ロックマンエグゼ:実績『見損なったぞカーネル!』『負けないアイ』開放ルートRTA   作:ヌオー来訪者

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 色々ふざけたタイトルですが初投稿です。


 もうコロコロコミックは500円では買えないんだよなぁ……


エリア2 レアチップ、格安で売ります!
Part4 ポイズンアヌビス(500ゼニー)


 お使いゲーの本領発揮なRTAはーじまーるよー。

 

 

 

 

 前回はカーネルとゼロが邂逅して悪の影がチラついた所で終わりましたが、それから翌日に時間が移ります。

 一応ロスにはならないのでセーブもついでにしておきましょう。

 

 で、場所は変わってデンサンタウンの高校の昼飯上がりの授業中ですが……ホモくん睡魔にやられてます。

 居眠り耐性対魔忍の快楽耐性並みにクソザコナメクジじゃないか(呆れ)

 どうも先日のバレルさんのシゴき(意味深)で疲れ切っているようですね。しょうがないね。

 

 

 

 

 眠ってるホモくんを叩き起こすのが先生か隣の生徒かで変わってきます。先生だったら即補習、リセです(6敗)

 今回は先生じゃなくて隣の生徒が起こしてくれてるようです。

 

 ん? 

 

 起こしてる奴なんか見覚えがあると思いますがへんな帽子に黒服……黒井みゆきです。

 名前がみゆきで占い師だったら変身出来たりする男の方を思い浮かべるのが自然(大嘘)なので男かと思ったのですがなんだ女か……(逆JRD)

 

 女に優しく起こされるホモの屑ですが先生にバレて課題を増やされるよりはマシなので、よしとしましょう。

 一応あんな大人びた雰囲気でも16歳なんですよね……最近の子は発育が良すぎるんだよなぁ……

 

 エグゼ1でしか出番がなかった分そこそこ出番を貰っているようですね。

 

 

 さて放課後から行動開始……なのですが睡眠欲に負けたおかげで課題の内容が分からないのでみゆき姉貴にお願いします。

 なんせここで頼む相手を間違えると赤点取って追試、大幅ロスも免れません。

 なので安定を取るとどうしても女になります。仕方ないね(レ)。

 

 

【ノートのデータを見せてください! 何かで返すから! 何かで!】

 

 

 ん? 今なんでもするって言ったよね? (幻聴)

 はい。ここでみゆき姉貴に言質を取られてエグゼ恒例のお使いイベントが始まりました。どうやら画面外で借り作りまくってるみたいですね……それを諸共返す形でアルバイトをやるみたいです。

 

 しょうがねぇなぁ(悟空)。

 

 

 

 お使いとは言っても中々の鬼畜です。

 

 頼まれた品物を客の家まで配達することです。文字にすれば簡単に見えますが、これには問題がありまして、運ぶのが ワ レ モ ノ 注 意 な点ですね。

 

 

 

 走ると壊れます。なので歩いてください。

 そしてNPCにぶつかってもアウトなので避けること。

 これを満たせなかった場合ガッチャパリィンと植木鉢くんのような迫真の断末魔を上げてみゆき姉貴がへそを曲げ好感度が下がるのでリセットです。

 

 デンサンタウン自体中心街なので人の通りは多く、一度でも当たるとMYNみたいになって再走なので気をつけましょう(3敗)。

 しかも1丁目2丁目3丁目(ry 共々似た道路が出まくって迷路のようになってますので迷子になったら大幅ロスです。必ずみゆき姉貴にマップデータを要求しておきましょう。

 

 誰だよこんなミニゲーム考えた奴は(半ギレ)。

 こんなミニゲーム自体に見所さんもないので、倍速行きますよ^〜行く行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヌッ! ……ウッ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、 ヌ゛ッ! ハァ、ハァ、ハァー……

 

 やっと終わりました。

 危うくガバって死ぬ所でしたが、辛うじて工事完了です……(満身創痍)。

 これで客から代金とバトルチップを受け取って終了です。ちなみにこの報酬は罠なのでフォルダには絶対に入れてはいけません。これがバッドエンド【ネットワーク破壊プログラム】のフラグの一つになってます。

 

 

 

 

 ぬわああああん疲れたもおおおおん! 

