「イヒヒヒヒヒ」
石化光線に覆われ、静寂に包まれた宝島にイバラの下卑た笑い声が響いていた。
「おじちゃんの一人勝ちじゃない? オオアラシちゃんが島の真ん中にたどり着けなかったみたいだから、一時はどうなるかと思ったけど」
余裕綽々の笑い声が島を突き進んでいる。
その足がオオアラシの石像にたどり着くと、そこで一旦止まった。
「オオアラシちゃん見っけ~・・・ん? 何この紐。足でも絡まった?」
石像に絡まる黒い紐。カーボンワイヤーを前にイバラは首を傾げる。
「まぁいいか。それよりありがとねオオアラシちゃん。でもってさよなら」
イバラは近くの岩を持ち上げると、石像を破壊して中から石化装置を取り出した。
「あとは復活の水を見つけるだけだね~。おじちゃん知ってるからね、妖術士の連中が持ってるって。じゃなきゃ石像になってたアホっぽい筋肉の子、ボートでつっこんできてないもんね~」
「なかなかどうして、イイ観察力の持ち主じゃないかイバラ様よぉ」
その声にイバラはバッと振り返った。
「えっ? な、なんで生きてる!? 貴様ァ!」
イバラの驚愕した表情が向いた先。
そこに立っていたのは誰あろう、携帯電話を背負った千空だった。
島丸ごと石化光線で覆い、生き残っているのは自分だけだと確信したイバラが受けるショックは尋常なものではないだろう。
「んなもん石化装置なんつぅ唆るもんが100億%欲しいからに決まってんだろ?」
千空の余裕の笑みに圧されたイバラだったけど、それがブラフだと勘付いてすぐに体勢を立て直した。
「でもさ~分かってるよね? その石化装置、今おじちゃんの手にあるって」
「ああ。だから今日は特別にゲストを連れてきてやったぜ。てめぇは運がいいな」
「ゲスト?」とイバラは首を傾げた。ゲストっていう言葉が百物語で伝わっているのかはわからないけど、サプライズとしては大成功だと思う。
なんせ、僕らが顔を出したんだから。
「は、はぁあああ!?」
弓を引きながら現れた僕とイバラは目が合った。
それだけじゃない。千空の他にクロムと、金の槍を持った金狼も姿を現した。その反対側にはトンファー様に曲がった木を手にした陽もいる。
「俺たちもいるぞ!」
大樹が大声と一緒に飛び出してきた。その隣からはニッキーも顔を出している。
「ククク、やっぱ復活してやがったか。ど~りでテメェらの石像がねぇと思ったぜ」
「ハァ!? なんでこんなにも生き残りが!?」
僕らの八方からの包囲網の中で、イバラは愕然としていた。
もちろん僕らは石化解除液で復活していた。
島丸ごとを覆う石化光線が迫る中、僕らは光に向かって一列に並んでそれぞれが解除液を手にしていた。
「1人でも成功すりゃ問題ねぇ。落ち着いてやりゃあな」
ガイアが提唱した石化光線への対処法。
1つは自分に浴びせる解除液を自分で投げる方法だ。
2つめはシンプルな話。石化した仲間に解除液を投げて浴びせればいい。
1人1人が5mくらいの間隔を開けて列を作って、先頭が石化したら2番目の仲間がその背に解除液を投げる。2人目が石化したら3人目が。
タイミングが早いと前の人が石化する前に液が浴びせられて不発。遅いと自分が石化して液を投げることができない。
とはいえ幸いにも石化光線の進む速度は時速36km程度。(この作戦の間に千空が律義に計算していてくれた)
前の人の石化を視認してからでも十分に間に合う
結果、この仕組みで助からない最後尾の仲間以外、全員が石化光線から即座に復活したのだ。
それだけじゃない。ガイアの提唱した3つ目の作戦も成功していた。
島丸ごと石化させる石化装置を運搬する係を止める方法だ。
勿論、今回のオオアラシのようにその役には石化王国最強のパワーの持ち主が選ばれることは想定済み。
だから今回、ニッキーと大樹がカーボンワイヤーを手に、オオアラシが通りそうな道で待ち構えていた。
そしてズレた。イバラが想定していた石化光線発生位置が、島の中心からズレた。
結果、島の反対側に安全地帯が生まれた。
そこに衛生兵チームが待機していたんだ。
「スイカもお役に立てたんだよ!」って声が聞こえてきそうだ。もちろん大樹とニッキーを復活させた彼女の声で、だ。
「みんな揃っているな」
その声が聞こえてきたことで、僕は自然と笑みをこぼしていた。
疑いもしなかったよ。ガイア降臨を。
「ククク。ガイアてめぇマジで復活液セルフサービス、一発成功させやがったのか?」
「ああ。プロに2度も同じ手は通用しないからね」
