ストライクウィッチーズ Nと行くROAD to BERLIN!   作:Dr.クロ

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花を守る守護者とは…?


第15話~クィーン・オブ・ネーデルラントと守護者・前編~

 

 

前回から2日後、今日も芳佳は訓練に励んでいた。

 

芳佳「宮藤芳佳!行きます!!」

 

箒に跨りながら芳佳は宣言する。

 

ピィーーーーーーー!!!

 

静夏の開始のホイッスルと共に芳佳は駆け出す。

 

音炉「頑張れー!ヨシカー!」

 

チビN芳佳「ガンバレー!」

 

そんな芳佳へと音炉と彼女の腕に抱かれたチビN芳佳が応援する。

 

応援を受けながら芳佳は走る。

 

芳佳「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

静夏「気合です!宮藤さん!」

 

隣の静夏の声を聞きながら勢い良く海の方へと飛び出し、芳佳は飛び上がる。

 

芳佳「よぉし、飛べた…!」」

 

静夏「良い調子ですよ。宮藤さん」

 

飛べたと喜んだ瞬間、飛んでいた宮藤は落ち始める。

 

音炉「よいしょッと」

 

そんな海に落ちそうになっていた芳佳を音炉がクッション型ネウロイを作って救助する。

 

芳佳「あ、ありがとー音炉ちゃん」

 

音炉「なかなか上手くイカないネ」

 

礼を述べる芳佳に音炉は困った様に言う。

 

うん……と練習を始めてから一向に上手く行かないのに芳佳は困り果てて唸る。

 

休憩として少し離れた所で座ってのんびりする。

 

芳佳「やっぱりまだ上手くコントロールできないなぁ」

 

静夏「魔法力の調整って案外難しいものですからね」

 

音炉「頑張っているのにね~」

 

座りながらうーむと3人同時に唸っていると芳佳は空を見る。

 

芳佳「やっぱり体力が必要なのかな?」

 

静夏「体力の問題じゃないと思うのですが……」

 

呟いた芳佳のに静夏は否定する。

 

芳佳「でも坂本さんはこういう時は走り込みでだいたい解決するって」

 

音炉「流石坂本」

 

いや、流石じゃないと思いますと静夏はツッコミを入れる。

 

ミセスS「解決方法は人それぞれじゃからなあ。参考にするのはともかく、聞いたのをそのまましても解決するかはわからないからのう」

 

坂本「普通にダメだろうか?」

 

そんな3人へとミセスSが近づいて言い、一緒にいた坂本が心底不思議そうに呟く。

 

芳佳「あ、坂本さんにミセスSさん」

 

ミセスS「頑張っとるのう芳佳ちゃん」

 

坂本「成果はどうだ宮藤」

 

聞かれて芳佳はまだまだと困った顔をする。

 

芳佳「早く魔法圧を安定させて、皆と一緒にちゃんと戦える様にしないと……!」

 

ミセスS「頑張るのは良いが無理はせん様に気を付けるんじゃぞ。下手にやって変な癖が付いたらいかんからな……」

 

坂本「そうだな。それに私から見れば何か切っ掛けがあればいけると思っているぞ」

 

気合を入れる芳佳にミセスSはそう言い、坂本が同意しながら付け加える。

 

芳佳「きっかけですか?」

 

ああと頷いた坂本の言ったきっかけ……と復唱した後によし!と芳佳は立ち上がる。

 

芳佳「ありがとうございます!今度は走ってきます!」

 

静夏「あ、私も!」

 

音炉「あたしも~」

 

そう言って走る3人に坂本とミセスSはくすりと笑う。

 

坂本「元気があっていい事だ」

 

ミセスS「そうじゃのう……む?」

 

走る3人とチビ達を見送っていたミセスSは自分達と同じ様に芳佳達を見ているペリーヌに気づく。

 

坂本「ペリーヌか、お前も宮藤を心配して見ていてくれていたのか」

 

ペリーヌ「坂本少佐……はい。ですが今の宮藤さん、ちょっとオーバーワークしてると思うんですの」

 

ミセスS「まぁ、確かに焦りを感じてしまってるみたいじゃしのう……何か、丁度良く休める感じのがあればええんじゃがのう」

 

そう言って意味深に視線を送るミセスSにこのご婦人は……とペリーヌはふうと息を吐いて頷く。

 

