ロックマンエグゼ:実績『見損なったぞカーネル!』『負けないアイ』開放ルートRTA   作:ヌオー来訪者

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 ストックはあるので初登校です。


Part17 3回だよ3回!

 カットマン殺すべしなRTA、はーじまーるよー! 

 

 カットマンV2戦です。

 HPは500。前回同様双方のエリア中央には岩が置いており自分のエリアには岩の外周を回るハサミ型のオプションが反時計回りに回って来ます。

 正直動きは前回のカットマンと同じで一定HPを下回ると発狂するのでギリギリまで落としてから一気に仕留めるのが定石となります。

 

 3ターン制限なのでこの間に始末しなければなりませんが配牌は……

 

 ソード S

 ワイドソード S

 エアシュート1 *

 ショックウェーブ1 J

 ショックウェーブ1 J

 

 

 ええやん。(威力は)なんぼなん? 

 さてここで選択肢が二つあります。

 

 1つはこの後ドリ淫夢ソードを期待して3枚をADDで捨ててから次のターンで8枚になった手札からドリ淫夢ソードをぶっ放すか。

 

 2つはおとなしくショックウェーブとエアシュートを直当てして真っ当に削っていくかです。

 

 前者を選べば成功すれば大幅短縮ですが、失敗すればロス。手痛いガバとなります。

 後者はワンチャン狙う必要がないので、やや時間を取れば確実に始末できる分屑運でも安定します。

 

 で、走者自身かなり屑運で凹んでいるのかチップを選ぶ手がやや鈍ってますね……これは痛い。

 しばらくするとショックウェーブとエアシュートをADDしましたね……ワンチャン狙いで1ターン目は一旦ゼットセイバーで削ることを選んだようです。

 

 

 カットマンの対処方法はハサミ型のオプションを避けながら前に陣取り、一撃が150あるサプライズチョッキンを避けてからゼットセイバーをぶち込んで時間を稼ぐだけです。

 サプライズチョッキンは1発でも貰えば致命傷レベルなので、絶対に避けましょう。

 

 とりあえず隙を見つけて2回くらいぶち当てられれば上々です。

 HP380のところをドリームソードで狩ればOKです。

 

 淫 夢 之 一 太 刀(ド リ ー ム ソ ー ド)

 

 エリアスチールとロングソードも来たのでさっさとエリアスチールで確実に詰めてから最後の1発くれてやるよオラァン! 

 

 ボスキャラの恥みたいな死に方をしていますが、一応RTAなので恥みたいな死に方をしていただきます。

 じゃけんお兄ちゃんの元へ送ってやりましょうね^〜(サイコパス淫夢)

 

 

 カットマンが爆発四散したのでこれでバリアは解除です。

 

 

【カットマンのいた所に何かが落ちている……】

 

【ゼロはバリアキーをゲットした!】

 

 とりあえず味方はここから前進していきますが、厄介なことにゼロのいる周辺は敵ユニットがうじゃうじゃいます。

 これをどうするかというと、オーダーポイントを消費してカーネルの特殊能力、カーネルアーミーを配置して足止めをしてもらいます。

 

 近くのエリアにカーネルアーミーを配置すると近くにいる敵を自動的に狙撃しつつ足止めをしてくれます。

 ミリタリー用語で言うならセントリーガンみたいなものですね。

 耐久は2発ぐらい攻撃に耐えられるので、肉壁になってもらいましょう。

 

 先にトマホークマンとナイトマンが先行、ゼロが最後列。そしてその間にカーネルが配置されている構図ですが概ねチャート通りです。

 

 

 最奥にボス枠としてライデンが配置されていますが、こいつを倒せば終了です。

 

 トマホークマンとナイトマンの二人がかりで始末してもらいます。

 

 外見はガッツマンみたいなデザインで、その姿の通り殴りつけて来たり、ロケットパンチを飛ばしたり、ミサイルを落としたりして来ます。

 挙句防御姿勢を取られるとダメージを半減させてくるとかいうひで並の鬼耐久なので攻撃直前を狙うかブレイク性能を持つチップで始末をつけましょう。

 

 HPは800

 序盤の癖に高すぎるッピ!!!! 