 ホモくんはネットバトル能力全振りで体力はあんまりないのでデンサンタウン中央公園でヘタレておきましょう。

 この中央公園ではランダムでうまあじなイベントが起きたり起きなかったりします。

 

 

 

 

 

【なんだなんだァ? 不景気なツラしやがって!】

 

【おう九の字! カルシウム取ってるかァ?】

 

 

 ん? これはラッキーです。

 

 ホモくんがアニメでやたら優遇されていた魚屋の親父ことビーフs……マサさんとエンカウントしましたね。

 雑に新鮮な魚を貰った訳ですが、彼に会ってついでに世間話をしておくと今後ストーリーが進みやすいのでありがたく受け取っておきましょう。

 

 ホモくんの腕の中でピチピチしている魚がえらくシュールですが。

 暴れんなよ暴れんなよ……もう1匹貰えるみたいなので貰えるものは貰っても特に(ロスにはなら)ないです。

 

 さて、みゆき姉貴の骨董品屋に戻ったら戻ったで代金渡して一休みしておきましょう。ついでに魚料理を振る舞っておくとみゆき姉貴との好感度もあがります。ここで上げておくと今後ガバっても時々助けてくれたりするので便利です。

 あとこの場にいないはずのマサさんからの好感度も上がります。どうしてわかるんですかねぇ……?

 まぁこの上がった好感度もかなり今後に関わってくるので、

 

 うん! 美味しい! (人間の屑)

 

 

 マサさんやみゆき姉貴との話で同じ話題になっているのですが、

 どうもデンサンタウンでは妙なバトルチップが出回っているようですね。

 強力なチップが格安で手に入るとかなんとか。怪しい……怪しくない? 

 

 みゆき姉貴と魚食ったら調べてみましょう。

 

 

 今回はここまで。ご視聴、ありがとうございました! 

 

 

 

 

 

 

 

                 Z

 

 

 

 

 

 

 

 

 居眠りというのは意識して回避できるものではない。そもそも寝不足になった時点で敗北は既に決しているのだ。

 なればこそ諦めて睡魔に敗北し大事な時に備えるべきなのだが、それは授業間の休憩時間に限る。

 

 

 というか、授業中とかに睡魔が暴れ出すのは勘弁していただきたいものである。

 

 

 

 

 何故こんなモノローグを突然ぶっ放したのかは理由がある。

 授業中、九十九の睡魔が現在進行形で暴れていた。

 そう、気付いたら意識が飛んで数分ぶんの記憶が消し飛ぶあの忌まわしきアレである。

 

 こうなれば皮膚をつねったりしてももう無駄だ。自然に立ち直るのを待つしかない。

 と、思いきや。横から軽く小突かれた。

 

 ──やべっ、教諭にバレたか!? 

 

 教諭の大半は放置するが、放置しないタイプの者もいる。放置しない奴に限って居眠りしたやつを強制退出させてくるのである。……自業自得だが。

 

 ただこういった外から来る衝撃なら1発で目覚めるものだから不思議な話だ。

 はっ、と飛び跳ねるような勢いで目を覚ました九十九は即座にすぐ横を見る。するとそこには教諭の姿はなかった。

 

 その代わりに隣の席で半開きの温度の低い瞳でこちらの顔を覗き込んでいる生徒が一人。

 やや黒がかった長い左右の髪を三つ編みにし、後ろ髪を束ねているという不思議な髪型をしている。やや眠たげな目つきをしているのは生まれつきらしい。

 

 黒井みゆき。

 指先で睡魔で死にかけた九十九の腕を突いていた。

 

「……ようやくお目覚め?」

 

「おう……」

 

「随分と徹夜をしていたようね。寝言を言っていたわ。なんかファミコンウォーズの歌とか」

 

「色々あったんだよ……色々」

 

 九十九は昨日の出来事がフラッシュバックし憂鬱げな顔持ちで、授業がどうなっているか顔を上げてホワイトボードを見る。

 するとボード前の壇上の教諭が──

 

