side上条
冨岡 義勇と別れた後、俺達はとある家の前で家主の男たちと話していた。
「すみませんが、あそこの籠と藁、竹を少々頂けますか?」
「そりゃ、構わねえけど、籠は穴が空いてるぞ...?」
炭治郎くんが男と話す。どうやらあのデカい籠が欲しいらしい。
ちなみに、今は禰豆子ちゃんはいない、昼間ってこともあって、禰豆子ちゃんには通り道にあった洞穴の中で待っていて貰っている。
「はい、お金を払います...」
「いや、要らんよ。穴の空いた籠だぞ」
なんか......
「いえ、払います。」
「いやいらん、竹も藁もやるよ」
話、進んでなくないか...?
「でも、払います...!!」
いや、これは確実に...
「いやいらんて!!頭の硬い子供だな!?」
進んでないな...。なんだこれ......
「収めてください小銭ですがぁっ...!!」
パアンッ...と、小気味よい音共に強制的に受け渡される炭治郎くんの小銭。
「ありがとうございました!!!!」
そのまま籠と竹と藁を貰い、走り出す炭治郎くん。
その後を追って俺も走り出す。
『痛ってぇぇぇ...っ!!』そう叫ぶ家主の声を聞きながら......。
なんか、すみません...家主さん......
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そのまま戻ってきた俺たちは、禰豆子ちゃんの待つ洞穴までやってきていた。
「禰豆子、戻ったぞ」
炭治郎くんが洞穴の奥に声をかける。
しかし、禰豆子ちゃんからの返答はない......
「あれっ、禰豆子? いない...!!!?」
炭治郎くんが穴の中を覗き込み、叫ぶ。
「おいおい...まさかそんなわけ...」
そう言って俺も覗き込む、確かに居ない......
おいおい...まさか外に出たんじゃ......
そう思い焦りそうになった時だった。
洞穴の下からひょっこりと禰豆子ちゃんが姿を現した。
どうやら、地面に穴を掘ったらしい......。
「あ、いた...!!」
炭治郎くんの間の抜けた声が上がる。
「............」
こちらを見る禰豆子ちゃんは見るからに不機嫌そうに顔を顰めている。
なんつーか、土竜みたいだな......。
炭治郎くんも複雑そうだ......。
「けど、炭治郎くん。それで何すんだ?」
「これですか?ちょっと見ててくださいね」
そう言うと、手際よく竹を割り、藁と竹を穴の空いた籠に編み込ませ補強していく炭治郎くん。
ものの十数分で穴の空いていた籠は立派な竹編みかごへと進化していた。
「こんな感じです!! どうですか?」
少しだけ誇らしげに、鼻高々に俺の方を見てくる炭治郎くんに俺は感嘆するしかなかった......。
「いや、凄いな...!! 俺、そんなことできる気がしねえよ」
素直に凄いと思う、多分こんなの俺たちの時代で出来るやつなんかそうはいない......。
この時代だからこそ出来る器用さなんだろうな......。
その後、補強した籠に炭治郎くんが禰豆子ちゃんを入れようとしたので俺たちで四苦八苦しながら(最後には禰豆子ちゃんが小さくなることで事なきを得た)やっとの事で籠に入れた。
そして、籠の上から大きな布を被せ、縛ることで昼間の移動も出来るようになった。
そして準備を整えた俺たちは再び狭霧山をめざして歩き出した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「なあ、本当にいいのか?俺が背負わなくて...」
「はい! 大丈夫です!! 上条さんに迷惑は掛けられないですから!!」
いや、そんなことないんだけどな......
「迷惑なんて思っちゃいないし、ずっと背負ってんの辛くないか?」
「大丈夫です!! 禰豆子は俺の妹ですから!! 妹を重いと思ったことはありません!!」
頑として譲ろうとしない炭治郎くんに嘆息する。
けど、その気持ちは分からなくもない......。
唯一生き残った肉親を離したくないと思うのは、きっと悪いことじゃない......。
俺だって、父さんや母さん...どちらかが殺され、どちらかが鬼にされたとなったら、きっと死んでも離れないだろう
炭治郎くんの場合はそれが妹だったってだけの話だ......。
「わかった、けど、辛くなったら言えよ?何時でも変わってやるから」
「大丈夫です!! その気持ちだけ受け取っておきます!!」
......こりゃ、どうなろうとも譲る気はなさそうだな、まあいいか
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
日の落ちてきた中、道行く女性に狭霧山への道を尋ね、俺たちは先を急ぐ。
日が落ちれば禰豆子ちゃんを籠から出して共に歩いた。
夜になり、辺りが夜の帳に包まれたた頃......
俺たちは山道にお堂があるのを見つけた。
「あっ、やっぱりお堂があるぞ、灯りが漏れてるから誰かいるみたいだけど、行こう」
「ふぅ...少しはここで休め...る...か...?」
俺がそこまで言いかけた時、俺は嫌な音を感じ取った。
炭治郎くんも何かを察知したのか足を止めている。
「炭治郎くん...悪いけどここで待ってろ...」
「えっ...上条s」
炭治郎くんが言葉を発し切る前に、俺はその場を駆け出した。
お堂の戸を蹴破り中に入る。
そこにあったものは...惨状だった。
その惨状を作り出したであろう下手人は俺を睨みつけている。
殺した人の腕を持ち、その口を血で汚しながら口を開いた......。
「なんだ...おい、ここは俺n「あたっ...!!」...なっ...!?」
コイツに、もう喋らせる必要なんかない......
鬼の頭に両手の親指を両端にめり込ませ、秘孔をつく
「もういい...お前はもう喋るな」
《棲艦壊惨拳》
それは頭部の秘孔を突く事で、その身体を内部から破裂させ殺す暗殺拳の一つ......。
水鬼師匠に教わったとんでも技の一個だ。
だが、これで死ぬわけがない、アイツが生き返ったなら、コイツも確実に生き返る。
ゆっくりと指を引き抜く......
「なっ...何しやがった!!」
慌ててお堂から飛び出し、俺から距離を離す鬼。
しかしその直後......!!
「お前は、もう死んでいる...」
「なあっ...ぐっ...あぁっ...!! ひでぶっ...!!」
鬼はそのまま頭を弾けさせ倒れた。
後はコイツが再生する前に右手で触れ、そのまま日が昇るまで待てばいい......
それはそうと......
「そこにいるのは分かってんだぜ?いい加減出て来いよ...」
俺が鬼の身体に右手を触れたまま、お堂の近くの林に声を投げかける。
「............」
そうして現れたのは、天狗のような面を被った男だった。