 

 攻撃自体は避けやすいのですがうっかり貰うと致命傷になりかねないので、丁寧、丁寧、丁寧に回避からの反撃を決めて行きましょう。

 

 先に交戦させるのはナイトマンです。

 ナイトマンは動きが鈍いですが、HPが他のナビより高く固有チップやチャージどれもこれもがブレイク性能持ちなのでガードしようが貫通させられます。

 

 チャージ技は、エグゼ5と同じく自分の周囲に鉄球を振るうロイヤルレッキングボール。

 固有チップは一定時間動けなくなる代わりにダメージを全て1にするストーンボディ。

 必殺技は前方に鉄球を投げつけぶち当てるキングダムクラッシャー。

 

 つまるところライデンが前方に出た時点でチャージ攻撃を当てられれば直にダメージを与えることができるというわけです。

 一発60。そこまで高いわけではないにせよ、少なくとも三発当てられるはずです。

 

 パンチを打って来たら軸をずらして回避してロイヤルレッキングボールを当てる。そしてあわよくばバトルチップでダメージを水増ししていくといいでしょう。

 

 味方のチップフォルダは今のところ弄れないので、クソみたいな配牌ですが、完全に事故っている訳ではありません。

 適当に選んでこのまま……

 

 

 

 ふざけんな! (声だけ迫真)

 申し訳ないがミサイルを撃ちながらパンチぶっ放して来るのはNG。

 それに動くと当たらないだろぉ!? 

 

 

 

 動 く と 当 た ら な い ダ ル ル ォ ! ? 

 

 

 

 

 最ッ悪だ……(BLD)

 想定ほど削れずに3ターン経過とかお前さぁ……(呆れ)

 

 パンチも貰ってるしあーもう滅茶苦茶だよ。

 こんなガバプレイ恥ずかしくないの? 

 

 まぁそれでも身体が慣れて来たのでトマホークマンで削ってからカーネルでトドメを刺す計算になるでしょう。

 ここは諦めてカーネルにとどめをさしてもらいます。

 3人に勝てるわけ無いだろ! 

 

 トマホークマンで取り敢えず削れるだけ削っておきます。

 一撃必殺はおろか、二撃決殺も出来てませんが、大トリでトドメを担当したカーネルの戦闘能力について解説します。

 

 カーネルのバトル面については、先に紹介した2体ほどのパワーこそありませんが、射程が無駄に長いです。

 

 チャージ攻撃は前方の敵のいるエリアを>の字に切り裂く【スクリーンディバイド】

 固有チップは敵をマルチロックしてミサイルを落とす【インダクトミサイル】

 必殺技は前方の敵のいるマスを中心としてXの字に切り裂く【クロスディバイド】となります。

 

 こいつも大概癖こそあれど、雑魚散らしにはもってこいです。

 ライデンとの相性はあまりよくありませんが、それまでにトマホークマンとナイトマンで削られるだけ削っているので、適当に固有チップでミサイル降らせてから、スクリーンディバイドで掻っ捌いてしまえば簡単に始末出来ます。

 

 やっと死にました。

 ライデンを爆散させたら後は起爆装置を停止させるだけです。

 

 

 

 ぬわぁぁぁぁぁぁぁん! 疲れたもぉぉぉぉぉぉぉん! 

