ロックマンエグゼ:実績『見損なったぞカーネル!』『負けないアイ』開放ルートRTA   作:ヌオー来訪者

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 凄い人からワーニング演出をいただいたため初投稿です。
 ありがとうございます……!(落涙)


Part5 たましいの顔

 ファイターソードヲツカイナサイ……ツヨクナリタインダロウ? ツカイナサイ……なRTAはーじまーるよー! 

 

 みゆき姉貴とお魚の処理をして、ノートデータのコピーを貰ったあとは一旦家に帰りましょう。

 ようやくホモくんの自宅公開と言うわけですね。

 キャラメイク時点である程度決まっているのですが、今回はデンサンタウン郊外のマンションでした。

 

 設定によってはボロアパートだったり、豪邸だったり、オラン島だったり、秋原町の熱斗くん家の近くだったりします。通常プレイならそれぞれのアドバンテージがあるので一概にどれがいいとは言えませんが、RTAならタウン郊外の方がやや時間短縮になるのでオススメです。

 

 

 広いわりに住んでいる人間が1人しかいないのでガラガラですね。

 一応後々家具も買う事もできるので好きに家をカスタマイズできたりします。フィギュアを置いたり、チップトレーダーを配置したり、ネットバトルの模擬戦マシーンとか。あと好感度上げたキャラに家具の配置をお任せするのもOKです。

 それで移動時間を省いたりもできるので、通常プレイなら中々楽しめます。

 RTAではフィギュアシステム以外あんまり使わないがな!

 

 ベッドと最低限の家具や謎置物とパソコンだけはあるので、さっさとプラグインしてタウンエリアにアクセスしてスクエアに向かいましょう。

 

 ……なんか文言がパルスのファルシのルシがコクーンでパージみたいになったけどまぁええわ(投げやり)。

 

【プラグイン! ゼロ.EXEトランスミッション!】

 

 九十九のHP自体熱斗のPC同様かなり質素ですが、HP内でウイルスとエンカすることはほぼないのが強み。そのまま直行するとタウンエリアにアクセスできます。

 デンサンタウンの迷路っぷりを表現しているのか、地形は中々入り組んでいますがメインストリートという目印に沿って行けば迷うことはありません。

 

 道中のウイルスはメットールとキャノーダム、ビリー、キオルシン、カブタンク、ガルーです。それぞれの強さははっきり言って大したことが無いのですが同時出現した時が厄介です。

 

 

 オフィシャルスクエア近辺より厄介になっているのとビリーとキオルシンorガルーの組み合わせには警戒しておきましょう(4敗)。

 ビリーの厄介な所はサンダーボールで、ゆっくりとゼロを追跡します。それだけならかわせるのですが別のウイルスが攻撃するとなると、移動を制限された状態で攻撃をぶち込まれる羽目となります。

 ファッキュー(レ)

 

 ビリーのサンダーボールで麻痺した所でダッシュアタックをぶち込まれたらかなり痛い。特にRTAは短時間で始末するのが重要です。

 今のゼロのHPでは戦闘から逃げられないので戦わざるを得ません。というか戦った方が早いです。

 

 引いたチップとゼットセイバーで、反撃に気を付けつつ始末していくのが一番安定しますので、上手く出の速いショットガンでダメージを与えてからセイハットウしておきましょう。

 ここで手に入るべきチップは1枚だけ。メットガードをゲットしておきます。理由は追々説明します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 はい、無事メットガードを手に入れられたのでこのままタウンスクエアへイクゾー! デッデッデデデデ! 

