ギリギリまで頑張って ギリギリまで踏ん張って   作:三柱 努

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超軍人ガイア

地球上の全人類石化から約3700年が経過した。

今は西暦5739年・・・といっても、その年の数え方に意味はない。

そんな今、人類は少しずつ復活している。

 

僕は西園寺羽京。潜水艦のソナーマン。元、ね。

人類が復活できるのは石化解除液のおかげ。少しずつしか作り出せないその液で、僕を復活させてくれたのは霊長類最強の高校生と呼ばれる男・獅子王司。最強というのはもちろん3700年前の話だけど、今でもそうだ。

そんな司は今、人類が共に助け合って生きるための国を作っている。

僕が優先的に復活させてもらえたのは、僕がソナーマンとして優れた聴覚の持ち主だったから。

そして、若いから。

 

人類石化から3700年。人類が作り上げてきた建物も文明も社会も全てが廃れ、原始時代のように自然のままの状態に戻っている。

旧世界。そう司が呼ぶ僕らの3700年前の世界は、僕らが生まれた時から人が人から搾取する社会構造になっていた。そこに異論はない。

だからこそ司は今、新しい社会を作ろうとしている。若者たちだけで新しい社会を。汚れた人類を排した彼の理想郷を。

 

それが危険なんだ。

 

司はこの理想郷のためには手を汚すことを厭わない。

復活液をかけても復活できないように、石化している人を砕いて回っている。若者じゃないという理由だけで。

 

復活液を生み出したのは司ではない。石神千空という科学に詳しい高校生だ。

その千空を司は殺している。科学文明が発展すれば、人殺しを容易にしてしまう化学兵器が生まれるかもしれない。ただそれだけの理由で。

 

理想に対して徹底的な司を、僕は止められない。

今日もまた石が壊される。人が殺されるのではなく。

 

 

そんな卑怯者の僕が自分に言い訳をしていたある日、偵察に出ていた氷月が持ち帰ってきた一報が事態を急変させた。

千空が生きている。石化を逃れた人類の子孫を率いて、強力な科学力を有している。

鉄の武器。最低でも銃を完成させてしまっている千空がこの国に攻め込んでくる。

これからの冬に備える僕らに対して、千空は先制攻撃を仕掛けてくる可能性が高い、と。

 

戦争になる。血が流れることになる。

 

でもそれだけじゃない。氷月は偵察の時に仲間を失っているが、それを「千空の謀略に殺された」と言っていた。

司はどう考えているか分からないけど、僕には嫌な予感がした。

それは嘘だ、と。

 

もし氷月が危険な思想の持ち主だったら。2人が相容れない存在だったら。

最強の力を持つ2人が衝突してしまえば、人類は今度こそ絶滅してしまう。

僕は今、この国のトップ3なんて呼ばれているけれど、抑止力には程遠い。

 

最悪の場合への備えがない・・・

 

 

 

ならば、用意するしかない。

 

僕には1つだけ、たった1つだけの当てがある。

 

 

自衛隊の先輩から教えてもらった伝説の自衛官。

基地で一度だけチラリと見たことがあるし、僕が石化した日にもたしか基地にいた。

その風貌は幼めで、背丈も中学生ほどでかなり小柄だから、おそらく司の排除基準には当たられない。

 

戦力として司・氷月に対抗するためにも、蘇ってもらおうと思っている。

 

超軍人と呼ばれる彼・・・

 

 

 

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