 やめたくなりますよ〜オフィシャル(半ギレ)。

 爆発阻止が済んだら後は勝手にDアッシュに戻るので、後は他のメンバーの結果を待つだけです。

 

 バレルさんが車で去ったので取り敢えずDアッシュで待ちましょう。ここで、ホイップかディンゴと話せますが一旦ホイップに話しかけておきます。

 この娘ほんと中々出てこないので今のうちに好感度稼いで置かないと駄目なんですよね……

 

 

 会話後、バレルが戻ってきます。

 全員が起爆装置を解除したものの、やはり他のメンツは苦戦しているようでナビをリカバリーするのに時間がかかるみたいです。

 なので、まだ元気(意味深)なホモくんたちが先行する形となりました。

 

 ジャミング装置の場所は乱数で決まりますが、今回は……

 

 

 

 今回はここまで。ご視聴、ありがとうございました! 

 

 

 

 

 

 Z

 

 

 

 

 ほぼカウンターだった。

 頭部の大鋏でゼロを両断するよりも、ゼロがゼットセイバーを振るったのが早かった。

 斬り上げた斬撃はカットマンをアッパーカット気味に吹っ飛ばしてから追撃の斬撃を叩き込む。

 

 横殴りに飛んできたオプションを片手間にゼットセイバーで弾き、追撃を仕掛ける。

 それにサプライズチョッキンは効果がないと察したカットマンは頭の大鋏を使ってゼロの斬撃を弾き始める。

 

 

『くっ、データ以上の力だね……! でも……!』

 

 防戦一歩のカットマンを横目に4枚のチップをホルダーから引き抜く。

 後は発動タイミングだ。剣戟中の隙を見つけて、前回と同じように一撃で一気に吹き飛ばすだけだ。

 

 ただ、問題がある。

 それはカットマンと交戦している間に他の防衛プログラムやウイルスが騒ぎを聞きつけてやってくるということだった。

 前回の戦闘の経験もあって今この瞬間ゼロが押しているが、数の暴力で殴られては苦戦も必定だ。

 

 なれば、増援が来る前にカットマンを始末し、増援も始末する。そうすれば先行したナイトマンとトマホークマンの負担も減る。

 

 焦る気持ちを他所に、周囲のマップを見渡す。

 トマホークマンとナイトマン、カーネルに支援を頼むか? 

 いや。それは出来ない。今この瞬間、三人はカットマンを無視して先行させている。

 

 短時間で始末をつけようというのに、彼らをここに戻らせるわけにはいかない。

 それに今、カットマン一族に恨みを買っているこの状況はこっちが蒔いた種だ。

 

 

 ゼロだけでなんとか──

 

 九十九が腹を括っていた一方で、隣のバレルは至って冷静だった。

 

「問題はない」

 

 ──何が問題がないというんだ。

 

 バレルは何一つ表情を変えることなく、PETのコンソールを叩く。何をするつもりだ。

 それは次に紡いだ言葉が答えだった。

 

「カーネル、アーミーを出せ」

『ハッ!』

 

 増援の防衛プログラムとウイルスの前に立ちはだかるようにして、兵士を象ったプログラムが出現する。

 兵士たちは手に持ったライフルを構え、接近してくるウイルスを迎撃し始めた。

 

「なっ……!」

 

 カーネルにはあんな力まであるというのか。

 アメロッパ軍元司令というだけあって、元々それ相応の戦闘力はあったのだろうが単独で相応の戦闘力を持つ自律支援プログラムを呼び出せるナビはそうそういない。

 

 カーネルの力に驚愕しつつ片手間にエリアスチールを一瞬の隙に叩き込む。

 瞬間移動で背後に回り込みゼットセイバーをカットマンの背中に突き刺す。そして──

 

【Program Advance Lv.1】

 

 カットマンに刺さりっぱなしのゼットセイバーがドリームソードの光を帯びる。

 貫通したセイバーの切先を見ていたカットマンの表情が恐怖に染まった。

 

『まっ、まさか……お前!』

 

「そのまさかさ。……プログラムアドバンス!」

『ドリームソード……!』

 

 奇しくも、いや。先の戦闘をただ単に効率化させただけの確信犯でもあるが。

 ドリームソードの光がカットマンを飲み込んだ。

 

