シルヴァリオ・エンピレオ   作:ゆぐのーしす

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これにて、最終決戦は終わり、次回で一応本編は最終回です


余裕があれば、更にその後に1、2話ぐらいニルと同様に後日談が続くと思います。


神歌終譚 / Empireo

 特異点の虚空に、第三の星が顕現する。

 超星辰体を纏いながら、煌々たる光輝を従えて詩人と淑女は世界を裂いて星来する。

 

 ポースポロスとルシファーの死闘。

 その刹那に現れた彼らの姿を、ルシファーとポースポロスは見上げた。

 

「……詩人。淑女。なんだそれは。理解ができない――演算の範疇を越えている、解析ができない。……お前達の未来が俺には見えない」

「反星辰体も星辰体も、その物性の概ねは知っているし計算できる。でも、今の貴女達が纏っている輝きは――」

 ルシファーとウェルギリウスはその顔に驚愕を宿す。

 彼らをして、今のロダンとエリスの在り方は異質と映ったのだから。あの神星でさえ、反星辰体はその理解を越えていた。

 冥王の前例があったからこそルシファーとウェルギリウスはその性質については概ねの理解は得ているが、だが眼前のそれは文字通り解析不能だった。

 素粒子の軌跡を観測し未来を予知する慧眼はウェルギリウスもルシファーも共有するモノであったはずだが、だからこそと言うべきなのだろう。

 

 超星辰体という未知の粒子を、彼らは観測できず、理解すら許されない。

 

 

淑女と詩人の新生、十天の彼方に歌え舞姫神譚

AVERAGE: A

発動値DRIVE: AA

集束性:C

拡散性:A

操縦性:EX

付属性:B

維持性:C

干渉性:EX

 

 

 

「……干渉性と、操縦性。淑女と詩人の在り方――そして、その剣は火星天と恒星天の。なるほど。これこそ過去からの逆襲か」

「お前達が薪にしてきた総てが、お前達の敵だ。……往くぞ、ルシファー。ここが、俺達の運命の終着駅だ」

 ポースポロスの傍らに、ロダンは並び立つ。

 それは()()()()の史上二度目にして、そして恐らく最後になるであろう共闘だった。

 

 傍らで、視線を一度だけ交わすと、言葉はもはや要らなかった。

 星の最終決戦が、此処に開幕する。

 

 

 

「開幕を告げろ熾天の翼――失楽園(シン)暁晃熾天奏(パラダイスロスト)!!!」

「幕引きを奏でろ星界の詩――復楽園(ロウ)星晃至天奏(パラダイスリゲインド)!!!」

 素粒子が地平の彼方を逆行しながらロダンとエリスの新生を覆そうとする。

 だが、その根幹にあるのは例え極晃であろうと星辰体だ。

 星辰体を越える超星辰体――虚数の星辰体(イマジナリーアストラル)とも言うべき存在と感応している彼らは、その時空の奔流さえ、何事もなく覆す。

 

 舞うようにエリスが手を振るえば、逆行していく素粒子はその運航が止まり元の正しい時間を運ぶように回帰していった。

 

「ならば解析してやるまでだ。その星の解明に至った時、俺達は更なる階段を上るだろう――!!」

 解析できないモノが、現代科学の洗礼を浴びていない未知が眼前に存在するという事実が、ルシファーを高揚させる。

 あらゆる神秘を数理によって定量化し、それを解明する事に高揚する――困難に挑みそれを打破することに悦を得るその精神性がルシファーの喜悦を招く。

 

「その階段の先は、断崖だ。貴様らの翼はどこにも羽ばたけん」

 光の如く疾駆するポースポロスと、それに付き従うジュリエットが極光剣を振り下ろす。

 それも、今度はポースポロスだけではなくジュリエットの星も相乗されている。

 

 抜き放たれる神速の居合――重ね合わされる事象が、文字通り星の数が如き質量解放をも巻き起こしながらルシファーへと迫る。

 

 だが、ルシファーも等しく極晃奏者である。

 苛烈極まるその一撃を前に導き出したのは防御ではなく、()()だった。

 

「創生――星辰式恒星環天球(ダイソンジェネレイター)!!!」

 

 次々と爆発していくそれらの周囲を円形に囲みながら光体のようなモノが生まれる。

 熱量を浴びれば電力を生み出す物質が、その一撃を取り囲み環を成しながら一撃を減衰させながら吸収していく。

 

 旧暦における、恒星の生み出す全てのエネルギーを取り出すことを目標とした空想上の天体級超巨大構造物(ダイソン天球)と同等の産物がそこにはあった。

 

 同時に恒星規模での熱電変換によって得られた多大なる電力は、ルシファーの一二の翼の鳴動と共に虐殺の荷電粒子砲となって返される。

 幾条にも及ぶ破滅の光芒を、今度はロダンとエリスが迎え撃つ。

 

