「状況を整理しよう」
復活早々にガイアは軍法会議を取り仕切った。
今まで得られた情報の詳細を千空やゲン、アマリリスが1つ1つ細かく列挙していく。
初めのうちは嬉々とした様子だったガイアも、徐々に厳格な表情へと変わっていった。
「成程この戦争・・・勝ち筋が見えてきたな」
一通りの情報を聞き取ると、ガイアはニヤリと笑ってつぶやいた。
「えっ? こんなに多勢に無勢なのに?」
「さすがは現代のマジもんの戦争を勝ち抜いた世界最強の軍人様だな」
「いや現代戦の経験は無意味だ。考えてもみたまえ、私の職場は銃とミサイルが主力だ。それが石槍と防御不能の石化光線? 次元が違いすぎる。そんなものが主戦力の戦況分析なんぞ人類史初だ」
ガイアの断言に千空も「違ぇねぇ」と苦笑いしていた。
「だがそれでもガイア。貴様には見えているのだな勝機が。寡兵で居場所も捕まれ、武器も持たない俺たちに」
「ああ任せておけ。だがその前に1つ確認しておくことがある。最重要項目だ」
そう言うとガイアはキリッと鋭い目で皆を見回した。
「戦術目標だ。こちらもだが、敵側の“被害限度”を設定しておく」
聞き慣れない言葉に首を傾げる仲間も多かった。
「簡単に言えば、敵をどれだけ殺していいか? だ」
「・・・綺麗ごとだけど、僕は人を殺したくない」
「羽京、キミの意見は聞いていない」
僕の希望をピシャリと却下したガイアは、その目をソユーズに向けた。
「前の戦争でも言った通り、大事なのは戦後処理だ。この石化王国もまた戦後には科学王国に併合・・・いや、国交を結ぶこととなるだろう。殺した数はそのまま遺恨となる。その処理の先頭を仕切るのは次期頭首、つまりソユーズ、キミということになる」
「俺が・・・」
「ああ。決めるのはキミだ」
ガイアの言葉にソユーズは少し伏し目がちに、こう答えた。
「できれば誰も死なないで欲しい」
追い込まれた僕らの状況で、かなり欲張った希望だということはソユーズ自身も分かっていた。だけどそんな望み薄な希望にガイアは「わかった」と即答した。
「では軽く偵察に行ってくるとしよう」
ソユーズの希望に応えるや否や、ガイアはチャッチャと身支度をはじめた。
「ちょっと待ってガイアちゃん。一応モズちゃんがこの洞窟のこと遠目に見張らせてるって言ってたからジーマーで慎重にね」
ゲンの忠告にガイアは涼しい顔で「大丈夫だ」と答えた。本当に涼しい顔で。まるで玄関からちょっと散歩にでも行くような涼しい顔で。
「私を誰だと思っている? 隠密行動は得意科目さ。そもそもこの程度の小さな島で、殺せと命令さえあれば、私なら明日の朝までに“皆殺し”にできる」
絶対に本心から言っているんだろうね。ゲンも僕も千空も龍水も、誰もが目を白くさせるしかなかった。
それから数時間ほどしてから帰還したガイア。もちろん涼しい顔で。
「早速、作戦会議だ。各員集合せよ」
その自信のこもった声に、誰もがガイアに勝算ありというオーラを感じた。
「さすがは戦争を知らぬ辺境の島国。敵の急所がゾロゾロだ。勝てるぞこの戦争」
「こんなに早く弱点を見つけちゃうなんてすごいんだよ」
感心するスイカに、ガイアはポンと手を置いた。
「本作戦にはスイカ少女にも活躍してもらいたい。協力お願いできるか?」
「スイカがお役に!? もちろんなんだよ!」
スイカを戦力として投入するという話に、僕は少し抵抗感があった。だが今は四の五の言っていられる余裕はない。
「まず確認しておきたいが。モズのあの耳飾りは科学王国製のインカムか?」
「ああ。コハクの潜入捜査ん時に持たせたヤツと同じだ」
千空の回答にガイアはニヤリと笑みを浮かべた。
「つまり“モズの内通は敵にバレている”と考えていいだろう。だが、それでいい」
「え!?」
ガイアの言葉に誰もが驚いた。僕らが苦労して交渉したモズの裏切りが? それをどうしてガイアが断言できる?
