ロックマンエグゼ:実績『見損なったぞカーネル!』『負けないアイ』開放ルートRTA   作:ヌオー来訪者

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 架空の電脳やエンカウント考えていると頭おかしなるで……

 なお今回のサブタイトルの文字化けは意図的に変換したものです。
 なんかバグ感出したくてその……(必死)


 あ、そうだ(唐突)
 今回もいただいたスゴイ特殊タグを使っているのでスマホ版推奨です。
 ほんと激熱西方歌詞姉貴氏には頭が上がらないです……(五体投地)


Part9 繧エ繧ケ繝壹Ν、再び

 変なやつがいるぞ! なRTAはーじまーるよー! 

 

 さて、取引当日に入りましたがお昼は自由時間です。

 このタイミングなら稼ぎもバイトも出来ますが、今はフヨウラ! 

 時間を稼ぐために自宅で寝て待ちましょう。寝る子は育つんだよなぁ……ウーン(昏睡)。

 

 

 

 一度寝ると陽が沈みますのでデンサンタウンに行きましょう。

 集合場所は裏通りなのですが、安定を取って裏通りに入ったらセーブしましょう。

 裏通り自体迷路ですが、ルートさえ覚えておけばとくに悩むことはありません。もし仮に間違ってもペナルティがないですし、間違った所にはアイテムが落ちています。

 

 HPメモリとレギュラーUPを回収して、そのまま待ち合わせ場所まで行き着くとイベントです。

 どうやら件の応援は既にスタンバっているようですね。

 

 ホモくんは一度単独で売人に話しかけます。

 ロングコートに帽子でマスクとグラサンと明らかに怪しい風貌です。これは悪いやつですね、間違いない(雑判断)。

 

 で、同行をお願いした瞬間、案の定ホモくんをナイフ♂で襲い掛かりますが……

 

 

 ここで例の応援が出てきます。

 

 

 誰だお前!? (棒読み)

 というかもうバレバレなんだよなぁ……不審者みたいな恰好をしていますがうち2名はホモくんと面識がある人物です。というかアニメ見ている人ならすぐにバレるんだよなぁ……

 シグm……史隈管理官の言う通りの3人組が、近くのビルの上に立っています。不審者が逃げるので一旦応援3人組と一緒に追いましょう。

 

 4人に勝てる訳ないだろ!!!! (アバレンジャー)

 

 

 

 チョ、マテヨ! (KMR)

 

 

 

 

 待てコラァ! (迫真)

 

 

 

 ここで追い続けるとイベントが発生します。

 工事中のビルに辿り着いたみたいですね。ショベルカーとか色々電子制御できる重機が沢山ありますがどう見ても暴走しそうですね。

 

 まぁ暴走するんですけどね! 

 

 オォンアォン! (エンジン音)

 

 既に売人くん、事前に重機を暴走させる準備ができていたので現在絶賛暴走中です。

 工事現場壊れちゃう! 女の子(更地)になっちゃう! 

 

 このまま放置しておくと裏通りの侵入ができなくなるので犯人確保は3人組に任せてこっちはこの重機の鎮圧に入りましょう。

 

 工事現場に入ると重機が暴れ狂っていますのでそれを避けながら何故かビルの上に配置してある重機の制御システムを目指します。

 

 

 

 

 

 

 

 どうやらあの制御システムを使ってコン……

 

 

 

 

 

 

 

 

 下手に暴走重機に近づくと吹っ飛ばされてロス。工事現場の入り口まで最初からやり直しです。

 地味に何回跳ねられてもやり直しになるだけでゲームオーバーにならないあたり(作り手の良心を)感じるんでしたよね(なおポイズンアヌビスと初見殺し)。

 丁寧丁寧に重機を回避しながらビルをかけのぼりコントローラーにプラグインしましょう。

 

【プラグイン! ゼロ.EXE! トランスミッション!】

 

 イクゾー! (カーン! 

 

 

 工事現場の電脳。

 そこが今回のダンジョンです。5に登場した削岩機の電脳や流星のゴミ処理場の電脳を彷彿とさせる光景ですがやることは完全に流星です。

 入り口付近のプログラムくんに話しかけると、内部のシステムに酷いエラーが発生しているようですね。

 

 そのため先に進むためのゲートも大量の岩や砂が積もって先に進めません。

 ここで仲間のプログラムくんが生き埋めにされていてこの岩を排除することができません。

 で、サルベージするために探知機をくれますので探せというわけですね。今回は事前に電波塔の電脳を歩かせたのもあってかエリアは一つだけと簡素な作りになっていますが、暴れまわる電脳ダンプや電脳ショベルを回避しながら進みましょう。

 

 因みに電脳ダンプやショベルに捕まるとダメージを受けた挙句、入り口付近まで吹っ飛ばされてしまいますが、これを利用して回収したらデスルーラしてしまうのもアリでしょう。

 但し、この方法だとオワタ式になりかねないので気を付けましょう。フルエネルギーを買うのも手ですが、タイムを惜しんだので手元にありません。

 

 

 で、生き埋めにされてしまっているヤツはツルハシプログラムくんとドリルプログラムくんとダンププログラムくんです。

 プログラムくんをサルベージしつつ、落ちているHPメモリやゼニーも回収しておきましょう。

 

 ウイルスについてですが、メットールEXとクエイカーとウインドボックス、モモグラン、フロシェルです。

 

 地味にこのEXは通常のに比べてショックウェーブを落としやすいです。というかガバ運やらでメットール1stからろくすっぽ拾えなかったのですが。

 今回厄介な事に通常メットールはメットガード。EXシリーズはショックウェーブを重点に落とす傾向があるようですね。誰だよこんなシステムにした奴。

 

 

 EXなら粘らなくてもそこそこのランクでもショックウェーブを落としてくれます。逆にメットガードは中々落とさないようになっています。

 クエイカーのストーンアームも威力は悪くないのですが、パイルマンとの相性が悪いのと初動がかなり遅いので無しです。

 とりあえずフロシェルやパイルマン対策でショックウェーブは手に入ったら同一コードで極力入れられるだけ入れておきましょう。

 現状キャノンは使うことは多分ありません。サラダバー! 

