ギリギリまで頑張って ギリギリまで踏ん張って   作:三柱 努

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たのしい石化戦争

プラチナを求め訪れた宝島は地獄の島だった。

石化装置の恐怖によって治める国家。その頭首もまた石化され、宰相が国民を騙して実権を握る独裁国家。

仲間達は石化され、石化を逃れた千空によって助け出された僕らも窮地に追いやられている。

石化王国最強の戦士モズとは共闘の形を取っているが、宰相たちから石化装置を奪ってしまえば彼の矛先は僕らに向かう。

おそらくモズの強さは司並み。だが司もガイアも腕をもがれて石像になっている。

僕らはどうすればいいんだ・・・

 

 

という僕の心配をよそに、千空とゲンはイキイキとしていた。

モズには石化装置を誘い出すために、石化王国で暴れまわってもらっている。

謀略となると、本当に頼りになる2人だ。悪役顔が見事に似合っている。

「っつうお楽しみはさておき。本格的にモズ対策を練らなきゃなんねぇわけだが」

千空には策があった。それは神と悪魔の発明品・拳銃だ。

「まぁ精度も威力も気休め程度の御守りみてぇなもんだ。確実性は欲しいとこだが、今は贅沢も言えねぇよ」

突貫工事で作ったこの拳銃は殺傷能力に乏しいもの。本格的にモズを迎え撃つわけではなく、足止め程度のものになってくる。

一番の頼みは敵から奪う石化装置になってくる。全てがトントン拍子に上手くいけばの話だけど・・・

 

 

「・・・やはり千空。モズとの直接戦闘に備えて復活させるべきだと思うんだ。こちらの戦闘力最強のメンバーを」

拳銃が完成した頃に出した僕の提案に、皆が手を止めた。

「あ゛あ。そりゃモンスターにゃスーパーモンスターをぶつけるのが理想論。だが、司もガイアも腕無しで復活させるわけにはいかねぇ」

「だけど僕らは最終的に石化装置を手に入れる。なら、腕を失った2人をもう一度石化させて、腕を付け直してからもう一度復活させれば・・・」

「大博打すぎる。たしかに石化の修復力に期待できるかもしれねぇが、そうじゃなきゃこの石の世界を一生隻腕のまま過ごさせる羽目になんだろ」

千空の言葉に僕は言い返すことができなかった。

「敵陣突破して腕奪還するしか道はねぇが、モズやら敵の監視の目を潜り抜けるのは、拳銃作戦以上のリスクが付きまとう。せめてもの安牌ルートはこれしかねぇんだ」

千空の言う通り、司とガイア抜きで戦うしかない。そこに勝機を見出すしかないんだ。

考え方を変えてみれば、科学王国は司とガイアのいる帝国にすら勝利したチームだ。

石化王国を相手にも負けないハズ・・・そう自分に言い聞かせるしかない・・

 

僕はガイアの石像を前に、手を胸に当てて誓った。

「ガイア・・・僕らは必ず勝ちます。勝たなきゃいけない・・・ん?」

僕はふとガイアの石像の胴の部分に目をやった。

そこには何やら文字が刻まれていた。痣や元からあった模様じゃない。何かを彫ったような、無理矢理傷つけたような形で。

“柱”と書かれていた。

「・・・まさか、石化される寸前に自分の体に刻んだ? あの一瞬で?」

指を自分の腹の皮膚に突き刺して、皮膚を裂いて彫ったとしか思えない傷だった。

石化の間際にガイアが遺したメッセージ。僕にはそうとしか思えなかった。

 

「柱・・・」

その文字から思い当たるメッセージは1つだけだ。

石化復活候補者を語り合ったあの夜、ガイアが語っていたあの言葉。

彼が尊敬するという愚地克巳。片腕を失ってもなお門下生たちの柱となった空手家。

『かくありたいものだ。皆の命のために腕1本程度は惜しくない』

 

ガイアはあの一瞬で考えたはずだ。石化であれば必ず千空が復活させてくれる。

だがもし・・・・その復活にどうしても腕の1本、体の一部の欠けがあったとしたら、それを理由に僕らが復活を躊躇するだろう、と。

そこまで予想していたのだろう。石像となったガイアの表情がそう僕に語りかけている気がしてならなかった。

「千空、僕は決めたよ」

「羽京、何をしている!?」

復活液を手にした僕は皆の警告に耳を傾けることなく、液をガイアにふりかけていた。

 

直感頼みの無謀な行為だったと、トクトクと流れる液を見ながら後悔の味を覚えた。

だけど誰から責められようが、この行動は正しいと・・・正しくあってくれと心が願っていた。

 

 

 

石化解除反応。それは3700年前に石化した人たちを復活させた時とは全然違う光景だった。

液をかけた側から体全体に広がっていくように、石の肌が人のものへと変化していった。

欠けた腕の先だけはツルリと肌が丸みを帯び、四肢を切断した人の断端のように形成され・・・

ガイアは右手を失ったまま復活を遂げた。

「羽京・・・てめぇ」

「すまない皆。勝手な独断の責は後で受ける。だけど・・・」

皆の方を振り返ることができなかった。そんな僕の肩に、ガイアはポンと手を置いた。

 

「羽京、状況報告」

涼しい顔でハッキリと尋ねたガイアに、僕は直立不動の姿勢を取って現状を報告した。

今置かれている状況と、復活は隻腕になるとわかっていながらも独断で決行したことを。

「理解した。成程、私の戦争力が必要な状況のようだ。その判断は正しい。それにしてもよく決断してくれた。そして司は起こす必要は無い」

ガイアは一切僕を責めなかった。それどころか失った右腕を眺めてニヤリと笑っていたくらいだ。

「ガイアてめぇ、問題ねぇっつう面だな」

「ああ千空。片腕で戦火をくぐるのは経験済みだ。無論、両腕では少し困ったかもしれないが・・・良い機会をもらった。一度みてみたかったんだよ、右腕を失ったまま決死の作戦に従事する死地において、このガイアがどう戦うかッ」

そう言うとガイアは足元の石を掴み上げて、手の上でクルリと転がして言い放った。

 

「さぁ、愉悦しい反撃開始といこうじゃないか」

 

 

もし復活者を選定できるなら、どういう人材を優先的に復活させたいですか?

  • 戦闘力重視のバトルメンバー
  • 娯楽担当のエンタメ提供者
  • 我に美味しい食事を。シェフ
  • 家が欲しいッ! 建築家
  • 人材よりも愛。家族を蘇らせたい
  • 必要なのは法の統治。政治家
  • 怪我や病気が一番の敵。医者
  • 人の命は地球の未来。救急隊・救命士
  • 秩序こそ必要。警察官
  • 安心安全な子孫繁栄。産婦人科医・助産師
  • 小麦を有効活用。うどん打ち職人
  • 本当に見たいのは、自分ならどう生きるかッ
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