ロックマンエグゼ:実績『見損なったぞカーネル!』『負けないアイ』開放ルートRTA 作:ヌオー来訪者
へぇ、デートかよ。なRTAはーじまーるよー。
さて、ハゲ上司に面倒ごとを押し付けられたホモくんですが。
未だ出入口で立ち往生をしている外国人……ホイップと名乗る少年だか少女だか分からないやつに話しかけるとエグゼ恒例のお使いイベントが始まります。……アニメ見ている人からしたら完全にバレバレですけど(小声)。
ここである施設を案内してやると、イベントが発生しますがこれをやる上でついでに出来ることは可能な限りやっておきます。
一つはディンゴくんを巻き込むこと。
この子も大概な問題児なのですが、事前に仲良くなっておくと今後のイベント展開が変動します。なお余計にシナリオでディンゴくんが曇るのですが、タイムのために犠牲になって貰います(外道)。
サロマ姉貴のいる弁当屋さんで仕事しているのでディンゴに話しかけると、サロマさんに休憩がてらのマリンハーバーの案内をお願いされるので快諾しておきましょう。
しょうがねえなぁ(悟空)。
もう一つはゲイ専♂へ案内してUFOキャッチャーをやること。可能なら太陽少年のフィギュアもゲットしておきましょう。
UFOキャッチャーの景品はその半数はゼニーで無理矢理購入できますが、そこそこいい値段がするので数百ゼニー程度で済ませておきたい所です。
特にぬいぐるみやフィギュアは部屋に置いておくとちょっと便利になります。
まだ先の話にはなりますがジャンゴのフィギュアBOXはバトルチップのガンデルソルシリーズが強化され、特殊なプログラムアドバンス解禁の条件になります。
ジャンゴって誰だよ? お前の彼か? ってなったホモたちはボクらの太陽で検索して、どうぞ。
エグゼ後期シリーズにとっては良くも悪くも切って切り離せないものだったりします。
UFOキャッチャーやミニゲームで遊んだりできる辺り少し龍が如くめいてますが、今回RTAなので基本積極的には行きません。強いて言うならイベント時のついで程度です。
現実のUFOキャッチャーに比べるとヌルめですが、若干運要素も絡んでいるのでもし駄目そうならすぐに諦めましょう。深追いはロスですし下手すれば再走した方が速いまであります。
Foo^~気持ちいい~。
ジャンゴのフィギュアが500ゼニーで 取 れ ま し た 。
ホモにあるまじき幸運恥ずかしくないの? (呆れ)。
ついでにコブンのぬいぐるみについては取るのを協力してあげるとホイップくんからの好感度も上がりますので手伝ってあげましょう。好感度を事前に上げておく理由としては、今後味方をしてもらうのに面倒な手順を減らせるからですね。
この後ディンゴくんからバスケゲームの勝負をさせられますが、中々シビアなのと失敗しても上昇する好感度が少なくなるだけです。ホイップに比べてニホンに残るキャラゆえにリカバリーは効くので長丁場に向けての体力温存のため取り敢えず負けておきましょう。
ゲームで遊んでいると割と効率よく好感度が上げられるので可能な限りやっていきましょう。別段勝つ必要もないので雑に連打させてコールド負けして時間短縮していきましょう。ホモくんが若干舐められますがタイム短縮のためなので我慢してもらいましょう。
ここでイベントが発生しますが……当然面倒なことが起こります。
そういうゲームだからしょうがないんだよなぁ……(諸行無常)。
その面倒なことと言うのはマリンハーバーとデンサンシティを繋げる橋が爆破されます。
お前見ろよこれなぁ! この無残な姿よぉなぁ!? おい!