「歌ってくれ、エリス。お前の詩を聴かせてくれ」

「所望とあれば、幾度でも」

 ただ、手をかざすだけで光芒は塵となって消え去る。

 一見すればそれは確かに滅奏の御業のソレに見えるが原理は根本から異なる。

 新暦の物理法則とは、第二太陽や極晃が定義するモノだ。

 であるのならば、全く異なる異能体系によって定義された彼らの纏う物理法則が塗りつぶせない事も道理だった。

 

 

冥界神歌(ハウリング)――星辰体神域昇華(アセンション・ノヴァ)!!!」

 世界とは、星辰体の海だ。

 そして、ロダンの――星辰星奏者の目覚めた権能は、星辰体の進化だ。

 進化を歌う神歌の共鳴と共に、空間の星辰体は彼らの祝福を受けて昇華していく。

 同時に、ルシファーの築き上げた神域はその新物質が色を失いぼろぼろと崩れていく。

 

 神々しくも、それは楽園喪失(パラダイスロスト)のように寂寞を残す。

 

 だが――まだだ。

 その程度で屈するようなら、極晃奏者とはなっていない。

 

「物理法則を新西暦へ回帰させたか。ならば新西暦と暁奏とで物理法則の齟齬が生じて消滅するのは道理か。――ならば、これはどうだ」

「……!!」

 次に生み出したのは、極小規模で設計された暗黒天体だった。

 

 その深奥に渦巻く超重力が超星辰体さえ呑み込みながら今度はロダンとエリスへ迫る。

 空間という三次元の絶対原理は、反星辰体と同様、超星辰体でさえ例外ではなかった。

 

 

 反発と結合――正負相食む二つの力が融合しながら迫る暗黒天体を、今度はポースポロスが迎え撃つ。

 

「詩人も淑女も、決してやらせん。お前達の薪になど断じてな」

 天に掲げたその輝きが幾千にも折り重ねられ極彩色の軌道を帯びる。

 

 歪む空間ごと、ポースポロスは叩き切って破壊した。

 世界という森羅の土台ごと破壊されれば、もはや暗黒天体とて散る以外にはあり得ない。

 

 大局的に見て、ルシファーの優位は覆ったとえ言ってもいいだろう。

 

 星ゆえに取り得る手段は無限にあれど、解析不能たる権能故にロダンへの有効打は未だに見えない。

 逆にポースポロスはたった一撃でも浴びた瞬間に蒸発する上、どのような物質を設計しても彼の攻撃を物性で防御することは絶対的に不可能だ。

 

 彼とウェルギリウスの設計した魔星たちは、間違いなく最大の試練として彼の眼前に立ちはだかっていた。だが、それは彼らの意図していた通りであり、ルシファーの頬には一筋に血とともに喜悦が刻まれていた。

 

「……ふふふ、はははは……!! いいぞ、そうだ。そうでなくてはならない。お前達を知り、そしてお前達を越えた時、俺は新生する!!」

「……この上無く、ひたすらに強さを目指すことがお前の理想か」

「生きとし生ける者は、己の完成を目指さなければならん。それが俺にとっての生きるという事だ。今でさえ、こうしてお前達は俺の前に立ちはだかった。そして熾高天において、俺に比肩し得る者がいつか現れるだろう――その強さを、俺の裡にない強さを俺は知りたい」

 反吐の出る、悍ましい感性だ――とはロダンは思わなかった。

 その言葉の表面だけをなぞるなら、確かにその通りであろうし事績を辿る限りルシファーには酌量の余地など、決してないだろう。

 強くなりたい、己を高めたい。それはだれしもが普遍的に持ち得る意識だ。その覚えは、決してないとはロダンは言えなかった。

 だがそのために他者を犠牲にしていい道理など、どこにもない。

 

「逆巻き呑めよ浄火の焔――境界神歌(コーリング)天墜飛翔煉獄譚(アクセル・リアクター)!!!」

 至晃星の星焔を纏い、一条の流星となってルシファーを迎え撃つ。

 一二の翼から次々の放たれる光芒を舞うように交わし続ける、

 

 人工知能を載せた殺戮光線さえ置き去りにしながら、焔を推進剤にしてエリスと共にロダンは飛翔する

 第一宇宙速度を超えて彼らは飛翔する。それはさながら初めてエリスと極晃を描いた時と同じ在り様でありながら、しかし今彼らは確かに己が星を完全に制御しきっていた。

 それこそがまさに今彼らが己が星を己が運命によってつかみ取った証明でもあった。

 

 同時にルシファーも限界を超えた速度で疾駆しながら、ロダンと切り結ぶ。

 何度も火花を散らしながら、光の軌跡を描く。

 

「……一つ聞こうか、ルシファー。お前はなぜ、強くなりたい。強くなりたいから強くなりたい、なんて奴も世の中にはいるだろうが、ことお前に関してそれは有り得ない。論理が破綻しているだろう、お前は徹頭徹尾道理を以って考える存在のはずだ」