『ばっ、バカなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?』

 

 消滅した矢先、鍵型のデータがカランカランと音を立てて地上に転がり落ちる。

 カットマンを消しとばしたゼロは無造作に拾い上げた鍵型のデータを空高く目掛けて投げた。

 

 これで先行した三人はメインシステムに突入出来るはずだ。

 

 

 

 

 それからというもの、ゼロは先行組を追う形となったが移動には多少時間がかかる。

 九十九は、先行したナイトマン、トマホークマン、カーネルはメインシステムを守るライデンと交戦しているのを、三人のPET越しに見守る形となった。

 

 ライデンは格闘戦に優れるアメロッパ製の戦闘用プログラムだ。

 ナビが搭乗するのが基本的な運用なのだが、今回の場合は無人操縦のようだ。

 

 そんな中でバレルが淡々とディンゴとホイップにライデンの特製を説明していく。

 

「気をつけろ。ライデンは本来、不安定なエリアのデータを破砕し道を作り、想定外からの攻撃を防ぐことができるだけの防御力も兼ね備えた強行偵察用ライドマシンだ。その上背中にはインダクトミサイル……オレのカーネルが持つミサイル同様のミサイル射出システムを持っている。頭上にも気を配れ」

 

 ──えっ、何それふざけてんの……? 

 

 軍事用とはいえここまでハイスペックなのか。

 というかそういうものはコピーされないように厳重な管理がされるものじゃないのか。

 こんな爆発物に設置するなんてネオゴスペルに対しての得体の知れなさが加速する。

 

「バレルさん。貴方、何か知ってるんじゃないですか」

 

 アメロッパといえば元軍人のバレルだ。

 ライデンに対しての妙な冷静さ。まさかアメロッパ軍で内乱でも起こっているのか。

 

 アメロッパも旧ゴスペルには辛酸を舐めさせられているのにも関わらずそうホイホイと軍事機密を明け渡すものか。

 手入れされていないであろうバレルのボサボサの髪に隠れた瞳は一体何を見据えているのだろうか。

 分からない。

 

 九十九の疑念にバレルは低く口を開いた。

 

「……すまん。まだ確証が持てん」

 

「いつか、教えてくれるんですよね」

 

「あぁ」

 

 これ以上疑った所でこの戦いに勝てる訳ではないのだ。バレルへ向けた矛先を下ろす。

 そんなことよりライデンの破壊だ。

 

 正面からの戦闘が困難だとするのなら、横か背後に回り込んで殴るのが正解だろうがライデンはナイトマンより一回り大きな図体をしておいて出力に物を言わせた動きですばしっこい。

 

「やっぱりゼロの到着を待った方が」

 

 ゼロの機動力ならば背後に回り込むことは容易だ。名乗り出る九十九をホイップが手で制した。

 

「……ホイップ()!?」

 

「大丈夫。まだこの先戦いが続くのならば、君たちは休んでいて」

 

 

 

「……それだけのパワーがあるとしてもホイップ、お前のナイトマンならば……!」

 

 バレルの一言に察したホイップがハッと目を見開く。

 ホイップの指示で前衛に躍り出たナイトマンに反応して、ライデンはその拳を振り上げる。そのサイズは通常のナビがぶっ放すフィスト系列よりサイズは大きく、トマホークマンやカーネルが受けようなホームランされてしまうであろうものだった。

 

 しかし──

 

『ヌゥン!』

 

「う、受け止めた……」

 

 その身一つでその拳を止めて見せた。九十九の顔がムンクの叫びの如くあんぐりと口を開け、驚き切っていた。

 

「やはりな。ナイトマンの防御力ならばライデンの拳程度ならば受け切れる」

 

 ナイトマンは噂を聞くところによると、サイバー大国であったクリームランドの全盛期にプライド姫が開発したという防衛プログラム【ナイト】をもとにして作り上げた防御力全振りのシロモノだ。

