まだ朝陽が差す殺風景な部屋で、エクシアと向かい合う。
「えっと、まずは……ごめんね。昨日ドアを壊したり床に落としたりしちゃってさ……。今は任務でいないけど、テキサスも「すまなかったと伝えておいてくれ。」って言ってたよ。テキサスはあたしが付き合わせちゃったところもあるし、許してあげてくれないかな。」
「あの時は驚いたけど、別に気にしてないよ。それよりも、ケルシー先生の説教ってどんな感じだった?」
「へ?え、えっと……ケルシー先生の説教はね、すごかったよ。どのくらいかっていうと背中の後ろにドラゴンが見えるくらいすごかった!」
ん、ドラゴン……?もしやMon3tr?いや、流石にそれは無いか、それくらい恐ろしかったっていう比喩表現だろう、多分。
「それは恐ろしいね、私は叱られないよう気を付けなきゃ。」
「あたしも二度と怒らせたくないよ……。」
少しの間、沈黙が流れる。どうやらエクシアは話の切り出し方に迷っているらしい。仕方ない、こちらから話を切り出そう。
「エクシア、君はここに謝罪をする為だけに来たんじゃなくて、モスティマについて話がしたいんじゃないかい?」
「なんで分かったの?!」
「謝罪だけなら食堂でも済むからね。」
「あ、確かに。……そうだよ、モスティマについて話がしたかったんだ。モスティマについてなにか知っていることはある?」
「そういう人が居る、とだけしか知らないなぁ。」
嘘だ、本当はもっと知っている。でも暴露すれば要らない争いを招くかもしれないし、言ったことを証明することもできない、何より、今は言うべきではない……、と思う。
「そっか、そうだよね、記憶喪失だからね……。ごめん、こんなこと聞いてさ、あたしも分かってたはずなのに。」
「いいんだよ。そうだ、そのモスティマについて話が聞きたいな。似てるって聞くし、どんな人か知ってみたいんだ。」
「分かった、モスティマの話なら任せて!ロドスで1番よく知ってるから!」
おお、いきなり元気になった……。エクシアには悪いが話についていくのが精一杯だ。……なんかデジャヴを感じる。
ーーーーー
結局、エクシアの話を聞いていたら午前中は終わっていた。でも、することは少なかったし、エクシアも楽しそうだったのでなんの問題も無かったが。
「さて、昼ごはんは済ませたし、次は訓練室か、どんな訓練をするんだろうか。」
携帯端末からロドス内部の地図を開く、この前それなりの間ロドスに居ると思われるスカジでさえ迷ったのだから、かなり広いと思っていたけど……、広いというよりはかなり複雑だ、ここを端末無しに歩くのは自殺行為だろう。
監視カメラはかなり多いようだから、迷ったら死ぬなんてことは無いと思うけど。
そこから数分ほどで訓練室までたどり着いた。中に入ると、ドーベルマン教官が待ち構えていた。
「あれ?ドーベルマン教官、龍門の共同作戦があるんじゃなかったのかい?」
「私は出撃メンバーに入らなかったからな、共同作戦とはいえあくまで龍門、あちらの組織の顔も立てなければならん。出撃人数は少数だ。」
「そっか、じゃあなんでわざわざ昨日、急に実力を測ろうとしたんだい?」
「貴様が得意とする戦闘分野が分からなかった、だから様々な分野のエキスパートを集める必要があったんだ。戦闘能力は多角から見た方が良いというのもある。」
「なるほど、教えてくれてありがとう。」
「ふん、今日は作戦立案について見せてもらう。そこに居る複数人を纏め、作戦を立てて課題をクリアしろ。」
「分かったよ。」
ドーベルマン教官の指差す方向には、幾人かのオペレーターが集まっていた。とりあえずは挨拶だ。
「やぁ、今回一緒に訓練をすることになったオランジュだ、とりあえずみんなの名前を教えてくれてもらえないかな?」
「昨日会ったな、重装オペレーターのノイルホーンだ。今日はよろしく頼むぜ。」
「ヤトウだ、先鋒オペレーターを勤めている。」
「プリュムと申します、同じく先鋒オペレーターとして戦闘に参加しています。」
「術士のドゥリンだよ〜。」
「私は術士オペレーターの12Fと申します。今回の訓練、共に頑張りましょう。オランジュ殿。」
「狙撃オペレーターのアンブリエルだよ、よろしくねー。あ、チョコ食べる?」
「医療オペレーターの、フィリオプシスです。今回訓練に参加します、オランジュさん、よろしくお願いします。」
「あたしはウタゲ、前衛オペレーターをやってるよ。今回はよろしく〜。」
「うん、みんなよろしく、あ、チョコは後で貰えるかい?それじゃあ今から資料を開けるから、もっと詳しくできる事を教えてくれると嬉しいな。」
本当は全員のスキルや特徴は知ってるけど、聞いておかないと不審すぎるから聞いておこう。
さて、訓練の内容は、仮想敵に対してオペレーターを配置して対処する、という物だ……資料に乗っている通りなら、これ、中々ハードでは?
