。

 行先は──屋上だ。

 

 

 

 

 屋上には人は誰も居なかった。

 まだ休憩時間じゃないのもあるのだろうか。バレルは置かれた自動販売機にゼニー用のチップを突っ込み、ボタンを2回押した。

 そして排出口から取り出した瓶を九十九に放り投げた。

 

「うおっと」

 

 投げられたのはあの茶色い瓶と王冠型のキャップで有名な炭酸栄養ドリンク*2 だ。

 飲めということだろう。有り難くいただく事にした。

 

 一旦場所を屋上の手すり前まで移し、広大な海を見渡しながら栄養ドリンクを一気飲みする。

 そんな中でバレルは口を開いた。

 

「ネオゴスペル──お前は奴らをどう見る?」

 

「……ネオゴスペル……ですか」

 

 突然何を言い出すんだこの人は。鳩が豆鉄砲をくらったような顔になる。

 ネオゴスペル、それは便宜上付けられたゴスペルを自称する者の組織名だ。外様であるはずのバレルの耳に届いているのは少しばかり妙だと思いながら九十九は動揺を悟られないように平静を装いながら応えた。

 

「多分アレは僭称じゃない。残党にしてもあまりにも……」

 

 厄介だとしか言いようがない。

 加えて、あんな悪質なウイルスを作れるような連中が単独犯でやれるとは到底思えなかった。メトロラインの暴走事件含めて同一組織によるものなのはある程度読めている。

 

「それでいて旧ゴスペルとは違う組織にも思えます。元首領のアリバイは既に確認されている……となれば別の人間が仕切っているのが自然と言えましょう」

 

「概ね同じ見解ということか。ならこちらも情報を提供しておこう」

 

 何のつもりだ。

 そんな疑問が九十九の脳裏を走る。この男は本来は教官を目的として来ていないとでもいうのか。科学省に偶然いたという話といい、史隈管理官の言う通り……疑念が風船のように膨らんでいく中でバレルは続けた。

 

「コトブキ町の倉庫において、お前たちが押収したナイトメアチップと同質のものが発見された。加えてとあるマンションの一室を借りた妙な団体が旧ゴスペル事件で電磁波騒ぎになる前に出払ったという痕跡もあったという。……それ以上の追跡は叶わなかったようだが」

 

 まさか別口で同じように捜査をしていたのか。

 九十九は目を丸くした。アメロッパの──それもオフィシャルですらないのにも関わらずこちら側を上回る捜査までしている。

 局長側の差し金だろうかと考えもしたがあまり意味のある思考足り得なかった。

 

「元構成員曰く、ゴスペルには協力者がいたという話もある」

 

 案の定、ではあるがまだゴスペルが完全消滅した訳ではないという事実に九十九は肩をストンと落とした。電磁波騒ぎというのは、光熱斗とその仲間たちがゴスペルとの最終決戦を始める直前だろう。

 敗戦濃厚な旧組織を見限って独立──と見た方がいいか。

 

 もし自分が組織の一員で敗戦が見えていたとしたらそうしている。

 もしも──究極のナビの欠陥にいち早く気づいていたとしたら。

 

「元々組織の性質上匿名の集まりであることもあって本名は分からず仕舞いだったが──コードネームはゲイト、そしてブイ、EDFと呼ばれていたようだ」

 

「……ゲイト、ブイ……イーディーエフぅ?」

 

 ゲイトとブイはまだコードネームらしく分からないものとしての圧が感じられたが、EDFとはなんだ。

 EDF。九十九の脳裏では徐々に地球防衛軍と変換されていく。宇宙人を撃滅しそうな名前に目が点になった。

 

 連想ゲームで出て来た宇宙人なる非現実的存在で余計に目が点になるがこれは間違いなく九十九の自爆だ。

 とはいえどネット社会はおろか人間社会も消し飛ばしかけた犯罪組織の後継らしからぬネーミングが余計に不気味さを醸し出す。

 

