ロックマンエグゼ:実績『見損なったぞカーネル!』『負けないアイ』開放ルートRTA   作:ヌオー来訪者

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 ミソラ派なので初投稿です。


Part13 おい、ネットバトルしろよ

 さて、またまたホイップくん目当てのショタホモおじさん×5が寄ってたかって居ますがここで選択肢が出ます。

 再び逃亡するか、それともリアルファイトを始めるかです。

 

 タイムを考慮してリアルファイトを選択します。

 なおこの選択肢で隠しパラメータのホモくんのリアルファイトスキルが判るようになってます。あとオマケではありますが、ディンゴの好感度が大幅増。

 バレル、ホイップからの好感度が微増です。

 

 

 とは言っても勝つルートは一切考慮してません。【喧嘩番長】や【肉体派】でなければ勝率は8.10%しかありませんので安定をとって返り討ちルート前提でチャートを取ってます。

 

 曲がりなりにもホモくんはオフィシャルネットバトラー持ちなので1人以上は行けるのですが、まぁどっちにしても全員は倒しきれないでしょう。

 相手はゼットセイバーに並ぶ名剣、鉄パイプを持っていますしね。

 

 さてここからおきらくリンチはーじまーるよー(無慈悲)。

 はい、よーいスタート(棒読み)。

 

 

 

 

 

 

 3

 

 2

 

 1

 

 GO! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 5人に勝てるわけないだろ! (無慈悲)

 

 

 

 馬鹿野郎お前、俺は勝つぞお前(決死の抵抗)

 

 

 

 

 

 ん? 

 

 

 

 あれぇ? 

 

 

 

 あれれぇ? おかしいぞぉ? (ゲイ探偵コカン)

 

 

 

 

 

 ど う し て 1 人 で 3 人 も 沈 め て い る ん で す か ね ぇ ? 

 

 

 

 

 確かに乱数でここまで食い下がれる可能性はあるのですがかなり低いですし、そもそもホモくんの息が異様なまでに上がっています。

 全然殴られているわけでも無いのにちょっとこれは分からないですね……(困惑)。

 

 

 まぁそれはさておいてこの後鉄パイプで1発貰ったので結果は同じなんですがね、初見さん(諸行無常)

 流石に高笑いしながら素手と鉄パイプで反撃とまではいきませんでしたね……

 

 一発貰ったホモくんが倒れ、ディンゴくんが応戦しようとしますが数が数なので無理そうですね。

 しかもホイップくんが自分を連れて行く代わりに二人に手を出すなとか薄い本特有の条件をショタホモおじさんたちに言い始めました。

 

 まぁ当然ながら約束なんて破るものなのでディンゴとホモくんの安全が確保されるわけがありません。

 

 

 

 GAME SET! (無慈悲)

 

 

 

 

 ガシッボカッ

 ホモは死んだ

 

 この後ホイップくんはショタコンホモモブおじさんに輪姦されて終了です。わぁい!

 エロいCG? そんなもの用意している訳ないだろ! いい加減にしろ!(画力ZERO)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と 思 っ て い た の か ? 

 ホモくんが倒れ、薄い本展開に行こうとした次の瞬間、バレルさんが乱入します。

 

 何だお前?! (困惑)

 

 で、一方的に全員しばき倒して終了です。アメロッパ軍人が仮にもそんじょそこらのチンピラに負けるわけがないんだよなぁ……? (棒)

 

 

 

 どうやら状況確認のため走り回っていたところを出会したみたいですね。

 ゲーセンで応戦してしまうとバレルさんとエンカウントせず泥仕合です。

 だからゲーセン時点で逃亡しておく必要があったのですね。

 一度目の逃亡時の分岐路でどこを選んでもバレルさんは現れるので今いる隠しのナンバートレーダー√じゃなくてもOKです。

 

 

 ここでバレルさんと情報交換するため、大人しく同行してもらいましょう。

 ここで得られる情報は、有線での通信は可能な点と、ショタホモおじさんの仲間たちがまだ残っていて外に点在しているオフィシャル職員と大乱闘スマッシュブラザーズ(物理)をしているということです。

 有線の通信とは言ってもアナログ電話とかはPETの普及で衰退してるので田舎ならまだしも若者ばかりのこのデンサン埋立地にろくすっぽありません。今時公衆電話なんて廃れてますからね。しょうがないね。

 ここで言うのはインターネット接続のことでしょう。

 

 

 はー、つっかえ! 