 タウンスクエアはオフィシャルスクエアほどではないにせよ大手のスクエアなのでネット商人も居ますし、大型掲示板も配置されています。

 

 掲示板を見る前にいったんネット商人から道中ランミスやカットマンからはぎ取ったゼニーでエリアスチール※、安定を取って保険のHPメモリを購入。

 ナビカスタマイザーの導入まで結構時間がかかるのでしばらくお世話になります。

 

 エリスチは今後の戦闘に役立ち、コードがアスタリスクなので相当な括約が期待できます。こいつの真価は対戦で発揮されることが多いのですが対NPCでも相手の動きを制限できたりとで過去シリーズを遊んでいた人からすればその恐ろしさが分かるはずです。

 買い物が終わった所で掲示板にイクゾー

 タウンスクエアは雑談掲示板、バトル掲示板、プログラミング掲示板、街角掲示板やらいくつもあるので間違えないように街角掲示板の方を確認しましょう。

 

 掲示板の題名に格安deレアチップ!? って打ってあるカキコミとそのレスを見ると詳細が見られるわけですね。

 

 

 これで情報が得られたので一旦プラグアウト。

 明日に備えてさっさと寝てしまいましょう。

 

 

 

 

 

 朝になったら即、デンサンタウンを歩いて電気街に行きます。

 理由は知り合いとのアポが取れたからですね。何故メールに添付しなかったのかというと、何かしらの感染を恐れてのことです。

 データ化してしまうと危険かもしれませんからね。

 

【九十九君久しぶりでマス!】

 

 はい、アポを取ったというのは知り合いというのは帰国した日暮闇太郎ですね。ゲームでかなりお世話になった方もいらっしゃるのではないでしょうか? 取り寄せサービスとかナンバートレーダーとか。

 まだヒグレヤの開店準備のためにニホン国内を回っていることもあって、今秋原町に行ってもヒグレヤは利用できません。

 

 チップ関係について悩みがあればまずは日暮さんに聞きましょう。好感度を上げると良いトレードもしてくれたりするので友達になっておいて損はないキャラの一人です。

 家の様子や言動からしておそらく最初から日暮さんとの好感度が高い乱数ですね。所謂同志という奴です。類は友を呼ぶんですねぇ……

 

【こんなこともあろうかと、プログラミングの勉強をして損はなかったでマス!】

 

 おっと、日暮さん何やら懐から四角いデバイスを取り出しました。

 これはなんと、バトルチップ鑑定マシーンだそうです。チップの取引をする上で本物か偽物か見極められるみたいですね。

 やりますねぇ! (賞賛)

 さてここでお楽しみの結果発表! 

 

 

 

 

 

 

 結果は!? 

 

 

 

 

 

 

 

【ちゃんと動作しているでマス。これはホンモノでマスね】

 

【じゃぁこれ実は問題……】

 

【ないということになりマスな】

 

 なんて楽に解決できるわけもなく。

 シロ判定が出てしまいました。

 じゃぁここでファイターソードをフォルダにのっけて威力100を味わって行きましょう! なんて甘い話はありません。絶対にフォルダに入れないようにしてください。

 このあとすぐイベント発生です。

 

 

 

 

 

 

【おいどうした! どうして動かないんだよ! なぁ!】

 

 電気街のジョーシン電気から悲鳴が聞こえてきましたので直行。ウイルスバスティングのシミュレーター前の子供に話しかけましょう。

 何やら中でナビが暴走してシミュレーターが暴走、爆発を起こしているようです。

 爆発する機械とか危なくないですかねぇ……?

 そのままプラグイン、状況を探りにイクゾー! 

 

 

 シミュレーター内には倒れたノーマルナビがいるので話しかけるとドッペルゲンガーが襲いかかってきたのでバトル開始です。

 

 

 

 

 

...........WARNING

 

..........WARNING

 

 

 ここで??? 戦です。

 外見はノーマルナビそのものですが、使って来るチップが通常のものより極悪仕様となっています。例えば投げつけるボムが十字に誘爆するクロスボムだったり、ソードの射程が前方3マスまで伸びたり。

 幸い威力は大したことがないのと予備動作があるので知識さえあれば対応は容易です。

 

 ただ動きは早くなっていて先のノーマルナビ戦のノリで戦うと死ねるので気を付けましょう。

 

 HPは300とそこそこ高めなのでさっさとドリームソードを完成させて……

 

 

 ウーン……(苦悩)

 ちょっと微妙な配牌ですね。ソードとロングソードが無いのが痛すぎますねぇ。ADDで待ってもあんまり効率はよくないので今あるもので削って行きます。

 配牌がエリアスチールとワイドソードを選べるので先にそっちでダメージを稼いで、使い切ったらゼットセイバーで対応しましょう。

 エリスチで詰めたのでそこそこ命中するはずです。

 

 ワイドソード! 

