目覚めたら相棒と最強装備と宇宙船持ちだったけど、やることもないし付き合ってやるかな 作:楠葉
プロローグ
目の前に広がる先の見えない闇、そこに混ざる壮大な星々。
そして、ところどころに漂う何かの残骸。
別にどこかを見ているわけでもなく、考え事をしているわけではないこの瞬間が好きだ。
近い感覚はプールで浮かび、ただただ空を眺めている時のようなものだ。
「おーいカオル、そろそろ回収を手伝ってくれよ。クエが終わっちまうぞ。」
声を掛けられて、意識が現実へと引き戻される。
『Stella Online』《ステラオンライン》
シンプルな名前のSFテイストのオンラインゲームで、非常に自由度の高いゲームで、広大な宇宙を股にかけて冒険をするもよし、傭兵として戦場を渡り歩くもよし、コンテナ船のオーナーになって交易をするもよし、という感じでプレイヤーの数だけプレイスタイルがあるというのが売りのゲーム。
俺達はスタンダードに傭兵プレイをしている。別にそれだけをしているわけではないが、資金を貯めて、宇宙船を乗り換え、カスタマイズして今の宇宙船を手に入れてからはこんな感じだ。
声をかけてくれた彼は、同時期にこのゲームを始めた会社の同僚だ。
面白いやつで、こうして一緒にゲームをするような仲ではあるが、出会いは最悪に近いものだったと記載しておこうか。
「悪い。すぐにやる。」
意識が覚醒して、先程の戦闘した宇宙船の残骸からアイテムを回収する。
拾うものを拾い終わると、残骸が消えていく。
どうやら本当にギリギリだったらしい。
目の前の光景がリザルト画面へと変わる。
ボタンを適当に押して映る内容を処理していく。
「お疲れさんっと。クエスト付き合ってくれて、ありがとな。相棒がいると戦闘が楽で助かるわ。」
「俺の船だと入れない場所もあるから、ヒロがいるとこちらも助かる。これで予定のクエスト終わったが、まだ何かやるか?」
「うーん、どうす・・・、いや、今日はここまでにして続きはまた今度。いい時間だな。」
続けて、何かやるか聞くとそう返事が返ってくる。時計を見ると日付を跨いでいる。
向こうから気が抜けてか、欠伸をしているのが伝わってくる。
「んじゃ、お疲れさんっと。明日?も仕事頑張ってくれ。」
「ヒロもな。おやすみ。」
適当に挨拶をしてチャットを終了して、ゲーミングチェアーから立ち上がり伸びを行う。デスクを片付けてベットへと横になる。
普通に生活して、仕事して、遊んでどこにでもいる平凡な人生を送っている今の生活。
「俺は本当に転生したのか、それとも幼い頃の妄想だったのか。いやでも。」
つい口に出てしまうが、別に今更何かが変わるわけでもない。やめやめと思考を振り払い、睡魔へと身を委ねて、眠りにつく。