 

 

 

 

 

 さて、ホモくんは管理官の連絡した先を知ってるようなのでこのまま監視カメラを避けながら進んでいきましょう。

 現状GPSが死んでいるので、RTAでなければ現在地と地図を見比べながら進むという面倒なことをしなければなりませんが、覚えてしまえばそこまで悩まずに進めます。

 行先はDアッシュ3号店。オフィシャルセンターからやや離れた場所で、マリンハーバー特有の華やかさが感じられない場所ですね。

 

 するとちょっと古びた飲食店街に差し掛かればもう監視カメラはないのでそのままDアッシュまで直行です。

 ドアを調べると鍵が掛かってます。ここでは合言葉が鍵の代わりにあるのですが――

 ここは本来合言葉を史隅管理官から無線で教わるのですが、RTAなのでそんな悠長なことはしません。事前にチャートにちゃーんと書いてますのでこの通りに入力してと……

 

【ドアの鍵が外れた!】

 

 おっ、開いてんじゃーん! 

 入ると明らかに筋骨隆々の坊主頭おっさんが暖かく出迎えてくれます。

 明らかにカタギじゃありませんがま、多少はね? 

 

 この後、一旦このバーを拠点とすることになります。

 オフィシャル側の対応やら作戦やらを待たないといけないというのも少し面倒な話ですね。

 とはいえ、ここからは史隅管理官からやるべきことを確認します。

 

 まずは一旦インターネットのパトロールから、その後隠しエリアでの作戦会議への出席ですね。

 

 何故ここに史隈管理官と連絡を取れたのかというと、旧式の電話線を引いているのと、オフィシャルが使っている周波数を把握しているからですね。

 この男何者なんでしょうね……? 

 

 

 ちなみにこのバーは意外となんでもあります。

 シナリオが進んだ状態だとチップトレーダーSPやらボクタイトレーダーやらがバーの中に紛れ込んでくるので()()()()()ことを除けばかなり便利な拠点です。

 さてそんな所でも流石にプラグイン出来る所は無いやろ? 

 

『インターネット? あるよ』

 

 はい。

 なんでもあるとはそういう事です。

 なんやこのバー……(戦慄)。

 インターネットに接続されているジュークボックスにプラグインが出来るフラグが立ちましたので、何故か店にいるサブチップ商人からシノビダッシュと、貴重なアントラップを確保。

 

 アントラップくんが確保できるのはウラインターネットか、中盤の4シナリオ以降の電気街、グリーンタウンなどあまり多くはありませんので稼ぎ所さんに備えて限界値まで買いだめしておきましょう。

 

 

 バレルとディンゴくんと一緒に即プラグイン(意味深)してハーバーエリアにイキますよ~イクイク……ヌッ! (プラグイン)

 

 今回はここまで。

 ご視聴、ありがとうございました! 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 時すでに遅しとはこの事か。

 男たちに囲まれながら九十九は毒づいた。

 

 

 ゲーセンで椅子をぶつけた男がまさかここまで追いついてくるとは誰が思ったか。巧く撒いたつもりだったが世の中そう甘くはないらしい。

 額に青筋を浮かべながら指をパキパキ鳴らす男たちを前に九十九は溜息を吐いた。

 

「ったく手間をかけさせんじゃねえよ。だが残念だったな。監視カメラがある以上、テメェに逃げ場はねぇよ」

 