「生命として強くあるべきだという思想に理由が必要か。詩人、貴様は生態に理由を問うのか?」

「――それが総てじゃ、ないだろう」

 ルシファーの常軌を逸した、力への妄執。

 その起源は決して彼自身に由来するもののみではないはずだ。なぜならば、そうであったのならば彼は極晃を描けないはずだから。

 

「……ルシファー。貴方の望みは強くなることじゃない。決して、それだけじゃない。――貴方は、ウェルギリウスの最高傑作となりたかったのではないのですか。()()()()()()()()()()()()()()事でウェルギリウスに()()()()()()()()()()()()()のではないのですか」

「――」

 刹那の沈黙をルシファーは浮かべる。

 予想さえ、しなかった淑女のその言葉。

 初めてそこで、ルシファーはロダンとエリスの眼を見た。そこにあったのは憎悪、ではない。

 

 それは同じ地平に立ち、理解し、対等であろうとする者の眼だ。

 

「困難に挑みそれを破壊する事で悦を得るという感性は、別にそれほど珍しいモノではないでしょう。だけどルシファー、貴方の望みはそれだけではない」

「――俺やポースポロスを打ち砕くことで、最高傑作たる己の性能を()()()()()()()()()()()()()()()んじゃないのか」

 ロダンのその言葉をルシファーは少しだけ反芻し、それから拒絶するように翼を振り払う。

 粒子加速器と化した羽毛の一枚一枚から輝線が放たれ、それをロダンとエリスは銀光を以って打ち払う。

 放ちながらも同時に打ち消されていく輝線から逆算しながらルシファーとウェルギリウスもまた超星辰体の物性の逆解析を試み続ける。

 どのように干渉すればどのように現象は応答を返すのかを探りながら、秒間当たり数千種の物質を創造してはそれを使い捨てる。

 

 彼らの慧眼が超星辰体に迫ろうとしていることなど、ロダンもエリスも百も承知だった。

 だが、超星辰体も同時に並行して進化を続けロダンとエリスを神域の彼方に導いていく。超星辰体との感応によって肉体諸共変革していく今の彼らはもはや生命活動に酸素さえ必要としていないのだから。

 

「……何を言うかと思えば、それがどうかしたか。ウェルギリウスの実験台となることは過程でしかない。俺の設計者に、俺の機能革新を頼むことに意味を求めたいというのなら――最も妥当な人の語で充てるのならば作家病や妄想癖と言うヤツか」

「えぇ、どこまでもくだらないわね。私達は孤独で、そして共犯者よ。相互の最大利益のために、私達は盟を結んだ。貴方達の言葉で勝手に定義されるのは――なるほど。これが不愉快、という感情ね」

 ルシファーは拒絶するように、距離を取る。

 次の瞬間には空間が軋みを挙げて恐ろしい速度でそのルシファーとの距離を突き放していく。

 

「――俺達のいる空間そのものを、破棄するつもりか」

「さらばだ、詩人。淑女。願うならば、是非とも限界を超えて見せてくれ」

 彼方に遠ざかっていく彼らは際限なく加速を続けていく。

 いくら飛翔に飛翔を重ねても、彼らはそもそもとして出力の天元突破を果たしている。

 出力の土俵ではどうしても追いすがれない。

 

 だが。

 

「ならば、世界ごと破壊すればいいだけだろう」

「相も変わらず、ポースポロスはこればっか。もう少し常識を語りなさい常識を。……詩人、淑女。ついてきて」

 ジュリエットはそう目くばせすると、またしてもポースポロスは空間をガラスのように叩き割った。

 思えば、初めてジュリエットとは顔を合わせたなとロダンは思う。同じく極晃奏者を導く者同士通ずるものがあったのか、エリスも少しだけジュリエットへと「お互い、苦労しますね」と笑みを投げる。

 その裂け目を突き抜けながら、ルシファーの翼に追い付いた。

 

 

「逃避行はここで終わりだ、ルシファー」

「誰が、逃げると言った?」

「……随分、感情が分かりやすくなったな。やっとお前が()()()()()()()()ところだ」

 ルシファーの剣と、ロダンの――火星天の剣が交錯する。

 膂力は互角でありながら、同時にその剣戟にルシファーは目を見張る。

 

 そこに在ったのは、決してロダン一人の剣ではない。文字通り、火星天の剣もそこに在ったから。

 

 わずかにロダンの剣が圧し――ルシファーの胴を絶った。

 

 だが、四散するルシファーの躯体が鋼を増殖させながらルシファー同様の躯体を設計し練り上げた。

 恐らく気づかぬ間に義体とすり替えたのだろう。

 

 同時にそれらは確かに太源たるルシファーと躯体の性能は比べ物になど到底なりはしなかったが、それで十数体も構えられれば鬱陶しさは確かなものだった。

 

 また、ルシファーの姿が見えなくなる。

 だが、ロダンは目を瞑る。

 

「技を借りるぞ、火星天」

 

 ――それは、敗北を受け容れるためではなかった。

 もはや数百体に及ぶ躯体。そのいずれが本物の躯体かなど、知り得ようがない。

 