 

 

 ここからは見所さんはないので倍速逝きますよー逝く逝く。

 

 ヌッ(倍速)。

 

 

 

 

 ヨシ! (現場ナビ)

 これで全員回収できたので、そのまま押しのけましょう。

 制御コンピューターは複数あるのでまた暴走ダンプを避けながら同じようにプラグインして無力化しましょう。引き続き倍速です。

 

 

 

 ギミックをクリアさせると、奥のコントロールシステム前にボスが待ち構えています。

 なんだか重機みたいな外見に両腕が杭になっていますね。

 

 見ての通りパワー系なので落ち着いてボスを処理しましょう。

 こいつが今回のボスのパイルマンです。エグゼとしてはオリジナルですが、歴代シリーズとしては元祖11のボスキャラがベースだと思われます。

 パイルというとあのパイルバンカーで有名ですが、あのパイルです。相手に杭を打ち込む……つまりホモです(暴論)。

 

 エグゼ3に出てくるドリルマンと元々の製造元は同じで、生き別れの兄弟らしいのですがそんなこと知ったこっちゃないので先に地獄に送ってあげましょう(サイコ)。

 

 

 

 

 

...........WARNING

 

..........WARNING

 

 

 

 HPは500と若干高いので警戒しつつ対応しましょう。

 技は、パイルランチャー。ランダム横3列にパイル弾をぶっ放してきます。

 ゼロにいるエリアに3発杭を空から落とすパイルレイン。ひび割れ効果ありなのでさっさと穴をあけてマスを復活させるか、いざというときにとっておくかはプレイヤーの判断に委ねられます。

 そして最前列にいると横2マスにパイルストライク。隙の大きいガッツストレートやロングソードみたいなものですが、威力はシャレにならないので安定を取って中間列か最後列にいましょう。

 必殺技は空から自分自身をパイルとして落下させるパイルクラッシュ。隙だらけですがこいつの威力は即死級なので絶対に避けましょう。

 中心以外のマスに落下して周囲のマスに衝撃波を起こしてきます。しかも揺れるので衝撃波を前提にした回避をしなければ致命傷、最悪死にます。

 怖いなぁ……とづまりすとこ。

 

 ただ発狂しなければ落下パターンは撃ってこないので一定値まで削ったらPAでワンキルしてしまうのがお勧めです。

 

 発狂前だとダッシュアタックと同じ要領で横一直線に突進します。ついでに頭からパイルレインもかましてくるので突進もさけつつ振って来るパイルも避けないといけないので落ちついて避けましょう。

 

 

 

 

 すべてブレイク性能を持っているので間違ってもメットガードで防ごうとは思わないでください。掘られて死にます。

 ただ持っていると損はありません。理由は後程。

 

 

 イアイフォームがあったらもはやカモなのですが当然こんな序盤に手に入るはずがないのであきらめて普通に戦いましょう。

 

 初手の配牌は悪くないのでショックウェーブを2発ぶち込んでやるぜぇ! (勇者王)

 380になったらゼットセイバーで極力削っておきたいですが、安定を取ってやっていません。次のターンです。

 

 なんせこいつスーパーアーマーがついているので、攻撃中に掘られて逝く可能性が高いからですね。

 

 スプレッドガン×2……とりあえず回すためにショットガンと一緒に選んでおきましょう。

 

 HP290

 発狂モードは250以下からなので警戒しつつ、攻撃を冷静に回避していきましょう。次のターンでドリ淫夢ソードが出れば……

 

 

 

 

 

 やったぜ。 投稿者:変態糞オフィシャル (8月16日(水)07時14分22秒(ななじじゅうよんぷんにじゅうにびょう)

 

 

 昨日の8月15日にいつもの浮浪者のナビ(推定0歳)と先日メールくれた汚れ好きの土方のネットナビ、パイルマン(?歳)とわし(16歳)の3人でデンサンタウンにある裏通りを抜けた工事現場で盛りあったぜ。

 今日は明日が休みなんでウイルスからバトルチップを狩ってから滅多に人が来ない所なんで、そこでしこたまチップフォルダ組んでネットバトルやりはじめたんや。

 3人でゼットセイバー振り回しあいながら戦闘体勢になり持って来たパイルとソードを3本ずつ入れあった。

 しばらくしたら、パネルの穴がひくひくして来るし、ゼロウイルスが出口を求めて電脳世界の中でぐるぐるしている。

 浮浪者のナビに穴パネルなめさせながら、パイルマンのパイル弾を舐めてたら、

 先にパイルマンがわしのエリアにパイル弾をドバーっと出して来た。

 それと同時にパイルマンもわしもショットガンやスプレッドガンを出したんや。もう体中傷まみれや。

 3人で出した攻撃を手で掬いながらお互いの体にぶち込みあったり

 ゼロウイルスまみれのセイバーで斬りあってパイルで突貫したりした。ああ^~~たまらねえぜ。

 しばらくやりまくってから又プログラムアドバンスをしあうともう気が狂う程気持ちええんじゃ。

 浮浪者のナビのデータにわしのプログラムアドバンスを突うずるっ込んでやると

 ドリームソードが発動して気持ちが良い。

 パイルマンもナビのエリアにパイル突っ込んで全身つかって居る。

 

 ゼロウイルスまみれのナビのドリームソードを構えながら、思い切りぶった切ったんや。

 

 それからは、もうめちゃくちゃに浮浪者のナビがパイルマンにドリームソードを振って、

 ダメージをぶち込みあい、二回も大爆発を出した。もう一度やりたいぜ。

 

 やはり大勢でゼロウイルスまみれになると最高やで。こんな、変態オフィシャルと電脳あそびしないか。

 ああ~~早く傷まみれになろうぜ。

 デンサンシティのタウン内であえる奴なら最高や。

 

 ゼロウイルスまみれでやりたいやつ、至急、メールくれや。

 バトルオペレーションセットインして、ゼロウイルスだらけでやろうや。

 

 

 はい。

 終わりです。

 発狂に入る前に処理出来ましたね。フンザコカ

 

 これで撃破……と思いきやパイルマンが確率で漢気を見せてきます。見たけりゃ見せてやるよ(ボロン

 何で見せられる必要があるんですか(震え声)。

 

 

【ズドドドドドド……せめてお前は巻き添えだ。ここでオレの漢気で消し飛べ! 紅いのおおおおおおおおおおおおおッ!!!】

 

 

 

 

 

 はい。確率でパイルマンが自爆してきます。なんて迷惑な……(呆れ)

 ここで喰らえばゼロのHPが溶けて行動不能。修復のためのサブシナリオをやらされる羽目になります。これは致命的ガバですね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と 思 っ て い た の か ?