 やはりこの辺にある監視カメラは全てやられているのか。

 先程の逃亡劇において、監視カメラを避けて通っていた訳ではない。もう一度逃げるか? しかし今この状態でDアッシュに逃げ込もうならマスターに迷惑が掛かる。

 

 それにおそらく同じ手は喰わない。

 男たちはじりじりとホイップの逃げ道を奪おうと位置を調整している。それを他所に九十九は後ろにいるホイップに目をやった。

 

 しかし彼は何か──覚悟をしているような目つきだった。

 つかまってしまう、覚悟か。

 ふざけるな。ここまで来て駄目でしただなんてオチにさせてたまるか。必死に走って走って、走り続けさせて。

 その結果が人質になって嫌な思いをしながら祖国に帰るか、帰れずそれっきりかだなんて冗談じゃない。

 

「……そうはさせるか」

 

「えっ」

 

 思考が自然と口に出ていた。

 ホイップの喉奥から高めの声が出る。口走った自分の言葉をさもなかったかのように、男たちに向き直った。

 

「ちょうどいい。さっきは場所が場所だったんで下手に暴れられなかったが、ここなら壊れるもんもそうそうない。かかってこいよ──コラ」

 

 とんだイキリ発言だと九十九は心の中で自嘲気味に笑う。

 喧嘩はあまり得意ではない。しかし──うまくやれば何人かは沈められるだろう。ここで確実に黙らせなければおそらく逃げては追いつかれの無限ループだ。

 それにDアッシュに連中を連れ込むわけにはいかない。

 

 奥の手を使うしかない。

 

──考えるな。

 

 余計なことを考えながら戦えば隙を突かれて殺られるだけだ。

 無心で殴り、攻撃を避ける。ただそれだけのことをすればいい。一定時間動けなくなるくらいには身体が悲鳴を上げるという代償を伴うし安定性はまるでない。

 けれども――今この瞬間やらずしていつやるというのだ。

 

 

――考えるな。

 

 

 

 体に割いているリソースの中にある思考を反射に振るだけ。

 いつからこんなことが出来る様になったのかは定かではない。気付いたのは大体3、4年くらい前のことだ。とどのつまりまだオフィシャルにも入る前のことだ。

 おかしな話である。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ディンゴ、ホイップを頼む。今度は俺が足止めを決め込む」

 

「一人でどうしようってんだよ!」

 

「あー、そこは気合でなんとかする。……なんとかするしかない」

 

 九十九は懐に仕舞ったPETをディンゴに投げ渡す。ナビゲートはゼロにやって貰えば後はDアッシュに誘導してくれることだろう。

 

 ──意識を内側に向ける。

 

 内側にある何かを掴み、引き摺り出す。

 そして──次にやってきたものを即座に顎目掛けて掌底を叩き込んでいた。

 

「あがっ…………」

 

「はぁぁぁぁぁぁあ!」

 

 後はもう、引き下がらないだけだ。

 舌を派手に噛んだ男が苦し紛れに放った鉄パイプの横一閃を潜るように避け、ガラ空きの鳩尾に拳を捩じ込み1人目を悶絶させる。

 

 横殴りに別の男が迫るが、すでに気付いていた九十九は先読みで蹴りを放ち牽制。

 先程悶絶した男の頭を掴んで地面に叩きつけてトドメを刺す。

 

「なっ……」

 

 眼前で地面と血混じりのディープキスをキメ込んでいる仲間の姿に言葉を失い、牽制されていた男が足を止める。

 その隙を九十九は逃さなかった。

 土を手で掬い取りながら、もう一撃飛び蹴りを放つ。

 

 飛び蹴りが顔面に炸裂した所で、残った3人は相手を人間と看做さなくなったようで、一気に飛びかかる。

 

「子供の分際で大人2人沈めるたぁ、テメェ本当に情報通りの化け物だな……!」

 