ペリーヌ「それでしたら私に任せてくれませんか?」

 

坂本「何かいい気分転換になる事があるのか?」

 

ええと頷いてペリーヌはそれではと一礼して去る。

 

 

 

 

暫くして芳佳達はお風呂に入っていた。

 

静夏「ふうー」

 

音炉「~♪」

 

音炉と静夏はチビ達とお風呂に入り、マッタリしている中、芳佳は1人、シャワーを浴びながら考えていた。

 

芳佳「(どうすれば魔法圧が安定するんだろう。このままだと何の役にも立てない……坂本さんは切っ掛けがあればって言うけど……)」

 

物思いに更けていた芳佳はなんだか寒くなって来たと思った後にシャワーのお湯が水になってるのに気づいてからつめたいっ!?と慌ててお風呂に飛び込む。

 

ドボーン!!

 

静夏「どうしたんですか宮藤さん!?」

 

音炉「ヨシカ!?」

 

突然飛び込んで来た芳佳に2人やチビーズが驚いていると少しは頭が冷えましたか、と言う声に顔を向けると左手を腰に当てて佇むペリーヌの姿があった。

 

どうやら冷たい水になったのはペリーヌがシャワーの水の蛇口を弄ったからみたいだ。

 

芳佳「酷いよ、ペリーヌさん!」

 

チビ芳佳「イタズラ、メっ!」

 

文句を言う芳佳達にペリーヌは気にせず指摘する。

 

ペリーヌ「オーバーワークよ。魔法圧が直る前に身体が壊れても良いの?」

 

うぐぅと呻く芳佳にはぁ……とため息を吐いてからペリーヌは言う。

 

ペリーヌ「ちょっと付き合いなさい」

 

チビペリーヌ「付き合う?」

 

告げられた事に3人は顔を見合わせる。

 

音炉「何に付き合うの?」

 

ペリーヌ「花を見に行きますの」

 

芳佳「花?」

 

続けて告げられた事に3人は再び顔を見合わせる。

 

 

 

 

翌日、芳佳は静夏と音炉に支えられながらペリーヌと共にある場所へ向けて飛んでいた。

 

飛んでる途中でよろけながらも2人に支えられながら芳佳は前方を飛ぶペリーヌに問う。

 

芳佳「ねぇ、ペリーヌさん。どこ行くの?」

 

ペリーヌ「ネーデルラントよ。シクラメンとクレマチスが見ごろだそうよ」

 

音炉「シクラメンとクレマチス?」

 

首を傾げる音炉だが、芳佳はおおと声を漏らす。

 

芳佳「クレマチスは薬にちょっとほしいかも」

 

音炉「薬になる花?」

 

流石は医者の娘、とペリーヌが苦笑していると静夏が恐る恐る声をかける。

 

静夏「その、クロステルマン中尉。花を見るためだけに申請を?」

 

ペリーヌ「それもありますけどちょっとネーデルラントの女王陛下に呼び出しを受けましてね」

 

静夏「じょ、女王陛下!?」

 

告げられた事に芳佳と静夏は驚き、音炉もおおと声を漏らす。

 

そんな3人の様子にくすりと笑いながらペリーヌは行く切っ掛けとなったミーナからの要請を思い返す。

 

彼女からオペレーションサウスウィンドの準備が遅れているのでネーデルラントの王室と国民に協力の根回しをして欲しいと頼まれたのだ。

 

その際に王室からウィッチの協力要請があると言うのも聞かされた。

 

ならばとペリーヌは表向きは休暇と言う形で芳佳の同行を求め、許可を貰ったので彼女の護衛として音炉と静夏も連れて来たのだ。

 

思い返していると静夏が質問して来る。

 

静夏「王宮はデンハーグにあるのでは?」

 

ペリーヌ「指揮を鼓舞するために国境近くまで来てるんですって……ほら、見えましたわ」

 

返した後に見えてきた城を見てペリーヌは言う。

 

音炉「おお、あれが!」

 

ペリーヌ「あれがデハール城ですわ」

 

城を見て音炉は感嘆の声をあげる。

 

芳佳「わあ~綺麗!」

 

一方で芳佳は城にある庭園に感嘆の声をあげる。

 

静夏「本当ですね…!」

 

芳佳「薬やハーブティーにするのにちょっと貰えるかな?」

 