「ネオゴスペル……何としてでも壊滅させなければならん。連中の行動は旧組織とそう差はない」

 

 それは理解できる。

 連中が旧ゴスペルの系統だとすればこの程度序の口とも言える。過去に天変地異やダム決壊未遂などシャレにならないことも起こしているのだから。

 再び光熱斗が戦い勝利する可能性もゼロじゃないが、一人でやるのにも限界がある。たった一人だけで──戦わせてはいけない。

 

 

 

 しかし解せないことが一つだけある。

 

「……あなたが何故こんなことを」

 

 力を貸してくれる体勢でいてくれることは非常に心強い。寧ろこのまま力を貸してくれれば効率よく事が進む。

 とはいえ、そこまで来たらニホンのオフィシャルに丸投げしても文句は言われない。アメロッパ軍人だったのは過去形だ。ここまで首を突っ込む理由が知りたかった。

 

「それがある人物からオレに与えられた依頼でもあるからだ」

 

「……依頼?」

 

 ある人物って誰なんだろうか。そんな九十九の疑問にバレルは一言も応えてはくれなかった。

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 それからバレルと別れ、訓練プログラムを終わらせた九十九はエレベーターでエントランスへと降りた。

 受付は部門別に分かれており、電子パスポートの発行や、市民ネットバトラーの受験票の発行申請をはじめとした事務的な部門。家電製品のバグや、ウイルス駆除などや解決のための相談窓口と言った具合に分かれている。

 それらのためにやってきた人々でごった煮状態で、土日のオフィシャルセンターはいつもこんなものだ。

 そしてそんな地獄を乗り切って休憩に入っている、小学生にすら口説かれたとかいう逸話を持つ受付嬢ですら死にかけのモンスターのような顔をしているのは一種の風物詩でもある。

 

 

 特に相談系統はカオスだ。

 PETが動かないという相談だったものの、原因がお風呂場の水没による故障でしたとか、電源が入っていないだけでしたとか。

 何もしていないのに壊れたと言ったものの、実は変なカスタマイズ(何かの拍子でナビのボディにバグのかけら混入)をしていました、とか。本当に肩透かしな話もあれば、企業の機密が入ったサーバーがウイルスにやられたなどという大事な案件も飛んでくる。

 

 そんな中一人、見覚えのある顔が一つ。猫背でひょろっとしたボサボサ髪に眼鏡という冴えない風体をした男──

 

「あ、日暮さん。どうしてここに」

 

「ん? 九十九くんでマスか。お勤めご苦労さまでマス。アッシはチップ商人ライセンスの更新でマス」

 

「あー」

 

 あのナイトメアチップ事件で形骸化した商人ライセンスの見直しが必要になったらしく、ヒグレヤがその被害を被ったという訳だ。オフィシャルとしても得体も知れないチップ商人からものを買って大惨事になるなどという原因を今更とはいえ極力潰しておかなければまた繰り返す羽目になるので当然といえば当然だ。

 効果があるかどうかは怪しい所であるが。

 

 

 

 この行列だ。多分申請だけで半日潰れてしまいそうだ。

 

「すみませんなんか……」

 

「あぁいうチップはあってはならないモノでマス。だから気にする事はないでマス。……これからまた何か美味しいネタがあったらきっちり通報しておくでマスから」

 

「……世話ンなります」

 

 日暮ならチップ関係の情報に敏いこともあり、こうして快く協力を申し出てくれるのは有り難いことこの上なかった。

 さて、これからどうしたものか。

 帰らずにインターネットをパトロールでもしようかと思った矢先だった。後ろから肩をポンポンと叩かれた。

 

「おん?」

 

 出鼻をくじかれたような気がしてちょっとぶっきらぼう気味に返事をすると、後ろには──

 

 

 

 

 

 

 

 後退した白髪交じりの毛髪。そして九十九とほぼ同じ身長の中年。

 デンサン管轄のオフィシャルセンターにおけるお偉方の一人である──課長がそこにいた。

 