「!」

 

 九十九自身にはその男の愚痴は聞こえなかった。

 そんなことより、ただ殴り倒すという意識を途切れないように、そして消えないように。

 ただひたすら殴り倒すだけ。

 

「のぼせ上がるんじゃねぇ!」

 

 次の相手は誰だ。

 一番近い相手を瞬時に見繕い、掬い上げた砂を投げつける。目潰しかましてくると思わなかったであろう相手は咄嗟に目を閉じこびりついた砂を振り払おうとする中隙ありと弁慶の泣き所目掛けて全力で蹴り飛ばし、当面動けなくした所で次に繰り出してくる相手を探す。

 

 ──残り2人! 

 

 拳を再び固めて、カウンター気味に一撃を叩き込もうとした矢先だった。

 

「────ッ!」

 

 心臓が握り潰されそうな感覚に襲われた。

 悪寒が走る、全身がキリキリと悲鳴をあげる。

 ()()()()()()()()()()()

 恐らく知らない間に()()()()()であろう結果手に入れた得体の知れない力だ。

 使おうと思えばしっぺ返しは当然くる。

 

 ソフト(反射)に対してハード(身体)が追い付いていない。

 1年戦争終盤のアムロが旧ザクに乗ってゲルググあたりの軍勢に挑む暴挙に等しいそれの皺寄せは今この瞬間、鎌首をもたげていた。

 

 ──あともうちょっとだけ持ってくれても良かっただろ……! 

 

 悪態をつきたかったが、そんな事が出来る余裕はなく全身を苛む全身がバラバラになりそうな激痛と倦怠感を前に自分を保つので精一杯だった。

 頽れ、抵抗をやめた九十九を不審に思いながらも完全にダウンしていることに気づいた男は水を得た魚のように笑い始めた。

 

「オイオイ、どうしたぁ? もうギブアップってか?」

 

 生き残り2名から無情にも叩き込まれる蹴りで頽れた身体が数ミリ浮いてから地面を転がる。そして追撃の蹴りが九十九の顔面に炸裂した。

 頭上にチカチカと星が瞬く。

 まずい、時間稼ぎにすらなっちゃいない。

 後一人。後一人だけでも沈めてやれないか。

 

 あと少し……あと少しで……

 

 男たちが嘲笑いながら地に伏せた九十九に向かって走り出す。このままトドメでも刺すつもりか。

 その次の瞬間、黒い影が九十九を覆った。

 

 

 

 2つのつま先が男たちに向いている。

 

 殴られてレスポンスの鈍った頭をぎこちない動きで空に向ける。しかし九十九は己の目を疑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ディンゴ」

 

 逃したはずの奴が何故こんな所にノコノコ戻ってきているのか。そんなことをすれば捕まるだけだ。

 あの連中は荒事には慣れ切っている。軍人のような洗練された動きではないし素人の延長線上に止まってはいるが、それでも下手にカタギの人間がやり合っていいものではない。

 

「このまま逃げたままってのも腹が立つんだよ。俺の性に合わねえしな」

 

 鼻を鳴らすディンゴだが、勝てると思っているのか。

 それに──

 

「……ホイップはどうした」

 

 ホイップは喧嘩のできるような出立ちではない。下手すれば生まれて一度も殴り合いなぞしたこともなさそうだというのに、文句の一つ二つは言いたくもなった。

 が──

 

「それにな。ホイップの坊っちゃんもどうもやる気みたいでな。やっぱお前の言う事聞けねえや」

 

 ディンゴが目をやった先は己の隣。

 そこにはホイップが並び立っていた。

 

「バカ……やめろ。奴らの目的は……」

 

 ホイップ自身のはず。それは先程の言動でもう明白なのだ。

 それを理解しているならさっさと逃げるのが正解であり、こんな所までノコノコ来るべきじゃない。それを知らないような人間ではあるまい。

 その九十九の思いを汲み取ったのか、ホイップは背後でダウンしている九十九を一瞥してあっけらかんと頷いてみせた。

 