 

 そういうことも出来ると思えば何もおかしくはないのだが。

 九十九がバレルの慧眼に舌を巻いていると、ライデンの拳を捕まえたまま、装備した棘のついた鉄球をゲシゲシと連続で叩きつける。

 攻撃のたびにライデンの重厚な装甲に傷が入っていく。

 

「今だ。このまま集中砲火をしろ」

 

 バレルの淡々とした指示にディンゴが腕を捲る。

 

「よっしゃあ! やっちまうぞ、トマホークマン!」

 

『ウララララァ!』

 

 ナイトマンが壁役になっている間に火力を叩き込めばライデンだろうが破壊できるという算段だろう。

 

「ある男の受け売りだが……戦争というものは組織戦だ。いかに堅牢な装甲や攻撃力を持ってようが戦い方次第で破壊は出来る」

 

 そのバレルの発言は正鵠を射ていた。

 事実──ライデンの装甲はトマホークマンとカーネル、そしてナイトマンの攻撃でまるで廃車の如くベコベコになっていた。

 このままライデンが破壊されるのは時間の問題だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それはそれとしてさぁ……」

 

 

 

 ふと、ディンゴが切り出した。

 謎の切り出しに九十九が疑問符を浮かべる。

 

「ん?」

 

「さっき様つってたけど、なんでだ?」

 

「あっ」

 

 しまった。思わず口走ってしまった発言を逃さず捉えていたディンゴに九十九は頭を抱えた。

 ディンゴのその瞳には悪意はなくただ純粋な疑問だった。

 

 その野生の勘、今この瞬間発揮しないで欲しかったものだが、吐いた唾は飲み込めない。

 一方でホイップは──何故か笑顔だった。

 

 余 計 な こ と は 言 う な

 

 ──アッハイ、ゴメンナサイ

 

 震え声で九十九はディンゴの方を向いて乾いた笑いを浮かべながら首を横に振った。

 

「いや、言い間違いだ。知り合いに似ててな」

 

「様付けって何の知り合いだよ王様でもいんのか……」

 

 ディンゴは不承不承。完全に心底納得していないような顔持ちでトマホークマンのオペレートに戻る。

 この様子だとまた追及されてもおかしくはないが、一旦矛先を逸らしたことで酷くため息をついた。

 

『ツクモ……これは人間の言葉で言うのならば尻に敷かれている。というものか?』

 

 何か間違えている。

 そもそも別に尻に敷かれるような関係性でも何でもない。どっちかというと他国のお姫様に弱みを握られた哀れな国家権力(笑)だ。

 これは酷い。いやまぁ自業自得だが。

 

 最初はうっかり乙女の柔肌を見、今度はうっかり様付けで呼び。

 うっかりだ、うっかりが爆発している。

 

「違う絶対違う別にびびってなんかいない多分恐らくきっと」

 

 我ながら泡を食ったような喋りだ。

 一息でかつ早口で捲し立てる自分の慌てふためきっぷりにゼロの呆れ混じりの声が返ってきた。

 

『どんどん声が不安げになっているぞ』

「じゃかあしい」

 

 既にゼロがたどり着いた時にはもう全てが終わっていた。ナイトマンに鉄球とホイップが転送したゴッドハンマーで殴られ、トマホークマンに腕を切り落とされ、最後にはカーネルに一刀両断され無残なテツクズにされたライデンを前に九十九とゼロは同情を禁じ得なかった。

 

「……取り敢えず起爆装置を止めようか。ゼロ」

 

『ム……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かくして起爆装置のシャットダウンは完了した。

 それからというもの、安全のため即座にバレルの指示でDアッシュに撤退。

 他部隊の任務完了を待つことにした。

 

