とある鬼滅の幻想殺し   作:榛猫(筆休め中)

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幻想を殺す男

「ってて...ったく、いったい何が起きてんだ?」

 

俺の名前は上条 当麻。学生の頃、学園都市という化学の街から艦娘を従える提督という立場になった男である。

 

そんな俺は、何故か不幸に愛されながら生活している。

 

それは何故か、例えば......。

 

携帯を探していて、その最中に落ちていたキャッシュカードを踏み砕き......

 

冷蔵庫が壊れ、その中身が全滅していたかと思えば、非常食のカップ焼きそばを流しに誤ってぶちまけ......。

 

部下の艦娘に用があって尋ねれば、着替えの真っ最中で殺されかけ......。

 

 

「挙句の果てには見知らぬ雪山の中......はぁ、不幸だ...クシッ!!」

 

にしたって寒い...寒すぎる......。

 

こんな雪山の中この格好(提督服)じゃ寒すぎる...凍死するわ......!!

 

 

「けど、どうすりゃいいんだ?」

 

こう雪が深いとどっちに進んだらいいかも分からない......。

 

 

「これ...本格的に不味いんじゃないか...?」

 

内心、かなりの焦りが出てきたところに、その声はかけられた。

 

 

「あれ?大丈夫ですか?こんなところでどうしたんです?」

 

その声に振り返ると、そこには緑と黒の市松模様の羽織を纏った髪や瞳に赤が混じった少年が立っていた。

 

それよりも目に付いたのが、少年の左額に大きく付いている目立つ赤い痣、それと耳から垂れている太陽の絵らしきピアス?が印象的だ。

 

 

「あ、えっと...ちょっと遭難してしまったみたいで...帰り方が分からないんだ」

 

隠すような事でもないし、とりあえず話せることは話しておく。

 

 

「そうだったんですか!? それは大変です!! この時期は本当に寒いですから一度家に来てください!!」

 

俺の事情を知った少年はすごい勢いで話し始めた。

 

その勢いにたじろいでしまい......。

 

 

「い、いやでも...」

 

 

「大丈夫です!! 家族もきっと迎えてくれます!!」

 

そう言うと俺の手を取り有無を言わせぬ口調で俺の手を取り歩き出した。

 

 

「ちょっ...お、おい...」

 

これは俺の話を聞いてくれる感じじゃないな...。俺より年下なのに頑固な奴だ......。

 

俺はされるがまま、その少年の後を着いていくのだった。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「母ちゃん、ただいま」

 

俺が連れてこられたのは先程の場所から少し歩いたところにある小屋だった。

 

中には母親らしき女性と数人の子供がいた。

 

 

「あら、おかえり炭治郎」

 

 

「おかえりなさい、お兄ちゃん。...と、そちら人は?」

 

その声の方を見ると、長い髪の数か所を部分的に結んで額を出し、麻の葉文様の着物に市松柄の帯を締めた少女がいた。

 

その姿は可愛らしく、まだ幼いというのに大人っぽさを秘めている。

 

 

「禰豆子、家の近くで遭難してたんだ。この雪の中じゃ大変だから、連れてきたんだよ」

 

 

「遭難!?こんな雪の中で遭難するなんて...」

 

 

「よくご無事でしたね...。見たところかなり身分の高そうな方にお見受けしますが......」

 

母親らしき女性が俺の服装を見ながら問い掛けてくる。

 

 

「あ、そんなことないです。見た目だけが良いただの服ですから」

 

鎮守府の大将なんて飾りだけの名前だしな......。

 

 

「そうだったのですか...?このままという訳にも行きませんし、今日はお泊まりになってください」

 

女性の提案に俺は驚きを隠せない。

 

 

「い、いいんですか!?こんな素性も分からない男なんか泊めて...」

 

自分で言うのもなんだが、今の俺、かなり浮いてるし怪しいはずだし......