「うん、知ってる」

 

「じゃあ……!」

 

「ここで必死に頑張って手を引っ張ってくれたキミを放っておきたくない。これ以上傷つくのは……僕は、(いや)だ」

 

 背を向けたままでホイップの顔は分からなかった。でも声色は完全に覚悟している人間の声だった。

 駄目だ。それは駄目だ。

 覚悟という言葉は肯定的なものとして言われるが、今この瞬間において覚悟は絶対にゆるさない。

 

 軋む全身に鞭打つように力を込め、九十九は起きあがろうとする。しかし副作用はひどくたかだか数十秒如きで立ち上がれるようなものではなかった。

 

「僕が目当てなんだろう! だったら僕を最初から狙えばいい。連れて行くなり好きにしろ、そのかわりこの二人に手を出すな!」

 

 

「お、おい!?」

 

 

 血気盛んなディンゴはまさかホイップがいきなり白旗を上げるとは思わなかったようで恐らく一緒に暴れるつもりだったのであろうディンゴがぎょっとした顔で隣のホイップを見た。

 

 九十九が息を呑む。

 ここまで来たからには取る行動は二つしかない。

 抵抗するか、降参するか。

 だが待つ結果は

 殴り倒されるか、即人質にされるかだ。

 

 どっちにしてもまともな結果は得られないのには違いないが、この白旗は九十九の無事を意味すれど課長直々に与えられた任務としては失敗だし、ホイップが碌な目に合わないのは明白だ。

 

 胸糞悪いだけだ。こんなのは。

 

「ぅ゛、ぉぉぉぉぁ…………あ゛ぁぁぁぁぁっ!」

 

 絞られた喉から漏れ出たような叫びを上げながら掌を地につけ、腕に力を込めて上体を起こす。

 しかしこれは2歩進んで1.5歩下がるような動きだ。このままでは本当に連れ去られる。

 

 急げ、急げ、急げ。

 

 急かす心と、言うことを聞かない体。

 

「最初からそうしてればいいんだ。だが、オフィシャルを連れてきた罰だ。お前には報いを受けて貰うぜ」

 

 男たちの浮かべる下衆な笑み。

 自分より弱い相手だと断じた時の顔だ。基本ロクなことを考えちゃいない。

 それに対する怒りすらも自分を動かす燃料にしようと自身に籠ったありとあらゆる感情を拾い集めて腕に力を込める。

 

「オイ。まだ死合は終わってねェだろうが……あぁ?」

 

 今の自分はどんな顔をしているのだろう。鬼の類だったら嬉しい限りだ。で、それでどうにかビビってはくれまいか。

 

 ……無理か。

 

 男たちのうんざりしたような顔を見て、現実はその辺のB級映画のゾンビが関の山だと察した。

 けれどもあと少し。

 あと少し時間があれば立ち上がることは出来る。

 あと2人すり潰せばあとは全てゼロが誘導してくれる。Dアッシュのマスターがいればあとは──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その必要はない」

 

 そんな九十九の状況に対してか、ホイップの白旗に対してか。

 低い男の声が満身創痍の九十九の耳朶を打った。

 

 

 そこから先は一方的な虐殺だった。

 闖入者が纏ったモッズコートをはためかせ横殴りに放った飛び蹴りが男を派手に吹っ飛ばし、残り一人を闖入者に反応した次の瞬間パンチを胴体に立て続けに浴びせ、そのまま合気道か柔道の合わせ技のような動き(CQC)で腕を掴み地面に叩き付けた。

 そして跳び蹴りで仕留め損ねた男もなんなく回し蹴りで返り討ちにし、脳震盪でも喰らったか伸びてしまった。

 

 

 