 

 やったぜ。投稿者:変態糞オフィシャル(8月16日(水)07時14分22秒)

 見事にイチジク浣腸(ワイドソード)が命中しましたね! これでHP220。

 ボスによってはHP次第で発狂モードになって厄介なのですが、こいつはないので確実に削って行きます。

 ゼットセイバー3連撃も命中したので、HP160

 

 次のターンはキャノンとサンダーボールが2枚づつ選べますのでサンダーボールで動きを封じてキャノン。またサンダーボールを当ててキャノンを叩き込んで……終わりっ! 閉廷! 

 

 それぞれ威力40で4発命中したから合計160ダメージ。うあまじ。

 やってこれでジャストキルです。

 

 

 やったぜ。

 ??? は倒せましたね。??? は倒れているノーマルナビに吸い込まれるように消えたようです。

 ただ、倒れているノーマルナビはピクリとも動きません。なんせナビの魂に相当するものに大なり小なりダメージを与えたのでまぁ仕方ないね。

 

 

 

 一体何が起こっているんですかねぇ……しかもあの子供中央公園で見たような……

 

 

 今回はここまで。ご視聴、ありがとうございました! 

 

 

 

 

 

 

 Z

 

 

 

 

 

 

 

 作った料理はおおよそ料理と言えるか微妙なものだった。

 ただの塩焼きだ。みゆきが持ち寄った冷蔵庫に余っていたらしいご飯やら野菜やらを添えてちゃぶ台に置かれたそれをみゆきは見下ろした。

 

「今日の夕飯は作らなくて済みそうね……」

 

 確かに料理自体は面倒だし省けるなら省いておきたい気持ちは分からなくもない。

 湯気と共にやってくる焼き魚とご飯の匂いが食欲をそそる。作った当人の九十九も完全に腹を空かせていた。

 

 すとん、とみゆきは座布団の上に腰掛けると、追従するように九十九も向かいの座布団に腰掛けた。

 

「「いただきます」」

 

 ほぼ同じタイミングに両手を合わせてから食にありつく。

 妙な気分だった。誰かとこうして飯を食うのは久しぶりだ。最近は大体休憩時間にオフィシャルセンター屋上でコンビニ飯を急いでかっ喰らっていたぐらいだ。

 しばらく黙々と魚をほぐし続け、箸が皿を叩く音だけがこの部屋の中を反響していた。

 そんな沈黙を破ったのはみゆきだった。

 

「……新しいナビとは、どう?」

 

「うん……上手くやれている……と思う」

 

 九十九は箸の動きを止める。言わずもがなゼロが九十九にとって最初のネットナビではない。ゼロは──2人目のネットナビだ。以前に別のナビを持っていたが今はいない。

 そしてゼロの正体を知る者は現状オフィシャル上層部と一部関係者のみにとどまっている。

 みゆきは知らない。ゼロが元々ウイルスだということを。

 

「そう……貴方のナビもまた悪意と善意、二つのたましいを持っている。二つのたましいを──あなたはどうするのかしら?」

 

 意味深なことを言われたりと、とっくに気付かれているような気もしなくもないが。

 

 

 ◆◆◆◆◆

 

 みゆきに見送られて、貰ったノートのコピーデータを片手に骨董品屋を去る。

 そしてそのまま近くのバス停からバスで20分。デンサンタウン郊外には住宅街があり一軒家からマンション、アパートまで所せましと立ち並ぶ。

 その中に立つマンションの一室が九十九の部屋だ。

 いつものように鍵でドアを開けると、見慣れた部屋が広がっていた。

 

 趣味で手に入れた歴代PETのレプリカや、今となっては現行バージョンのインターネットでは発動できなくなったレアチップだったものが飾られたラック。パソコンが置かれた机。

 そして参考書や漫画、PET関係のガジェット雑誌やマサに押し付けられた魚料理本やらが並ぶ本棚。

 寝る為の布団。

 