 だからこそ任せた。かつて火星天が信じた己が直感を、火星天が信じたその技を。

 ロダンのその剣閃が、超星辰体によって延伸されて放たれる。

 

「――、貴様」

「手ごたえ、在ったなルシファー」

 さくりと、数里彼方のルシファーの本体の躯体を絶ち穿つ。

 

 同時に、増殖を繰り返したルシファーもどきの残骸は、土くれのように形を失い虚空に溶けていった。 

 だが、まだだと繰り返すルシファーのその傷口は既に閉じていた。

 

 

「ルシファー、損耗状況は?」

「危惧すべき水準ではない、奴らの打倒には一切として遂行に問題は生じない」

 再び、その眼前に星奏者達と曙奏者達を映す。

 

 先導するポースポロスの振るわれる剣へ、再びルシファーは剣を創造する――それも、大陸を斬り裂くためにあるとさえ思えるほどの剣だった。

 

 もはや剣ではなく、()()()()()()()()とさえ言ってもいい。

 

剣翼鋳造(マテリアライズ)――堕天光翼剣(ソード・オブ・ベリアル)

 その剣が振り下ろされるとともに、ポースポロスもまた剣閃を放つ。

 十、千、万と重ね合わされた剣戟が、ルシファーの剣の躯体を次々と破壊していくがそれでもなお、文字通り天衝く巨躯たる剣からしてみればその損壊はたった一部だった。

 

 人の身で扱う剣では、もはや菓子のように叩き折られるだけであり――だからこそ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という発想の勝利だった。

 

 破壊されるのなら――割れることのない剣が創れないのなら破壊されても殺すに足る質量が残るだけの鈍器を創り上げればいい。

 単純なだけに、その攻略には隙というものがなかった。

 

 加えて、それは単にこの上ない強度を持っている剣と言うだけではない。単純にその規模が大きすぎるだけに、ポースポロスの星でさえ、死を裂けられても回避という可能性を掴み取るにはかなわなかった。

 

 

「ぐァ……!!!」

「破壊は創造と表裏をなす言葉だが――どうやらお前の破壊と俺の創造では、俺が勝ったらしいな」

 ポースポロスを袈裟に裂いたその一撃はしかし、その一撃さえあれば十分だった。

 巨剣の残骸を次々と飛び移る様に、乱反射の如き軌道を描きながらエリスとロダンは虚空を裂いて飛翔する。

 超星辰体を纏う彼らの纏う物理法則は、彼らを果てなく飛翔させる。もはやその踏み込みでさえ、第一宇宙速度に達しかねない速度でルシファーへ肉薄する。 

 

 

 またしても、暗黒天体が生じかける。だが、今度はエリスとロダンが早かった。

 そして、操縦性の極致とは改良にある。ルシファーが――かつて、星辰人奏者が示したように。

 

 現在進行形で超星辰体もさらなる進化を遂げていく。

 歪む重力、無形たる奔流さえも彼らが纏う物理法則に従って、火星天の剣が切り伏せていく。

 至晃星たる彼らの纏うその星は、超星辰体と共に進化を重ねていく。

 容無き虚無さえ切り裂けるように、酸素を必要とせずに天を飛翔できるように。

 

 ルシファーがロダンへ星を行使するという事は、つまるところ価値基準も定かではない他国へ己の通貨を押し付けるようなモノであり、当然そんな行為は無理がたたるに決まっている。

 

 だが、進化という観点においてはルシファーもまた決して譲ることはない。

 出力、操縦性とは進化と改良の側面を意味する資質である。そう、故に。

 

 

「見せてあげるわ、太陽天。これが貴方の()()よ」

「灰燼滅却――極・超新星(ハイパーノヴァ)!!!」

 描き出される未来兵器。

 それはかつてこの地上に在った粛々たる理論によって編まれた、数理の焔だ。

 出力の換算として、すでにルシファーはロダンのそれの数百倍に達していた。

 

 自国(おのれ)通貨(極晃)が通用しないというのなら、いくらでも山と積み上げ叩きつければいいという子供じみた発想だが、しかし単純が故に穴が無い。

 それを行使する者に求められる資質を考慮しなければ、ある種の最適解だからだ。

 皮肉にもそれは、同じ出力の天元突破たる神星が出した解答と同じだった。

 

 無限に爆縮していく炉心へ新物質の燃料が放り込まれていき、臨界に達し放たれる熱量が特異点に轟いた。

 超星辰体さえ、その熱波の前では辛うじて拮抗を保つのが限界だった。

 

「まだだ――!!!」

 故に、今度はポースポロスの番だった。

 全霊を込めて虚空を斬りつけ叩き割り、その空間の断片を次々と蹴り飛ばしその焔を押し返していく。

 太陽神の御業の再現でもあり、それをポースポロスが成せるのもまた道理だった。

 それを横目で見て、改めてこの男が敵でなくてよかったと、心底からロダンとエリスは思った。

 