 ドン引きするような強さだった。

 この勢いのままだったらもし九十九が殴り倒した3人が無事だったとしても1分も経たずに始末出来ていたのは目に見えていた。

 元軍人の肩書きは伊達じゃない。流石数キロ走っても息を上げないだけある。

 

 闖入者──もといバレルは冷たい瞳で圧倒的なワンサイドゲームにドン引きしていた九十九を見下ろしながら口を開いた。

 

「無事か」

 

「俺以外は」

 

「そうか。……立てるか」

 

「……っと」

 

 多少強がりたかった。

 意地があるのだ。男の子には。まだ全身が痛むが歩けはする。このまま時間が経てば筋肉痛程度で済みそうだ。一瞬立ちくらみがして目に映る世界に色彩が一瞬消える。

 眩暈を振り切り、ディンゴとホイップの無事を確認した。

 

 

 ディンゴはバレルの暴れっぷりにあんぐりと口をあけっぱなしにしており、その一方ホイップは俯いたままだった。

 後悔しているのか、それとも。

 

「長居は出来ん。一旦ここから離れるぞ」

 

「あ、ちょっと待ってください」

 

 バレルの切り出しに、九十九は慌てて口を開く。

 

「ちょっと行くところがあるんすけど……」

 

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 それからというもの、PETをディンゴから返してもらった九十九はゼロに少しばかり文句を言われた。

 

「お前は命を幾つ持っているつもりだ?」と。何も言い返せなかった。

 実は俺、残機99個持ってるんだ──なんてふざけた返しをこのタイミングで言えやしない。黙って受け止めながらゼロの提示した監視カメラの位置を避けつつ人通りの少ないルートを使ってDアッシュへと向かう。

 距離こそあれど。監視カメラを避けたルートとなると追えないらしく、しばらく歩いても追撃らしき追撃はない。

 

 おそらく監視カメラありきでそこまでこの地理には詳しくはないのだろう。

 

 そんな中、落ち着いて話していられる状況だったのもあり、バレルと情報交換を進める。自身に置かれた状況とあまり大きく変わらず、九十九同様バレルも外で昼飯を食べていた所を事件に居合わせたのだという。

 九十九の場合、史隅管理官からある程度情報を得られているが、それ以外の外の世界のリアルな状況を知り尽せている訳ではない。

 

 その点では行動に自由が効くバレルにしか得られない情報もある。

 これで今後の行動も変わって来ると言っても過言ではない。

 

「このマリンハーバー各地に先ほど交戦した暴漢の仲間らしきものが各地をうろついている。おそらくネオゴスペルが雇った連中だろう。俺が見た所挙動が怪しい人間は10人ほど。中にはオフィシャルネットバトラーを襲撃している姿もあった」

 

 狙いはホイップだけではない事実に九十九は眩暈がした。

 しかし尚の事ホイップが襲撃を受けるという事実に対して妙な違和感があった。

 たかだかその辺のボンボンがここまで来て狙われるものなのか。ナイトメアチップを格安で売りさばくあたり彼らの目的が金儲けではないのは確かだ。

 

 ふとホイップの横顔を見ると、何か物思いにふけっているのかうわの空だった。

 後で課長には色々問い詰めてやる。と内心腕捲っている一方バレルは続けた。

 

「俺が何人か倒しているが、まだここら一帯をうろついている」

 

「……しかも掌握した監視カメラの情報を受けながら、ですか」

 

「ということになるな。現状、監視カメラの反応を見る限り有線接続関係は生きていると見ても良い。あの監視カメラも通報や各所伝達ができるようにインターネット接続になっているからな」

 

 自分の武器をむざむざ手放したりはしない、ということか。

 加えてネットワークを物理的に遮断するにしても広大過ぎてそう簡単に巧く行かないというのが実情だろうが。

 しかし――そこにつけ込む余地があるとみた。

 ジャミングも完全ではないのだ。

 

 

「……これを見ろ」

 

