さて、酒場に行くわけだけど、ふと思ったこととして自分の給料とかどうなるんだろうか?今のところ放り出された時に持ってた龍門弊でやりくりしていて、その量は少なくは無い、が無限じゃないし、明日ドクターに聞いてみよう。
「おし、着いたぜ。」
そこは確かに酒場……だけど、その家具はゲーム内でいうモダンホテルセットの物が多く置かれているようだ。宿舎の1つという推理は間違いじゃなかったらしい。
「中々いい雰囲気だね。」
「そうか?俺は上品すぎると思ってたんだが……まぁそんなことはいいか!何を飲む?」
「オレンジジュースで頼むよ。」
「あたしミルクセーキ〜」
「鬼島津を1つ」
「私はアイスティーでお願いします。」
「俺はビールっと、んじゃ頼んでくるぜ。」
注文を言いに行くノイルホーンの背を見送り、5人で手前側の席に座る。どうやら他にも客は居るようで、奥の方から陽気な声が聞こえてきた。
「ねぇねぇ、オランジュ、記憶喪失なのは知ってるけどさぁ、どうやってロドスに来たわけ?聞いたところ採用にひっかかった訳でもないらしーじゃん。」
「うーん、まぁ簡単にいうと押し掛けたんだよ、『他に行くところが無いから雇ってくれ!』とね。」
「普通その場合でも、事務室に連絡ぐらいしてから来るものですが……。」
「あはは、後先考えられる状況でもなかったんだ。」
「それならロドスに来て良かったな。そういう人間を見捨てないのがここのいいところだ。」
「つくづくそう思うよ。」
思った以上に話が弾む、どうやら訓練を通して心を開いてくれているらしい。特別なにかあった訳ではないのだが……こういうものなんだろうか。
「おいおい、飲み物も届いてないのに盛り上がりやがって。」
「お、ノイルホーン、鬼島津は?」
「ほいよ、あとオレンジジュース、ミルクセーキ、アイスティー、ビール……。」
トレーに載せて運ばれてきた飲み物たちが机に並ぶ、ここ最近ジュースにあたる飲料は飲めていなかったから、少し嬉しい。
「んじゃ、乾杯!」
「「「「乾杯。」」」」
「うめぇなぁ!やっぱ訓練の後の酒はいいぜ!」
「ふむ、中々イケるなこれは……!」
「うま〜。」
オレンジジュースは甘さ控えめだがとても美味しい。頼んで良かった。
「あ、そういえばなんだが、訓練の時すげぇ動きしてたよな、あれなんだ?」
「それは私も気になっていました。」
「アーツさ。自分の動きを速く出来るんだ、使い勝手はいいよ。」
「なるほど、あの回避術はそれを利用していたのですか。」
「うん、まぁ派手なことは出来ないから、一長一短ってとこかな。」
「私も聞きたいことがあるんだが、良いだろうか。」
「別に構わないよ。」
「あのスカジの一撃を耐えきったという噂は本当か?」
「そんな噂流れてるんだ……。うん、嘘ではないよ、ただあれが本気の一撃だったかどうかは私には分からないけども。」
あの時部屋に居た誰かから話が漏れたんだろうか、流れて困る噂では無いからいいが。
「それはすげぇな、模擬戦で俺も受けた事あるが、あの時は腕が吹っ飛ぶかと思ったぜ。」
「スカジってあの怖そーな人?」
「スカジ殿も、話してみればあまり怖い人ではありませんよ。少しズレては居ますが……。」
話し込んでいるうちにお腹が空いてきた。
「ねぇ、ご飯はどうするんだい?」
「ああ、あそこで注文すればそんなに時間はかからないで出てくるぜ。」
「分かった、行ってくるよ。」
「おう。」
来てみたはいい物の、何を頼むか迷うな……、カレーか、タコライスか……、どちらも美味しそうだ。
「おや、誰かと思えば、この前来たとかいうオペレーター見習いのオランジュさん?」
「うん?そうだけど、君はどなたかな?」
「僕?僕は第三作戦小隊所属、先鋒通信員のエリジウムさ、よろしくね。」
「エリジウムか、よろしくね。」
「えっと……、唐突ですまないんだけど、僕は君がここに乗り込んで来たことは知ってるんだ。ドクターは一部のオペレーターのみに知らせたつもりだろうけど、僕の耳に戸は立てられなくてね。おっと、それで何か要求するとか、そういうことはしない。なにか事情があったんだろうし、『好奇心は猫を殺す』とも言うからね!僕はリーベリだけど。」
「君が私の事を知ってるのは分かったけど、それで何もしないなら、なんで話そうと思ったんだい?」
「簡単に言うと、誠実さは大事ってことさ。オランジュさんもそう思うだろう?」
「それは確かにそうだね。」
「それじゃあ僕はこの辺で、また会おう。」
「ごめん、もう一つだけ聞いていいかな?」
「なんだい?」
「ここはカレーとタコライス、どっちが美味しい?」
「難しい質問だね、辛いのは苦手かい?」
「うーん、中辛くらいまでなら食べれるってところだよ。」
「それならタコライスがオススメさ!」
「ありがとう。」
ーーーーー
「本人が居なくなったところで、話がしたいんだが……、お前ら、アイツのことどう思った?」
「率直に言って、自己犠牲が過ぎる。」
「私もそう思いました。」
「いくら回避がうまくても、一人で四人ブロックしようとするのは流石にね〜……。」
そうだ、アイツは訓練中、無理に複数人のブロックを受け持ち、そのくせ大した弱音は吐かず。しかも二回目は無理矢理体張ってクリアしやがった。
「正直見ていて危なっかしいったらなかったぜ。事前に考えた作戦では俺が少し辛くなる場面も出てくるはずだったってのに、アイツが受け持つから余裕が出来ちまってたしよ。」
「美徳ではあるが、いい傾向ではない、注意するべきだろうな。」
「いえ、どうやら自分の実力を把握しきれていないところもあるようです。暫く様子を見て、それでも無理をするようであれば注意する、というのはいかがでしょうか。」
「あたしもそれでいいと思うよー、反省はしてたみたいだしー?」
「よし、ならそれでいくか。」
しかし、自己犠牲ね……、記憶が無いのも関係してるんだろうか。まぁ考えてもしかたねぇ、今は酒を楽しむとしよう。
ーーーーー
エリジウムと話し、その後1時間程訓練したメンバーと喋ってから、帰路についた。そして廊下で見覚えのある黒フードを見つけた。
「やぁドクター、また会ったね?」
「オランジュか、ロドスでの生活は馴染めているか?」
「うーん、とりあえず訓練のメンバーとは仲良く慣れたかも。」
「それは良かった。」
「あ、ドクター、給料はどうなるかって聞ける?"
「給料か……、明日からロドス内での仕事をしてもらうが、そうだな、その分の給料は1週間後から払えるよ。それまで手持ちは持つかな?」
「それくらいなら大丈夫さ。」
「そうか、それじゃあおやすみ。」
「うん、おやすみ……、あ、そうだ、エリジウムが私のこと、盗み聞きしてたそうだよ。」
「なに?エリジウム、またか……。」
「それじゃぁね。」
すまないな、エリジウム、でも激辛は食べないと言った私にわざと甘口なカレーではなく、実は激辛なタコライスをオススメした君が悪いのだよ。
おかげでメンバーの前で醜態を晒すことになったんだから……。
エリジウム、キャラが立ってて良いですよね。
Wガチャで完凸しました。え?「Wは?」だと?スゥッ-……