 同時に、自分の周囲の空間だけを綺麗に斬り抜き着込むように空間の裂け目を纏うと、流星のように突貫しポースポロスは新星の核たる炉心を一刀の下に切り伏せた。

 

「堕天、魔女。何度でも言ってやる。貴様らは孤独に耐えられなかっただけだ。貴様らは一度として、他者に理解を求めたことがあったか。己が孤独に向き合った事があったか。人ならばそれは誰にでも出来ることで、そして誰よりも弱かった貴様らに選択できなかった決断だ」

「――お前達は誰よりも弱かったから、楽園などと言う幻想に夢を見たんだ。秩序が退屈(孤独)だと言ったか。つまりはそういう事だろう、お前達の退屈を紛らわせる者を養殖するための蟲毒、或いは実験場(システム)――それが熾高天だ。真にお前達が孤独と向き合いそれを肯定できたというのなら、こんなモノ(極晃)は必要なかったはずなんだ」

 ロダンとポースポロスは二者二様に軌跡を描きながら特異点を飛翔する。

 黄金が、銀月が不規則ならも美しい軌道を描きながらルシファー迫る。

 

「私に世界との齟齬を再認識しろとでもいうのかしら。それに私はもう十分孤独を知ってきたわ、誰も私の科学への想いを理解できない事も。私の見ている世界は数理によって解体して解明されるべきその対象でしかないことも」

 ウェルギリウスにとって、世界とはそういうものだった。

 未知なるモノがそこに在れば、数理のメスを用いて解体しそこに宿る原理を解き明かすためにある。

 人のあらゆる行動も、事物事象も、万象がただの現象――物質の挙動の結果、即ち数理としてしか認識できない先天的なある種の精神疾患が故だった。

 

 それをポースポロスは、情状酌量の余地なく切り捨てた。

 こんな有様に堕天したのは全てはお前達の責任であり、お前達の応報なのだと。

 

「律動せよ時の理、天の河よ。反発し、結合し、あらゆる矛盾を内包せよ――失楽遡行・永劫楽土熾高天創世譚(アストログラフ・アトラクター)!!!」

 空間がきしむとともに、ポースポロスとロダンはその変容を目の当たりにする

 まるで沸騰する水の泡のように、癌細胞のように、特異点が次々と虚空から生じていく。

 四方八方が特異点で埋め尽くされ、時空さえ歪めながら全身を圧殺しようとする。

 

 

人界神歌(ウィッシング)――銀月花葬送散華(スプレマシー・ローズ)!!!」

 超星辰体の分布が偏り、集っていくとともにそこには銀色の薔薇の数々が咲き誇った。

 それら一凛一凛が、結晶化された超星辰体で編まれたそれだった。

 

 星辰体の結晶化とは本来神祖やそれに連なる者達の権能だが、超星辰体の生みの親はロダンとエリスだ。

 故に彼らはそれのみに限って言うならば誰よりも扱いは慣れているし、このように加工することも何らわけの無い話だった。

 

 単純な星の爆弾として、それらは散華し輝きと共に極小規模の空間震を生み出し乱造された人造特異点を焼き尽くした。

 

 そして、エリスもまた告げる。

「ウェルギリウス。貴方は、人界の青空に馴染むことができなかった。それは孤独だったことでしょう。……私には、決してそれは分からないわけではありません」

「そう。……あぁそう言えば貴女もその生まれは人ではなかったわね」

「それでも、私にはクラウディアがいた。彼女から大切な事を教わった。貴女にも居たはずです、貴女を理解し、貴女の傍に寄り添おうとした人が」

「――えぇ。私は()()()()()()()()至高の天を目指すと誓った。それだけね」

 一切、語らいを拒絶するかのように、ウェルギリウスはエリスを突き放す。 

 けれど態度の変容は明らかだった、

 

 

 

 エリスは、少しだけ認めたくはないがウェルギリウスは()()()()の自分と似ていると思った。人の摂理の外に生きる者、という点においては決してエリスはウェルギリウスを別人だとは思わなかった。

 

「ルシファー。お前は初めから()()()()()()()()()()()()()()()()と自覚していたんじゃないのか。……孤独の寄り添い方はいくつかあるだろう。だがその中でお前が選んだのは依存であり、共犯者だ。――ウェルギリウスに最悪の絆を選ばせたんだ」

「何の比喩だ。詩人の淑女の構図に準えるのなら、俺は導かれた側だ、ウェルギリウスにな」

 ルシファーはどこまでも、拒絶する。

 そしてロダンは確信する。ルシファーは、やはり決して総てをウェルギリウスに明かしているわけではないことも。

 

「お前達は、地上の人間をそうまで作り替えたいのか」

「――えぇそうね、これまでは飽くまで()()()()に留めておいたけれどそろそろ頃合いね」

「地上の人間を、総て第四世代人造惑星に作り替えるつもりか。そうして、第二太陽と同等の存在を創り上げようとでもいうのか」

「いい事を聴いたわ。それは私の着想にはなかったわ――()()()()()()()()()()()()神聖詩人」

 ウェルギリウスの口端は歪む。

 手に描かれるのは、次世代の人間の設計図。

 