 バレルが自身のPETのキーを軽く叩いてからそれを九十九に渡す。その画面をホイップとディンゴが左右で顔を寄せてそのPETの画面を見ると、PETのカメラ機能*1で撮影された画像だった。

 画面にはビルにはめ込まれた大型液晶テレビ、そして──映っているのは。

 

「──ゴスペル首領」

 

 全身を覆う黒いロングコートに淡く薄緑に光る髪。そして人間離れした白く光る肌に黒い結膜に紅い角膜。

 報告書で見た首領だった。とうぜんこれが素顔と言うわけではない。

 究極のナビの作成の上で発生する強電磁波を防ぐためのサイバースーツによる姿だという。

 見ていたすぐ横のホイップが妙に険しい顔をしていた。

 

「ご丁寧に顔は伏せているわけか」

 

「ボイスチェンジャーもあり、正体は不明だ。強いて言えば未逮捕の幹部クラスによるものだろう」

 

「ゲイト、V、EDF……」

 

 反芻するようにバレルから教わった幹部のコードネームを九十九は口にする。

 全員逮捕できなかったのはオフィシャルの責任だ。ただ、『敵』が分かりやすく可視化されたという点では少しばかり安心はした。

 あの姿で実は中身が詰め物だったり、ロボットだったとかなら話は別だが。

 

「少なくとも中には人が入っていた。無駄な動きが多すぎる。……ロボットではないのは確かだな」

 

「…………」

 

 何故か思考が読まれていたので九十九は口を噤んだ。

「なんだ……ロボットや幽霊じゃねえのかこのピカピカ野郎……」とディンゴがぼやいているのもあって余計に何も言えなかった。

 

 

 一人勝手に微妙な空気になりながらDアッシュまで辿り着いた。

 ドアはclosedと店じまいしている風に見える。窓もカーテンが閉められて中の様子は見られない。

 ディンゴの「閉まってんじゃないか。どーすんだこれ」という文句を他所に九十九はドアに3回ノックした。それから一呼吸間を置いてからドアの向こう側から低い声がした。

 

「──ご用件は?」

 

 ここからは特定の合言葉を言う必要がある。

 普段は営業しているバーだが、こうしてクローズしている時はこんな回りくどい事をしなければならないのだ。

 

「ヴォルナットは元気か?」

 

「──天界から帰れないようです」

 

「ロケットを作ってくれないか」

 

「…………」

 

 間違えたか。そんな不安が九十九の背筋に這いつくばる。

 しかしそんな不安はとりこし苦労だったようで、がちゃりと音を立ててドアが開いた。

 

 恐る恐る中に入ると、そこには先程の声の主であるマスターが待ち構えていた。身長は180は行っているだろう。一眼見ただけでも威圧感のある初老の男だ。

 4人が入り切ると、マスターは手早くドアを閉め鍵をかける。

 

 九十九は「すんません。緊急事態なんで世話になります」と言うとこくりと頷いた。

 

 何がなんだか分かっていないディンゴは「なんだここ?」と聞いてくる。

 ホイップもバレルも当然知らない所に連れ込まれたも同然なのでいい加減説明しなくてはならない。

 

「あー、ウチの上司の知人がやってるバー。センターが使えなくなった以上、ここを安置として使えっていう上司のお達しでね。少なくとも当座は持つはずだ」

 

 マスターと史隅管理官の関係を話し始めると大凡2時間はかかるので割愛だ。

 少なくとも史隅管理官並びに直属の部下が使用している独自の周波数を知っているくらいには信用されている男だ。

 

 九十九に促されてホイップ、ディンゴ、バレルは各々座る。

 ディンゴに至っては無造作にテーブルのスタンドに立てかけてあったメニューを読み始める始末だ。

 

 とはいえこうして落ち着けていられる場所があるだけでも心理的には楽だった。あのままいつ襲われるかわからないような場所にいるよりは何万倍もいい。

 