シリーズ屈指の大惨事ですが、熱斗くんが関わる話に大きく関わらないのでなんの問題もないね(レ)
今回はここまで、ご視聴。ありがとうございました
Z
声をかけると途方に暮れた外人はキョトンとした顔で九十九を見た。
よく見ると薄らと目元に隈を作っている。普段から睡眠をサボっているからか。とはいえこの様子だと消え掛かっているようにも見える。
「なんか困ってるように見えて。ずっと出入り口で立ち往生しているし」
やや言い訳がましくなる自分の物言いに苛立つ。こういう時口が上手い営業とかが羨ましくもなる。
「……いえ、お構いなく」
声変わりでもし切っていないような少し高めの声が返ってきた。
まぁ、案の定の返しに九十九は心の中で「ですよねー」とぼやく。
見知らぬ現地人に突然声をかけられて、ホイホイついていく奴がいるものか。
海外で渡航者をターゲットに親切なふりをしてチップを要求する迷惑千万な者もいるわけなのだからこの対応は残念ながら当然と言わざるを得ない。
それでもって拒絶されたからにはどうしようもない。さっさと退散して「ダメでした」と言って終了だ。
踵を返そうとした矢先だった。
ぐるるる
と、誰かの腹が鳴った。
……九十九ではない。なんせ朝のうちに飯はそこそこ食べてきた。なんならちょっと苦しいが夕飯まで持たせられる自信がある。
育ち盛りと言われる年齢にはちょっと苦しいが。
音のした方を見るとそこには先の外人が、気まずそうな顔をしていた。
今この瞬間、九十九の周囲にいる人間はそいつだけ。ならば導き出される結論は一つ。
「お腹……すいた?」
「…………」
頷きはしなかったが否定もしない。
だがはしたないとは思ったのかただただ白い肌が赤く染まっていくだけである。
時計を見ると丁度お昼過ぎ、大体は飯を食べ終えたくらいの時間だ。九十九は頭を掻きながらどうしたものかと思いながら口を開く。
「そのままずっと途方に暮れてもしょうがないだろうし。それに……職業病なモンで。せっかく来たんだからある程度回らないともったいないですよ」
信用しろ。とまでは言わない。
軽く見せたPETに内蔵されたライセンスで、不思議そうな顔をする。
「引率部長……?」
引率部長。通常のオフィシャルに存在しないであろう肩書だ。こんな肩書を設けるようなところはここ以外他
ないだろう。無論部長とはいえど権威なるものはまるっきり存在しない。
課長が新人時代に押し付けた仕事をこなした結果意味が分からない肩書を付けられた。結局は面倒事を処理するための雑用係に他ならない。人事異動でアキンドシティからの追加人員の案内やら、社会見学の案内やら。
しかしおかげでヘタなオフィシャルよりマリンハーバーより詳しい自信があった。
「主に新参の案内や社会見学のガイドっすね。特にえらい人じゃあないけど。怪しければオフィシャルに連絡してもいい」
「……」
流石にここまで言われたからには疑えないようで、少年は大きく息を吐いた。
溜息とはちょっと違うナニカだ。それから少し考え込むように手元の観光ガイドを凝視してから顔を上げた。
「……じゃあ、お願いします」
◆◆◆◆◆◆
「どっから来たので?」
「うん、まぁ──クリームランド、かな」
──北国からとはいえクリームランドか……
見た感じ北国育ちっぽい風貌だと見えたのは間違いではなかったようだ。とはいえ、寄りにもよって近年まで領土問題でバチバチ言わせていたシャーロだ。
ここ最近は国交回復しているとはいえ、うっかりシャーロから来たの? なんて言えば気まずい空気になるのには違いない。
オフィシャルセンター前の広場を歩きながら
少年──ホイップの隣を歩きながら九十九は一人思っていると、ホイップが横槍を入れた。
「敬語は……その、いいよ」
「え?」
「別に……偉い人じゃないんだし……」
──いやだって失礼がないようにって課長が……
と、喉から出かけた言葉を必死に抑える。
そうだ、この頼まれごとは内密にしろと言った。理由は分からないが。
ちょっと言い澱んでいるようにも聞こえたが、相手がそう言う以上敬語を投げつけるのもある意味失礼でもある。ここで逆らっても良い事はない。
課長の言葉もちゃんと隅に置きつつ、九十九は口を開いた。
「はい、じゃあ──さっそくなんだけど。苦手なモノとか、ない?」
「ありませ……じゃなくてないけど」
「じゃあお昼ご飯、食べよっか。……ここにはやたら飲食店はあるけれどおすすめがある」
ホイップの手持ちがどれだけあるか分からないため高級店は論外だ。というか九十九のゼニーが死ぬのは確実。
となればそこそこ美味しいファミレスか。しかしそこまで来るのにそこそこ歩かなければならないのが欠点だ。
となれば駅前のカフェか、あるいは──
「良い所があった」
マリンハーバー名物──と化しつつあるものがオフィシャルセンター前にあるではないか。九十九はとあるものに指さした。