音炉「ハーブティー、どんな味かな」

 

食い意地張ってますわねと和気あいあいと楽し気に話してる3人のにペリーヌは再びくすりと笑う。

 

 

 

 

案内された先で芳佳達は声をあげる。

 

音炉「豪華~」

 

芳佳「シャンデリアがあるよ」

 

静夏「流石王宮ですね」

 

3人が内装に声を漏らす中、ペリーヌは壁に飾られたある物を見てあら?と声を漏らす。

 

それは巨大な絵画で、城の前に沢山のチューリップが咲き誇る光景なのだが、そのチューリップの色が青いのだ。

 

ペリーヌ「青いチューリップ?」

 

音炉「オー、綺麗」

 

芳佳「それって何か凄いの?」

 

感嘆の声をあげる音炉の隣で芳佳はペリーヌに問う。

 

ペリーヌ「青いチョーリップは存在しないと言われていたのよ。これが幻のチューリップなの…?」

 

誰もが興味深く絵画の青いチューリップを見ていると扉を開く音がしたのでそちらへ顔を向ける。

 

そこにいたのは水色のドレスを着た貴婦人で、芳佳達が絵画を見ていたのに貴婦人は楽し気に笑ってペリーヌ達へ絵画に描かれている青いチューリップについて教える。

 

貴婦人「それが我が国の象徴、クイーン・オブ・ネーデルラントよ」

 

微笑んだ貴婦人にペリーヌは驚いた様子で声をあげる。

 

ペリーヌ「女王陛下!」

 

芳佳&静夏「ええぇ!?」

 

音炉「おったまげー」

 

驚く芳佳達にようこそいらっしゃいました、と一礼する貴婦人、ネーデルラント女王に芳佳達も慌てて一礼する。

 

ネーデルラント女王「クイーン・オブ・ネーデルラント。それは国民全てが愛した我が国の誇りでした」

 

静夏「この青いチューリップが……」

 

呟いた静夏のにネーデルラント女王はええと肯定する。

 

ネーデルラント女王「この宮殿で20年前に咲いてから少しずつ増えていきました……ですがネウロイの襲来で温室は破壊され、持ち出した株もそれ以来咲いておりませんの。我々の国土はこうやって取り戻しました。しかし、民から希望は失われたまま……それを取り戻すためにもクイーン・オブ・ネーデルラントが必要なのです」

 

哀し気に言うネーデルラント女王の顔を見て、芳佳は決意を込めてペリーヌに顔を向ける。

 

芳佳「やろうよ!ペリーヌさん!」

 

ペリーヌ「!」

 

静夏「み、宮藤さん」

 

音炉「おお、芳佳やる気満々」

 

興奮してる芳佳に音炉は目を輝かせて、静夏が宥めてる間にペリーヌは気になった事をネーデルラント女王へと問う。

 

ペリーヌ「ですが、何故我々ウィッチを?」

 

ネーデルラント女王「初めてこの花が咲いたときにウィッチが手助けしてくれたのです。ぜひお力をお貸しください」

 

そう言って頭を下げるネーデルラント女王にペリーヌは慌てる。

 

ペリーヌ「そ、そんな!頭をお上げください!ぜひ、やらせていただきます!」

 

ネーデルラント女王「ありがとうございます。花が咲いたらきっと()も喜ぶでしょうね」

 

笑顔で言ったネーデルラント女王の彼と言う言葉に彼?とペリーヌは首を傾げる。

 

ネーデルラント女王「ここを守ってくれてる守り神の事です」

 

静夏&音炉&芳佳「守り神?」

 

ペリーヌ「守り神……ですか?」

 

懐かしむ様にネーデルラント女王は4人に頷き、絵画へと顔を向ける。

 

ネーデルラント女王「クイーン・オブ・ネーデルラントが初めて咲いた時に現れ、この地を守護し続けてくれる存在です。私や国民達と同じ様に花を愛し、この花が咲くこの地を守ってくれました」

 

ペリーヌ「それが守り神……」

 

誇らしげに語ったネーデルラント女王は顔の向きを芳佳達へ戻して再び頭を下げる。

 

ネーデルラント女王「皆さん。どうかクイーン・オブ・ネーデルラントを、宜しくお願いします」

 