 

 

 その為のメットガード。その為の準備。さっさとメットガードを発動して自爆を防ぎましょう。

 流石にイベント自爆にはブレイク性能はありませんので安心駿河in! (ETZN)。

 カスが効かねえんだよ(震え声)。

 

 

 

 

 

 

 工事完了です……(達成感)

 これでホモくんとゼEROの括約で工事現場は鎮圧しました。この後、応援にきた3人組のリーダーがもう売人をとっ捕まえているのでこれで一件落着。シナリオ2も完ケツです。

 

 

 

 

 

 次回はチームオブカーネル組が一部先行登場するお祭り回

 マリンハーバーの休日/ハーバーブリッジを解放せよ! でお会いしましょう。

 

 今回はここまで。ご視聴、ありがとうございました! 

 

 

 

 

 

 

 Z

 

 

 

 

 デンサンタウンには裏通りと呼ばれる場所がある。

 その名の通りビルの谷間を潜った先にあり、雑多に立ち並ぶ2階程度のボロ家やビルが左右に立ち並ぶのだが、これまた迷路のように入り組んでおり姿を隠すのなら充分過ぎるようなものだった。

 しかも出口が複数あるのもあって、出口を塞ぐなんて選択肢はまず存在しない。3人増えた所で純粋に追いかけて上手く誘い込み、回り込んで取り押さえるしかない。

 

 よくよく考えられているものだ。

 九十九は舌打ちしながら、城金から返却されたゼロとPETを一瞥する。

 

 特にゼロのプログラム構成にウイルスをまき散らしたりするような異変が生じている訳ではない、と城金は言っていた。

 ついでに光主任の許可を経て封印していた一部の学習機能を解除したとは言うが要約するとこちらがどうこうすればいいとかではなくゼロ自身が敵から自らの意思で技を学習する機能だと言う。

 覚書と称したメールを送ってくれているがざっと目を通した所ぶっちゃけこれまで通りだ。

 

「ゼロ、調子はどうだ?」

 

『問題はない。……ただ検査時の城金の様子がおかしかっただけだ』

 

「様子って……」

 

 また不穏なことがと九十九の胃が痛む。

 バレルのことで妙な話を聞いたと思ったら今度は城金か。勘弁してくれと言い掛けた所ゼロが続けた。

 

『元ウイルスのネットナビ……興奮するわ! さぁわたしに包み隠さず全てをさらけ出してちょうだいと酷く鼻息を荒くしており調べる必要もない一部プログラム構成を』

 

「分かった! 分かった! ……もういいから!」

 

 もうこれ以上訊く気にはなれなかった。

 確かなのは城金が変な人だということだけ。これ以上彼女の奇行を知ってもこちらの精神がゴリゴリ削られるだけである。

 

 

 気を取り直して九十九は耳に付けた無線に指を当てた。

 

 

 

「……史隈管理官。今日応援に来るという例の3人組は」

 

『既にスタンバイ中だ。あとはお前が犯人とコンタクトするだけだ』

 

 事前挨拶なしで大丈夫なのか、それ。

 史隈管理官は遭えばすぐ分かると意味ありげに笑っていたものの納得できる九十九ではない。とはいえ、ここでヘタに文句を言ったところでどうにもならないのには違いない。

 

 耳に付けた無線で史隈管理官と軽く連絡してから九十九は裏通りに足を踏み込んだ。集合場所は、場所が悪すぎると20年前に移転したバー【Dアッシュ】跡の前。散らばるゴミを避け入り組んだ道を進むと──店の前にロングコートを羽織り目深に帽子を被った男がそこに居た。

 

 ──あの子供が見た姿と同じか……

 

 PETを預かる上で売人の特徴を聞いていたものの、確かに絵にかいたような不審者だ。

 露骨に怪しい恰好だがこれでは素顔は見えない。

 ご丁寧に顔はサングラスとマスクで隠れている。まぁ……それは後で引っぺがしてしまえばいいとしよう。無線機を髪で隠してから近づき声を掛ける。

 

「えーと、チップを買いに来たんですけど……」

 

「合言葉を言え」

 

 あの予約受付マンとは打って変わって高圧的な物言いだった。

 身長は九十九より若干上。大体175くらいだろう。若干ビビりもしたがここで怖気づくとどんどん戦況は悪い方に向かう。気圧されるな──

 九十九は予約で教えてもらった合言葉を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

「遠足のおやつは500ゼニーまで」

 

 

 

 

「ふむ……なら約束のものだ。……500ゼニーを出せ」

 

「あいよ」

 

 九十九はゼニーの入ったチップを懐から出して、一方でバトルチップを売人は取り出す。

 そして入れ違いにそれを受取ろうとした矢先──九十九がゼニーを地面に落とした。

 

「なっ……」

 

 呆気に取られる男を他所に九十九がPETに内蔵されたオフィシャルネットバトラーのライセンスを見せると、売人のサングラスの奥の瞳が見開かれたような気がした。

 

「オフィシャルだ。アンタには違法チップ売買の嫌疑が掛っている。確認のためセンターまで同行願おうか」

 

「……ちッ、嵌められたってコトか。ガキが」

 

 相手がオフィシャルだろうが気圧されないように威勢を張っているようであった。声が少しばかり震えている。だがこの様子では大人しく引き下がってくれる様子ではないと見た。

 最悪喧嘩殺法で黙らせるしかないかと思った矢先だった。

 

「舐めんなよ……!」

 

 上着の内側からキラリと光る何かを取り出した。……短く細いそれを九十九は目を細めて見る。果物ナイフか。

 レンジは狭いが、こういった狭い場所では有効武器と言える。相手がバレルのようなプロフェッショナルではないにしろ上手く立ち回らなければ脅威だ。

 

「待て待て待て待てナイフはないだろ……果物ナイフは人刺すモノじゃないだろ……」

 

 刃物もネットワークも使いようとは言うが、悪用しかしていないその光景に苦笑いが出る。

 ここで動きをミスれば大怪我だ。じゃり、と地面に転がる小粒の石々を自分の脚が踏みしめる音がやけに鮮明に聞こえた。

 

