目覚めたら相棒と最強装備と宇宙船持ちだったけど、やることもないし付き合ってやるかな   作:楠葉

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# 004 尋問とおまけで情報収集を

「それで、この積み荷の大量のレアメタルはどこで?」

 

 

「船に積んであるものは『ほぼ』宙賊を撃破して奪った略奪品ですが。それ以上何があると?」

 

 

港湾管理局員に滅茶苦茶尋問されているのが現在の状況。

ヒロにばかり問いただしているのは何故だろうか?

たまに、此方にチラチラ見ているのが気になる。

 

船にあった大量のレアメタルに関しては出処を探られた。

普通に考えても多いのにそれが二隻分もあるからな。

ぶっちゃけ出処を探られても俺達も出処がわかんねぇから、

しらを切るしかないわけで。

気づいたら乗ってたって言うわけにはいかないからな。

しかも今の俺達は所属も何もない自称傭兵である。

身分を証明するものが何一つ無いのだ。

そんな怪しいやつが大量の貴金属を持ち込んできたら?

というわけで、港湾管理局員も張り切って尋問するってもんだろう。

こちらとしてはたまったもんじゃないがな。

 

 

「……どうしても出処は言えないと?」

 

 

「積み荷の出処に関してはさっきから包み隠さず言ってるでしょうが。

いい加減この不毛なやり取りにはうんざりなんだが。」

 

 

更にこいつさっきから意図的に堂々巡りを繰り返している感じなんだよな。

俺達がうんざりして何かしらのボロを出すのを待っているんだろうか? 

進展もしないこの状況にイライラする。

ってか、こいつの最初の対応からしてぶっ飛ばしてやろうかとすら思ってたってのに。

 

 

 

 

 

 

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「嬢ちゃん、何処からこんなに沢山のレアメタルを盗ってきたんだい?」

 

 

コロニーに来る前に狩った宙賊の賞金と奴等のねぐらのデータで

報奨金を貰いに港湾管理局に行ったところまでよかったのだが、

証拠品を見せるために積荷を見せたら、

強制的に武装を解除させられこんなとこに引っ張ってこられたのだ。

まぁ、引っ張られてたのはカオルだけで俺は後ろから銃を突き付けられての移動だったのだが。

流石にビビった。

で、少し歩いて入ったこの部屋で先の一言。

 

 

「誰が嬢ちゃんだ!俺は男だ、この変態が!」

 

 

身長も俺の肩くらいで、手入れの行き届いた綺麗な銀のサイドテール。

小顔でキリッとした瞳にスッと高い鼻。

一緒に歩けば、大概の男どもは振り返るその容姿。

そして、成人男性にしては高いアルトよりのテノールボイス。

服装もダボッとしたパーカーを着ていることが多く、

口を開けばこの口調。

まさに絵に描いたようなヤンキー少女の見本のような人物。

それが俺の相棒、椎名 薫である。

男なのでもちろん胸はない。

・・・誰に言うわけではないが俺は普通に女の子が好きだ。

 

手を振り払い退けてから壁際に飛び退き、椅子には座らず寄りかかっているカオル。

キレてはいるが、手を出すような事はないくらいには冷静さを保っているらしい。

 

どこに行っても間違われるこの光景は見慣れた物である。

母方の家系に欧米の血が混ざっているらしく、家族で1人だけ銀髪らしい。

家族の写真を見せてもらったことがあるが、母親もお姉さんも綺麗だったし、

高祖母は顔がそっくりらしい。

 

 

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引っ張られてここまで連れてられたが、ガチでさっきまで手を握ってたからなこの野郎。

しかも何度何度も握り直すように手を動かしやがって。

相手が港湾管理局員じゃなく、手元に武器が有ればぜってぇボコボコにしてたな。

思い出して更にイライラするな、おい。

 

一向に進展しねぇ問答にどうするかと考えているとノックもなしに尋問室の扉が開く。

入ってきたの若い女だ。整った目鼻立ち、輝く金髪、紅い瞳、そして純白の軍服に赤いマント、腰には剣まである。

その出で立ちはまるで女騎士、いやまぁ貴族様だろうが。

優雅に見えるが、一転してその瞳には感じるものがある。

入ってきたの彼女に対応しているがかなり動転してるな。

ってことは、かなり上の貴族だなこりゃ。

 

 

「こ、これはセレナ様。何故このような場所に?」

 

 

「ハンガーベイで見慣れない船を見かけたものですから。彼らが船の主ですか?」

 

 

「は、はい。見られた方の船はか、彼のものです。」

 

 

部屋の椅子には座らず、寄り掛かっている俺の方を見てくる。

尋問されているのに、座りもしない俺に思うことがあったのか

一瞬顔に出るが、すぐに引っ込めてるよ。

 

変態がセレナと呼ばれた女軍人に自分が持っていたタブレット端末のようなものを渡す。

それにザッと目を通した彼女は俺達に視線を向けてきた。

 

 

「結構な量のレアメタルですが、後ろ暗いものではないのですね?」

 

 

「誓っても良い。」

 

 

「ねぇよ。」

 

 

「おい、カオル。」

 

 