 ロダンもエリスも、青ざめる。

 そんなことをしようものなら世界はどうなるか。

 

 そしてついに地上に楽園は訪れる。

 神亡き後の神の国は黄金色に包まれる。

 

 

「――楽園建設の、開始よ」

 

 

 地上に黄金の輝きが走る。

 楽園創造の福音と共に皇国に住む総ての人々は祝福される。その光景は神天地創造のやり直しのように映りながらも、同時に意味するところはまるで別だった。

 

 第四世代人造惑星という機構が基本機能として組み込まれていく。

 人間の生態系が書き換えられていき、それだけではなく人々は()()()()()されていく。

 一対一ではなく、一対多数。多重に張り巡らさされた広域通信網(ネットワーク)のようにそれらは繋がれていく。

 

 神天地が各々の極晃を描かせるのに対して、熾高天は全くその逆に第二太陽同様のアプローチで聖教皇国そのものを一つの極晃に昇華しようとしていた。

 

 狂気にさえ映る光景であり、まるで魔女の釜だ。

 それを供給源としウェルギリウスとルシファーは糧として、更に飛翔するだろう。

 人がその生涯の辿り着く命の答えを、彼らは尊重すらしていない。

 

 神奏にさえそれはあった――否、それを何より尊重していたからこそ神奏は神奏という極晃を描いたのだ。

 

 ルシファーとウェルギリウスはそれを単純な熱源として利用しようとしているだけであり、まさしく究極的な極晃への冒涜ですらあった。

 

 

 だがその刹那。

 奇異なるモノが――()()()()()()()()()()声が、ウェルギリウスに響いた。

 

「――、え?」

 なぜ、あの地上に彼女がいるのか。

 彼女は死んだはずではないのか。第四世代人造惑星たる己の心臓の鼓動が、それを証明していた。

 第四世代人造惑星に誰もが作り替えられていく地上において、()()()()()()()()()()()()()()()()()がいたのだから。

 その事実そのものが、異常だった。

 

 

「……どう、して。オフィーリア」

 その驚愕の意識の間隙を突かれ、ロダンの肉薄をウェルギリウスは許した。

 

「――終わりだウェルギリウス。お前がまさかここまで簡単に、俺の言葉に乗せられるとは思ってなかったよ。……お前の導き手は、()()()()()ずっといたんだ」

「あの青ざめた顔も、驚いた顔も、演技だったということかしら」

「……確信したよ。お前は、ルシファーから何も知らされていなかったんだな」

 ロダンの狙いはむしろ楽園創造をさせる事にあった。本来存在してはならないはずのそれを、第四世代人造惑星という機能によってウェルギリウスと繋げさせること。

 それによって生じる意識の間隙を縫う事。

 それがウェルギリウスには可能であると、彼らの極晃の万能性を信じていたからこそ打てた手でもあった。

 振り上げる、至晃星の剣。だが振り下ろされるその刹那、ウェルギリウスをルシファーは突き飛ばしその身代わりとなって刃を受けた。

 

 

「……、うァ……!!!」

「ルシファー、どうして!?」

 袈裟に抉られた傷が、ルシファーを明確に今追い詰めた。

 その剣の刻んだ傷が、確かにルシファーの内燃機関に達していた。その創造性でさえ、恐らく改修は不可能だろう致命をルシファーは負った。

 

「なぜ、オフィーリアが……」

「黙っていろ、ウェルギリウス――!!」

 躯体に甚大な損耗を初めて負ったルシファーはしかし、まだだと叫ぶ。

 機能停止の断崖に追い詰められながらもなお、覚醒を続けようとする。

 

「あぁ――まだだ。今こそ俺は――」

 ロダンが二の太刀を放つその刹那に、世界は光に包まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 眩い光の先、ゆっくり眼を開けたそこは無明の宇宙だった。

 何もない、傍らに、ポースポロスも居ない――第二太陽も、存在しない。

 

 星辰体が、そこにはない。

 まるで違う惑星に移住したかのような光景で。

 

「……まさか」

「現行のそれをモデルとした極小宇宙の創造――及び、疑似並行世界の創造。お前のその力の原資は、総て解析不能たる未知の星辰体によるものだ。故に、星辰体も第二太陽も存在しない宇宙を設計すればお前達は機能不全と成る。……至極当然の道理だな」

 超星辰体も、結局は星辰体を原料としている以上今ここで纏えるモノが元から纏っていたモノ、そしてエリスの躯体を構成する星辰体以外ない。

 だがルシファーは、ウェルギリウスを経由地として星辰体の共有を受けている。だから勝敗は決した。

 

 出力と操縦性の天元突破の至った極致が、並行世界をその素粒子の一つに至るまで設計し開拓した。

 ルシファーにとっての楽園の地であり、エリスとロダンにとっての流刑の地だ。

 文字通りの並行世界の創造――天地開闢に費やした熱量の負債をルシファーは血反吐を吐きながら払っていた。

 無理があまりにも祟り過ぎた。そうする価値があり、そうしなければ倒せないとロダンとエリスを評価していたからこその空前絶後の覚醒だった。

 