 それらが雑に配置された自室を前に九十九は真っ直ぐPCの置かれた机に腰掛けた。

 

「……ゼロ。情報収集を掛けよう」

 

『……分かった。タウンスクエアの掲示板だな』

 

「そういうこと」

 

 九十九はPETからプラグイン用のケーブルを引き抜きPCのプラグイン用の穴に端子を差し込んだ。

 

 

「プラグイン! ゼロ.EXEトランスミッション!」

 

 

 

 

 

 

 

 九十九のホームページから直通で行けるのはタウンエリアというデンサンタウン管轄のエリアだ。

 都会のエリアであるということもあって些か入り組んでいるが、最近メインストリートという次エリアへ繋がる目印が敷かれたお陰で分かりやすくなっている。

 ある程度まで沿って進んだ後で視えるタウンスクエアへの案内が刻まれたサイバー看板に従って歩くとすぐそこだ。

 

 タウンスクエアの出入りには慣れたものだ。ゼロのオペレーターになる前からしょっちゅう行っていたのもありスクエア内の構造も大体把握している。

 やや入り組んでいるが、迷わずするりと辿り着くと掲示板の置かれたページまで辿り着いた。

 

『読み込みたい掲示板の項目を教えてくれ……』

 

 無数もの掲示板の中をあらかたピックアップするとなれば街角掲示板が適切だろうか? 

 そう考えた九十九は「街角」と言った。

 

 ──────────────────────────────────────────────────ー

 

 ・タカナシ:格安deレアチップ!? 

 最近デンサンタウンで格安でレアチップを売ってくれるって言う商人がいるらしいね。なんかウワサではリュウセイグンを1000ゼニーで手に入れたとか! 

 

 ・ルピス:Re.格安deレアチップ!? 

 えっ、マジですか? そんなに安いなら買いたくなっちゃいますね。

 ゴスペルの奴らのせいで最近ウイルス強くなったからもっと力が欲しいし。

 

 ・やまぽん:Re.Re.格安deレアチップ!? 

 でもそれって予約取らないと買いに行けないヤツですよね? 予約取るとは言ってもどこで取れば……

 

 ・タカナシ:Re.Re.Re.格安deレアチップ!? 

 ヒントは出てるらしいんですけどね。明日はどうも「キカイの街、音響かせるモノで待つ」らしいです。

 

 ・ルピス:Re.Re.Re.Re.格安deレアチップ!? 

 うぅ……なかなか難しいですね。

 ゴスペルみたいな悪党に正義の一撃を叩き込む為にもっと力が欲しいのでじっくり考えないとですね

 

 タカナシ:Re.Re.Re.Re.Re.格安deレアチップ!? 

 一応デンサンタウン内限定らしいから頑張れば見つかると思うよ! 

 

 ──────────────────────────────────────────────────ー

 

 

「キカイの街、音響かせるモノ……か」

 

 ゼロがダウンロードした掲示板を見てから九十九は椅子の背もたれに全体重を預けてから考え込む。

 デンサンタウン限定でキカイの街となれば電気街か。しかし音響かせるモノとは何なのか。分からず唸る。

 

「ゼロ、他に類似の話題の検索は出来るか?」

 

『調べた。しかし……答えらしき答えは出なかった』

 

「そっか……ありがとう。あとはオレが考えるよ」

 

 ゼロを労い、そのままプラグアウトさせると九十九はひたすらデンサンタウンの広大な電気街を脳内でマッピングし考え込む。

 いくつか思い当たるものがある。あとはしらみ潰しに探してみるしかないだろう。

 

 明日の予定を思考しながら、バレルには明日は捜査で訓練に参加できない旨をメールで投げる。

 すると5分も経たず「了解した」という短い返信が飛んできた。明日はこれでいいとして、あとは昼に投げた知り合いへの鑑定依頼だ。

 

 海外へ行商の旅に出て今は帰国しているとのことだが、すぐに対応してくれるとは思わない方がいいだろう。

 今は課題を進めておこう。とみゆきから貰ったPETに格納されたノートデータを開くと、かなり分かりやすく要約したのであろう板書が書き込まれていた。それはまるで誰かに見せること前提で作ったような内容で……