「こことか、どう?」
「らっしゃい。ん? なんだ……いつもの九十九の兄ちゃんか。隣のは見かけない顔だけど」
こうしてサロマとディンゴのいる弁当屋に通い始めて完全に顔を覚えられていた。
あっけらかんとした挨拶をかますディンゴに「なんだってなんだよ」と苦笑いしてから返した。
「クリームランドから来たんだって。今マリンハーバーの案内がてらお昼ご飯をさ」
「へぇ、分かってるじゃないか。それでウチを選ぶなんてな!」
フン、と鼻を鳴らして誇らしげに言うディンゴ。それを隣で客を捌いていたサロマが困ったように頬を掻いていた。因みに仕込みをしているのはディンゴではなくサロマだ。
それだけ慕われているということなんだろう、多分。
弁当屋の事情は置いておいて九十九はホイップに弁当選びを促す。
「どれがいい?」
この弁当屋、意外にもレパートリーはそこそこ多く、山菜メインのものや魚メインのものもある。
それでいてバランスも考えられているので、どっちを選んでも健康に良いという訳だ。全部実は苦手でしたなんてオチだったら目にも当てられないが、はてさて──
──ま、迷ってらっしゃる。
思った以上に深刻な表情で顎に手を当てて、考え込んでいる。
もしかして山菜系とか魚も全部駄目なヤツだったか。九十九は内心全力で焦りながらホイップの耳元で囁く。
「もしかして、どっちも駄目?」
「ううん、違う。──どっちが良いと思う?」
「あ、そゆこと。苦手なものが無いんならこっちの方が種類的にいっぱい食べられると思うんだけど。どう?」
「それなら──こっちで」
決まった所で九十九も一緒に弁当を頼み、各々片手間にチャージしたゼニーを出すとディンゴは二人分受け取った。
「まいどー。九十九の方はこっちで、帽子くんのほうはこっちね」
サロマや先輩スタッフ仕込みの手慣れた動きで次々と弁当を渡していく。九十九の弁当には割り箸が、ホイップの弁当には木製のフォークが弁当箱に縛り付けてあった。
マリンハーバー自体外人が多いが故に箸を使えない客もいる。そんな客のためにあらかじめ用意しているのだという。
因みにそのフォークはディンゴが暇潰しに作ったらしい。
ちょっとガサツそうな風貌から思いもよらない特技だ。
後片手間に木彫りで作った不気味なトーテム像もネット通販で売っているらしいが流石にそっちは碌すっぽ売れていないのだとか。
多分木製のフォークをひたすら売っていた方が多分採算が取れるような気もするが突っ込まないでおこう。
海風にあたりながら弁当を食べる。
これだけならアメロッパでも出来ることだろうが、少なくともサロマの弁当屋自体はニホンにしか存在しないし店舗数自体も官庁街とマリンハーバーしかないので選んだものとしてはベターだったと思いたい。
だし巻き卵をもっすもっすと食べながら凪いだ海をぼんやりと眺める。次はかぼちゃ。
ふと隣を見るとホイップが目を輝かせながら鮎の一夜干しを頬張っていた。
で、ディンゴも休憩中らしくどうやらサロマが準備していたという弁当を九十九の隣でカッ喰らっていた。多分小学生か中1くらいの身長に反して一口一口がデカい。この調子なら多分こっちが食べ終わるより先に2食分完食しているであろう勢いだ。
ハイペースで昼飯をたいらげながら、ディンゴは切り出した。
「そういえばそこの帽子くんはどうしてニホンに来たんだ? 出稼ぎか?」
「出稼ぎでは……ないかな」
引き攣り気味の笑みで返しているホイップだが、実際問題生活に困っているような人間の動きではないのは何となく九十九にも分かった。
動きはどちらかと言えば自分のような腹減ればカップ麺をうまい! うまい! とバカスカ食べて体を破壊しているような人種ではなく、伊集院炎山とかその辺の人種に近い。一つ一つの動きが妙に上品な気がした。
「……ちょっと色々用事があってここに来たんだ」
少し言い辛そうな雰囲気だった。ホイップの瞳にやや影が差す。その白い肌もあって影が余計に際立つ。
あまり深掘りするべきじゃないだろうなと思い立ち九十九は切り返した。
「そういうディンゴは出稼ぎ?」
「まぁそんなところだ。今はちょっと恩があってここで仕事してんだ」
「恩? 何へのだ?」
「サロマの姐さんに、だ。ニホンに来て間もない頃、情けない話手持ちも碌すっぽなくて行き倒れてたところを助けてくれてさ」
「それでここで仕事してんのか」
人に歴史あり。
ディンゴのその木彫り技術もあってこの仕事と少しばかり相性がいいのだろう。この木製フォーク自体はオフィシャルセンターで働く同業者連中には割と好評だ。
箸を使った事が無い海外からの観光客もいるのでそのフォローにも充分なるわけで、ディンゴの存在は思っているより大きいように思えた。
「わたしにも返さなくてはならないものがありますわ」
「ん? どした?」
ホイップが何かを呟いたのが聴こえたような気がした。一瞬だけ何か決意じみた何かが瞳に宿ったような気がしたが、一瞬で元に戻った。