「以上だ。もう消してしまったが今回書いた内容の要約が今回の課題となる。本課題を次回講義に提出して初めて出席日数にカウントされるので留意してくれ」

 

 九十九への死刑宣告が無情にも下されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 身から出た錆とも言うけれども、オフィシャルネットバトラーとしての仕事と学生としての本分両方を成立させろというのは結構ハードだ。

 特にバレルがオフィシャルの残存戦力を鍛え直すことになってからは殊更である。お陰で講義にも出られず出席日数は割とギリギリなのだ。ゆえに今回のポカはシャレにならなかった。……自業自得だが。

 まともな出席をしている回数がただでさえ少ないのにここでトドメを刺されるのはまずい。

 

 もちろん、伊集院炎山なら出来たぞ? と言われたら何も言い返せない。

 彼の場合11歳にもかかわらず、オフィシャルとしての職務を果たしつつ小学校はおろか中学卒業にこなすべきカリキュラムすら消化していると言う噂まである。

 

 

「ねえ黒井さん。ちょっと頼みあるんですけどぉ……」

 

「……何?」

 

「ノートのデータを見せてください! 何かで返すから! 何かで!」

 

 で、授業の直後。教室が解散ムードになったところで九十九はみゆきに拝み倒していた。

 みゆきは相変わらずその感情の読み取れない表情で冷ややかに返していた。

 

「ダメ」

 

「ダメ? あぁうん。そっか……」

 

 ばっさり突っぱねられて、九十九はストンと肩を落とす。

 違う奴に頼むか。力なくそのまま他を当たろうとした矢先みゆきが口を開いた。

 

「そうね。先週の代返分も返してくれたら考えるわ」

 

「あー。先週かぁ……返してなかったなぁ」

 

 先週はメトロ暴走事件の後処理でてんやわんやで出席すら出来なかった。それ故にみゆきに代返をお願いしたのだ。

 それだけじゃない。オフィシャルの仕事があるごとに世話になっている。借りは定期的に返しているとはいえ。

 するとみゆきが口を開いた。

 

「なら依頼、受けてくれる?」

 

「なんの?」

 

 依頼。そう聞いて九十九はみゆきの方に向き直る。

 ネットバトラーの仕事は市民オフィシャルに関わらず民間人の悩みを解決する何でも屋のような側面も持っている。

 炎山のように公的な仕事以外は基本やらないタイプもいるが。

 

「アルバイト」

 

「アルバイト? 骨董品屋の?」

 

「そう。詳しくは店で話すわ」

 

「わーった」

 

 背に腹はかえられないしこれまでの借りもある。

 それにみゆきのノートは割と見やすいのだ。九十九に断る理由はなかった。

 そして──

 

「もう授業のコマは無いでしょう? 16時に来れば大丈夫だから……ラウンジでもどこでも昼寝でもしておいて」

 

「……悪い」

 

 淡々と気遣われる九十九は頭を掻いた。

 

 

 ◆◆◆◆◆

 

 九十九たちが通う学校は珍しく制服なる制度が存在しない。その為直行でみゆきが店主を請け負う骨董品屋に赴くことができるのが幸いだった。

 

 距離はそこまで遠くはない。

 

 今九十九がいる場所はデンサンタウン。

 デンサンシティにおいて都会の一つとされるそこの中心地には幾つものビルが立ち並ぶ。

 その広大さと複雑な地形からはダンジョンと揶揄されるが、電気街や百貨店など生活に必要なものの大半はここで賄えるとすら言われる。

 

 デンサンタウン2丁目の一角に骨董品屋がぽつんとある。

 学校からバスで数駅跨いだ移動をして、バス停から徒歩1分。

 

 横開きの戸をガラガラと開けると左右にはいくつもの骨董品が立ち並び、奥には小上がりの座敷とカウンターテーブルが置かれている。

 そんな座敷に座った店主のみゆきが待っていた。

 

 ちなみに店主不在は接客用のノーマルナビが出迎えるらしい。

 