「あ゛ぁ、そういやぁデザイン変えてねぇわ。イバラがめざとい野郎ならバレんわな」
ガイアの指摘で思い出したように苦笑いする千空に、ゲンは「え~それバイヤーすぎない?」と青ざめていた。
「だが、それでいいっつうなら、あんだろ? 逆転の策っつうのが」
「ああ。むしろ好都合だ。早々にモズくんには退席していただける」
そう言うとガイアは島の地図を広げて、石を駒に見立てて戦略を語り始めた。
「当初の作戦では海哭りの崖でドローンの音を誤魔化し、モズとの八百長の間に石化装置を投げさせて奪取する手筈だったな? だがモズの裏切りが悟られていれば、敵は石化装置の偽物を投擲してくるだろう。モズの動向を探るために」
「そうですね。ですが本物を投げてくる可能性もあるのでは?」
「その場合は作戦通りの綱引き&モズ迎撃だ。陽の射撃を援護に私が一騎討ちに持ち込む」
この展開を僕らが「行ける!」と確信している様子に、おそらくモズの実力を知るアマリリスは「大丈夫なの?」と心配していたが、ガイアは「大丈夫だろ」と涼しい顔だ。
「でも偽物だったらどうするんだよ?」
「んなもん逃げの一手だろ。俺らの標的は本物の石化装置様だ。そいつの所在を炙り出せねぇうちは全滅リスクしかねぇ」
「その通り。では我らを全滅させるにはどうすればいい? 一番簡単な方法だ。島を丸ごと石化光線で覆えばいい」
ガイアは微笑みながら地図に大きく円を描いた。もちろん僕らには絶望感が漂う。
「や、やべーだろそれ」
「落ち着けクロム。むしろ敵の作戦の兆候をつかむチャンスだ」
「そう。島を石化で包むなら当然、自分たちも避難する必要がある。それは何処か? 海しかない。全員で海に行くには? 船しかない。ペルセウス号に敵が乗船する準備をするだろう。この争奪戦の前に」
「ハッハー。つまり決戦前にペルセウスに島民が乗り込み始めていれば、敵がモズの裏切りを察している可能性が高いということか」
龍水の言う通り。その場合は隙のできやすいドローン綱引きを、最初から“しない”という選択ができる。かなりのロスを削減できるのは大きい。
「次に逃げた我々がどうするか。ここで5手に分かれる。モズ迎撃担当と囮チームと綱引きチーム、衛生兵チーム、そして頭首“偽装”チームだ」
綱引きチームと衛生兵チーム以外は意味不明だ。囮? それに偽装? モズ迎撃だけチームじゃないの?
「決戦場からラボカーで逃げればモズが追いかけてくるだろう。頃合いを見て私が降りて奴を迎え撃つ。そのあいだに囮チームはペルセウス号に向かえ」
「敵いっぱいの危険地帯に?」
皆の不安を杠が代弁してくれたが、ガイアが「ああ」とアッサリ言うものだからそれ以上の反論が咄嗟に出て来なかった。
「囮は例のフード戦士。敵は石化装置で潰しにくるだろう。そこで石化装置の所在が明らかになる。先に安全地帯の船に乗り込んだイバラか、我らを追って島に残っているキリサメか」
「ってことは・・・囮チームは石化確定だね」
僕の苦笑いに千空もガイアも「一番の安全地帯行きだ。問題ねぇ(あるまい)」と笑った。
「キリサメが持っていれば綱引きチームでドローン綱引き作戦の続きができる。イバラが持っていれば偽装チームの出番となる」
「それ。一番気になってたネーミングのやつ」
ゲンの言う通り。みんなが一番気になっていたネーミングのやつだ。
「頭首はイバラによって石像にされ、文字通りの傀儡政権となっている。だが島民の信仰は頭首に属している。頭首石化の事実を白日の下に晒せば、それだけでうまくいけば島民全員が一瞬で我々の味方となる」
ガイアの言葉に歓喜が上がった。
「なるほどね~。敵が全員ペルセウス号に乗ってくれるから本陣がやっともぬけの殻になるわけ」
「私がイバラであれば念のために頭首像を粉砕しておく。本物を見せつければ理想的だが最悪、修復不可能となれば偽装が必要だ。粘土や絵の具でな。面影のあるソユーズをベースに石像を偽装するしかない。倫理には反するがな」
「問題ねぇ。騙して勝つのは司帝国戦で前科一犯だ」
ケラケラ笑う千空とゲン。ガイアよりも笑顔が似合っている。悪だくみの。
「でもジーマーで一番大事なこと忘れてない? 島丸ごと石化。追い詰められたイバラちゃんがやらかしちゃうんじゃない?」
ゲンの指摘がこの作戦で一番の問題点だ。
逃げ場のない石化攻撃による全滅。圧倒的戦力差への対処が無ければすべてが無意味だ。
「広範囲石化光線。その対処法は3つほど考えてある。問題はない」
「3つも!? あるのそんなに」
思わず声が裏返った僕に、みんなの視線が集まった。少し恥ずかしい。
「1つは石化解除液を宙に投げ、石化してから浴びる方法。ちょうど自分の体にかかるように、更に光線で体が石化する前に投げ、光線が届く前に浴びないようにする絶妙なコントロールが必要となる。高難度の技だがな」
なるほど、と言いたいけれど・・・実現するのがとても大変そうだ。
「そして残り2つだが・・・・・」
その後語られたガイアの策に皆が納得を示した。
あとは準備と“練習”あるのみ。
皆が一丸となって自分の役割を果たせば勝てる戦争だ。
誰一人、勝手な行動さえとらなければ・・・
誰一人
勝手な行動さえ
とらなければ
・・・・
もし復活者を選定できるなら、どういう人材を優先的に復活させたいですか?
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戦闘力重視のバトルメンバー
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娯楽担当のエンタメ提供者
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我に美味しい食事を。シェフ
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家が欲しいッ! 建築家
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本当に見たいのは、自分ならどう生きるかッ