あらゆる封印を作ったり解いたりできる天才結界士と封印から解放された魔王様 ~追放された結果、人間が嫌いになったので、魔王の味方をする事にしました~   作:運の命さん

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プロローグ 追放される天才結界士

「クライン、今日でお前はクビだ」

 

 依頼中での野宿、そのキャンプ地で俺はパーティーリーダーであるファルスにそう告げられる。他の仲間たちも同じ態度を取ってこちらをにらみつける。

 

 あまりの唐突な出来事に、俺は固まってしまった。

 俺達はこれまで、色んな依頼をこなしてきた。それこそ数多くのA級クラスのモンスターを倒せという依頼、更には王族から直々に魔王の配下の一人を倒してこいという物もあった。

 俺は何時どんな時もずっとパーティの支えとして、封印や解除の支援をしてきたつもりだった。

 

 それなのに、いきなりクビとはどういう事なのだろうか?

 

「ちょ、ちょっとまってくれよ。俺たちは仲間だろ? それなのに突然クビって……どういうことだよ」

「あぁ、そうだな。だが考えてみれば、その必要もないと俺達は考えた」

 

 必要がない、どういうことだ? と俺は困惑すると、その表情を見てファルスはフフッと苦笑した。

 もしかしてドッキリとかそういうアレだったのか?

 

「一々封印するのなら、もういっその事倒してしまったほうが速いと思ってな。何せ俺達は凄い強くなった、今やこの世では最強パーティとして呼ばれる始末。故に、封印を得意とするお前はもう邪魔なんだ」

「そんな――」

 

 そういう訳ではなかった。ただの嘲笑だった。

 不要か、ふざけた事を。つい最近の魔王の配下討伐依頼だって、少し苦戦していたというのに。最強パーティという肩書を得て、調子に乗っていのだろう。

 と言っても、今以上に文句言われるに違いない、最悪口封じとして殺しにかかってくるかもしれないので、俺は黙るしかなかった。

 

「攻撃も回復もできなければ、ロクな攻撃魔法もない。結果として俺達が攻撃しているのを後ろから眺めるだけ。どうだ? 羅列しただけでも、邪魔だってわかるだろう?」

「……」

 

 俺の職業である結界士は、敵を封印したり、既に張られた封印を解析し解く事に長けただけの職業だ。故に、攻撃に関するスキルや魔法は殆ど持ち合わせない。攻撃自体は可能な職業ではあるが、大したダメ―ジは見込めないのだ。

 当時のこいつらは、そんな事を把握していなかったのだろう。もし知っていたら、あのとき封印を解いた時点で用済みとして見捨てようとする筈だからだ。

 

「大体な。俺達がお前を仲間に引き入れたのは、当時の依頼完遂の為に邪魔だった結界を壊すだけの手駒として使う為。一人だけだったお前は、誰にも心配されない最高の駒だったよ。だがその後は荷物運びやら時折の解除雑用しかできない駒にしかならなかった。これをいらない存在以外、何といえばいい?」

「いらない、存在……」

 

 俺は、ある魔術師の里に一人で住んでいた。そこは、様々な魔術師が住んでおり、生まれながらにして結界士の適正を持った俺に色々指導してくれた。俺も自分のこの力に誇りをもっていたのだが、里の外の者からはずっと雑魚呼ばわりされてきた、悔しかった俺はその後もどんどん力をつけ、結界士としては最強と呼ばれる程の実力を手にする事ができた。

 

 が、それでも結局雑魚呼ばわりなのには代わりなかった。里の人達も、次第に仕事の為に里を離れて行ってしまい、何時しか里に住むのは俺だけとなってしまった。だがそんなある日、俺の実力を知ったファルスたちは俺をパーティに勧誘してくれた。その時は、ようやく俺も誰かの役に立てる日が来たんだと喜びながら、その勧誘を受けた。

 こんな力でも仲間はできるんだなって思ったから。

 

 だけどそれも結局、ただの夢紛いにすぎなかったのだ。

 

「フォローするとしたら、一応当時は君には少し淡い期待はしていたんだ。何でも古代の高位封印術をも解析して解く事が出来ると言っていたからな、ひょっとしたら何かとんでもない事も出来るんじゃないか、ってな。そしたら結果は大外れ、その本領を見せる機会もない、挙句の果てには攻撃が弱い? さすがの俺も愕然としたね」

「……そうかよ」

「ここまで言えば、君もどうするべきか、わかるよな?」

 

 俺の心は、悉く打ちのめされた。

 結界士としての誇り、自信、それら全てが今この時をもって、容赦なく潰されたような感覚を覚える。

 

 悔しい――けれど、今この状況で結界士の俺に何が出来る?

 仕返しもできなければ、弁明する言葉も無い。

 ならば、ここは潔く去った方が、こいつらとしても自分としても、一番良い選択なんだろう。

 

「分かった、俺もこれ以上色々言われるのは辛い。アンタらがそういうのなら、こんなパーティ抜けてやる」

「はははっ、良い判断だ! その潔さは認めてやる」

「――っ!」

 

 俺は奴らの嘲笑い声を聞きながら、苦虫をかみつぶした様な表情をしながら、その野宿場所を立ち去った。

 

 これが俺、クラインがパーティを抜け、一人孤独となった理由である。

 だが、今となってはこの出来事もありがたい思い出となっていた。なぜならそれは……。

 

 後に俺は、最高の仲間を見つけたのだから。




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