「ううん、なんでもない。……これ、凄くおいしかった」
「それはよかった」
オフィシャルをやってここ最近ロクなことが起こっていないが、この弁当屋を知ったことは収穫だ。それと美味しいカップ麺の選び方とか、生卵は大体のカップ麺に入る万能調味料だということが知れたことくらいか。
もちろん、この仕事を始めたことを後悔しているわけではないのだけれども。
ホイップから上々の感想を貰えたことに安堵していると、弁当を売り切って完全に手持ち無沙汰になったサロマが九十九のもとへと歩み寄って来た。
「星方さん、いつもありがとうございます」
「いやいや、別に。世話になってんのはこっちのほうです」
マリンハーバーのセンター前に弁当屋を構えてくれたのはオフィシャル職員からすれば最高にありがたい話だった。ショッピングモールからそこそこ歩くこともあって偏りがちな食糧事情が一挙に解決したと言っても過言ではない。
しかしサロマはちょっと遠慮がちに言葉を紡いだ。
「ちょっと無理も承知でちょっとものの序でにお願いしたいことがあるんですけど……」
「……なんすか」
「一緒にディンゴもこのマリンハーバーの案内をしてあげて欲しいんです。配達とかのお仕事もあるし……それになんか聞いたところによると、ここの地理にやたら詳しいトカ」
「……それ、誰が言ってました?」
九十九は殺気立ちかけるものの、抑えてにこやかに問いかける。
サロマは別に悪くはないのだ。悪いのは吹聴し腐った人間である。
「えっと……その……ちょっと頭が後退している5、60代くらいのオフィシャル職員の人です」
言わずもがな、九十九に無茶振りかましたあの課長である。そんなことを無意味に吹聴するのはあの課長に他ならない。
──あんのハゲぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!
もうこの世の呪い全てを一身に受けて叫びたい気分だった。こうして九十九の雑な便利屋扱いが広まって行くのだ。
抑えきれず少し手をわななかせるものの、観光もたった一人だけ相手にやるのも少しばかり寂しいものだと思い直した。これでマリンハーバーの魅力を知って貰えるなら
「まぁいいですけど。じゃぁ──ディンゴ君ちょっと借りますね」
「ありがとうございます。じゃあ次の弁当代、タダにしておきますね」
「マジ?」
思わず口調が砕ける。特に見返り自体は期待していなかったこともあってポロッと出た言葉に、サロマは「はい、マジです」とにこやかに、わざと九十九の喋り方に合せて返した。
◆◆◆◆◆
弁当を食べ終えた所でディンゴとホイップを連れて、まずはショッピングモールに向かって歩を進めた。
移動中は多少時間を食うのでまずはこのマリンハーバーそのものの成り立ちから説明していこう。
「ホイップ、その手元にあるマリンハーバー完全攻略ガイドの3ページ目開いてみて」
「え……はい」
呆気に取られながらガイドをパラパラ捲り、横からディンゴもそれを覗き込む。
「ここの歴史についてちょっと話していこっか。今から約20年前デンサンシティ近未来都市という構想があった。それがこのマリンハーバ──―正確にはデンサン埋立地の歴史の始まりだ」
20年前となれば、九十九もディンゴも。そしておそらくホイップも生まれてはいない。そもそもインターネットも開発時期の頃だ。
デンサンシティ開発で発生したゴミ処理など後ろ暗い事情もあったが、この辺は一旦カットだ。別のところで解説しよう。
「かつては元から存在していた無人島を拡げただけの何もない人工島だった。当然今のようにオフィシャルセンターもないし、ショッピングモールも存在しない。こうして並び立っている木々もない。なんで折角なんでニホンの観光地として造って行こうということで呼びかけたら、ショッピングモールの運営企業やらアミューズメント施設の運営企業が我こそはと名乗り出た。それと不足していた総合病院の受け皿にもなった」
当時のデンサンシティは自然を極力壊さずに堅実に発展させていく派閥と、積極的にとにかく整地してしまえというやたら極端な勢力が隆盛していた。
いまでも後者の勢力は元気にハッスルしており、瀬戸際で食い止められてはいるが近年では秋原町の雑木林を全部なぎ倒せと訴えていたりする。
この埋立地は、その後者の勢力をガン無視して発展させられる恰好の場所だったとも言える。
無論、埋め立て地も自然破壊の一つでもあるが作られた以上しょうがないから積極的に使って行こうというのが前者の考えだった。
「特にこの近未来都市構想においては積極的に新技術を投入していけとのお達しで、この埋立地の北に建てられた湾岸病院は最先端の医療技術を取り込んでおり、新参の総合病院ながらもニホン医療の最先端を行っているんだそうだ。あの病院のど真ん中で生育されている「命の木」アレ……実はクッソデカいんだよな」