お願いするネーデルラント女王に4人は真剣な顔ではい!と力強く答える。

 

 

 

 

時間が経ち、夕暮れとなった時間で芳佳達は温室で庭師達と共に机に並べられたクイーン・オブ・ネーデルラントを前に立っていた。

 

庭師A「いやー!待っとんたんじゃ!女王陛下から話は聞いておるよ」

 

庭師B「ささっ、早く魔法をクイーンにかけてくれ」

 

ペリーヌ「魔法と言われましても……」

 

早くしてくれとばかりに急かす庭師達にペリーヌは戸惑う。

 

芳佳「私が治癒魔法をかけてみようか?」

 

音炉「治癒魔法で花、咲ク?」

 

静夏「魔法圧が安定しない宮藤さんがやったらマズイのでは?」

 

提案した芳佳は静夏の指摘にうっとなる。

 

間違って花が散ってしまったら本末転倒にしかならないから慎重になってしまう。

 

庭師B「何勿体ぶっとんのじゃ?」

 

音炉「魔法って言ってもウィッチそれぞれ、使える魔法違ウ。ドの魔法必要か言ってナイ!」

 

まさか出来ないのか?と思わず芳佳達へと顔を寄せようとした庭師達はうっと言葉が詰まった。

 

その反応に芳佳達はまさかとなる。

 

ペリーヌ「どの魔法が必要なのかわからないんですの!?」

 

庭師A「は、はい……」

 

先程と打って変わって肩を落とす庭師達に芳佳達は困った顔をする。

 

音炉「ネウロイの襲撃来るまでは咲カセてたんじゃないの?」

 

静夏「誰も知らないんですか?」

 

庭師D「知ってたら頼るなんて事をする訳ないだろ。それに、魔法で咲くかどうかも知らねえよ」

 

確認する静夏のに対し、話の輪に加わず少し離れた場所で別の植物を手入れしていたサスペンダーを付けた鬚の庭師がそっけなく返す。

 

その返しに芳佳達はさらに困った顔をする。

 

芳佳「どうするペリーヌさん?」

 

ペリーヌ「…これは色々試したり調べたりしないといけませんわね」

 

庭師D「ふん、ウィッチだからってなんでも出来ると思うなよ。それに色々したりと言うが、クイーン・オブ・ネーデルラントの数は少ないんだ。全部枯らされるなんて事はまっぴらごめんだ。さっさと帰れ」

 

そう呟いたペリーヌはサスペンダーを付けた鬚の庭師の言葉にムッとなる。

 

ペリーヌ「私達にはネウロイからベルリンを奪還する最重要任務があって、本来ならこんなところに来ている暇なんてありませんの!」

 

庭師D「!だったら…「ですが」……!?」

 

返しのに怒りかけたサスペンダーを付けた鬚の庭師にペリーヌは真剣な顔でみつえる。

 

ペリーヌ「女王陛下からお願いされたからには、花を咲かせてみせます。ウィッチは約束は必ず守ります」

 

庭師D「……ふん!ここでは経験がものを言うんだ!素人には無理に決まっているだろ。無駄だ、帰れ帰れ」

 

腕を組んでそっぽ向くサスペンダーを付けた鬚の庭師の言い分にペリーヌがぐぬぬとなり……

 

音炉「でも花の咲かせ方の経験は前の人から引き継げなかったの?」

 

芳佳「ね、音炉ちゃん、シー!」

 

気になって呟いた音炉のに芳佳が慌てて止めに入るが、聞こえていたようでサスペンダーを付けた鬚の庭師は顔を顰めて、出来なかったよと呟き……

 

庭師D「()()共のせいで、なくなっちまったよ……」

 

不機嫌に吐き捨てた事に4人は何も言えなくなる。

 

ただ、静夏だけはサスペンダーを付けた鬚の庭師の言い方に首を傾げる。

 

なぜ、ネウロイではなく、怪物と言ったかを……

 

 

 

 

夜、提供された宿舎の部屋でペリーヌは困り果てる。

 

ペリーヌ「困りましたわね。どこから手を付けたらいいのか…」

 

芳佳「昔のウィッチは一体何をやったんだろう…」

 

音炉「そもそもドンナ人だったのカナ?」

 

音炉の言葉に3人はああと声を漏らす。

 

静夏「まずはそれを調べるのが最初ではないでしょうか?」

 

