side上条
俺達が藤襲山に着いた時、もう既に着いている者たちが数人いた。
誰も彼も、その表情は硬い......。
しばらく待っていると、二人のおかっぱ頭の少女が二人出てきて説明してくれた。
最終選別はこの山の中を七日間サバイバルして生き残る事なんだそうだ。
しかし、ただのサバイバルじゃない......
鬼が跋扈するこの山の中を七日間生き残らなければならないんだそうだ。
山から鬼が逃げ出さないかを心配したんだが、それは山の麓から中腹に掛けて、藤の花が咲き乱れて鬼を閉じ込めているのだそうだ。
鬼が藤の花に弱いことは知らなかったな......
そんなことを思いながら、俺達は共に山の中へと入っていくのだった......。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
山に入った俺達を待ち受けていたのは二体の鬼だった。
血走った目で俺達目掛けて襲いかかってくる。
『全集中・水の呼吸!! 肆の型 打ち潮!!』
だが、そこは二年の鍛錬を続けてきた炭治郎くん、慌てずに二体の鬼の頸を斬り落とした。
そうして斬り殺して、服だけが残った鬼たちに、炭治郎くんは祈っていた。
「......やるじゃんか、炭治郎くん」
「はい!! 行きましょう、上条さん!!」
そうして、俺達が奥に進み始めたその時だった。
「っ...!!」
炭治郎くんが突如思いっきり鼻をつまんで顔を顰めた。
「ど、どうした? 急に変顔なんかして...」
「か、上条さん...凄く、何かが匂うんです。何か...腐ったような匂いが......」
匂い...?俺には何も感じないが......
すると、暗がりから一人の少年が走ってきた。
「うわああァァァッッ...!!!!」
その少年は背後を気にしながら走り叫ぶ。
「なんで大型の異形がいるんだよッ!? 聞いてない!! こんなの...!!」
その少年視線を追ってみれば......
ズルッ
見上げる程の巨体に手を幾つも生やした、気味の悪い怪物だった。
その手のひとつには生気を感じられない少年が首を掴まれぶら下がっている
その鬼は、身体から生える複数の腕を更に伸ばして、走る少年目掛けて突き出した。
なっ...あのままアイツ!?
オレはすぐさま駆け出し、少年と腕の間に割り込み右手を突き出した。
[パキイィィィンッ!!]
ガラスの割れるような音が響くと、奴が伸ばしていた腕が根元まで消し飛んだ。
「!! 俺の腕がァァァッ!!!!」
絶叫するその化物を他所に、俺は少年に叫ぶ。
「そこのおまえ! 何してる!早く逃げろ!! 」
「っ!! あ、ありがとう!!」
少年はそのまま走り去っていった。
それを見届けて、俺は化物に向き直る。
コイツをこのまま放置しておいたら、もっと犠牲者が出る......。
そうなる前に、ここで仕留める!!
「.........来たな? 俺の...可愛い狐たちが」
「上条さん!!」
そこに炭治郎くんが並び立つ。
「炭治郎くん、コイツを倒すぞ!!」
「っ!! はい...!!」
こうして、最終選別の俺と炭治郎くんの激戦の幕が切って落とされた