Fate/type Redline 〜もう一人の新撰組〜   作:十六夜翔矢

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どうも十六夜翔矢です。
今回はタイトル通りです。


Act2.英霊の戦い

「開戦じゃ!!」

 

 

銃を展開した英霊が戦いの始まりを告げると、濃密な殺気と魔力が辺り一帯に広がる。

 

「…これは、やばい」

 

「急ぐわよ。」

 

「えっ」

 

「鈍い貴方でも分かるでしょ流石に。もう一人は分かってるみたいだけど。」

 

「そうね…早く後退しましょうか。」

 

「…聖杯から魔力を注がれ蘇った傑物達。あれこそが英霊…サーヴァント。人間がどうこう出来る次元にいない。ほら、何ボケっとしてんの!」

 

「ま、待ってくれ、これだけ教えてくれ!」

 

「俺は赤城奏丈。ここは何処で今は何年なんだ!?」

 

「…私は藤宮奏津。落ち目の魔術師家系の分家。」

 

「何年って…ねぇ、貴方達ホントに頭打ったんじゃないの?」

 

 

いやまぁ私は頭ぶつけたましたよ。

それで目が覚めた訳だし。

 

 

「昭和20年、大戦真っ只中の帝都よ」

 

 

しょ、昭和…20年…?

75年前、第二次世界大戦の真っ只中ですって…?

って事は…

 

「「タイム…スリップ…」」

 

 

現実として受け止められる自信はある。

だけど今この場を現実とは認めたくない…!

なんだってこんな事になってんのよ!?

 

 

「ほれほれどうした、セイバー。手も足も出ぬか?」

 

「こいつぁ…とびっきりヤバそうだせ…!」

 

 

「この程度で最優とは片腹痛いぞ!」

 

 

「三人ともドアの陰に!」

 

「流れ弾貰っても知らねぇぞ!」

 

 

敵サーヴァントの銃撃が始まる。

セイバー達が時間を稼いでいる間に…

 

 

「…後で情報を吐かせようと生かしとったが、拾った命を無駄にするか。」

 

 

敵の攻勢が止む。ふと振り返ると英霊兵のマスターが発砲していた。

 

 

「くそっ!!こんな筈では…!!猿共め、精々今の内に粋がってろ…!」

 

 

仲間割れ?だとすれば守勢から攻勢に移るチャンス…!

 

 

「最後に世界を手に入れるのは我々第三帝国だっ!!」

 

 

男がそう叫ぶと、乾いた発砲音が4発。

そこに残ったのは、首から下の身体のみ。

 

「ひ…人を…」

 

「なんじゃ貴様、この程度世界の今何処でも起きとることよ。」

 

 

やっぱり世界大戦中ね…

人殺しに戸惑いが無い。

 

 

「腑抜けよの。それが貴様のマスターか?貴様には荷が重かろう。」

 

 

不味い、奏丈が狙われて…!

刀は無い、武器になりそうな物もない、どうやって…!

 

 

 

「ボケっとしてんじゃないって!」

 

「…間一髪、だな。」

 

「マスター!」

 

「沖田ちゃん、後ろだ!」

 

 

背中を見せたタイミングで奇襲…

武人の誇りも無いのかしら…?あの英霊…

 

 

「人殺しは得意でも、守るのは不得手か。」

 

「「…黙れ。(弓兵が)」」

 

 

 

今の内に後退…!

モタモタしてると殺られる…!

 

 

 

「くそっ、何なんだよ…昨日まで普通に家族と飯食って奏津と学校行ってダチと遊んでて…それがいきなりこんな所に飛ばされて…」

 

 

心情察するわ、奏丈。

私だって正直同意見だもの。

けれど…この世界は諸行無常の真っ只中、愚痴は言ってられないわ。

 

 

「「ねぇ。」」

 

「これが聖杯戦争よ!巻き込まれたとはいえこうなった以上、アンタにも戦ってもらうからね!」

 

「現実を見なさい奏丈!ここは令和の世界じゃない、昭和の、殺し殺され合う世界よ!」

 

「聖杯戦争って何…?」

 

「だぁもう面倒くさいなぁっ!!」

 

「「要はサーヴァント(英霊)を使って最後の一人になるまで争う、魔術師同士の殺し合いよ!」」

 


 

やれやれ、手の掛かるマスター達だ。

さて、沖田ちゃんと迎撃を迎え撃つとしますか!

 

「斎藤さん!零れ弾お願いします!」

 

「任された!」

 

 

クッソ、あの沖田ちゃんが取り零すとかどんだけ展開出来るんだあの銃…!

あれだと沖田ちゃんも長くはもたなくなる…!

 

 

(斎藤さん、聞こえますか!?)

 

(勿論だ!というか念話してる場合じゃないよね沖田ちゃん!)

 

(…一発一発が恐ろしく重いです。ですが…)

 

(…敵さんもそれを分かっててわざと弾を散らしてくるってか。)

 

(ええ。これでは距離が縮まらないです。)

 

(沖田ちゃん、俺が見る限りあの火縄銃、寸毫だが射撃後から再展開までに隙が生じる。)

 

(それは私も思ってました。ですのでそこを突き、一気に懐へ入り込みます。ついてきてください!)

 

(てめぇの剣に合わせられる奴がどこにいるってんだ!まァ合わせるがな!)

 

 

「獲った!」

 

「沖田ちゃん!右だ!」

 

 

直感が告げる。

隠蔽されてた火縄銃で狙撃されると。

袈裟斬りに入る前だったのが功を奏したか、身体を捻ってすり抜ける。

結果的に背後に回ったが、沖田ちゃんは数発直撃したみたいだな。

 

 

「がっ…」

 

「うはは!咄嗟に身を捻ったか!しかしまぁ、あんな小細工に頼るようでは貴様らの剣技も底が知れるわ。」

 

 

このサーヴァント…強い。

自在に火縄銃を展開出来るとあっちゃあな…

 

 

「鉄砲隊構えい。ーー放て。」

 

 

やべぇ、これじゃあ後ろのマスター達に直撃だーー!

 

 


 

 

後ろへ来て3両目だろうか。

息を切らしながら走ってると後ろから物凄い衝撃波が飛んできた。

咄嗟に遮蔽物となりそうな場所に身を隠し、回避する。

それと同時に、セイバーが吹っ飛んできた。

 

「「だ、大丈夫!?」」

 

「マスター!危険です!頭を下げて!」

 

「僕は直撃も貰ってないし何とか。」

 

「私は平気です。霊体なので魔力で回復します。」

 

「セイバー!何か打つ手は無いの?」

 

「一つありますが…結構な博打になります。」

 

「…ここは沖田ちゃんに任せよう。それが一番だ。」

 

「いいからやりなさい!このままじゃ列車ごとやられちゃうわ!」

 

「…失礼ですが貴方は私のマスターではありません。私は私のマスターに従うのみです。」

 

「…え、えっ!?俺!?」

 

「「他に誰かいるってのよ!」」

 

「出てこいセイバー!隠れても無駄じゃ!なんなら列車ごと吹き飛ばしてもよいのだぞ!」

 

「マスター、時間がありません。ここは私にお任せいただけますか」

 

「…っ、はっ…はい!とにかく頼みます!」

 

「はい。マスター」

 




次回、決着です。
お楽しみに!

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