ペリーヌ「今日はもう遅いですし、明日から頑張りましょ」

 

ふわぁ~と欠伸している芳佳と音炉にチビーズを見てくすりと笑ってから静夏のにペリーヌはそう言う。

 

それぞれおやすみなさいと声をかけて就寝する中、ペリーヌはネーデルラント女王の言った守り神について思いにふける。

 

ペリーヌ「(守り神……一体どんな存在なのかしら…)」

 

ふと、ペリーヌは尊敬する祖母を思い出す。

 

ペリーヌ「(……守り神と言えば昔、おばあ様から似た話を聞いたような……)」

 

話していた祖母はその話をしている時、とても誇らしく、とても嬉しそうに、そして懐かしむ様にしていたのを思い出しながらペリーヌはより思い出そうとするが思い出せない。

 

ペリーヌ「(……思い出せませんわ。もしかしたら関係あることだったのに……おばあ様)」

 

尊敬する祖母を思いながらペリーヌはやがて睡魔に飲まれて、眠りに付く。

 

 

 

 

翌朝、芳佳はチビ達を乗せて走り込みをしていた。

 

チビペリーヌ「ファイトー!」

 

チビ静夏「がんばれー!」

 

両肩からの応援を受けながら走っていた芳佳は作業をしている庭師達に気づく。

 

芳佳「おはようございまーす!」

 

庭師D「なんだ、まだ帰ってなかったのか」

 

挨拶する芳佳にサスペンダーを付けた鬚の庭師は不満げに呟く。

 

芳佳「こんな早くからなにやってるんですか?」

 

庭師A「霜が降りる前に来年の仕込みをしてしまわんとなぁ」

 

質問する芳佳に細顔の庭師が答える。

 

芳佳「手伝います!」

 

チビ芳佳「私も!」

 

Nチビ芳佳「ワタシも!」

 

そう申し出て、芳佳は畑へと降りる。

 

庭師B「おお、手伝ってくれるのか」

 

芳佳「はい!(…あ、この子たちのこと、どう説明しよう)」

 

チビ達の事をうっかりそのままにしていたので芳佳はどうしようかと思っているとほれとサスペンダーを付けたのとは別の鬚の庭師が鍬を差し出す。

 

気にした様子もない庭師達の様子にあ、どうもと芳佳は受け取る。

 

芳佳「(あれ?気にしてない…?)」

 

庭師C「しっかし、あんたやその連れにそっくりなのも作れるなんて、ウィッチはすごいもんじゃな」

 

どうしてと思ったが鬚の庭師の言葉にああと納得する。

 

芳佳「(魔法で作った物って思ったんだ……)」

 

チビーズの中で3匹は音炉が作ったのだから合ってると言えば合っているでええ、そうなんですと頷いた後に早速手渡された桑で耕し始める。

 

庭師C「ほう、なかなか腰が入っとるのう」

 

芳佳「うちでサツマイモ作ってたんです」

 

チビ芳佳「えっほ、えっほ」

 

チビ静夏「よいしょ、よいしょ」

 

その慣れた手つきに感嘆する鬚の庭師に芳佳は照れ臭そうに返し、チビ達も邪魔になりそうな石などを退かして行く。

 

その様子にサスペンダーの鬚の庭師はふんとつまらなそうに自分の作業をする。

 

音炉「あ、ヨシカ。居た!」

 

ペリーヌ「居ないと思ったら全く……」

 

そこに芳佳を探しに出て来たであろうペリーヌ達が来る。

 

手伝っている芳佳にペリーヌはホントにあの子はとぼやく。

 

静夏「宮藤さんらしいですね。私も手伝ってきます!」

 

音炉「ワタシも!」

 

そう言って駆け出す静夏と音炉にちょっ!?と声を漏らしたペリーヌはふうと息を吐く。

 

ペリーヌ「それは任務外でしょうに……」

 

ぼやいたペリーヌに対し、おい、とサスペンダーを付けた鬚の庭師が声をかける。

 

庭師D「お前も手伝え。土作りもできない奴がクイーンを咲かせられるわけないだろう」

 

ペリーヌ「っ!やってやりますわ!」

 

サスペンダーを付けた鬚の庭師の売り言葉に買い言葉で返したペリーヌはずんずんと下りて桑を手に持つ。

 