「かっ──課長ォ!? おおおおおおおおおおおおおおおぅ疲れ様ですぅ!」

 

 ぶっきらぼうな返事をしてしまったことを酷く後悔しながら姿勢を正し、一礼する。それを横目に日暮はそそくさと列に戻って行く。正しい判断だ、寧ろそっちの方がありがたい。

 九十九の反応については意にも介さず、課長は九十九の肩を掴んで「ちょっといいかね?」とエントランスの壁際に誘い出した。

 

「度重なる活躍は見事だったねぇ。あのメトロラインを救い、更には違法チップの摘発。私も鼻が高いよ」

 

 なお、手柄の大半は課長に吸われている訳だが。

 変に目立たないだけありがたい話だが複雑な話でもある。

 

「所でそんな君に折り入って相談があるのだが……」

 

「なんです」

 

 顔を寄せ合って、小声で話す課長に九十九は怪訝な顔をする。

 この様子ではロクな話ではないのだろう。そう察した九十九は警戒しながら耳に神経を尖らせた。

 

「あの入り口にいる少じ……少年が見えるかね? 彼にマリンハーバーの案内をしてくれんか?」

 

「ん? あのキャスケット帽に眼鏡の? 朝から居ますね……というか他に人がいるでしょうに」

 

 九十九が訓練を始めるより前からずっとあの調子で途方に暮れていたのだろうか。

 観光旅行で立ち往生など相当だ。

 

「いやぁ、今皆忙しいし君、この辺詳しいだろう? 今でも覚えているよぉ? 2年前小学生を引率してマリンハーバーの社会見学の引率をしていた新人の……」

 

「……とにかくやれってことですか」

 

 課長の押しの強さに九十九は出そうな溜息を抑えながら出入口でぼんやりとしている外国人の方に視線をやる。確かにこうしてこのままずーっと何もせずに時間を過ごされるよりはマシだと言えよう。

 もし観光客ならマリンハーバーをきっちり見て回って貰いたい所だ。我が意得たりと課長が満足そうに微笑むと、九十九を無理矢理出口に向かって押し出した。

 

「私も忙しい身でね、話が早くて助かるよ。……あっ、これ私が頼んだというのは内緒にしておいて。あと失礼がないように!」

 

「え? なんで内密にする必要が? 失礼って、え?」

 

「さ、行った行った!」

 

「だーッ! 分かりました! だから押さないでください!」

 

 このハゲ後で何がどういう事なのか問い詰めてやる。などと多分出来ないであろうことを心の中で誓いながら九十九はそのままその少年のもとへと歩を進めた。

 ここで逆らっても良い事が無さそうな上に、それとセンター前でずーっと立往生されたままモヤモヤしたまま家に帰られるのは少しばかり気が引けたのだから。

 一つ、深呼吸してから途方に暮れる少年に九十九は声をかけた。

 

 

 

「──あのォー、すんません」

 

 

 

*1
風吹アラシのこと。作戦失敗により仕掛けられた爆弾の爆発に巻き込まれてフェードアウトした。バトルチップGPでは生きていたが正史では生死不明(HHEM村)

*2
ぶっちゃけるとオロナミンC




 無印アニメの前期EDをすこっていけ。あのチップがクルクル回る奴。なおフルサイズは幻と化した模様。
 アニメ版ってなんでこう音楽関係が壊滅的なんや……2期以降のサントラもヌェ /(^o^)\


Q:オフィシャル・デ・バルバロッサ・デンジャラス・キャノンってなんやねん
A:私にもわからん(鬼畜博士)

Q:センター前で立ち往生してるシャーロ人(?)の服装どうなってんの?
A:お忍び衣装の男版をイメージしてください。……なのでぎゅっと潰してます。何をとは言いませんけど。

Q:……てか、なんであいつ男装してんの?
A:作者の趣味


 次回、九十九死す!バトル・スタンバイ!
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