 そして売人がナイフの先を九十九に向けたその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

「待てぇい!」

 

 

 

 

 

 低い誰かの声がこだました。

 一体誰だ、何処にいる。売人も九十九も互いを譲らないまま隙を見せないままあたりを見回す。右左と見ても声の主はいない。

 

「ん!?」

 

 ふと、人の気配を感じた九十九は咄嗟にDアッシュのあったビルの上を見ると釣られて男も同じ場所を見た。

 そこには月明かりに照らされた3人の影。

 明らかに様子のおかしい光景に売人は気炎を上げた。

 

「なんなんだお前!」

 

「貴様の悪行三昧を止める者、とでも言っておこう」

 

 頭には赤い魚のようなヘルメットに黒いゴーグルで素顔は見えない。

 左右の二人も仮面を被っており同様だ。黒いマントを身に纏い誰が誰だか分かりはしない。困惑していると史隈管理官からの無線が届いた。

 

『聞こえるか星方、合流したようだな。彼らが例の応援だ。特殊ネットバトラー課のビーフ司令。黒バラ仮面、そしてみゆみゆだ」

 

「……えぇ」

 

 名前も中々ふざけている上に、なんというか魚なのにビーフって何事だ。

 

 他人よりも自分自身の正気を疑いかけた。

 もしかしたら熱にうなされておかしな夢を見ているんじゃないかと。風邪をひいた時は大体頭のおかしな夢をみてしまうが、きっとそれだ。それに違いない、そうであってくれ。お願いだから。

 

「まさか事前に合流させなかったのって……」

 

『まぁ……そういうことだ』

 

 確かに初見こんなのと組めと言われたらやる気を無くしかねない。史隈管理官の判断は間違っていなかった。

 

 

 

 

 

「それがどうした! この野郎が!」

 

 ヤケになったか、九十九に向かってナイフを近づけ飛びかかる。恐らく自分を人質にしてスタコラさっさとキメるつもりだろう。

 九十九が後方に飛び避けて距離を取った矢先だった。

 

「とうっ!」

 

 ビーフ司令が九十九と売人の間に割ってビルの上から手首から伸びるワイヤーを使ってするりと駆け下り、何処からか取り出した尻尾と骨と頭だけの魚の形をした警棒(?)で売人のナイフを打ち払った。

 

 ナイフが宙を舞い、あらぬ方向に落ちてカランカランと音を立てる。得物捌きはビーフ司令の方が上なのは素人目で見ても明らかだった。

 一瞬で丸腰にされた売人に最早抵抗する手段は残されていないようだった。一歩二歩と後退りしてから……脱兎の如く逃げ出す。

 

 チャンスだ。今この瞬間を逃すわけにはいかない。

 

「二人とも! 追うんだ! 星方くんも追うんだ!」

 

 ビーフ司令の声が飛ぶよりも先に黒バラ仮面とみゆみゆがビルの階段から駆け下りてきてそのまま男を追い始める。

 確かに史隈管理官が目を付けるだけの実力はあるようだった。味方としてはかなり心強い。

 

 ──いやでもどうしてビーフなんだ……

 

 

 

 裏通りのルートは多岐に渡る。

 その為先回りしたとしても必ずしもそこに行くとは限らない。

 デンサンタウンが栄える前の在りし日の遺産。

 今となっては負の遺産もいいところだ。迷路と化しており、一部は取り壊しも始めている。

 

 右に左に前にと、少しでも意識すれば目を回しそうな三半規管を騙しながら売人を追う。

 すると次第に道が広がっていく。もう裏通りとは言えなくなってきたところで、広場に出た。

 

 

 広場の真ん中には中途半端な作りの5階程度のビルがポツンと立っており、それを守るように取り付けられた資材ともども夜風に晒されていた。

 というより、取り壊された裏通りの一部をアパートとかに再利用しようと工事を始めているようだ。

 

 逃亡する売人が指を鳴らすや否や、左右からエンジン音が鳴り響いた。

 

 ──まさか!? 

 

 九十九は咄嗟に横殴りに走るダンプカーを飛び避けた。

 

「……まさか暴走!?」

 

 売人の合図とともに始まったそれはありとあらゆる重機が出鱈目な動きで走り回っている。

 ビーフ司令も、黒バラ仮面もみゆみゆも避けているが……

 

 見た感じこの3名は身体能力は高そうだ。

 それに脚もそこそこ速い。となれば取るべき判断は一つ。

 

「3人は先に行って売人を! オレはコイツらを止める!」

 

「しかし!?」

 

 黒バラ仮面が反駁するも今は論じている時間はない。みゆみゆもビーフ司令も足を止め、何か言いたげだったがそれはあとでいくらでも聞こう。

 今はその時じゃない。

 

「アンタたちの方が多分確実にアイツを黙らせられる! 悔しいけど!」

 

 ナイフを前になんともないやつの方が信用出来るという奴だ。

 二人にこのまま広場を突っ切って抜け出し先に行くことを促すと、また次に襲いくるダンプカーを避けながら工事現場の出入り口まで退避すると史隈管理官からの無線が鳴った。

 

『何事だ!』

 

 不穏当なエンジン音や破壊音、九十九の叫び声で状況を僅かばかり察したのだろう。

 

「デンサンタウン裏通り、工事現場において重機が暴走。建設中のビルなどの無差別破壊を開始。追跡は特殊ネットバトラー課に任せ直ちに鎮圧に入ります!」

 

『まさかここまで派手にやられるとはな……気をつけろ』

 

「オーライ!」

 

 あの狂ったように縦横無尽に駆け回る重機は確実に避けなければ大怪我どころでは済まない。

 そして放っておけば工事現場の外に少なからず被害が出るのは目に見えている。

 放置すればビルが倒壊して周辺に被害を与えるか、広場を出て夜道を爆走。街をめちゃくちゃにするだけだ。

 

「とは言っても……だ。どうやったら止まるんだァこれ」

 

 勢いで言ったものの、まさかあの暴れ狂う車両に一つ一つ飛び乗って暴走を止めるなんておかしなことをしなければならないのか。

 一括処理ができるようなものがあればいいが。

 

『最近の工事システムはリモコン操作やネットナビ、プログラムくんなどの擬似人格で制御しているパターンが多い。特にデンサンタウンだ……最新のシステムを積んでいるだろう。恐らく遠隔操作している区画があるはずだ。……そう遠くない場所に』