「デカいってどれくらいだ?」
ディンゴの質問に九十九が「うーん」と顎に手を当てて考え込んでから、大きく手を広げて応えた。
「こうやった大人数人では囲い切れんくらいにはデカい」
「マジかよ……ニホンにもあるんだな……そういうの」
「無人島に元からあった木なんだが、病気で完全に死にかけていた所をネットワーク技術で復活。元々持っていたクソ長い樹齢のままに生きているんだそうだ。噂だと昔と合わせて1000年持つとか」
その木も倒せとか言われていたものの、それは勿体ないと考えた技術者が全力で生育プログラムを構築。今となっては病気になったりもせず安定した状態で患者たちの心の癒しになっているのだという。
「ま、世の中には5000年近くオレたちよりずーっと長く生きている木があるんだ。1000年くらいわけないぜ」
ディンゴの言う通り、アメロッパには5000年ほど生きている木が存在する。
今が西暦2000年代であることを考えるとそれはもう気が遠くなるほど長い時間を生きているということになる。
1000年でも相当な期間だ。
「そう思うと不思議だよね。木には意識とかないだろうけど、ずっと長い時間わた……僕たちを見ていたって訳だし」
ホイップが遠い目で、小さく見える湾岸病院に想いを馳せている。
1000年となると「き」だけに気が遠くなりそうだが、想像することは出来る。今のようにネットワークもクソもない歴史の教科書の世界だ。
「興味ある? じゃ、これもちょっと見にいこっか。それとその命の木の近くにあるデンサン・ニュース・ネットワーク……要するにテレビ局もある。こっちは比較的新しいんだがスタジオもあったり、タイミングが良ければ芸人と出くわすこともある。まぁ……二人には馴染みがないかもだけど」
DNNは軽く流しつつ、後ろの遠くなったオフィシャルセンターに軽く視線をやってから続ける。
「で、この中で一番最近に出来た……とは言っても数年前だけど設立されたのがオフィシャルセンター。オフィシャルは本来科学省のネットワーク保全部隊だったものが独立したものだ。ネットワークは建設、土木、医療、教育などあらゆる分野に広く普及したけれども、同時にネットナビやウイルスによる犯罪も急増。ネット犯罪と呼ばれる新たな社会的脅威を生み出した。国家はネット犯罪対策組織、オフィシャルを新設しネットバトラーを輩出。これに対抗したんだ。……で、その一環として先に立っていた科学省研究施設の一部を増築した……というワケ」
「それがオフィシャルセンターとオフィシャルネットバトラーの誕生、という訳だね」
「そういうこと!」
オフィシャルセンターにマザーコンピューターがあるのはその名残だ。元々科学省の研究施設だったし今でもその機能は保ち続けている。
オフィシャルはネットバトルのプロフェッショナルを多く保有しているが故に、外部からの脅威に対する盾としては申し分ない──はずだった。
結果的にゴスペルという社会的脅威の前に敗北寸前にまで追い込まれてしまった。
「っと、ボチボチ歩きまくるのはアレだし。ちょっと遊ぶか」
「遊ぶって?」
「──そりゃあもう、ゲーセン」
マリンハーバーの目玉といえば巨大アミューズメント施設だ。
申請なしのネットバトルが大っぴらに許されている貴重な場所でもあり、レトロゲームから最新型のアーケードゲームまで取り揃えている。
あと体感型ゲームをちょっと多めのお金を払えば一定時間遊び放題のコーナーもある。
九十九らは建物の中に入るとジャラジャラとコインが落ちる音と電子音が耳朶を打ちつけた。
「ゲーセン……?」
「あれ? こういうの苦手?」
「いや、そういうわけじゃ無いんだ。でも、こういうの初めてで……」
ちょっと戸惑い気味にホイップは、キョロキョロと見渡す。たしかに一度も行った事がない人間には中々強烈な光景かもしれない。
ディンゴも駄目そうかな、と思ったものの当の彼は特にそんな顔をしていなかった。
アメロッパで行っていたのだろうか。
「ちょっと遊んでみるだけなら損はないと思うぜ。駄目そうなら出ちまえばいいし」
と意外な援護射撃までしていた事でホイップは意を決してゲームセンターの奥へと歩を進めた。
「ここはUFOキャッチャーとかいう、金を払ってクレーンで陳列されている景品を掴んでゲットするゲームとか、後はアーケードゲームでレースゲームとかが出来るんだ。なんか、やりたいものあるか?」
と、ホイップに話を振った矢先だった。
彼は足を止めて、筐体のアクリル板の奥に横たわるモノを見ていた。
筐体の中には老若男女に人気なテレビアニメ「それいけ! ボーン一家」に登場した黄色アタマのマスコットキャラクター、コブンのぬいぐるみ。近くにはあの太陽少年ジャンゴ*1のフィギュアBOXも転がっていた。
PET対応の太陽バッテリーも同梱されているという、その手のオタク垂涎のアイテムだ。
君も……オタクかい?