「来たわね。……これ」

 

 風呂敷に包まれた大きなナニカをみゆきが座敷からゆらりと持ち上げてカウンターにどさりと乗せる。

 大体両手で抱き抱えて辛うじて両手が触れられるくらいの大きさだ。しかも音から察するにそこそこ重い。

 

「これを買う人、足が悪くしてしまってこちらから送らなくちゃいけないの」

 

「宅急便使えば……って言うのは野暮か」

 

 九十九のツッコミにみゆきが首を横に振る。

 経費削減か、それとも。

 

「確かに送ってしまえばいいかもしれないのだけれども下手して割れてしまえば元も子もないわ。それに宅急便に頼むか頼まないか微妙な距離よ。……頼んだ客はデンサンタウン在住なのだから」

 

 みゆきの物言いから大体察した九十九は軽く鳥肌が立つ。これから扱うのは瀬戸物だ。

 しかもデンサンタウンとなると人通りはそこそこ激しい。下手打って誰かに当たって落とそうならアウトだ。

 

 

「……瀬戸物か」

 

「瀬戸物よ。だから丁重に扱って」

 

「なんつーハードな……しゃーない。住所教えてくれ」

 

「すぐに座標と住所データをPETに送るわ。しつこいようだけど()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 みゆきは無造作に何処からかPETを取り出して九十九宛てにメールと一緒にデータを添付して送信する。

 それにしてもそんな難しい仕事を何故こっちに頼むのか分からず、要領を得ないまま荷物に手を取る。

 それを見透かしたようにみゆきが口を開いた。

 

「あなたなら任せても大丈夫」

 

「……そう視えたってわけ」

 

 黒井みゆき。

 デンサンタウン骨董品屋を営む傍らで占い師でもある。故に──九十九に今日は厄日と警告した結果的中させた黒井も彼女のことである。

 

 九十九のツッコミに悪びれもせずに頷く彼女には敵わないと九十九はやけくそ気味にサムズアップを投げつけてから風呂敷背負って外へ出た。

 

 

 ◆◆◆◆◆

 

「つっかれたーぁぁぁ……」

 

 あの都会で何かに当たらず目的地まで徒歩で行くのがどれだけ面倒なのか身をもって味わった。

 周りを見ず飛び出す子供、歩きPETをする大人。

 普段なら何も思わない連中にイライラさせられ、どう言う訳かやたら多い横断歩道の足止めを喰らいまくる。

 おそらくは直線距離的に大したことがないのだが、九十九の顔はグロッキーと化していた。

 

 やっとこさ仕事を終え、デンサンタウンの貴重な子供の遊び場らしいデンサン中央公園まで行き着き、ベンチにどさりと全体重を一気に背もたれへ預けた。

 

『あの依頼……受けてよかったのか?』

 

 長らくPETで事の様子を見守っていたゼロが抑揚のない声で問いかける。九十九はポケットからPETを取り出す。

 ゼロはヒトガタのナビだが、顔はフルフェイスで素顔は見えない為どんな顔をしているのか分からない。

 というか彼自身厳密にはナビではなかったので仕方がない。

 それでも心配はしてくれていたのだろう。

 

「……あいつにはいっぱい借りがあるからさ。オフィシャルの仕事手伝ってくれたりもしたし」

 

『トモダチ……なのだな』

 

「ま、そういうこと。イヤ〜な占い投げつけてくるけどさ。地味に当たるし、それにあの荷物の重さだとあいつ辛そうだったから」

 

 骨董品屋でカウンターの上に、あの荷物を置く際のみゆきの顔はやや引き攣っていた。

 そこそこ力がある九十九ですらこれだ。みゆきなら下手すれば途中でぶっ倒れているような気がする。

 

「にしても……」

 

 九十九は懐からチップを取り出す。

 そのチップはいつもの九十九のフォルダには入っていないものだった。

 

「礼を言われた挙句、バトルチップをくれるとは思いもしなかったな」

 

 バイトで瀬戸物を持って行き着いた先はデンサンタウンでも有数の高級マンションだった。そこの8階にて老婆が待っていた。

 それからやたら長いお礼と世間話を食らい、その果てにバトルチップをただでくれたのだ。

 

