囚われ絡まれ   作:月歌う白兎

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前の話の続きです。


君の幸せを願う(後編)

翔一は、理性を必死に抑えていた。

シャンプーのいい香り、無防備なパジャマ姿、

風呂上がりで火照った頬は思春期真っ盛りの翔一には少しきつい。

「とりあえず、風呂いただくわな」

と言ってとりあえずことなきを得た。

風呂に浸かりながら考えるそれに今は、鶫を怖がらせたストーカー野郎に鉄槌を下す方が先なのだ。

情報を集めなければ、それから動こう。

まず、お父さんから話を聞いて。そう考えて、翔一は風呂から上がることにした。

「翔一先輩、タオル忘れとったよ」

風呂上がりの翔一に鶫は普通にタオルを渡す、

恥ずかしがる様子はなく少し、翔一はがっかりする。

「意外と平気なんやな、つぐちゃん」

「?え、ああー!ごめんなさいっ、そがいなつもりじゃのうて、ごめんなさいっ!すぐ出て行くけぇ。」

気がついてなかっただけなようで鶫は翔一が裸であることに気づき顔を赤くする。

「かわええで、つぐちゃん♡」

「ほぎゃあああ」

耳元で囁けば鶫は奇声をあげ、花宮に助けを求めに行く。

「無理、助けて。先輩が色っぽすぎて死んでしまう。」

「意味わかんねえし」

花宮にヨシヨシされながら、鶫はウンウン唸っている翔一は鶫が可愛いから悪戯したくなる。

⭐️

高橋は、慌てていた。

何故バレた。それだけが心を占めていた、家の前には警察官が押しかけている理由は簡単だ。媛咲鶫への付きまとい行為要はストーカーだ、

高橋はずっと鶫が好きだった。

その思いが報われることなどないと思っていた、遠くでひっそりと見守るだけでよかった。

それだけで、満足だった。

しかし、鶫が悪童のいとこだと知ったのはつい最近のことだ。

きっとひどい目にあわされているに違いない、だから守ってあげなければそんな、見当違いの馬鹿な考えに囚われ始めた。

実際蓋を開ければ、鶫は花宮からは可愛がられ翔一にも愛おしまれ、高橋が入り込む余地などなかった。

一方的な愛は、鶫を傷つける一歩手前だった。

「自分、随分となことしてくれたみたいやな。鶫ちゃんはワシのや言うたやろ?」

「鶫ちゃんはお前に騙されてるんだ」

電話の相手は心底呆れたように笑う。

「しょーもな、ほな何で。警察が来とるねん」

「まあ、ええわ。もう二度と会うこともないやろしな」

ブツッ。

と一方的に切られ高橋は膝から崩れ落ちた。

高橋の父は、厳格な人だ。父が犯罪を許すとは思えない母は未成年だからと庇うかもしれない、それでもこの街からは遠く離れ田舎に越さなければならなくなることだろう。

もう二度と、愛おしいあの子に会うことはできなくなる。

あの男たちを的に回したばかりに。

今更、後悔しても遅いのだが。

⭐️

鶫のストーカーの件は、本人に気づかれる前に解決した。家からは、盗聴器が見つかり一つ残らず撤去され翔一は鶫の父から感謝された。

高橋は、盗聴とストーカーによる迷惑行為により警察に連れていかれたのち、引っ越した。

その被害者は。

「なんで、こがいな時期に引っ越したんじゃろうね?」

「親の都合じゃねぇの」

と花宮がごまかした。

高橋の様子がおかしいと感じた花宮は、以前から警察に連絡し相談していた。虐待被害にもあっていたこともあり警察はすぐ動いてくれた、そしてストーカーの証拠である盗聴器を家から発見し高橋を追い詰めることに成功した。

知らなくていいんだ。

君はどうか。

幸せに笑っていてくれ。

これ以上君が。

傷つく必要なんてどこにもない。

二人は心の底で、呟いた。

君の幸せをつぶすやつは、俺たちが許さないから。




次は、高校編を書きます。

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