 

「区画? そんな都合よくあるわけ……あったわ」

 

 あたりを見回すとそれらしき光が作りかけのビルの剥き出しの中身から見えた。起動状態だからか煌々と光を放っていた。恐らくモニターが光源だろう。

 ……まぁ車両一つ一つ止めるよりまだマシでもある。

 それをやる上でどうしてもこの危険にも程があるような工事現場を通らなければならないが。外周なんて使い物にはならない。老朽化した建造物やら何やらがいい具合に邪魔し腐っている。

 

 

 面倒なことにコントロールしやすいように見晴らしのいい中心寄りの場所にある作りかけのビルの上にコントロールマシンを置いてある。タラップをよじ登る形となる。

 結局あの重機が暴れ回る地獄みたいなところを走らなければならない。

 

 ──誰だよ現場監督出てきやがれ。

 

 あたり構わず突撃をかますショベルカーやらトラックが猛獣のように見えた。

 食われれば命はない。

 

 ロクな仕事じゃねぇと自嘲気味に笑いながら九十九はぴょんぴょんと数回跳ねて、走り出す体勢に入るとそれに気づいたゼロが声を上げた。

 

『ツクモ、何をする気だ』

 

「深夜の大運動会だ」

 

 これぞオワタ式深夜大運動会という奴だと九十九はヤケクソ気味に笑う。

 車両に当たればまずアウト。病院送り待ったなし。

 最悪死ぬ。

 とはいえ、ここまで危険なことを見ず知らずの助っ人にやらせるのは気が引ける。だったらさっさと突破させてここから離れてもらったほうがマシだ。

 

 もうあとは無我夢中だった。

 滅茶苦茶に走り回るそれらを避けながら、もつれる脚を必死に持ち直させながら走る、走る、走る。

 整地し切れていない地面を踏み、よろけた途端真後ろでエンジン音が横切る。

 

 ──止まるな、止まればお前に明日はない。

 

 本能が走る九十九に言い聞かせる。

 死後の世界なんてただの慰めだと。そう必死に死神の手から逃れるように走る。

 ビルの中に滑り込み、タラップに手をかけた時は最早しがみつくような思いだった。

 

 切れそうな緊張の糸を無理やり引っ張りながら中途半端な作りのビルのタラップをよじ登る。

 掴み損ねて空振る腕を、何よりも早く動かして掴み直した。

 

 

 それからの記憶は定かではない。

 気付けば既にタラップを登り切り、ビルの中コンクリートの上で剥き出しの資材に引っかかって転ぶ。

 ひどく体が痛むし、なんなら服も破けているだろうがアドレナリンが確認することを拒否し切っていた。

 ボロボロの体をほうほうと動かしホルスターから取り出したPETからプラグイン用のケーブルを引き抜く。

 

 起動している管制装置はもうすぐ目の前だった。

 

『随分な無茶をする……!』

 

 淡々と喋るゼロらしからぬ物言いに九十九は苦笑いする。ナビから見てもこれは無茶か。

 今思えば、デットオアデッドな場所を走っているのだ。生きて帰れたらもう2度とやりたくないと心の中で毒づく。

 命あってのナントヤラだ。

 

「あぁ……多分。オレもしかしたら何回か死んでるかもしれない。でもさ、いつ倒壊して死ぬか分からん所にあの助けてくれた3人にやらせるのも……なんかアレだ。現在進行形で運が悪ければこのまま瓦礫の下敷きになってミンチだなんて、他のやつがなったら後味悪いだろ」

 

 やらせるわけにはいかない。

 今この瞬間、近くにいる人間がやるしかない。

 でも2度ともうやるものか。と、自分に言い聞かせながら、ケーブルを管制装置のプラグイン用の穴に叩き込んだ。

 

「プラグイン、ゼロ.EXE! トランスミッション!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼロが工事現場の電脳に侵入してからというもの、定期的にビルが振動を起こしていた。

 パラパラと落ちる埃が肩に積もる。

 

 下であたり構わず暴走する重機がコンクリートを砕き、鉄骨をねじ曲げようとしている。

 かつて地震大国と呼ばれたニホンだ。その技術は科学技術が発展して地震の数が激減した現代でも相応の耐久性を持っている。

 とはいえ、過信は出来ない。

 こんな風に未完成の状態でイカれた重機にメタメタに壊されるかもしれないとか、想定しているわけがない。

 

 ゼロが管制システムの奥に進む為の協力をしてくれるプログラムくんが生き埋めにされてしまい、それの救出をする中で、無意識に作っていた握り拳が掌を傷つけていた。

 

 

 

 

 ゼロの仕事は早かった。

 工事現場の電脳で生き埋めにされたプログラムくんを救い出し、彼らの協力で道を塞ぐ破壊不能の電脳岩や土を適切に除去していく。

 塞がれた道の奥には、管制システムが待っている。

 

 

 

 

 そして──案の定といえば案の定か。

 

 黒と茶色の重機をヒトの形にしたようなナビが待ち構えていた。

 大人型ナビと同じくらいのゼロより一回り大きく、腕には杭のようなものがついている。

 腕だけじゃない、頭頂部にもある。見ただけでもパワーはそれなりにありそうだ。

 

 アレで殴られようならゼロの装甲に大穴が開くのは明白だ。

 

『ズドドドドド……テメェ、まさかあの中を突っ切って来やがったのか?! 正気じゃねぇな!』

 

 ナビが九十九に向けて笑い飛ばす。

 やっぱり正気じゃないという扱いか、と九十九は苦笑してから舌打ちした。

 

「それはどっちだ。こんなド深夜に重機を暴走させるようなヤツが正気を語るんじゃないよ」

 

『ヘッ、イカれた奴は嫌いじゃないぜ。オレはパイルマン、テメェに風穴を開ける漢だ!』

 

 パイル……杭。そういうことか。

 丁寧な挨拶でいいことだが、どちらにしろ邪魔立てするなら叩き斬るしかない。チップを仕舞ったホルダーに手を伸ばし、いつでも引き抜けるように構える。

 

『それになぁ、真にイカれているかどうかは後世が決めるんだ。テメェじゃあねぇ』

 

「えっと何が言いたい?」

 

『ガハハ! 新しい秩序の上でお前たちは犯罪者だって事だ!』

 