と思わず言いかけたが明らかに視線はコブンの方に向いていたのでその出かけた言葉を飲み込んだ。
──ですよねー。
コブンかわいいもんねー、わかるー。
「……かわいい」
かわいいと思われている対象がおてんこさまやジャンゴでないことに軽く落胆と、さもありなんという諦めを抱えながら九十九は口を開いた。
「やったこと、ある?」
「ううん。初めて」
「もしやってみるなら、ゼニーをチャージさせたブランクチップをその筐体にあるスロットに突っ込むんだ。一回100ゼニーだ。まぁ、手本見せるから見てて」
チップを突っ込むと読み込んだ筐体が反応し、筐体にクレーン操作ボタンの隣に配置されたクレジット投入と書かれたボタンをポン、と押すと安っぽい電子音を鳴らした。
この手のゲームは基本敵に一定の癖というものがある。コブンの位置どりを把握した上で、アームの先端が落ちる場所を予め定めて落とす。
これが出来なければそもそも取る以前の問題だ。
落とされたクレーンはコブンの頭から、足を掴みゆっくりと持ち上がっていく。
そしてゆらゆらと揺れながらコブンのぬいぐるみは──出口の手前で落ちた。
「あ、くそ」
アームの掴みが地味に弱い。
まぁそんなもんだとは思っていたが。
「とまぁそんな風にぬいぐるみをアームで掴んで、あの穴に落としたら手に入る。100%手に入るこたぁないだろうけどやってみ」
お互い神妙な顔持ちでUFOキャッチャーのアクリル板越しに横たわるコブンのぬいぐるみの位置どりを把握し、チップは挿しっぱなしなので再び筐体のゼニー投入ボタンを押す。
最初こそ動きは覚束なかった。一度目は外し、二度目は触れども持ち上げられない始末。
さぁ、三度目の正直だと九十九と同じようにコブンのぬいぐるみの頭と足をアームで掴んだ。
「お?」
動けば揺れる頼りないアームに持ち上げられたぬいぐるみはゆっくりと穴に向かって運ばれていく。しかし安心は出来ない。乱数らしいが、最後のところでアームが弱くなって落ちると言うあまりにもあんまりなパターンだってありえるのだ。
しかし──
「いえっす!」
ガッツポーズ。
まさかここまで簡単にいくとは思わなかった。穴に落ちたぬいぐるみが排出口から転がり出てくる。
たった300ゼニーでこのぬいぐるみを手に入れたと思うとかなり美味しい。
あまりにも想定外な光景にテンションダダ上がりとなった九十九は見ていたホイップの方に向き直りサムズアップした。
「やったじゃん! たった3回でいけるなんて凄いぞ! いやマジで!」
「うん! ……うん!」
真似するようにホイップもサムズアップを返す。
事実千円近く投入した所で駄目な時はとことん駄目だ。それを考えると凄い方だ。
ならこの運に便乗して……と調子に乗った九十九は次の標的を見据えていた。
お次は太陽バッテリー付きの太陽少年ジャンゴのフィギュアだ。
『ツクモ、あまり調子に乗り始めると大損するぞ』
と、一連の大捕物をPETから見ていたゼロの諌言はどこ吹く風。数百ゼニーを投入し続け、ホイップと神妙な顔でどこを掴むべきかあれこれ論議しながら
その一方で、ディンゴはバスケのシュートゲームに「これはおもしろい!」とか言って熱中し切っていたのはまた別のお話である。
「ここは箱の頭にある穴狙いとかどうかな」
「うーん、入り切らないと思うけど。普通に掴んでしまった方が良さそう」
「あ、取れた」
『えっ』
九十九は自分でやっておいて軽くぽかんとしていた。
ゼロもいつもの無機質な物言いはどこへ行ったのやら、間抜けな声が発せられている。
あまりにもうまくいきすぎた状況に九十九は震え声でひとりごちる。
「今日のオレ、今なら電脳ギャンブルのダブルアップ限界まで出来そうな気がする」
『よせやめろ、破産するぞ』
ゼロの冷静なツッコミが突き刺さる。
確かにこれ以上調子に乗ると本当に大損しそうだ。今は落ち着いて欲張らないことも肝要だ。
深呼吸して調子に乗り切った自分自身を諌めていると、ホイップがサムズアップしてきていた。
「うん」
古代アメロッパで、満足出来る、納得出来る行動をした者にだけ与えられる仕草だが今回ばかりは満足だ。
ぬいぐるみをぎゅっと抱えているホイップを他所にディンゴの声が飛んできた。