 

 

「あいつ……」

 

 本当に気を遣わせている。

 ちょっと目頭が熱くなりかけた所で──

 

 

 

 

 

 

 件の依頼の返信メールが飛んできた。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 翌日。

 デンサンタウンの電気街は、中心街からメトロで一本。

 もしくは徒歩25分の距離にある。

 

 

 幾つもの家電量販店が立ち並び、冷蔵庫や洗濯機、炊飯器など日用品を一つでも多く売ろうとしのぎを削っている。

 そこで一際存在感を放つのが電気街二丁目にあるジョーモン電気だろう。

 そうあの「ジョーモン電気はイイんです~」なCMソングで有名な電機屋だ。どの電機屋のビルよりも高いそれはまるでこの街の王者であると言いたいばかりだ。

 

 

 そんなビルを見上げながら九十九は電気街一丁目を歩く。

 集合場所は牛丼屋前の広場。既にその鑑定依頼を投げかけた人間がそこにいた。

 

 九十九より高い身長を持ちながらひょろりとした細い体格。白いワイシャツに赤いネクタイ。紺色のスラックス。ぼさぼさの髪に眼鏡という絵にもかいたようなおたく感のあるその姿で一目で気付いた。

 

「日暮さん!」

 

「ん? 九十九君久しぶりでマス! 元気にしていたでマスか?」

 

 日暮闇太郎。

 デンサンタウン屈指のチップコレクターであり、チップショップ【ヒグレヤ】の主だ。……今は閉店中だが。

 独特過ぎる口調で紛れもなく日暮だと思い知らされる。

 

「まぁ、色々ありましたけど一応は。……日暮さんはどうっすか」

 

「今は店の開店準備中でマス。機材とか色々買い替えるいい機会でマスからねぇ」

 

「マジすか……ヒグレヤ、パワーアップするんですか……!」

 

 実際に距離の兼ね合いで秋原町に出向くのはあまりないがオンライン注文でよく世話になっている。

 当初は捜査休みで電気街でウロついていたらバトルチップ交換会会場を見つけて、興味半分で足を踏み入れたらチップ交換に巻き込まれた挙句に日暮と出遭い、何処で手に入れたのかとかレアチップの情報交換で盛り上がってからは、時々連絡を取り合っている。

 実際問題レアチップの情報で捜査の助けになったのは数知れない。

 

「モチでマスよ~? ふっふっふっ、菓子会社とのタイアップの商談も取り付けて来たでマス……!」

 

 ドヤ顔で笑う日暮。正直その話は興味が滅茶苦茶あるが今回は遊びに来た訳ではない。九十九は懐から例のファイターソードのチップを取り出して日暮に見せた。

 

「早速でアレなんですけど鑑定、お願いしていいですか?」

 

「例のレアチップが妙な値段で売られているアレでマスな? アッシも気になったのでお互いさまでマス」

 

 ヒグレはリュックサックから何やら四角くシンプルなデバイスを取り出す。それが何なのか、チップ用スロットを見つけて何となく想像がついた。

 

「こんなこともあろうかと、プログラミングの勉強をして損はなかったでマス!」

 

「プログラミング?」

 

「これはアッシが勉強して作り上げたバトルチップ詐欺を回避する為に生み出されたバトルチップ自動鑑定マッスィーン1号! でマス」

 

 芝居がかったキメ声で放たれる説明に九十九は神妙な表情で復唱する。

 

「……バトルチップ自動鑑定マシン?」

 

「マッスィーンでマス」

 

「マッスィーン」

 

「でマス」

 

 そこに拘りがあるのか鼻を鳴らして訂正を要求して来る日暮。語尾のマスに近いからマッスィーンなのだろうと己を無理矢理納得させながら、九十九はチップを日暮に渡した。

 

「まずテストにこのデバイスにアッシのレアチップを差し込んでみるでマス」

 

 何処からか取り出したバトルチップ【サンクチュアリ】をデバイスのスロットに差し込むと、デバイスに付いていたランプに緑色の光が灯った。

 