 

.........言ってて悲しくなってきた。

 

 

「大丈夫です!! 例え素性が分からなくても、困ってる人を放ってはおけません!! それに、お兄さんは優しい人...そんな気がするんです」

 

ネズコ、そう呼ばれた少女が優しく、しかし強く言い切る。

 

 

「そうですよ!! 禰豆子の言う通り、この雪の中で追い返して、何かあったら大変です。冬の雪山は冬眠に失敗した熊が人を襲うこともあるんです。そんな中に追い出すほど腐ってませんよ」

 

母親らしき人が同意するようにつづける。

 

......本当に、いいんだろうか

 

 

「いいん...ですか?本当に...」

 

 

「はい!! ぜひ泊まって言ってください」

 

そう話す少女、禰豆子は花のような笑みを浮かべた。

 

 

「ご迷惑でないなら...お世話になります」

 

ここがどこかもわからない俺は、その言葉に甘えることにした。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

その後、俺は一家、竈門家の皆さんに話を聞きながら、自己紹介をした。

 

それで分かったことが一つ、どうやら俺はタイムスリップをしてきたらしい......。

 

竈門家の皆さんはこの山、雲取山というところに住んでいるらしく、炭焼きの一家なんだそうだ。

 

住人は上から...

 

竈門 葵枝さん

 

竈門 炭治郎くん

 

竈門 禰豆子ちゃん

 

竈門 竹雄くん

 

竈門 花子ちゃん

 

竈門 茂くん

 

竈門 六太くん

 

となっている。父親の、竈門炭十郎さんは少し前に病気で他界してしまったらしい......。

 

父親の代わりとして、今は炭治郎くんが兄弟の面倒を見ているそうだ。

 

 

「じゃあ、俺はもう一度町に行ってくるよ」

 

そう言って耳飾りの(ピアスと聞いたら首を傾げられた)少年、炭治郎くん

 

 

「あら、また?さっき行ったばかりじゃない?」

 

葵枝さんが不思議そうに問いかける。

 

 

「さっきは上条さんが大変だったから慌てて連れてきて、行きそびれたんだ。暗くなる前に行ってこないと」

 

 

「そう...ありがとう炭治郎...気をつけてね」

 

 

「うん、じゃあ上条さん。また後で!!」

 

 

「あ、おう...ありがとな、なんかごめんな?迷惑掛けちまって...」

 

 

「いえ、そんなことないです!! じゃあ、行ってきます」

 

そう言うと炭治郎くんは炭の大量に入った籠を背負い、この雪の中を出掛けて言った。

 

 

「凄いですね、こんな雪の中で行くなんて」

 

出ていった炭治郎くんの背中を見送り、俺はポツリと呟く。

 

 

「えぇ、あの人が亡くなって...本当に頑張ってくれてます...」

 

そう話す葵枝さんはどこか申し訳なさそうにしている。

 

子供たちにあまり負担をかけたくないんだろうな。親心としては複雑だろう......。

 

 

「よし!! 今日は俺が手伝いますよ!! 家事でもなんでも好きに使ってください!!」

 

 

「えっ...? いえいえ、お客さんにやってもらうなんてそんな...」

 

 

「大丈夫です!! 炭治郎くんがいない今、男手はいた方がいいですから!!」

 

体力や力には自信がある。なんたってあの鬼畜師匠達に散々扱かれてそれはもう余りに有り余っているほどだ。

 

 

「......そこまで言うなら、お言葉に甘えて...」

 

葵枝さんが渋々といった様子で了承してくれた。

 

だが、俺は忘れていた。俺はどんな幸福をも消し去ってしまう不幸持ちだということを......。

 

 

「ぎゃあああぁぁぁっ...!!不幸だぁぁぁぁっ...!!」

 

その日、雲取山に俺の絶叫がなんども響き渡った......

 

 

 

しかし俺はまだ知らない。

 

 

これから、訪れる最大の不幸がやってきていることを......

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