 新しい秩序。

 その竹を割ったような物言いに反した胡散臭い単語がどこか引っかかる。

 随分と大きく出たものである。それに加えて後ろに何か大きなものがある予感もひしひしと感じていた。

 

『悪いがオマエたちの秩序とやらには興味はない。……そこを退け』

 

 ゼロが右手をゼットセイバーに切り替え、戦闘態勢に入る。

 退かなければどうなっても責任は取らない、と。寡黙なナビの持つ刃が雄弁に語っていた。

 

『おう、そいつぁ出来ねぇなぁ。紅いの! オマエはここでオレにデリートされるのさ!』

 

 最早何言っても引き下がるつもりはないらしい。オフィシャル権限で実力を行使する。

 九十九ホルダーから5枚のチップを引き抜き、九十九は叫ぶ。

 

「バトルオペレーションセット!」

『イン!』

 

『ズドド……風穴空けてやるぜぇ!』

 

 

 

 

 

 

 

...........WARNING

 

..........WARNING

 

 

 

 

 戦闘が始まるや否や、先に仕掛けたのはパイルマンだった。

 頭の杭が空目掛けて射出されると、また新しく杭が生えてきてそれもまた射出される。

 それを3回ほど繰り返すと、空を飛ぶ杭は一定距離まで上昇を終えると弧を描くように、さながらミサイルのように地面に向かってそれぞれバラバラに飛んでいく。

 

 うち一発がゼロに目掛けて飛んでいた。

 それを最低限の動きで避けると、すぐ側で地面に突き刺さった杭が爆発を起こす。

 なるほどミサイルか。

 

 ゼロは爆風に押し流されながら冷静に着地し、再び飛んでくるミサイルのようなものをゼットセイバーで弾き飛ばし被弾を避ける。

 必要以上に動かないのは動きの癖を悟られないようにする為だ。

 

 次に腕のパイルを弾丸にして飛ばし始めるパイルマンにゼロは上体を逸らすだけでかわしてみせる。

 回避アクションの最中わずかな隙を狙って、九十九はチップを1枚PETに叩き込むと、右腕のゼットセイバーが白く輝いた。

 

 そして、ゼロはそのゼットセイバーで地面を殴りつけると衝撃が生まれ、それをそのまま弾き出すようにゼットセイバーで斬り上げた。

 

 バトルチップ、ショックウェーブ

 ゼットセイバーで押し出され一直線に地面を疾る衝撃は、パイルマンの足元で炸裂した。

 そして時間差でもう一撃が放たれる。

 

「──命中」

 

 パイルマンの移動速度は大したものではない。

 動きを読めばショックウェーブを当てることも容易い。

 

『て、テメェ……ソード使いとは漢気ある野郎と思っていたが、存外セコい真似をするものだな』

 

 恨めしげに言うパイルマンだが、それで傷つくほどゼロも柔なメンタルを持っていない。

 そして九十九も明らかにパワー差のある相手に下手なインファイトをさせるつもりは無かった。

 それでゼロがデリートされれば本末転倒というヤツだ。

 

 パイルマンが詰めれば、ゼロが退る。

 痺れを切らしてパイル弾を腕から発射するものの、ゼロは左腕をスプレッドガンや後方に誘爆させるショットガンに変えて、射出されたばかりのパイル弾に命中させた。

 

「ヌゥッ!?」

 

 着弾点から周囲に誘爆するそれはパイルマンの重厚な装甲を僅かに傷つける。

 ゼロは確かにインファイターだ。しかし飛び道具も十全に使えるのだ。

 特にパイルマンという典型的なパワーファイターが相手だ。たかだか一振りの斬撃で怯むことはないだろうから射程外から狙うというのは理にかなっていた。

 その上速度差を鑑みればショックウェーブだろうがスプレッドガンだろうが簡単に命中する。

 

 ちまちまと飛び道具を使うゼロにパイルマンの苛立ちは加速する。

 

『ズドドドドド……テメェのような奴に新しい秩序の邪魔をされると思うと腹が立ってきたぜ……!』

 

 パイルマンは拳を振り上げて、背中から火を噴かせる──背中についているものはブースターか。

 

「──まずい、ゼロ、避けろ」

 

『オレの漢気を受けろォォォォォォォォォ!』

 

 九十九の声で警戒したゼロが射撃を止めた途端、パイルマンが、キオルシンよりも速く直進。そのまま突撃をかけてきた。

 ごうっ、とPETが拾った音からノイズが放たれる。

 音がノイズでかき消される中で、ゼロがパイルマンの突撃に流されて吹っ飛ぶ姿が見える。

 

 避けたとしてもこれか。

 もし直撃を喰らおうならゼロの身体が頭、ボディ、脚部と3分割されること請け合いだ。

 回避に専念しても衝撃波でゼロの体力が奪われるだけか。

 突撃を繰り返すパイルマンに遠距離射撃を仕掛けるもののことごとく弾かれた。挙句突撃の最中頭からパイルの雨を降らせてくるお陰で回避ルートも制限されるという有様だ。

 

『ズドドドドドドドドラァ! そんな軟弱な飛び道具でオレの漢気は止められねえェーッ!』

 

「猪か……! そんなのアリかよ!?」

 

 九十九は毒づくものの、パイルマンの突撃は幾度となく繰り返される。

 動きは直線的だが、一つ一つのスピードがバカにならない。更に先読みでX軸を逸らした所で緩やかに軌道修正をした挙句衝撃波でゼロを吹っ飛ばし続ける。

 

 インチキパワーも大概にしろと言いたいが文句を言ってもこの猪は止まらない止められない。

 

『どうするツクモ。……ヤツの突進力は尋常ではない。このままではなぶり殺しだ』

 

 生半可な攻撃で止まらないのだとしたら今この瞬間出せる最大火力で何としてでもワンキルするしかないだろう。

 あのパイルマンの耐久性がどこまであるかデータにないが──あの遠距離射撃で僅かに付けた傷を狙えばあるいは。

 

「──ゼロ、プログラムアドバンスだ」

 

『やるのか、ツクモ』

 

 プログラムアドバンスとは、ある特定のバトルチップが一種の化学反応と起こしてギガクラス並の力を発揮する一種のエラー、バグのようなもの。

 1回だけでもPETとチップに掛かる負担も大きいが故に連続して発動はしないように出来ている。

 そしてプログラムアドバンスとて万能ではない。バトルチップ単体でも短時間での連続使用は出来ないようになっている。この縛りの上で3枚以上──つまり30枚までのリミットが掛けられたチップフォルダの10分の1を生贄にしなければならないことを考えると中々ピーキーなものだ。