 九十九は無造作に無線機のコールボタンを押し、史隅管理官の反応を待つ。2コール後にレスポンスが飛んできた。

 

『私だ』

 

「星方です。例のところに今着きました」

 

『む……合言葉は覚えていたようだな』

 

「まぁ、変な合言葉ですし。ヴォルナットって誰なんすかね……?」

 

 

 

 

『…………現在オフィシャルは』

 

「あっ、スルーした」

 

『この状況に対して反抗作戦を行うべくサブスクエアにて作戦会議を行うことを決定した』

 

 やはりオフィシャルもやられっぱなしのただのカカシなどでは決してない。

 オフィシャルスクエアには隠し区画があり、万が一にもの事態があった際に緊急避難として使えるようになっている。それがサブスクエアだ。

 

『現在そこにアクセスできる人間を把握しておくことも兼ねてな。外の状況はどうだ?』

 

 誰もが皆あの周波数を知っている訳ではない。それにあの無線機は特注の非正規品(イレギュラー)だ。

 

「バレル教官からの情報だと何人かネオゴスペルの手によるものの襲撃を貰いダウンしているとのこと。……多分動ける人間はあまり多く残ってないと思います」

 

『そうか……19:00以降に上層部が出席するつもりだ。それまではインターネットのパトロールを頼めるか』

 

「了解」

 

 無線機でのやりとりを終えた所で、いつの間にか馬鹿でかいサンドイッチとオレンジジュースを注文していたディンゴを尻目に周囲を見る。

 流石にインターネット直通のスポットはなさそうだ。この店自体雰囲気がネットワーク社会発展前の雰囲気を醸し出している。

 

「流石にネットワークへのアクセスは外に出ないと駄目か……」

 

 何処かの伝説の英雄か傭兵ではないが、スニーキングしながらインターネットに繋げられる場所を探すしかあるまい。

 独りごちたその次の瞬間。

 

 

 

「インターネット? あるよ」

 

 ディンゴの席にサンドイッチとオレンジジュースを置いていたマスターのあっけらかんとした言葉が返ってきた。

 

「え……マジ?」

 

「……マジ」

 

 嘘を言ってどうすんだと言わんばかりの真顔が九十九の視界に映る。そして無造作にマスターは片隅に置かれたジュークボックスに指差す。

 

「借りて……いいっすか」

 

 無言で縦に首を振った。

 礼を言ってから取り敢えず、肩を回しながら九十九はPETをポケットから取り出す。

 

「行くぞ、ゼロ」

 

『む、いつでもいいぞ』

 

 いざジュークボックスの前まで行くとバレルもまた九十九の隣にPET携えて並び立つ。ディンゴもだ。

 

「俺も行こう。インターネットの状況を確認したい」

「この世界のマリンハーバーがこんなんだから、インターネットもどうせロクなことが起こっちゃいないんだ。トマホークマンのパワーも必要なはずだぜ。オレも行くぜ!」

 

 ディンゴの場合は単に暴れたいだけな気もしなくもないが、止める気力も体力ももはやなかった。

 それに彼の言う通り、インターネットが連中に制圧されていた場合蹴散らすには人数という人数が必要だったのも確かだった。

 無造作にPETからケーブルを引き抜き、複数ある穴に目掛けて各々コネクタを叩き込んだ。

 

「「「プラグイン!」」」

 

「ゼロ.EXE!」

「カーネル.EXE!」

「トマホークマン.EXE!」

 

「「「トランスミッション!」」」

*1
世の中PETの種類は一つだけではない。機種によってはNFC搭載機やカメラ機能搭載機も存在する。外部機器で機能を強化するパターンもある




 WWWはワイリー、ネビュラはリーガルあっての組織なのですがゴスペルは何というか異質な気がするのです。


 主人公に不穏なフラグ立ってるけど気にしない気にしない。
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