「これが正しい動作でマス。これで正常に動作するというのが分かるでマス。九十九君も自分のチップでやってみるでマス」

 

 日暮の指示通り恐る恐る、適当にあったキャノンを差し込むと同じように緑色に点灯する。そして

 

「そしてこれがニセモノのチップでマス」

 

 何処からか別のサンクチュアリを取り出し、それを差し込むと赤いランプが点灯した。

 明らかに異常のありそうな表示は想像通りの答えが返って来た。

 

「これは問題や動作不良のあるチップ、もしくは何もデータが入っていないブランクチップと呼ばれるモノでマス」

 

 つまり今日暮に渡したファイターソードを差し込めばその疑惑も分かるということか。デモンストレーションを終えた日暮はファイターソードとマッスィーン以外をバッグに仕舞い、神妙な顔持ちでチップとマッスィーンの差込口に近付けた。

 

「行くでマスよ?」

 

 九十九がコクッと首を縦に振ると、日暮はそのままカチャリと音を立ててマッスィーンにチップをスロットインした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………緑のランプでマス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここまでズコーッという小学生漫画並のリアクションが合うオチはあるまい。

 拍子抜けした九十九の顔は魂が抜けたようになり落ちるところまで肩が落ちた。

 

「ちゃんと動作しているでマス。これはホンモノでマスね」

 

「じゃぁこれ実は問題……」

 

 九十九のこれ以上にないヘナヘナした声に日暮は淡々と返す。

 

「ないということになりマスな。本当に2000ゼニーで手に入れたと思われるでマス。信じられないでマスが……」

 

 そんな馬鹿なことがあるか、と思いもするが今起きている現実は紛れもなく無実。

 しかしこんな簡単にみゆきの直感が外れることがあるのか、日暮同様九十九は信じられずにいた。お互い眼前のマッスィーンの動作に半信半疑で考え込む。

 バトルチップの相場に一番詳しい日暮と、みゆきの妙に当たる悪い占いがあっさり外れたことに懐疑的な九十九。

 

 理論とオカルト両方に疑いの目で見られるという強烈な状況下。

 冷静に考えると中々シュールな光景である。

 

 ──まぁ……占いだしなぁ……

 

 頭の中で無理矢理解決しようとした矢先だった。

 

 

 

 

 

「おいどうした! どうして動かないんだよ! なぁ!」

「きゃああああああああああああああああああああああああああっ」

 

 誰かの悲鳴が木霊した。

 ジョーモン電気ビルからだ。何事だ、と咄嗟に日暮と九十九がビルの中に飛び込むと、入り口付近に置かれたウイルスバスティングシミュレーターから小爆発が起きる。

 

 ──これが騒ぎのもとか

 

 シミュレーターがウイルスにでもやられたのか。

 遊んでいた少年が半泣きで「おいどうしたんだよぉ!」とPETに声を投げかけている。そして近くで見ていた女性店員がただパニックで悲鳴を上げ散らかしていた。

 慌てて九十九がその少年の視線まで屈んで声を掛ける。

 

「どうした、何があった?」

 

「オレのナビが動かなくなって……突然増えて! 動かなくなって! 暴れ始めて!」

 

「落ち着くんだ! つまりナビが暴走してるってことか?!」

 

「……うん!」

 

 その顔は何処かで──視た事のある顔だった。

 それもつい最近──いや、今はそんなことはどうでもいい。ここで暴走を止めなければ面倒なことになる。そう察知した九十九はPETを取り出した。

 

『ウイルスではない……増えて? 動かなくなって、暴れはじめる? 矛盾している』

 

 要領を得ないゼロに九十九は同意する。一体何が起こっているのか皆目見当もつかない。 

 ならば実際にプラグインして確かめるしかないだろう。九十九は迷わずPETからケーブルを引っ張り出した。

 

「今からこの目で確かめるぞ! プラグイン! ゼロ.EXE! トランスミッション!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シミュレーターの電脳は、既に荒れ果てていた。

 地面は軽いクレーターが出来、無数のウイルスの残骸や、破壊されたプログラムくんの手が一本無造作に転がっている。

 地獄絵図だ、これは。と九十九はPETに映し出された光景に息を呑んだ。

 