 

 だからこそ「とっておき」とも言える。

 前回のカットマンのようにデータがあるならまだしも、今居る相手は未知のナビなのだ。

 とはいえこの状況で出し惜しみしていたらゼロが消し飛びかねない。

 

「バトルチップ! ソード! ワイドソード! ロングソード! トリプルスロットイン!」

 

【Program Advance Lv.1】

 

「プログラムアドバンス:ドリームソード!」

 

 ゼロの手元にゼットセイバー以上に強く輝く光の剣が生成される。そんなことおかまいなしで攻撃を繰り返すパイルマン。

 これ以上悠長にして居られないと九十九は大急ぎで、データを送り込む。

 

『む? これは』

 

「パイルマンの装甲は下手すればドリームソードでは破壊し切れない。なら先に度重なる遠距離射撃で少し傷付いている箇所を狙うしかない。行けるか?」

 

 九十九の問いにゼロは無言で頷く。

 飛び道具がまともに効かない現状、この一撃に賭ける。

 傷の箇所を確認したゼロは現実の剣術で言う霞の構えを取り真っ直ぐに飛び掛かるパイルマンに備えそして──

 

 ドリームソードの間合いでありかつ、衝撃波の影響をあまり受けない位置取りで突撃を回避。

 目を見開くパイルマンの横で、ゼロは擦れ違い様に傷口目掛けてドリームソードを横に一閃させた。

 

 

 

 

 

 

 

『……くっ、浅いッ』

 

 仕損じた。ゼロも九十九も気づいた時にはパイルマンは人間なら骨の何本かやっているような転がり方で転倒。彼が転がった跡はもくもくと砂煙が立ち込めた。

 一撃で仕留めきれなかったとはいえちゃんとゼロは傷口を狙い、あの巨体をここまで転倒させたとなればタダでは済むまい。

 

 砂煙が晴れ上がった時にはパイルマンが錆びついたロボットのように全身をがたがたさせながら立ち上がっていた。

 そのボディには先ほどの一撃で大きな傷口が出来上がっており、素人目でも分かる。これはもう──助からない。

 

『チッ……やらかしちまったか』

 

 パイルマン自身も今の傷が致命傷であることには気づいていたようだ。

 傷口から崩壊していくデータを一瞥して毒づく。

 

 消滅する前に吐かせておこうと九十九は口を開いた。

 

「お前たちは新たな秩序と言った。お前たちの目的はなんだ、その自信はどっから来るんだ」

 

 大きく出たからには背後には何かしらの大きなものが潜んでいるはずだ。

 あの売人がオペレーターならばそいつに吐かせればいいとはいえ、情報は多い方がいいというものだ。ゼロがゼットバスターの銃口を向けながら脅しをかけるものの、パイルマン自身は覚悟ができていたのか物怖じ一つもしていなかった。

 

『ズドド……あ……新しい秩序の先にはあるべき未来が到来する。世界を変えるのは未来を見据えちゃいないワイリーなんてジジイじゃねえ…………!』

 

 妙な名前を耳にした。

 ワイリー。あのWWW総帥のワイリー博士か。あの男は既に数か月前のWWW事件においてアジトの自爆に巻き込まれて爆死したという話だ。

 

「何故そこでワイリーの名前が出てくる?」

 

 単純にビッグネームだから喩えに出した可能性もあるが、こんな状況で出されれば多少なりとて疑いもする。だがそれにパイルマンは口を噤んだまま、自分の言いたい事だけを吐き散らす。

 

『ズドドドドドド……せめてお前は巻き添えだ。ここでオレの漢気で消し飛べ! 紅いのおおおおおおおおおおおおおッ!!!』

 

 パイルマンが吠えた瞬間だった。

 PETからアラートが鳴り響く。パイルマンを中心にエネルギー反応増大。

 ──オーバーロードさせて自爆するつもりか!? 

 それを証拠にボディが白い光を発して点滅しており、どんどんその間隔が短くなっていく。

 プラグアウトは──出来ない。戦闘の余波でしばらく出来ないようにエラーが出てしまっている。コードを引っ込抜いた所でゼロがこの電脳に取り残されるだけだ。

 

 挙句、背中のブースターで物凄い勢いでゼロに迫るではないか。

 迎撃しても──駄目だ。間に合わないならば。

 

『新しいゴスペルに! 栄光あれえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッ!!!!!!!! ズドドドドドドドラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』

 

「間に合え────ッ」

 

 咄嗟にホルダーから引き抜いたチップをPETに叩き込む。

 スロットインから転送までのタイムラグは1秒ちょい──それでもこのラグはゼロにとって死活問題であった。

 

 

 パイルマンが白く染まる。

 ノーマルナビならよくて致命傷。最悪デリートだ。ゼロでもリカバリーに時間を要するであろう爆発がゼロを呑み込んだ。

 

「くっ……ゼロ!!!!」

 

 間に合わなかったか。

 PETの電脳世界の様子を映し出す画面は砂嵐に呑まれ、スピーカーから音すらも消え失せる。中でどうなっているのか分からなくなっている今、九十九の心臓は喧しく鳴っていた。

 

 

 

 

 ノイズが徐々に納まって行く。

 僅かに見える世界を九十九は目を細めて覗き込んだ。ゼロは生きているのか、それとも──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『問題ない。……尤も、メットガードは壊れたようだが』

 

 ノイズが消えた頃にはゼロは構えを解いてゆらりと立ち上がっていた。腕に装備されたメットガードは至る所に亀裂が入っており、ゼロが軽く持ち上げるとそのままパラパラと音を立てて崩壊、消滅した。

 

 ──ま、間に合ったのか。

 

 一気に気が抜け、近くの柱にもたれて頽れた。

 これまで張り詰めたものが一気に弾けた気分だ。立ち上がる気分にはなれなかった。

 

 喩えオペレーターでも現実世界で事件が起こればその身で渦中に飛び込まなければならない時がある。そのことを考えればバレルの苛烈な訓練プログラムも無駄とは言い切れなかった。

 

「……あいつ、ゴスペルとか言ってたな」

 