ペリーヌ「ふん!」

 

振っては降ろして畑を耕すペリーヌの動きにサスペンダーを付けた鬚の庭師は呆れる。

 

庭師D「なんだ、そのへっぴり腰は。昔手伝ってくれたウィッチはそんなんじゃなかったぞ」

 

ペリーヌ「ふん!半日もあればそのどこぞのウィッチを超えてみせますわ!」

 

音炉「おお、ペリーヌ大口」

 

反論するペリーヌに音炉は桑を動かしながら呟く。

 

庭師D「ふん!口だけは達者だな。なら少しは耕してみろ」

 

ペリーヌ「だいたい、こんなに広いのに重機も無しに無理ですわ!」

 

庭師A「なんじゃ?重機ならあるぞ」

 

そう返したペリーヌは細顔の庭師の言葉にえ?と漏らす。

 

こっちじゃと言って案内された先の小屋の中を見てペリーヌは唖然となる。

 

確かに重機は重機であるのだが、戦車なのだ。

 

ペリーヌ「確かに重機は重機ですが……」

 

音炉「オー。戦車!」

 

庭師A「軍からの払い下げなんだが誰も動かせんでなぁ」

 

唖然としているペリーヌと目を輝かせている音炉に対し細顔顔の庭師がなんであるかの理由を言う。

 

じゃあなんで買ったんだろう?と芳佳と静夏は思った。

 

ペリーヌ「仕方ありませんわね…」

 

チビペリーヌ「ガンバですわー」

 

チビNペリーヌ「ですわ~」

 

ため息を吐いた後にペリーヌは気づいた。

 

一応自分は操縦出来るが、他に操縦できる人がいるかと……

 

試しに芳佳と静夏を見るが2人は首を横に振る。

 

ペリーヌ「あなたはできませんの?」

 

音炉「アタシ?」

 

次に音炉に聞くがどうせ出来ないでしょうとペリーヌは思う。

 

音炉「ん~、勉強すればデキル?」

 

ペリーヌ「今すぐは無理ですわね。私が操縦しますわ……あ、そうだ音炉さん。あなたの能力なら耕すのに適した重機関連のを作れますわよね?」

 

ふうと息を吐いてから思い直してそう問う。

 

音炉「……作って大丈夫ナノ?」

 

ペリーヌ「……そうでしたわね。聞き流してくださいな」

 

指摘されて流石に基地内や任務ではなく、休暇で来ているので使うのはどうかと考え直し、ペリーヌは戦車へと向かう。

 

ペリーヌ「よいしょっと」

 

乗り込んだ後に各部を確認して早速動かし始める。

 

芳佳達が見ている前で戦車は起動音を出しながら動き出す。

 

音炉「オオ、動いた」

 

芳佳「それじゃあ退いておこうか」

 

進路上から退いたのを確認してペリーヌは戦車を前進させ、畑へ向かい、畑に入った後に戦車の全面に付けられたので耕して行く。

 

庭師A「ほっほー、こりゃ良いわい」

 

音炉「どんどん耕しテル」

 

芳佳「よーし、静香ちゃん。音炉ちゃん。私達も頑張ろう!」

 

チビ芳佳「ファイト~」

 

チビN芳佳「いっぱ~つ!」

 

それに感化されて走り出す芳佳におーと音炉も続く。

 

静夏「……こんなことをしている場合じゃないような……」

 

チビ静夏「……ドウスル?」

 

どうすると言われましても……と静夏は唸る。

 

ちなみにペリーヌは戦車の中でぼやいていた。

 

ペリーヌ「なんでわたくしが…」

 

チビペリーヌ「ガンバですわ~」

 

チビNペリーヌ「平民の為に貴族も頑張るのですわ~」

 

いやまぁ、そうでしょうけどもとぶつくさ言いながらペリーヌは戦車を動かして耕して行くのであった。

 

 

 

 

夕方、耕された畑を見て庭師達は満足そう笑う。

 

庭師A「今日だけでずいぶん進んだな」

 

庭師B「嬢ちゃんたちのおかげだ。若いっていいのう」

 

芳佳「んーお疲れ様です」

 

音炉「今日はこれでオシマイ?」

 

褒める庭師達に音炉は確認するとそうだよと返される。

 

庭師D「よし、今日はこれで終わりだ。飯にするぞ」

 

