さて、ドーベルマン教官から案内してもらって小一時間、とても視線を感じる。
原因は言わずもがなレッドだ、あの同族からやたら避けられる赤衣の暗殺者、観察と言っていたから何かされるわけでは無いだろうがとても落ち着かない。
しかし今はどこに行ってもこの視線がついて回るし、腰を落ち着けられるのもここしかない、だから寝る前に色々と状況を整理しておこう。
自分は地球生まれ日本育ちだ、アークナイツはほどほどに課金して楽しみ、理性回復剤の虜となっていた。
そして、ヘラグのじっちゃんが欲しいなぁ……と思いながら床につき、起きたらこの体で『テラ』の荒野だった、そう、テラだ、アークナイツの舞台にしてオリジニウムの起こす災害に振り回される、創作の中でもおおよそロクでもない部類に入る世界。
その後はここに来るまで大した時間は経っていない、精々一週間といったところだろうか、その間にここはどこなのか、何があり、どこへ行けばいいのかなどを助けた現地人に聞き、自分の力を理解し、心の情動が少なくなっている事を確認した。
最後の、心の情動だが、これはドクターとアーミヤに出会ったとき気づいた、もし地球にいた時のままの自分ならあの状況で、あれほどスラスラ言葉は出てこないだろう。というより、思い返せば助けるためとはいえ躊躇なく暴力を振るうことが出来たのもおかしい、地球では生まれてからそんな事をできた記憶はない。
それを踏まえて今後は……、とりあえずロドスの信頼を勝ち取ることが急務だ、それ以外には自分の力がどこまでできるかの検証、ロドス内で仕事を回してもらえるか、そういったところだろうか。
とりあえず今は寝よう、食事はともかく睡眠はテラに来てからほとんどしてない、レッドの視線も裏を返せば他の人間が滅多なことをできないというふうに考えれば、自然となんとも思わなくなってくる。
「おやすみなさい。」
レッドに向けて言ってみたあと、案の定帰ってこない声に苦笑しながら自分は床についた。
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「レッドに、気付いた…?いつから、もしかして、ずっと……?」
ーーーーー
『ピンポン、ピンポンピンポン、ピーンポーン』
この世界でも、呼び鈴の音は同じなのだなと、そう思いながら起床する。
備え付けの時計を見ればもう早めのお昼ご飯を取る時間だ……呼び鈴で呼ぼれているのだし、早く出た方がいいだろう。
『ピンポーン』
そこで思い出した、自分はモスティマに似ていることを、どのくらい似てるかといえばあのドクターが理解できなくて固まるレベルだ、他人の空似には無理がある、これは容姿を誤魔化す必要が有りそうだが……ここには容姿を誤魔化せそうな物はない、仕方ないから狸寝入りでも
『あーもう!居留守使おうったってそうは行かないんだから!テキサス!』
テキサス…???
『エクシア、流石に扉を壊すのは辞めた方が……』
エクシア……?????
『じゃあ私がやる!えーい!!!』
まずい!そう思ったときにはどう見ても正常な解除方法ではない電子錠つきの扉が勢い良く開け放たれた。
「あれ?モスティマ?……いない?」
ふぅ、なんとか隠れられたか、流石に布団に包まれば姿も見えないし、遮光カーテンもあるし、わかりにくいようベッドの隙間に入り込んだし、これならバレな
シャッ!グイグイ、ズルズル、ドン!
痛い……一瞬でバレたし引きずり出された、オオカミの特徴を持つループスには勝てなかったよ……。
「さーて!モスティマ!今回は色々と話を聞かせてもらうからね!おりゃあ!」
布団を引っぺがしたエクシアと、ついでにそれを見ていたテキサスが固まった。
「あはははは…お、おはよう?」
「え?モス…ティマ???輪っかは?!羽は?!角は?!っていうかなんでオレンジ色?!」
「いったい何が、というよりは本当にモスティマなのか?」
「勘がいいね、そう、私はモスティマじゃなくてオランジュって別人さ。」
そう打ち明けると同時に、暫くは他の人にも同じような反応をもらったりするのかなと思って若干げんなりする。
「え、でもテキサスは同じニオイだって……」
「同じとは言ってない、凄く似ているだけだ、しかし……別人とは思えない程に似てるな。」
「そうらしいね。」
まさかこんなに早くペン急組と出会うとは、ドクターにあらかじめ正体を隠す方法を相談しとくべきだった…!しかし好都合でもある、この二人に道を案内して貰おう、ちょうど案内役は欲しかったところだ。
「ところでお二人さん、ドクターの執務室ってどこにあるかわかるかい?昨日来たばっかりで道がわからないんだ。」
「モスティマと本当にそっくり……あ、道案内?いいよ!テキサスも用事は入ってないよね。」
「ああ、大丈夫だ。」
「なら、行こうか?」
ーーーーー
「正体を隠す方法?」
「うん、ドクター、このままだと質問攻めにあって大変だよ、私とモスティマって人には容姿が似てることしか同じところはないのにね。」
「一理はある…だが、正体を隠してその後モスティマと容姿が瓜ふたつとバレる方がもっと面倒だ、私もその時無駄な仕事にかかりきりにはなりたくない、アーミヤ、昨日言っていた件は?」
「はい、ドクター、朝の時点で各部署に通達しました、『モスティマさんと似た容姿の人をオペレーター候補としてロドスに滞在させています』と、血縁関係が無いことも直ぐに連絡します。」
アーミヤ社長がこちらを警戒しつつ教えてくれる、まぁいきなり危険な行動したからね、これからゆっくり信頼を築いていこう。
「昨日の時点で考えついていたとは、噂に聞いた通りの良い手腕だね。」
「そういうそちらは、容姿に似合わず詰めが甘い。」
「それはまぁ、私はモスティマじゃないからね。」
「……すまない、姿が似ているとつい別人の影を重ねてしまう。」
「気にしてないよ、もし悪かったと思うなら今度一緒にお茶でも飲まないかい?」
「ああ、もちろん。」
「それは良かった、ところで私はオペレーター候補な訳だけど、契約はいつできるかな?」
「まず検診を受けて、その後に実力を見てからだ、午後3時から検診を始める、道案内は外に居るオペレーターに頼んでおいた、少し時間はあるから、まずは食堂に行くといい。」
「あれ?エクシアとテキサスは?」
「あのお二方はケルシー先生に呼び出されていましたよ。」
そういえばエクシアはドアを壊していたな。
ケルシー先生のお叱りか……想像しただけでちょっと怖いね、機嫌はあまり損ねないようにしなくちゃ、手遅れかもしれないといえばそうかもしれないけどね。
「それじゃあ私はこの辺で、行くとするよ。」
外に待たせているオペレーターとは誰だろうか、検診と言っていたし医療オペレーターかもしれない、もしそうならフォリオプシスあたりには会ってみたいな。
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「やぁやぁ!お待ちしておりましたぞ!オランジュ殿!今回案内役を勤めさせていただく、Thermal-EXと申します!是非!サーマルとお呼びください!」
「よ、よろしく……。」
緑◯光かよ!!!!!
さて、Thermal-EX、いいですよね、出しちゃいました。
次話でセリフ考えるのが怖いです。