 それはそうとあのパイルマンの残した一言は九十九に深く突き刺さっていた。

 ゴスペルは本拠地はオフィシャルに押さえられ、首領はとっくに壊滅しているはずだ。

 

『ゴスペルか。首領が居ないいま、残党だと推測できるが……』

 

 残党が騒いでいるだけならばそれでいい。

 だが、今この瞬間違法チップの売買やらメトロラインの暴走やら何やらと大きな動きをしている。

 

 考えたくもないが新しいリーダーでも手に入れたか。

 とはいえ今ここで考えても仕方がない。それに疲れ切った自分の頭では真っ当な答えが出る気がしなかったのだ。

 

 

 しかし──すべてが終わったわけじゃない。

 

 

 気付けと言わんばかりにビルが酷く揺れた。

 しまった。このままではビルが倒壊してお陀仏だ。慌てて九十九はPETに声を張り上げる。

 

「……ッ! まだだ、ゼロ。重機を止めてくれ!」

 

『今やっている!』

 

 重機が唸り、当たり構わず突進したり持ち上げた鉄骨を雑に落としていく。

 金属がぶつかり合い、何かが壊れる音。先ほどまでオペレーションに意識を傾けていたので聴こえちゃいなかったが、かなり不穏当な音まで聴こえる始末だ。

 

 徐々に揺れが大きくなっていく。

 ふとこのビルが倒壊していくのを想像してしまい、背中に冷や汗が流れた。このままでは本当にお陀仏だ。自分の生殺与奪がゼロによって握られている状態だ。……あとはゼロの処理速度に全てを賭けるしかないのだ。

 

 バキィ! と何かが圧し折れる音がする。

 何が折れたのかはもう考えたくもない。加えて今確かめるために立ち上がれば揺れにやられて壁のないビルから落下して死ぬだけだ。

 もう倒れる──そう思った矢先、鳴り響き続けたエンジン音やら破壊音がピタリと止んだ。

 

「……止まった?」

 

『停止命令を送った。無事かツクモ』

 

「……あぁ……無事。うん……ありがと、死ぬかと思った」

 

 最早投げやりな返事しか出なかった。こころなしかちょっとこのビル傾いている気がしなくもない。

 何時倒壊するかわからない状況下、九十九が引き攣った笑みを浮かべると無線が飛んできた。史隈管理官だ。

 

 

『星方、聴こえるか。ビーフ司令が売人の確保に成功したと報告が入った』

 

「……さすが。こっちも工事現場で暴れてる奴は止めました……今センター行きます」

 

 命からがら……という訳だ。ゼロをプラグアウトさせ、這うように降りる為にタラップに向かおうとした所──

 

 

 揺れの所為かタラップがものの見事に壊れていた。

 責任者出てこい。耐震構造どうなってやがる。

 

 

 生きて帰れたら絶対問い詰めてやる。

 

 

 

「あーあ……なんだよそれは」

 

 

 

 

 完全に帰るルートを喪った九十九はへたり込んだ。5階から4階まで。

 頑張れば降りられないこともないが、こんな状況で危ないルートを通って死ぬなんて間抜けなことは絶対にしたくはない。

 DNNのスタントマンのように飛び降りて無事でいられる自信がない。確実に骨が折れる。

 ビーフ司令のようにワイヤーがあれば適当な所に括りつけて降りられただろうが……

 

「随分と無茶をしたものね」

 

 タラップのないただの穴と化した場所から声がした。力なく九十九が下を覗きこむとあの3人組の一人、みゆみゆがじとーっとした目でこちらを見上げていた。呆れているようだ。

 確かに振り返れば割と正気を疑うようなことをやっていたような気もしなくもない。あんな重機が暴れ回る中を突っ切るような真似はもう2度としたくはない。

 

「すんません。梯子がぶっ壊れてまして……そっから下はどうです?」

 

「問題はないわ。ただあまり時間をかけない方がいい。おそらく固定が甘かったのでしょうね……とっ!」

 

 みゆみゆが下から5階目掛けてぴょんと軽くジャンプしながらなにかを投げた。それをキャッチすると投げたものがロープだということに九十九は気付いた。

 

「それを使ってはやく降りなさい。ここ……違法建築でもしていたのでしょうね。部品のたましいたちが悲鳴を上げている……危ないわ」

 

「いっ!?」

 

 背筋が凍るような感覚が九十九を襲った。何故そんなことが分かるのか知りたかったがそんな事よりもさきにこんな所から脱出するのが最優先だ。慌てて適当な出っ張りにロープを括りつけて滑り下りる。

 それからタラップを使い降りていく。みゆみゆを横目に九十九は眉を顰めながら口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

「あのぉ、みゆみゆさん……でしたっけ? どっかでお会いませんでした?」

 

「さぁ? 人違いでしょう」

 

「そっすか……」

 




・星方九十九
 主人公。16歳。
 オフィシャルネットバトラー兼学生ということもあり、しょっちゅう講義を欠席し続けみゆきに借りを作り続けている。少し特徴のある髪型をしているとかなんとか。
 ゼロは監視の意味合いもかねて最近受領し、ゼロ本人の希望もありオフィシャルネットバトラーとしてゼロと共に奔走している。

 名前のモチーフは星型ネットワーク。そしてゼロに対する数字とMighty No.9
 コンセプトはガサツ気味にしたエックス。



 おま○け「アーカイブ」

・Eメール
from:城金アリア
to:星方九十九
subject:ゼロの学習能力について

 どうせ覚えていないでしょうから覚え書きとしてこのメールを送ります。
 ゼロは設計者が設計者なこともあって、非常に高い学習能力を持っています。それこそ無かったハズの感情を獲得してしまうほどに。
 強力過ぎる学習能力は時としてゼロ自身を傷付けることもあり、光主任の判断によって封印されたのだけれども、今回の事件で今後事態が悪化するであろうことを見据えてゼロに悪影響が発生しない程度に一部を解禁することとなりました。

 その名もラーニングシステム
 戦闘を積み重ねてゼロが相手の能力から必要だと思った部分を自分なりに真似をして自分の技にしていきます。
 強い敵と戦えば戦う程ゼロがパワーアップしていくのですが、デリートされては意味がないので決して無茶だけはさせないように。

 以上。

 


 幕間で事後処理とかその辺の話も挟む予定です。
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