「お前達の超星辰体は最後まで俺には解析できなかった。称えよう――その一点において、お前達は俺に勝利した。お前達の()を、俺は解明できなかった」

「そう、ですか」

 息の出来る生物を殺すなら、酸素のない水に沈めればいい。それと全く同様に()()()()()()()()()と言うのなら、()()()()()()()()を創ればいい。

 余りにも荒唐無稽で強引で、だからこそ星辰星奏者を追い詰めるにはこれ以上はないという選択肢だった。

 原理に基づいた絶対的な勝利の方程式だった。仮に、今自分たちが持っている総ての超星辰体を動員したとしてルシファーの攻勢を一度か二度凌げるかといったところであり、それはルシファーの計算とロダンとエリスの予想が完全に一致していた。

 その剣を振り上げる。完全なる勝利、その至高の絵図がここになる。

 

 新たなる天地創世、その足掛かりが一つ、此処に刻まれる。

 

 ――その、刹那に。

 

 

 

『まだだ――、俺の星を忘却したか堕天』

「……ま、さか」

 ルシファーの胸から突然、まるで空間が裂けるようにポースポロスの剣が()()()

 霆光を纏いながら、それはルシファーの炉心を焼き尽くすがごとく。

 

 やがて、二刀目が生える。

 

 ポースポロスの剣はあらゆる可能性を内包する。

 そしてルシファーが並行世界を創生した時、新西暦は並行世界を許容してしまった。

 

 故にポースポロスの多元事象を束ねる権能は――可能性は並行世界にさえ届く。

 

 

 

「――往こう、エリス。全ての運命に、幕引きを」

「これが、私達の紡ぐ神歌の結末です――!!!」

 エリスの体を構成する星辰体がロダンの剣に、火星天の剣に輝きを与える。

 

 

「ま、だだァ!!!」

 ルシファーの剣がただ一太刀を以って粉砕された。

 

 逆袈裟に火星天の剣がその躯体を断つ。

 ロダンの剣が、星のような疾駆と共にルシファーの胸を断ち――そしてその胸から覗く次元の裂け目――新西暦からポースポロスは飛来し、ルシファーの背を断ち斬った。

 

 交錯するようにロダンは、ポースポロスはその剣を放つ。

 

 

 

 

 そして――楽園創造を告げる一二の翼は虚空に散り、並行世界は卵の殻のように砕け新西暦に溶けていった。

 

 

 かつて、この地上に月の女神がいた。

 破滅の暁を討った第四の月の女神が、詩人がそこにいた。

 

 

 ――此処に一人の男と一人の女が綾なした、神聖喜劇は幕を下ろした。

 

 

 

 

 深く刻まれ炉心にさえ到達したその傷に、もはやルシファーには抗う事が出来なかった。

 まだだ、まだだと叫んでも、その神鉄は応えはしてくれない。

 

「ルシ、ファー。なぜ貴方は」

「……ウェル、ギリウス。俺はお前を母だと、思ってはいない。だがお前の孤独を放り捨てる事を、許容できなかった。……お前を拒絶する世界が、俺には受け入れられなかった」

 堕天の最期、ウェルギリウスはその人生において、初めて涙を流しながら寄り添い続けた。

 

「……初めから知っていた。世界は、悲しいまでに圧倒多数の健常者によって成り立っている。手を差し伸べる者も、当然いるだろう。だが神祖の御許以外にお前に居場所は、与えられはしなかった。俺はお前の最高傑作となることで、お前の居場所になりたかった。お前の孤独が埋まるのなら、俺はそれでいいと思った。そうすることで、お前を排斥する世界を破壊できるのなら」

「そんな、たったそれだけの事の。ために貴方は今まで」

「……たったそれだけの事が、結局俺には出来なかった。……オフィーリア・ディートリンデ・アインシュタイン。敗北した、というのなら俺は今より以前に一度、アレに敗北している」

 ルシファーはそう、嘆息して語る。

 ウェルギリウスには、もはや学者然とした超然たる雰囲気はなかった。

 まるでそれは、子に懸命に語り掛ける母の姿にも似ていた。

 

 

「オフィーリア――アレを討つ時、お前は躊躇った。迷った。その時、俺は悟った――俺はお前を導けない。アレのようにお前を導くことはできなかった、アレの代わりになることは俺には不可能だった。それは恐らく、熾高天に生まれ出で、俺達に比肩し得るであろう者達にさえ不可能であったろう……だから理想郷の開闢にアレを立ち会わせたいと思った――アレを、お前に会わせたいと願った」