『ファイターソードか……確かにあまり見ないチップだ』

 

 世間話とは言っても最近のネットワーク事情のことだ。

 環境維持システムの異常による天変地異事件やコトブキ町の電磁波事件。原因のゴスペルは消滅したが市民の不安は増すばかり。

 あの老婆だけじゃない。オフィシャルスクエアの雑談掲示板はその手の話題に事欠かない。

 

「アナタたち若いからインターネットによくアクセスするでしょう? これ持って行きなさい、2000ゼニーだったのよ!」

 

 とのたまい九十九にそのファイターソードを握らせたのである。あと持ってきた骨董品のお代と一緒に。

 ファイターソードってそんなに安いシロモノだったか。特売にしても安すぎやしないか。首を傾げながらマンションを後にして今に至る。

 

 じゃらりと手元にファイターソードが。特に何の変哲もないものだが、偽装チップの可能性もある。海外ではよくある手口だ。

 

「やべぇプログラムを仕込んだり……さ」

 

『その為ネット商人は基本的に商人ライセンスを持っているのだったな』

 

「そ。怪しいことをすればはく奪されるヤツ。ほぼ形骸化してるとはいえ何処で買ったのか訊けばよかったな……」

 

 訊かなかったことに後悔して、ベンチに凭れてたそがれる。

 その様はリストラ喰らったサラリーマンのようだが構うものか。

 このファイターソードはフォルダに入れずにポケットにしまっておき、ぼんやりと空を見上げた。

 

 ──綺麗な空だなぁ

 

 雲一つない晴天である。けれども今は9月の始め。本来ならこんな所でぼけーっとしていたら熱中症で干からびている所だ。けれども九十九がこうしてリラックスしていられるのはデンサンシティの環境維持システムが働いている証拠なのだ。

 

「なんだなんだァ? 不景気なツラしやがって!」

 

 ──何処かで聞いた声がした。

 少し反応が遅れた九十九は空から地に視線を移すより先に銀色のナニカが、九十九の顔目掛けて落ちて来た。これは──魚だ! 

 

「……うおわっ! 魚ァ!?」

 

 

 魚屋特有の動きやすい服装に防水エプロンと長靴。そして後退した毛髪と、ビールっ腹。それは紛れもなく──

 飛んできた魚をキャッチするや否やピチピチと跳ね九十九が慌てて抑えていると、その魚を投げつけた主が自転車から降りて呑気に会釈した。

 

「おう九の字! カルシウム取ってるかァ?」

 

「なんだぁ、マサさんかぁ……!」

 

 魚屋のマサ。デンサンシティを中心に魚屋を営んでいる中年だ。

 ようやく魚が大人しくなった所で、九十九は苦笑いした。そう言えば最近ゼリー系かカロリーメイトかコンビニの弁当ばっかりで飯を済ませていたのだ。これでは怒られそうだ。

 

「残念ながら最近……」

 

「そいつぁいけねぇや。カルシウムが足りないといざって時の踏ん張りが効かないぜ。そいつは持ってけ」

 

「ぅ……ぐうの音も出ねえ」

 

 ただでさえ最近やっている訓練が強烈なのもあって、これまでの雑な食生活が今になって牙を剥いている。真面目に魚を捌いてみようか、手元に投げつけられた魚をまじまじと見ながら九十九は思う。

 それにしてもマサとこうして話すのは久しぶりだ。ゴスペル事件終盤から全く会わなかったのだから。

 

「最近見なかったがアレか、オヒュカスの仕事か」

 

「オフィシャルねオフィシャル。ゴスペル事件の後処理やら、鬼軍曹の訓練やら……」

 

「なんだかよくわかんねェが、ゴチャゴチャしてんなぁ」

 

「オペレーターの基礎体力や集中力の見直しでアメロッパ海兵隊式の訓練が始まった挙句、ミリタリーケイデンスだかファミコンウォーズだか分からない歌を歌いながら、奥デン谷を登ったり下りたりした後にネットバトル……思いの外ハードですよ」