陽が小さく「3700年前はノーカウント? 都合良すぎじゃね?」とつぶやいていた。
そんな小言を無視して、ガイアはイバラの方へと静かに接近していった。
「さて宰相殿。装置をこちらに渡し、大人しく投降するか? それとも・・」
「そうだね~おじちゃん人を見る目だけはあるからね~」
そう言うとイバラは石化装置を手に小さな声でつぶやいた。
「3m 2秒」
ノーモーションで石化装置を投げた先はガイアの方向。
ガイアの両脇は千空とクロム。ガイアさえ排除できれば最も戦闘力の低い組み合わせとなる。イバラ包囲網の配置の穴を目ざとく見抜いていたのだ。
防御不可能な石化光線がガイアに照射されてしまう。
「ガイアが言ったとおりなんだよ!」
その声と共に、石化時間1秒程度でガイアは復活した。誰あろう、彼の背後を守っていた衛生兵スイカの復活液によって。
「さすが頼りになる子だ」
その言葉と共に、復活した瞬間のガイアが石化装置をガシッと空中キャッチした。
「なっ!?」
綱引き対決の装いをみせたガイアVSイバラ。
「さてイバラ殿、先に到着した私たちが何故、石像から装置を取り出さなかったか分かるか?」
引っ張り合いっこ中に始まった心理戦に、イバラは「さぁ、な~んでかな」と油断ない声を必死で装って尋ねた。
「こうして遊ぶためだよ。自分が賢いと思ってる奴をハメて勝つのは楽しいからね」
そう言ったガイアの不気味な笑みに、イバラは必死の形相で石化装置に繋げてある紐を引っ張った。
「そんなに欲しいならくれてやろう」
拍子抜けした声で、ガイアは石化装置から手を離してしまった。
このあまりにも唐突な展開に呆気にとられるイバラ。
だが当然、ガイアに策が無いわけがない。
石化装置には、モズに渡したインカムが結び付けられていたのだ。
「トドメの一撃は我らが大将に譲るとしよう」
ガイアの笑みが向けられた先で、僕らの大将・千空が携帯電話のマイクを手にしていた。
「あ゛あ。5m 1sec」
モズの手に届いた石化装置に、千空の声が届く。
「イ ヤ イ゛ヤ゛アアア!」
問答無用の石化光線がイバラを包んだ。
「これだけ心を折っておけば、御仁も万一復活しても大人しくしているだろう」
ガイアは満足したように漏らすと、その左拳を天高くつき上げた。
「勝鬨だ皆。この戦争、我々の完全勝利だ!」
「ウォオオオオオ!」
「・・・加減しろやデカブツ」
こうして石化装置争奪戦は、僕ら科学王国の皆の歓声と共に幕を閉じた。
もし復活者を選定できるなら、どういう人材を優先的に復活させたいですか?
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戦闘力重視のバトルメンバー
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娯楽担当のエンタメ提供者
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我に美味しい食事を。シェフ
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家が欲しいッ! 建築家
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人材よりも愛。家族を蘇らせたい
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必要なのは法の統治。政治家
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怪我や病気が一番の敵。医者
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人の命は地球の未来。救急隊・救命士
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秩序こそ必要。警察官
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安心安全な子孫繁栄。産婦人科医・助産師
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小麦を有効活用。うどん打ち職人
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本当に見たいのは、自分ならどう生きるかッ