 バレルは一旦偵察のため外に出たままだ。

 その一方手持ち無沙汰な九十九とホイップはマスターが用意した飲み物を啜りながら待つ。

 で、ディンゴは部屋の片隅で何故か木彫り人形を作っていた。

 

 そんな中でホイップが九十九の元にやってくる。

 

「……どしました?」

 

 少し九十九の表情が強張る。

 まさか、色々な失態に対するお仕置き的なアレなのか。そんな考えに至った九十九の背筋に冷や汗が伝う。

 

 が──

 

「先の戦い、お見事でしたわ」

 

「へ?」

 

 意外なお褒めの言葉であった。

 拍子抜けともいうが。九十九からは気の抜けた炭酸のような声が喉の奥から出る。

 

「あなたこそどうしましたの? そんな声を出して」

 

「なんか意外というか……なんというか」

 

 王女直々に褒められるというのはそこそこ凄いことなのではないか。その辺のポリ公を褒めちゃってよかったのか。

 

「あら。お叱りの方がお好きでしたか?」

 

「いえっ! 滅相にもごぜぇやせん!」

 

 九十九のやや慌てふためいた反応にふふっとホイップ……改めてプライドが微笑んだ。

 1コしか年齢が違わないというのに完全に格というか何もかもが違う。

 

「カットマン……元々アレは出資者が開発したネットナビ。その性能は通常のナビの一線を画していたはずですわ」

 

「出資者……?」

 

 確かにゴスペルの構成員のリストは大物がそこそこいた。コトブキ町、巨大財閥であるガウスコンツェルン、そしてクリームランド。

 これだけの財力があれば一国のスクエアを壊滅させられるだけの凄腕の傭兵を雇ったり、仮にも膨大な容量を持つバグ集合体を構築させるだけのサーバーを作り出すことは困難だ。

 

 とはいえ……ガウスコンツェルンやクリームランド。それ以外にも何かがある。

 

「そう。出資者。ゴスペルにはいくつか出資者が居ました。その中で詳細不明の組織がありましたの」

 

「詳細不明。EDF……ですか」

 

「そう。EDF……カットマンは彼らが寄越したナビですわ」

 

「カットマン自体そう簡単に作れるものじゃないでしょう。それにあれだけ量産して。アレ100体って」

 

 その辺の組織にできるものではないだろう。

 勿論ガウスコンツェルンが頑張れば作れないこともないだろうが。

 

「そう。それに究極のナビ……アレの設計図を寄越したのもそのEDFでしたわ。あまり詳しい情報は掴めませんでしたが……」

 

 心底申し訳なさそうに語るホイップの言葉に恐らく嘘はない。

 

「出資者の大半がガウス・マグネッツのようなトップや私のような関係者の独断である中、最も危険な出資者だったとも言えます。ゲイトもVもあくまで個人。ですがEDFはあくまでメッセンジャーとして現れただけでバックに何があるかは明らかではありませんでした」

 

 ゲイトやVも気になる所だが、確かに未逮捕でかつ全容が全く見えていないのはEDFだけだ。

 

「過去の事件を見るに貴方の実力は……間違いない」

 

 ちょっと照れ臭かった。

 一時期ネットワーク関係で大国の地位を得られた国の王女に褒められて嬉しくない訳がない。

 とはいえ──

 

「いえ、それはゼロ自身の力です。僕の力など、微々たるものです。貴女のオペレーティング技術も目を見張るものがありました。それは貴女自身な組み上げたナイトマンとそして──」

 

「……」

 

「ん?」

 

 褒め返したつもりなのに何故かプライドの表情は不機嫌のようにも見えた。

 まさか地雷を踏んだのか。踏んでしまったのか。

 みゆきと言い、女の子はどう向き合えばいいのか分からない。

 そうか。だからモテないのか。

 クラスメイトのバンド部をやっている響木空ほど、美形ではない以上九十九には上手い立ち回りをしなければ以下略。

 

「凄く他人行儀になりましたわね……」

 