「おーい九十九ォ、オレと勝負しようぜー」
「え? バスケ? よっし、乗ったァ! ちょっとやり合ってくる」
UFOキャッチャーをしている間にディンゴは一人でバスケのシュートゲームをやりまくっていたらしい。ディンゴの隣の筐体にゼニーを突っ込み、筐体から輩出されたボールを九十九とディンゴは手に取り構えた。
どう見ても年下だし、身長的にも九十九側の方がアドバンテージがある。
加えて今日運は抜群によろしいこともあり、ディンゴには悪いがこの勝負──もらった。
と思っていた時期が九十九にもあった。
勝利を確信し口角が上がる。そんな自分を180秒後酷く後悔することとなる。
「あークソ! ディンゴ、もう一回だもう一回!」
「何度やっても同じだ! 返り討ちにしてやるよ!」
5連敗。
大差で敗北を繰り返し、九十九は白目を剥き口から白い魂っぽいナニカ漏れ出ていた。
──お、おのれ……
完全敗北を喫していると九十九の背中をちょいちょいと叩いてからホイップは横に出てきた。
「ルールはわかった。わた……僕もやっていいかな」
「あぁうん。どうぞ、はい……ちきしょーう……」
意気消沈しすごすごと下がっていく九十九とホイップが選手交代した所でディンゴが鼻を鳴らす。
今度も余裕だと言わんばかりである。
ホイップは九十九にぬいぐるみを預け、いざ尋常に勝負と言わんばかりに両者はそれぞれのゴールを見据えていた。そして……
「なにこれ……」
いざ始まってみると双方互角の勝負を繰り広げていた。ディンゴも多少疲弊しているとはいえ、ノーコンで無様晒した九十九とは雲泥の差である。
ひどいやひどいや、初見で互角の勝負を繰り広げられるなんてひどいやと片隅で膝とコブンのぬいぐるみを抱えて死んでいる間に勝負は決した。
「よっしゃ勝ったァー!」
やはり初見と直近で10回以上遊んだのとでは大きく違う。ディンゴの勝ちだ。
拳を高らかに突き上げる中、「もう一回」と食い下がるホイップにちょっと笑いながら、一連の勝負を見守った。
酷く悔しかったが楽しそうにやっていて少し──安心した。
一頻り遊んだ後、ゲーセンの面白そうなゲームをつまみ食いしながら、奥へ奥へと進む。
すると一番奥にはネットバトルマシンの筐体が幾つか配置されていた。
それまで度々遊んでいたゲームでディンゴとホイップにボロカスに負けまくっていた九十九は水を得た魚の如く口を開いた。
「最大の目玉来たな。ここはネットバトルコーナーだ。本来民間のネットバトルは申請なしでは出来ないようになってる。ただここにあるのは別だ。オフィシャルの認可は先にされているからプレイヤーは申請する必要がない。だから気軽にネットバトルが出来る様になっている。海外のサーバーと繋がってる特別なネットバトルマシンとかも置いてるからまだ見ぬ「俺より強い奴に会いに行く!」なーんてことも簡単に出来るわけだ」
「へぇ、ネットバトルが出来るわけか。腕が鳴るぜ」
いの一番に乗り出すのは言わずもがなディンゴだ。割とノリノリなのは生来勝負事が好きなのだろうか。
そんなことをしみじみ思っていると矛先が九十九に向いた。
「そういえば九十九もネットバトラーなんだっけな。一度はやり合ってみたかったんだ」
「……上等。ゲームだとボロッカスに負け越したが本職パワー見せてやる」
今度こそ負けるつもりはないとばかりに九十九とディンゴは火花を散らす。
自分たちの順番が回ろうとした次の瞬間。
突然のオート電話だった。
PETから尋常ではないコール音が鳴り響き、九十九は軽く飛び上がった。
ほぼ職業病ゆえかPETの応答キーを押すと、特徴的なスキンヘッドがいの一番に映し出された。
見違えるはずがない、史隈管理官だ。
『星方、今どこにいる』
「え? ゲーセンですけど……」
『拙いことになった』
その史隈管理官の声色はいつもの落ち着いたベテランの風格めいたものはカケラもなかった。
それに当てられた九十九は慌てて外に向かう。後ろで一体どうしたんだとホイップとディンゴの声がしたが九十九は構うことなくゲーセンの外に向かっている中、史隈管理官はその拙いことについて語り始めた。