ヒロがビビっているが関係ねぇ。

悪いことは何もしてねぇし、貴族様も口元が少しだ綻んでるから怒っちゃいないだろ。

まぁ、まだ怒ってねぇってだけでいつ爆発するかわからんから対応はヒロに丸投げだ。

 

 

 

 

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「ふむ……傭兵ギルドに登録もしていない自称傭兵が宙賊を撃破ですか。

他に何か報告することはありますか?」

 

 

「船に奴らの本拠地らしき場所の座標データがある。

撃破した宙賊船のデータキャッシュを解析して得た情報だ。

賞金を貰うついでに、その情報も引き渡そうとしていたんだが、

積荷を見せた途端にここに引っ張ってこられてな。」

 

 

ほとほと困っているのだ、ということを主張するように女軍人に向かって肩を竦めて見せる。

彼女は恒星系の警備隊に所属する人物だろう、と踏んでの行動だ。

彼女はこの港湾管理局員より立場が上であるようだし、協力する意思を見せてなんとかしてもらえないかと考えたのだ。

早くしないと、相棒も何かするかわからないからな。

 

 

「彼らの積み荷が盗品であるという証拠は無いのですね?」

 

 

 

 

 

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漸く話が進みそうだな。

 

 

「え、ええ、それはそうですが」

 

 

「では良いではありませんか。彼は積み荷をこのコロニーに卸してくれるのでしょう?

レアメタルは常に不足気味ですし、何の問題もないのでは?」

 

 

「し、しかし……」

 

 

「しかし? ホールズ侯爵の娘であるこの私に何か意見をするつもりなのですか?」

 

 

おい、こいつ。

 

 

「おい、変態。てめぇ、なんの根拠もねぇのに盗ってきたって決めつけて俺達に対応してたよな。」

 

 

貴族様に対して縮こまっているなかで変態の発言を追求してやる。

 

 

「それはどういうことでしょう?」

 

 

「さぁな、この変態は俺の手を握ってここまで引っ張って開口一番に『嬢ちゃん、何処からこんなに沢山のレアメタルを盗ってきたんだい?』だからな。」

 

 

変態の顔が少しずつ青く変わっていく。

 

 

「そ、それは......「先に宙賊狩ったって話をしたよな?」

 

 

「いえ、いや……」

 

 

貴族様はにっこりと笑みを変態に向けて、

 

 

「そういえば、最近このコロニーに立ち寄る船の積み荷に難癖をつけて袖の下を要求する港湾局員がいるそうですね?」

 

 

そう言う。そう言われて、顔を真っ青にして否定しているが誰が見ても明らかだな。

 

 

「わ、私はそんなことは決して!」

 

 

 

「我々は適正価格でレアメタルを手に入れられる、宙賊を討伐した実績のある善良な自称傭兵の彼は対価としてエネルを受け取る、そして彼はそのエネルをこのコロニーで使う。誰も損をしませんね?」

 

 

「は、はい、仰る通りです! 手続きを進めてまいります!」

 

 

逃げるように尋問室を去っていく。

謝罪もなしか。

港湾管理局員の背中を見送ったセレナがこちらに視線を向けてくる。

 

 

「すみませんね、彼のことは後でよく注意しておきます。」

 

 

「そうしてく「そうしてください。」

 

 

馬鹿、鼻まで一緒に押さえるな。

振り払って、睨みつけてやるが気にした様子もない。

貴族様も俺達のやり取りを見てかクスクスと笑っていやがる。

 

 

「貴方達、面白いですね。情報を元に作戦を立てますから、きっと参加してくださいね?」

 

 

にっこりと笑ってから彼女が去っていく。

漸く手続きが終わり、解放される。

変態には時間を取られるは、貴族様には笑われるわ、散々だ。

取り敢えず、金が手に入ったことだし他のことは忘れよう。

 

 

船に帰ってから、ネルに頼んでた集めた情報を整理する。

ヒロの方でも港湾管理局から情報を貰ってくるみたいだし、

その辺の擦り合わせは後でやるしかないな。

 

 

「ふ〜、どうするかね〜。」

 

 

情報を一通り確認して、ベッドへと倒れ込む。

集めた情報からわかったことは、この世界はゲームに限りなく近い別の世界だってことだ。

シップメーカーや流通している船の性能、その他装備やアイテム類などが存在し、

俺達の持っている知識もそのまま通じるものが多い。

しかし、一方で見たことがない船やアイテムなども流通しているようだ。

 

そして、一番の問題が各地の地域勢力である。

例えばこの星系を支配しているグラッカン帝国なのだが、かなりの規模を誇る宇宙帝国であるようだ。

プレイヤーや掲示板とかでも聞いたことも見たことも。

更に、俺達が知っている星系の名前は一切出てこない。

勿論、地球も。

 

 

「何をしようか。」

 

 

今何をするのかではなく、これから先、何をして、何を目指すのか。

目的、目標とすることを決めないとダメになっちまう。

 

 

まぁ、今しないいけないのは、

 

 

「生活に必要なもんの調達だな。幸い、金はたんまりあることだし。」

 

 

ヒロと合流して出かけるかな。

 

 

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