 

「……軍隊か何かか?」

 

「今回の講師っつーか教官、元軍人なので大体あってます……」

 

 マサの至極真っ当なツッコミに九十九がぐったりする。

 とはいえど、バレルの組んだ訓練プログラムはニホンのオフィシャルの弱点を完全に把握したものだった。ニホンのオフィシャルは長期戦に弱いのだ。

 それ故にマザーコンピューター占拠事件においてエース級3人をロストするという惨事に陥っている。

 

 あの事件も市民ネットバトラーの光熱斗と、若きオフィシャルのエースこと伊集院炎山の活躍がなければ瀬戸際での阻止は叶わなった──オフィシャルとしては忌むべき事件の一つだ。

 

「反発はほぼないんスけど、やっぱぐったりする訳ですよ。大人たちですらボロッボロですもん」

 

「そうかい。じゃぁオマケつけといてやる。ほらよ、カルシウムは多く取って損はねえからな」

 

「いやでもそんなに食べられ──」

 

 追加でもう1匹まで押しつけられる。どっちも生きているのかピチピチと軽く暴れていた。

 マサが寄越した魚は2匹ともサイズはそこそこ。大食いな大人でも一人で喰い切れるかどうかは怪しいレベルのそれを流石に遠慮しようとした矢先だった。

 

 

 

 

 

「えっ、マジ? ポイズンアヌビスを500ゼニーで買ったの?」

 

「どうだすげぇだろ」

 

 近くで同い年くらいの少年たちの声が九十九の脚を止めた。

 馬鹿な、あの強力なチップが500ゼニーポッキリで買えるものなのか。九十九は魚を両手に持ったままハッと振り返る。それと同時にポケットの中に潜む2000ゼニーのファイターソードが脳裏を過る。

 

 

 

「どこで買えたんだよ、教えてくれよぉ」

 

「教えてやろうか? それはな……このデンサンタウン裏通りの夜に商人がいるのさ。インターネットで予約を取り付ける必要があるがそれさえすれば買えるってわけ。詳しいことは後で教えてやるよ」

 

 

 

 

 滔々と語る少年の声色には誰かを騙す悪意めいたものはなく、最近見つけたゲームの裏技を友達に教えるような物言いだった。

 九十九は気付かれないように聞き耳を立てるが流石に都合よくすべて情報を引っこ抜けはしないらしい。大きく溜息を吐いていると、マサが九十九に怪訝な表情で問いかけた。

 

「そのポイポイたぬきって言うのはそんなに高いモンなのか」

 

「ポイズンアヌビスですマサさん。高いも何もそうそう売ってるようなモンでもないプレミア! 眼前に変な像を置いて広範囲の敵を呪い殺すっていう……ヒグレヤに買い取りお願いすれば何万も行きますぜ! ちょっとしたお宝って奴です!」

 

 気付けばベラベラ語っていた。駄目だ、悪い癖だと九十九は言葉を引っ込めて「こほん」と咳払いする。

 そう、それこそウラにでも行かなければ手に入るようなシロモノではない。それがこんな街角で手に入るものなのか。というか今時コロコロコミックすら買えないようなゼニーでそんなものが買えるなら一気にネットワークの治安が一変するのは明白だ。

 

「そんなすげぇチップが500ゼニーか……偽物なんじゃねぇかぁ?」

 

 マサが何を思ったのか顎に手を当てて考え込む。やはり怪しいと踏んでいるようだった。

 もしただの偽者ならば別にただのしょうもない詐欺としてネットバトラーにしょっ引かれて終わりだろう。しかし──

 

「後でちょっと調べてみます。最悪あれが違法チップだったら……」

 

 違法チップでネットワークに混乱をもたらす存在ならオフィシャルとして排除しなければならないのだから。

 公園から去って行く子供たちの背中を見送っていると、マサもまたクーラーボックスを縛り付けた自転車に跨った。

 

「っとこうしちゃ居られねぇ。仕事だった。まぁ色々なんだか分からねえが、気を付けろよ九の字。あとちゃんとカルシウム取れよ~!」

 