「――」

 ウェルギリウスの腕の中で、ルシファーは瞼が落ちる。

 機能停止に至ろうとするその刹那に、ウェルギリウスは泣きじゃくった。眼前に映る現実を受け入れられない、子供のように。

 ルシファーがウェルギリウスにさえ隠した、ほんの少しの余分こそが運命を破局に導いた。

 総てを終えた末に訪れる楽園、そこにこそただの人であったオフィーリアを住まわせたかった。

 ウェルギリウスが決して孤独とならないように。

 たったそれだけの余分が、楽園を崩壊させたのだ。

 

「……詩人。お前は、俺達の告発者ではなく理解者であろうとすることを選んだ。……認めよう、俺の敗北だ。お前の言葉は概ねにおいて正しかった」

「もう、邪魔はしないさ。好きな時に好きな場所で眠ってくれ」

「……お前の著作は、俺は嫌いではなかった。木星天――お前は、俺と同類だと思っていた。だが、そうではなかった。――そしてすまなかった、ウェルギリウス。いや、お母……さん。俺は少しだけ先に逝く。せめてその魂の行く末が地獄ではない事を、九圏の果てで祈っている」

 絶え絶えたる息と共に、ルシファーは機能を停止した。

 もはや力のこもらないルシファーのその指を握り返しながら、ウェルギリウスは慟哭した。

 その在り様に、何もロダンもポースポロスも、言葉を交わす気にはならなかった。

 初めて、魔女は己の半身と言える存在の喪失を知った。

 ただ、子供の用に――あるいは子を失った母のように、泣き続ける。その嘆きだけが、至高の天にこだまする。

 

 

 やがて、星は解かれ各々は地上に帰っていく。

 暁奏を喪った聖教皇国は、国津に元の還っていく。

 新たなる生態系は芽吹くこともなく、彼らの夢見た楽園は成らなかった。

 

 

 

「オウカ様。……これが、貴女の神託だったのですね。そして、これがかけがえのない誰かを喪うという事だったのですね」

 

 

 

 その時、初めてウェルギリウスは悟った。

 かつて己が師が送った神託――己の名が、運命の終着駅になるという言葉の意味を。

 

 神歌において至高の賢者(ウェルギリウス)は、煉獄の果てで詩人を送り出したという。天国をめぐる旅路において、詩人を導いたのは淑女であり、そこに賢者はいなかった。

 ――賢者の旅路は煉獄で終わるように。

 極晃星(スフィア)を答えとしたが故に、至晃星(ステラ)を彼らは想定さえしなかった。

 

 

 

 

 だから彼らの旅路は、至晃星(てんごく)ではなく極晃星(れんごく)に至った時点で既に終わっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 地上に還ったその時、ウェルギリウスは茫々然として膝をついた。

 はらはらと散る、光の羽毛が天から降ってくる。

 

 それは己が敗北を、そして彼らの勝利を歌い上げていた。

 

 もう、堕天はいない。

 楽園は訪れない。

 

 

 輝く青空――もう悪魔のいない、世界に今度こそウェルギリウスは取り残された。元の独りぼっちに逆戻りだ。

 

 その背にかつかつと、二人分の足音が響く。

 オフィーリアが銃を構えて、その傍らにクラウディアを伴ってウェルギリウスの背に立っていた。

 聖教皇国の長い夜は、今ここに終わったのだ。

 ウェルギリウスの手にはただ一つ、白く清く、美しい羽が握られていた。

 それはきっと、ルシファーに残っていた、ほんの一握りの善性の象徴だったのかもしれない。

 

「――随分、遅かったじゃない、オフィーリア。そしておはよう、久しぶりね銀月天」




淑女と詩人の新生、十天の彼方に歌え舞姫神譚
AVERAGE: A
発動値DRIVE: AA
集束性:C
拡散性:A
操縦性:EX
付属性:B
維持性:C
干渉性:EX
星辰体改質進化・新異能体系獲得能力。
星に非ざる星を奏でる者――故に、星辰星奏者。
星辰体そのものへの超干渉・超操縦により既存の星辰体とも、反星辰体とも異なる別種の素粒子たる超星辰体を生み出す能力。
また、超星辰体との感応による顕現する星光は原理・理論体系が根本的に異なる異能であり、本来は星辰光とさえ呼ぶべきものではない。
彼らの紡ぎあげる物理法則に従って、その輝きは詩人を護る月光となるだろう。
性質としては滅奏同様に、星辰体及び星辰光に対する相性差を挙げられ、同時に出力の土俵においては特段に秀でる者ではないため、その点に関しては弱点は同様である。
しかし星辰体そのものの精密制御はもちろんのこと、超星辰体そのものも進化を遂げ改良し続ける。この点においては大きく異なる点だろう。
振るえる現象そのものは焔や雷など、ごく自然にありふれたモノを起点にするがその悉くは例外なく神域の物理法則を帯びる。
ただの疾駆も、飛翔も、その呼吸さえも文字通り神域の業となる。

第四世代型人造惑星の別解にして、本当の終着点。
故に詩人と淑女の辿り着いた答え、十天の旅路の結末に相応しき名は極晃星に非ず、至晃星である。
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