重装系が多めに出るのは二人の術士オペレーターでカバーできるけど、それに混じって敵の術士が出てくるのはかなり難しい。ドゥリンが回避でカバーするにも限度があるから、ウタゲの差し込みが要りそうだ。あとは……オリジムシの大群、範囲術士が居てもこの量は……、いや、自分が回避盾になればウタゲとヤトウをそっちに割けるな。これで行こう。
ーーーーー
結果的に言えば、訓練の課題はクリアできた。ただ、自分の回避が上手く行かなくて、一度リテイクは挟む事になったが。
「ふむ、作戦立案能力はそれなりにあるようだな。お前たちはどう思った?」
「良かったと思うよ?あたしのレーダー発動のタイミングも考えられてたし。」
「作戦内容は良いものでした、ただ、ウタゲさんを後ろに配置する方が、安全性は上だった、と、考察します。」
「俺も概ね良かったとおもうぜ?ただ、俺はもうちょい敵を流して来てくれても良かったと思うな。」
「それは同感だ。」
「私も皆様と同じような考えです。オランジュ殿はブロックする敵をもう少し減らしたほうが懸命だった、とは思わざるを得ません。」
「まぁ実際、一度それが理由でリテイクしているからね。返す言葉も無いよ。」
実際少し辛かったし……、役に立ちたいという思いで足を引っ張っては意味がない。今後の訓練も通して自分の能力はきちんと測って行かなければ。
「さて、今回の訓練はこれで終了だ、明日は基礎訓練を中心に行う。それでは解散!」
「みんな、今日はありがとう、お疲れ様。」
「おう、お疲れ様。そうだ!この後空いてるやつで飲みに行かねえか?オランジュ、ロドスに酒場が有るんだよ、もちろん明日もあるし軽くだが、どうだ?」
時間を見ると、もう夕飯には問題ない時間だった。中々時間がかかったようだ。
というより、このロドスに酒場があるとは……!宿舎の枠の1つだったりするんだろうか。
「ぜひ行かせてもらうよ、お酒は……遠慮するけどね。」
「あたしはパス、雑誌の最新号が購買で出てるはずなんだ〜。」
「私はもう眠いから……また今度起きれる時に行くよ〜……。」
「私は行こう、ちょうど新しい酒が入ったらしくてな、それを確かめにも行きたい。」
「私も同行してよろしいでしょうか?」
「あたしも行こっかなー。」
「私は、この後も業務がありますので。」
「せっかくのお誘いですがすみません、この後ラテラーノ関係の手続きをする予定がありまして。」
「うし、えっと……5人だな、んじゃ行こうぜ。」
ロドスの酒場、楽しみだな。他の人も居るのかな。
そんな予定無かったのに、どうして酒場に行っているんですか?