芳佳&音炉「はーい」

 

咳払いして言うサスペンダーを付けた鬚の庭師のに芳佳と音炉が答える。

 

ペリーヌ「……こんなんでクイーンを咲かせられるんでしょうか」

 

チビペリ―ヌ「夕日が綺麗ですわ~」

 

はぁと溜息を付いてからペリーヌはチビの言葉に沈んで行く夕日を何気なく見る。

 

ー彼はね、沈んで行く夕日や上がり始めた朝日に照らされた花を見るのが好きだったわー

 

ふと、脳裏に祖母の言葉が過る。

 

ペリーヌ「(……彼って誰の事でしょうか?)」

 

その時の祖母の顔も懐かしそうに楽しそうに語っていたからとても付き合いがあったのだろうなと思いながら自分を呼んでいる芳佳のを聞きながら戦車を戻しに動かす。

 

 

 

 

夕飯、芳佳が作った料理を庭師達と共に囲んで食べており、庭師達は感嘆しながら食べていた。

 

庭師B「ほ~、これは美味いな。扶桑のミソスープか。身体が温まるぞ」

 

庭師C「わしが50歳若かったら嫁にほしかったぞ」

 

音炉「芳佳の美味しい!だけどお嫁さんダメ!」

 

ギュっと芳佳に抱き着く音炉にこりゃまた手厳しい、と庭師達は笑う。

 

庭師D「……ふん、まあまあだな」

 

サスペンダーを付けた鬚の庭師も黙々と食べ終えるとさせと……と立ち上がってどこかに向かおうとする。

 

どこに行くんですか?と芳佳が問うと温室だと返される。

 

おお、そうだったと他の庭師達も少し早めて食べ終える。

 

音炉「温室?もう夜ナノに?」

 

庭師D「寒くなって来たからな、クイーンは温度管理が厳しくて、この時期の夜の間はボイラーに火を入れて、20℃保たないと枯れてしまう」

 

首を傾げる音炉にサスペンダーを付けた鬚の庭師が温室へ行く理由を答える。

 

ならば自分達も見に行くと芳佳達も温室へ赴き、ボイラーで温室の温度調整を見守る。

 

庭師D「これで良し、上手く行けば、明後日の夜明けに咲く筈だ」

 

庭師A「今年こそ咲いて欲しいのう」

 

音炉「…このボイラー、大丈夫?古ソウだけど」

 

調整を終えてそう言った庭師達に音炉は心配そうに聞く。

 

庭師C「まぁ、長い間使っておるからな……」

 

庭師B「一応メンテナンスはしておるが…冬の間はもつといいんじゃが」

 

心配は分かると頷いてからふっくらとした庭師は芳佳達に安心させる様に笑う。

 

庭師B「まぁ、ウィッチとじゃとしても年若い女子じゃ。嬢ちゃん達は部屋に戻った戻った」

 

静夏「ですが…」

 

庭師A「わしらも交代で寝るから」

 

庭師C「じゃから任せておけ」

 

渋る静夏に庭師達は遠慮しなくて良いと返す。

 

そう言われたら断り難いのでおやすみなさいと芳佳達は部屋に戻る。

 

少しして部屋に戻り、寝間着に着替えた芳佳達は思い思いに過ごす。

 

芳佳「明後日の夜明けかぁ…」

 

音炉「楽しみ!……デモちょっと心配」

 

ベッドに寝転がりながらしみじみと呟いた芳佳は音炉のにそうだねと呟く。

 

静夏「とりあえず今日はもう寝ましょう」

 

ペリーヌ「ですわね……ああ言ったのですからそこらへん大丈夫……な、筈」

 

少し不安そうなペリーヌにだ、大丈夫ですよと静夏は言う。

 

そんな会話してから各々に眠りに付き、深い眠りに入ろうとした時……

 

ドカァァァァァァァン!!!!

 

突然の爆発音で跳ね起きる。

 

芳佳「うえ!?」

 

音炉「爆発!?」

 

突然の事に慌てて着替えて外に出る。

 

ペリーヌ「温室の方からですわ!?」

 

静夏「なにかあったんでしょうか…!?」

 

煙が上がってる方向を見て4人は急いで温室へと向かう。

 

温室で起こりし事とは一体……

 







チビペリーヌ「こうへんにつづきますわ~~」
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