 その奥地には少年のナビと思われるちょっとカスタマイズされたノーマルナビが地面を転がっていた。

 

『気を失っているのか……』

 

 ゼロが軽く揺すっても反応はない。まるで糸の切れた操り人形のようで──思考した矢先。

 

『しェぁああああああああっ!!!』

 

 ゼロは横殴りに飛んでくる露骨な殺気に気付いたか咄嗟に右手をゼットセイバーに切り替え、横に一閃。するとその殺気の主はバックステップでその一閃を避けてみせた。

 

「なんだコイツ……まさかっ!」

 

 殺気の主は右手のロングソードを構えていたが、ゼロの足元で転がっているノーマルナビと瓜二つだった。違うのはやや色に黒みが掛っているかどうかだろうか。

 ノーマルナビとはいえ多少のカスタマイズがされているのでドッペルゲンガーめいたものだとなんとなく想像がついた。

 ──つながった。

 ふと脳裏で先ほどの少年の言葉を思い出す。確かに嘘は何一つ言っていない。

 

「あの少年はこう言ってたっけ。オレのナビが動かなくなって……突然増えて、動かなくなって、暴れ始めて。……と。なるほどそういうことか。……ゼロ、まずはアイツを黙らせるぞ。ほっとけばこの電脳どころかシミュレーターが吹っ飛ぶ!」

 

『準備は出来ている……』

 

 ゼロの声に応えるように九十九は腰に巻いたチップホルダーを開けチップに手を掛けた。

 

「バトルオペレーション・セット!」

 

『イン!!』

 

『あじゃらぼぎゃああああああああああああッ!!!』

 

 

 

 

 

 

...........WARNING

 

..........WARNING

 

 

 

 

 

 ゼロが戦闘体勢を取った時にはノーマルナビから存在しない口が開き、牙を剥きだしにし名状し難い叫びを上げた。まるで悪夢(ナイトメア)でも見ているようだった。

 おおよそ浅い改造とチップ無しで出来るような動きではない瞬間移動を繰り返しながらゼロに迫る。少しでも気を抜けばロングソードの錆にされるのは明白だった。

 高速移動に対しては高速移動だ。

 

「バトルチップ! エリアスチール!」

 

 ノーマルナビの斬撃にゼロはエリアスチールを利用した高速機動で避け、背後に回る。

 そして──そのロングソードの尋常ならざる射程に驚愕した。

 

 ──この射程……ロングソードじゃない! 

 

 ファイターソードとかゼットセイバー……その手のチップの射程だ。粟立つ肌をおさえながら冷静にホルダーから引き抜いたワイドソード一枚をPETにスロットイン。左手をワイドソードに切り替えそのまま隙だらけのノーマルナビに叩き込む。

 大きな斬り傷で怯みながらも尚もロングソードのような何かを振り回す。ゼロはその攻撃を右手のゼットセイバーと左手のワイドソードを駆使して弾き防御に転じた。

 

 その猛攻はゼロの手を焼かせるのには充分過ぎるものがあった。

 見ている九十九も次に打つべき手を必死に思考する。

 

 ──オレが打つべき次の一手はなんだ……ッ! 

 

 もう一度エリアスチールか、それとも。ゼロ距離でサンダーボールか。ファイターソードか。

 強力なチップへの誘惑が首を跨げる。が、九十九は首をぶんぶんと横に振って誘惑を振り切った。いや、まだだ。まだアレが絶対安心とは言えないんだ。

 九十九はファイターソードからサンダーボールを手に掛けようとした次の瞬間だった。

 

『……見切った』

 

 一瞬の隙を縫ってゼロの鋭いツインアイが光るや否や左手のワイドソードが元に戻り、右手のゼットセイバーが閃いた。

 

『せいっ! はぁっ! とうッ!』

 

 3連撃。ゼロの特異なゼットセイバー3連撃がノーマルナビにクリーンヒットした。

 異常なまでの反応速度を上回る反応だった。そのゼロ独自の行動に九十九は目を丸くする一方で、斬り傷だらけのノーマルナビは斬撃の衝撃で吹っ飛び地面を滑る。しかしその顔は──笑っていた。

