ギリギリまで頑張って ギリギリまで踏ん張って   作:三柱 努

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ガイアという男

氷月の謀反はガイアの手により阻止され、その共犯である彼の部下・ほむらも逮捕され、新世界最初のクーデターは未遂に終わった。

そして次の日、司は旧・司帝国の国民全員を広場に集めて宣言した。

 

「みんなも知っての通り、この国は科学王国と停戦協定を結んだ。うん。とはいえ実質的には科学王国に併合してもらう形になるだろう。科学の灯を絶やさぬよう、人類の汚濁の歴史を作らないよう皆で力を合わせていこう」

国民皆の歓声が全てを物語っていた。誰もが信頼できる科学文明への期待に胸を躍らせていた。

「だが俺はその科学王国に反逆した男だ、おめおめとその一員に加わるわけには」

司の言う通り、つい昨日まで対立していた両国の併合はこのまますんなりというわけにはいかない。流れた多少の血の分、後腐れが残るからだ。

その落とし前を誰がつけるべきか。その誰もが知り、誰もが口に出せないでいる答えを、司はハッキリと言い放とうとした。

「あ゛~そういう裁判やら面倒なのは興味ねぇわ」

が、そんなしんみりとした空気を気にしていない様子の僕らの新リーダーが耳掃除をしながら面倒くさそうに言い放った。

そして懐から復活液を取り出すと、杠が修復した石像にふりかけはじめた。

すると石像から石の膜がみるみる剥がれていき、中から漫画家さんがバリバリと復活したのだ。

「っつうことだ。しちめんどくせえことは後でハゲるほど考えりゃいい。それよか大事なのは全員の力で今度こそ一から作り上げることだ。この石の世界に科学王国をよ!」

千空の宣言に新生・科学王国の全国民が大歓声を上げた。敵味方の垣根を完全に取っ払った仲間達の大歓声が森を震わせた。

(ちなみに歓声に呼ばれて、死んだはずの陽がシレっと戻ってきていた。ガイアはそんな彼を「よく生きていてくれた」と両腕を広げて迎え入れ、「この洞窟爆破の共犯め」と一本背負いに投げ飛ばした)

 

 

「戦勝国は支配者であってはならない。倒した相手を新しい仲間として迎える寛容な姿勢こそ、平和を確実にするのだ。無血開城を成しただけはある」

「いやいや御大層な褒め言葉はいらないと思うよ~。千空ちゃんは約束してくれてるからね。世界のエンタメ全部復活させるって。面白いものを皆でジーマーで楽しめるようにしてただけ」

感心するガイアの横で、今回の終戦の立役者の1人であるゲンが軽薄そうに、それでいて誰もが納得する説明をしてくれた。

本当に良かった。これで人類は再び争うことなく復興への道を歩める。

 

と、僕はそう思っていた。

 

「ところでノムラ・・・いや、ガイアと呼ぶべきか。キミは一体何者なんだい?」

「そういやぁ軍人っつってたな。しかも国際機関みたく、やたらと戦況やら戦後処理やら気にして」

司と千空の問いに国民みんなが聞き耳を立てた。

気弱な少年ノムラの立場不相応、性格不相応、年齢不相応の異様な言動は誰もが目にして気にしていたことだ。

「自衛隊第一空挺団特殊部隊指揮官だ。日本唯一の軍事力だな。科学の兵器を使い、既得権益を争う世界に身を投じてきた者だ」

ガイアの答えにその場の空気が一気に凍り付いた。

考えを改めたとはいえ、司が最も排除するべきと考えていた存在であることをあっさりと告白したのだから戦々恐々とならざるを得ない。

そんなピリっとした空気の中でガイアは呑気にも「若く見えるとはよく言われる」と付け加えた。

「ちなみにノムラというのは私の二重人格のもう一つの顔だ。ガイアというのはそうだな、紛争や惨状を目にして、石の戦いを止める義務を負った顔だとでも思ってくれ」

この言葉に司も千空も納得のいった様子になった。

 

二重人格は壮絶なトラウマから生じる精神的な疾患だと聞いたことがある。

ガイアが渡り歩いたという戦場がどれほど悲惨なものだったか・・・だからこそ、彼はこの石の世界で人類が汚濁に浸ることを何として避けたかったのだろう。

そのことが悲しくも温かくも、皆の心に伝わった。

 

「ちなみにこのハゲた頭はウガンダの内戦で処刑されそうになった時のものだ」

それはひょっとしてギャグで言ってるのか? たまにこの人のことが分からなくなる。

「っつうかウガンダ内戦、何年前の話だと思ってやがる・・・ガキどころかオヤジじゃねえか。司の抹殺リストに一発で載るくれぇに」

千空の冷静な指摘に「そ、そうだね」と司が冷汗を流して頷いた・・・その横で石神村の人たちや、歴史知識ゼロレベルの司帝国民は頭に???を浮かべていた。

 

グラップラー刃牙を読んだことがありますか?

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  • 読んだことはあるけど、ガイアは印象にない
  • ガイアのことはよく知っている
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