「おっす~!」

 

 と、マサも去った後で思い出したように九十九は手元に残った魚2匹を見て「どうしよこれ……」とボヤいた。

 むき身の魚をこの街中で持ち歩くのか。そう考えると、九十九の頬が思いっきり引き攣った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえり。遅かったわね……」

 

 骨董品屋に戻ると、みゆきがいつもの場所で待っていた。

 そして遅い帰りの九十九に呆れながら、手元にある魚を見てくすりと笑った。

 

「貰ったのね。色々」

 

「代金と2000ゼニーのファイターソードと新鮮な魚2匹だ。確認してくれ」

 

 みゆきからたらいと氷水を貰い、魚2匹を突っ込む。客から受け取ったゼニーが入ったチップをみゆきに渡す。中身はPETにスロットインすれば受け取り完了だ。

 しばらくすると「ん。完璧」とひとりごちてチップを引き抜き、引き出しにしまった。これでお仕事は終わりだ。

 

 そして九十九は最後に客から貰ったファイターソードのチップをカウンターに置くと、みゆきが物珍しそうにそのチップを覗きこんだ。

 

「これが2000ゼニーのファイターソード?」

 

「あぁ。客が格安で手に入ったつってくれた。……なんか怪しいけど」

 

 一旦知り合いに鑑定してもらってから処遇を決めた方がいいだろう。ただ一応貰ったことだけはみゆきに伝えておきたかった。でなければ筋が通らない。あの客は元々みゆきの客なのだ。

 

「……それは貴方が持っておいて。ただ使うことはお勧めしないわ。このチップには少し、黒いものを感じる……」

 

「黒いもの?」

 

「善意で包められた悪意……」

 

「随分と抽象的な」

 

 とは言ってもみゆきの嫌な予感めいたものは大体的中するのである。

 見ての通り変わった性格をしているがそれなりにこちらを心配しているのが分かったのでそれ以上は言わなかった。これは後で知り合いに鑑定してもらおう。

 そんな中でみゆきが九十九の後ろにあるものに指さした。

 

「それはそうと、これ……どうするの?」

 

 指さした先にはたらいと氷水で冷え切った魚。

 そうだ。このまま魚を持ったまま電車に乗る訳にもいかない。その上、一人で食べきれるかどうかと言われたら怪しいそれを九十九は少し考え込んでからみゆきの質問に答えた。

 

「魚……一緒に食う?」

 

「……食べる」

 

「……台所、借りて良い?」

 

 駄目もとで頼む。

 わりかし厚かましいお願いなのは分かっている。けれどもこのまま持ち帰って魚を腐らせるのも忍びなかった。

 

「使ったら……ちゃんと片付けて」

 

 意外だ。魚臭くなるとかその辺の理由をつけて断るものだと九十九は思っていた。

 けれども、承諾してくれたおかげで一気に消化できそうだ。

 

「さんきゅ。じゃ、作るか」

 

 これでもマサから「漢たるもの魚を捌き方は覚えておくものだ」という謎理論のもとに魚の捌き方やらは教わっているので簡単な調理だけはできる。

 片手間にPETでチップオタクの知り合いにバトルチップの鑑定依頼のメールを投げ、2匹の魚を抱えながらそのまま台所に持って行く。

 

 その背中をじーっとみゆきに見られているのにも気づかないまま。




Q:MYK姉貴はやたら出番多いけどヒロインか何か?
A:ヒロインかどうかはさておいてホモくんの未来に気づいている大事な立ち位置です。実際1だとロックマンの正体に気付いているフシもあるみたいでしたしねぇ。マサさんも九十九にとって頼れる大人枠ですしMYK姉貴だけじゃなくてネットエージェント組はかなり大事な立ち位置にいたりします。

Q:サロマさんの出番入ってないやん!? サロマさんの出番が見たくてこの作品開いたの!
A:作者のカスタムゲージが貯まるまで待て。

Q:それはさておいてMYK姉貴ダウナーかわいい……かわいくない?
A:ヌッ!
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