 

 頭部のカスタマイズがされていないノーマルナビは基本的に表情の読み取りが目でしか分からない。しかし今この瞬間、頭部が横にぱっくり裂けて牙を剥きだしにし、長い舌を肉食動物のようにちらつかせている。

 異常だ──これは。

 

『ばぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃっ!』

 

 狂笑を撒き散らしながらその俊敏さで再びゼロをかく乱し始める。

 また捕まえるのは困難だろう。エリアスチールは2度使おうなら警戒されるのは明白。なら──

 

「バトルチップ、サンダーボール!」

 

 九十九が送信したサンダーボールはゼロのゼットセイバーの先端から放たれる。黄金に光る電気玉はノーマルナビを追ってゆっくりと進んでいくがまるで亀が自動車を追いかけるようなものだった。このままではサンダーボールはただの無用の長物。障害物にもならない。だが当たり判定が一定時間残ること。それが九十九の狙いだった。

 狙いを察していたゼロはサンダーボールなどお構いなしに各方面からノーマルナビが投げつけるクロスボムを避けつつ、ゆっくり追尾するサンダーボールを背に斬りかかるそのノーマルナビに蹴りを放った。

 

『オッ……ゴォ』

 

 蹴りを叩き込まれたノーマルナビは弧を描くようにサンダーボール目掛けてふっとび、自ら当たりに行く形となって命中した。

 サンダーボールは命中した対象を麻痺させることができる。実際問題効果はテキメン、ノーマルナビは痙攣しながらその動きを止める。

 効力は数秒程度とは言え、今この瞬間出の遅いバトルチップで大ダメージを与えることだって夢じゃないのだ。

 

「バトルチップ! キャノン!」

 

 ゼロの左手はキャノーダムの砲身を模したキャノン砲に書き換わるとその瞬間弾丸が放たれ、身動きが取れないノーマルナビに直撃した。

 

『ゴフゥ!?』

 

「まだだ! ゼロ! もう一度叩き込むッ!!」

 

 キャノンの直撃を貰ったノーマルナビだが、ここで終わるつもりは毛頭なかった。ゼロが再びノーマルナビの眼前まで詰めた瞬間、もう一枚のサンダーボールが送信され再びノーマルナビを麻痺らせ、もう一撃キャノンを叩き込む。

 流石のハチャメチャ暴走ナビもこれ以上は堪えられないようであった。

 

 

 

 一頻りラッシュを貰ったノーマルナビは砲撃で遠くまできりもみしながら吹っ飛び、地面を転がった。

 ガクガクと壊れたブリキ人形のような動きで立ち上がろうとするが、最早戦闘続行は困難のようだ。だがしかし──奴は、笑っていた。

 痛みすらも喜びとしているのか、それとも痛みが分からないのか。

 それは分からない。けれども、人間にとってそれがおぞましい光景であることには違いなかった。

 

 まだ動こうとするそれだったが、突然──ビデオの一時停止を喰らったかのように急停止した。

 

『む?』

 

 あまりにも突然のことにゼロは思わずゼットセイバーを身構える。が──攻撃する兆しが見えないまま。5秒の沈黙が流れた。……するとノーマルナビの体が陽炎のように揺らぎ始めた。見たことのない光景に九十九は息を呑み、ゼロは3連撃の準備に入る。

 そしてノーマルナビは近くで転がっているノーマルナビの身体に吸い込まれて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──消えた。

 

 

 

 

 何もかも壊し回って、ゼロに倒されるや否や倒れているノーマルナビの方に吸収された……などという、はっきり言えば訳の分からない光景にゼロも九十九も言葉を失っていた。まるで──悪夢から目を覚ましたような気分だった。




Q:あれ。電気街ってデンサンタウンだっけ?
A:電気街周辺のエリアがタウンエリア表記なのでこの設定にしました。

Q:エリスチって瞬間移動だっけ……
A:アニメだとそうです。先に言いましたが裏はアニメ仕様に近いものとなっています。
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