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side炭治郎
幸せが壊れるときには...いつも、血の匂いがする
なんで...。
なんで、こんなことになったんだ......
俺は炭を売りに町へ行っていた。
炭を売るついでに、町の人達の頼みを聞いていたら、いつの間にか遅くなってしまい、日が落ちて暗くなってしまった。
(遅くなっちまった...。早く帰らないと)
そう思って足を早め、急いでいたのだが、その途中で三郎爺さんに呼び止められ、泊まっていけと強い調子で言われ、渋々泊まることになってしまった。
夕飯をご馳走になり、布団を借りて眠りにつく。
眠りにつく中で俺は三郎爺さんの言っていた鬼の話を考えていた。
その時は信じていなかった...。鬼が、本当にいるなんて......
翌朝、荒らされた家と家族の無惨な姿を見るまでは......。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「クンッ...っ!? 血の匂い!!」
家に近づくと、先から血の匂いが漂ってきた。
漂ってくる先は間違いなく家の方......
嫌な予感...それにすごい胸騒ぎがする!!
俺は急いで家の方へ走り出した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
家へと辿り着いた俺は、眼前に広がる光景に固まっていた。
それは、家の出先に家族が血塗れで並んで転がっていたからだ。
「──っ...!!!?」
「どうしたっ!! どっ...どうしたんだ!!!?」
「いったい...何が...どうして...こんな...」
並んでいる転がされている家族を見る。
皆目は瞑っているものの、その姿は惨い......。
なんでこんなことになったんだ......!!
熊か?冬眠出来なかった熊が出たのか......!?
「母ちゃん、花子、竹雄、茂、禰豆子、六太...」
いったい...誰が、こんな......
混乱する頭を必死に落ち着かせようとして、気がついた。
《ザクッ...ザクッ...》
近くから物音が聞こえてくる。
「──っ!!」
誰だ...まさか、家族を殺したやつがまだ近くに...!!
恐る恐る音のする方へ近づいていく。
そして小屋の影から少し顔を覗かせ、様子を伺う。
「...............」
《ザクッ...ザクッ...》
そこには、同じく血塗れで
「か......みじょ......さん......?」
なんで...あの人が...生きて......。
「......炭治郎くん...」
俺の声に気がついた上条さんが...近づいてくる。
まさか、そんなはずない...。だって上条さんが...家族を...そんなこと...あるはず...
そんな俺の思いなど知らず、上条さんは死んだように暗い表情で俺に近づいてくる。
もし、上条さんがやったなら、今度は...俺を......
もしそうなら、そうなる前に...仇を......!!
混乱する思考の中、上条さんが俺の前で立ち止まる。
そして......
「ごめん...!!!!」
倒れるように勢いよく地面に両膝を着き、頭を落として謝ってきた。
「ごめん...!!ごめん...!!炭治郎くん...俺、葵枝さんたちを...君の家族を...守れなかった...!!」
「────っ!? へっ......?」
その様子に、訳が分からなかった。
どうして上条さんが謝るんだ?上条さんが殺した訳じゃ...ない......?
なんで、守れなかった...なんて......
混乱する俺を置いて、上条さんは話し出す。
「昨夜、変な男が家に近づいてきてたんだ......」
ポツリポツリと、上条さんが昨夜のことを話してくれた。
日が落ちて暗くなってから、謎の男が来て、上条さんがそれに気がついて相手を迎え撃ったこと。
一度は倒したはずのその男が、何故か生き返って上条さんに攻撃してきたという。
攻撃を受けた上条さんが動けないところで、男は家族を殺していったのだという......
家族が殺されるところを見せつけられた上条さんは力を振り絞って男に殴りかかったらしい...もう少しで殺せそうだと思っていたところで変な襖に邪魔をされて出来なかったという......。
「......俺も、そのすぐ後で気絶しちまって...目が覚めたのは少し前なんだ...。せめて埋葬してやりたかったから、家に置いてあったシャベル借りて、穴を掘ってたんだ......」
そこに俺が帰って来たのか......。
しゃべる...というものが分からないけど、円匙で穴を掘ってくれていることは分かった。
「ごめん...本当に...ごめん...」
匂いでわかる......
上条さんは嘘はついてない。
家からは、上条さんではない、別の匂いが残っていた。
きっとこの人は、本当に家族を助けるために立ち向かって。戦ってくれたんだ......。
本当に悔しそうに謝る上条さんを、俺が怒れるわけが無い。
「......上条さん、顔を上げてください」
「......ごめん...ごめんなさい...」
けど、上条さんは顔を上げてくれない。
「大丈夫です。大丈夫ですから、顔を上げてください......」
そう言って俺は上条さんの顔を上げてやる。
「!! けど、俺は...」
「上条さんが俺の家族を守ってくれようとしたことはよく分かりました。今だってこうして家族のために泣いてくれている。その気持ちだけで、十分です」
「炭治郎くん...」
「......家族を埋めてましょう。このままじゃ可哀想だ」
いつまでも家族をあのままにしてはおけない......。
放っておいたら、野犬達が食べに来るかもしれない
蹲る上条さんを立たせ、俺は家族の元へ向かう。
そして、気がついた...。
気がついて...しまった。
禰豆子の...禰豆子だけが、僅かに息をしていることに......。
「!! 上条さん!!禰豆子が!! 禰豆子はまだ息があります!! 生きてる...生きてるんだ!!」
「なっ...嘘だろっ...!?」
上条さんも慌てて禰豆子に駆け寄り、慌てて確認する。
「......本当だ、微かだけど息がある」
「上条さん!! 直ぐに医者にみせましょう!! まだ!! 今ならまだ間に合うかもしれない!!」
「あ、あぁ!! じゃあ俺...が...」
そんな時だった......
《......ピクッ》
《ピクッ ピクピクッ...!!》
突如、禰豆子が起き上がり叫んだ。
『グオオオオオオオオォォォォッ!!!!!』
その様はまるで獣のように荒々しく、鋭い目付きで俺たちを睨みつけていた。