『ゴスペルを僭称する者が、デンサンシティとマリンハーバーを繋ぐ二つの橋、デンサンベイブリッジとマリンブリッジに爆弾を仕掛けたという犯行声明が出た。通過すれば爆破する、とな』
「随分と派手にかますじゃないですか。しかしそんなブラフ……」
悪戯なんじゃないのか。爆破予告なんてものはよくある話だ。言うだけ言って実際に行動に起こさないはた迷惑な奴は今のこのご時世にはよくいるものだ。
自称WWWなんてものもちょこちょこいた。
しかしそう楽観する思考は即座に殺された。ふと見た遠方のデンサンベイブリッジが大きな煙を上げ、数秒後普段聞かないような轟音が耳朶を僅かに打った。
「なっ……」
空いた口が塞がらなかった。
遠くからでも見える。デンサンベイブリッジは爆煙を上げつつ、破片を海に落としている。
アメロッパ人に水と安全がタダと言わしめたニホンらしからぬ光景に九十九は息を飲んだ。
『残念ながら──、ブラフではないらしい』
史隈管理官のトドメを刺すような一言にただただ呆然とせずにはいられなかった。
挙句……
ガラの悪い男たちがなだれ込むようにゲーセン内に殺到していく光景に九十九は慌てて踵を返し、ゲーセン奥まで走り出した。
ホイップ(仮)の口調はアニメ準拠。多分事前にこっそりと勉強したものと思われる。……時々ボロが出るのはご愛嬌。
そして地味にほとんどのメンバーが揃うとかいうアレ。
ディンゴくんは今後いっぱい出番貰いそう。というか一番動かしやすいまである。一番難しいのはダークミヤビとプライド辺り。
Q:本編合流ってするん?
A:したりしなかったりする。
Q:九十九のオフィシャルでの立ち位置って?
A:現場を走る下っ端マン。本人もやや気にしているが、上層部のていのいい便利屋+厄介を持ち込む疫病神。
Q:ジャンゴ出るん?
A:出ません。あくまでバトルチップとしての太陽銃とかは出す。
エグゼの二次増えろ増えろ……
ゲーム自体も余白が沢山あったりと結構やりやすいシリーズなのでもっと増えて(懇願)。
次回『デンサンブリッジ、閉鎖』
:アーカイブ
・太陽少年ジャンゴ(出典:EXE4〜6)
本作においてはおとぎ話として知られている。
様々な物語が存在するらしく、ドラッキーとの戦いを描いた子供向けの短編ものもあれば、サバタと呼ばれる兄との戦いを描いたダークな長編モノや、精霊であるはずのおてんこ様を剣にしたり投げつけるための飛び道具にしたりするような破天荒なモノもあると言う。
あのウラにもファンがいるとか。
その人気もあり世界の何処かにジャンゴの武器を再現したチップが存在するととか。
現実の話として……
屋内でテニスをして自宅を破壊しまくったり、お爺さんの頭から反射する太陽光を拾うなどトンチキなCMをかましたことで有名なGBA専用ソフト「ボクらの太陽」がモチーフ。
現実の太陽光に反応すると言う独自のカートリッジを採用しており、時には太陽を使い、時には太陽を遮断してダンジョンを攻略していく。
ジャンルは太陽アクションRPG。無印、続、新のGBA三部作とパラレルワールドのDSと合計4作品が存在する。
エグゼ4以降長きにわたってコラボレーションを続け、4ではガンデルソルシリーズやPAのパイルドライバーと言った火力不足気味のゲームにおいて貴重な火力ソース、5ではデスフェニックスとのコラボ同士のリサイクルコンボで猛威を振るい、挙句トランス形態のソルクロスロックマンが登場。6では火力インフレに置いてかれたと思えば伯爵そのものが出てくる程の自重のしなささ。
作中では専用イベントはおろか果ては作品を跨いだ通信対戦をするまでに至ったという、エグゼを語る上で良くも悪くも切っては切り離せない存在。
なんやかんやで流星1までコラボレーションを続けた。
・デンサン埋立地(出典:オリジナル)
お台場やみなとみらいをモチーフにした埋め立て地から端を発した臨海都市。原作におけるマリンハーバーやビーチストリートを融合させたもの。
湾岸病院やDNNなどがあったビーチストリートもマリンハーバーの一部という扱いである。
デンサンシティ発展の象徴でもあると同時にウィークポイントとも言える。
アクセスにはメトロラインやモノレール。地下トンネルとハーバーブリッジと、デンサンベイブリッジが主に使われる。
船はあまり使用されないようだ。