 ぽつりと零した言葉に九十九は言葉に詰まる。

 世の中には立場の違いというものがある。下手に失礼な言動をすれば下手すればオフィシャルそのものが吹っ飛びかねない。

 

「いっしょに逃げていた時や、ディンゴやあなたのナビとやり取りしている時は、あんなにも生き生きとした喋りをしていたのに」

 

「……いやその……プライド姫様?」

 

 ディンゴに聞こえないように低く小声で返す。

 そこから先の言葉は下手に地雷を踏みそうな気がして先の言葉が紡ぎ出せない。

 

 世の中立場というものがありまして。というのもなかなか身も蓋もなさ過ぎる。

 

「わたくしたち、友達……ですわよね?」

 

「……え、あ、はい」

 

「なら。これは友達として。お願いがありますわ」

 

「わたくしがホイップでいる時。そして、ほかに人がいない時はいつも通りの喋り方でいて欲しいのです」

 

 いいのかそれ。

 無礼で打首獄門にならんのかそれは。

 それに王女として生きてきた人間にその辺で生まれて生きてきた人間と同じラインに置いて傷つきはしないのか。

 実際問題わざわざ他人行儀で喋るのは疲れるので彼女の思う通りにしてあげたい所ではあるが。

 

「他人行儀にされるとちょっと……傷付きます」

 

「……分かりました。分かりましたから……だから……オホン!」

 

 一つ、咳払い。この後打首獄門不敬罪喰らおうが知ったことかもう知らん。ヤケクソ気味になりながら、自分自身の頭に込められた言葉の数々をもう一度整え直し、次の言葉を紡いだ。

 

「ホイップ……さん」

 

「駄目です。あとさんはいらない。向こうのディンゴは聞いてませんしマスターも向こうで映画を見ています。ですから……」

 

「ぅ……プ、プライド」

 

「よろしい」

 

 どうしてこうなった。

 本当にどうしてこうなった。

 何故か男装のために潰した胸を張るプライドに九十九は引き攣った笑みを浮かべる。

 慣れろ。王女なのはいったん忘れろ。

 忘れてしまえば気を楽にして喋ることができるのだから。

 

 極力立場というものを意識の外に放り投げながら次の言葉を投げかける。

 

「プライド。正直、そっちも凄いと思った。ナイトマンの防御力もパワーも段違いだったし、凄く助かった。……ありがとう」

 

「気にすることはありませんわ。ただ……お友達に力を貸しただけのこと」

 

 と、九十九とゼロの癖を真似たかのようにプライドもゆったりとした動きでサムズアップをしてみせる。

 一国の王女がサムズアップしているのも中々物凄い絵面だが、それだけ気を許されているのだと思うと一気に肩の荷が降りたような気がした。

 

「ちょっとだけ夢でしたの。こうして身分関係なくやり取りのできる友人が」

 

 確かにそういう立ち位置にいれば姫か家臣か国民か。それとも他国の人間か。そういう立ち位置でやり取りできる人間はそうそういないというものだ。

 

「でもそれ……俺でよかったのか?」

 

「それは、貴方でいいのです……ツクモ」

 

 そこには迷いのない笑顔があった。

 故に九十九はホッとしたのか気付けばぴんとしていたはずの背筋から力が抜け、全体重が椅子の背もたれに乗っかっていた。

 

 




 アーカイブ

・ライデン
種別:兵器(電脳世界)
出典:ロックマンXシリーズ
 アメロッパ軍ネットワーク部隊の戦力の一つのサイバーライドマシン。重装甲、高出力を売りとしておりネットワークの整備や、ウイルスやナビなどの集団に対する突撃手段として運用されている。
 本来ならばネットナビを搭乗させるのだが、どういうわけか無人操縦であった。
 

 

 次回、Part18 朝陽の中へ
 長引きましたがそろそろ終わりです。EXE3編もやらにゃぁならんのです
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