宝島の戦いは無事に終結を迎えることができた。
石化王国民は全員石化。科学王国も含めて誰1人として死んではいない。
あとは人海戦術でどんどん仲間を復活させていくだけだ。
そう。平和的に戦争が終わったのだから、これからは皆が仲間だ。
「いや、反乱の可能性には警戒すべきだ。優先的に復活させるべきは我ら科学王国民だろう」
ガイアに釘を刺されたけれど、まったくもってその通り。
右手を失ったガイアに負担をかけないためにも、まずは僕らの戦力が整わないうちには敵の戦士は復活させるべきではない。
「だな。こっからは詰め将棋ほどじゃねぇが単純な作業ゲーでもねぇ。全滅しねぇように仲間増やしてくぞ!」
メインの指揮は千空が担当。
復活者のための食糧確保も念頭に置きながら、人海戦術に適した人材から復活。
海中に沈んだゲンやマグマも回収して・・・
「キリサメはどうするよ? 敵だろ? 復活させるか、このまま放置か」
クロムの言うように彼女の扱いは判断に迷うところ・・・だけど迷いゼロの千空が僕らが気付く前にあっさり解除液を浴びせていた。
「イバラに騙されてただけだ。コイツはよ」
千空の言葉にガイアも頷いていた。
「無論、同情だけではない。キミは後宮について詳しいはずだ。案内を頼みたい」
ガイアの狙いとしては2つあった。
1つは後宮で石化させられたコハクと銀狼の復活。特に銀狼は石化前に重傷を負っていたこともあるから科学王国の皆としては気が気でないから作業に支障があるからだ。
そこは流石の復活液の修復力。銀狼はいつもの銀狼として復活した。問題なかった。
そしてもう1つの狙いは後宮に保管された戦利品だ。
その中に僕らから奪った武器と、一緒に持っていかれてしまっていた司とガイアの右手があるからだ。
「ようやくこれで2人とも復活なんだよ!」
ド派手武器ごと司に右手を接着させて、そのまま解除液を浴びせると、司もまた問題なく復活した。
「現状は?」
いつもの冷静な司が帰ってきてくれた。
起きて即座に状況確認。本当に頼りになるよ、僕らの元・リーダーは。
「全部終わった」
千空の言葉に、司はホンのちょっとだけ冷静さを失っていた。少し残念そうだった。
「あとはガイア先生の腕の方だが・・・」
千空は言葉を濁らせていた。僕もこの事態には気が重くなる。
果たして、石化した手と生身の腕を再接着できるのだろうか?
単純に考えればガイアを再石化して石像同士にしてから接着させればいいんだろうけど・・・
「私の腕の再生には問題が2つある。1つは千空、キミも察しているな? 石化装置の電池切れを」
僕らに動揺が走った。千空も言いにくそうに眼を背けて「ああ」と答えた。
「ああ。イバラを固めた時に俺が指定したのは5mだが、広がった石化光線はせいぜい半径1mちょいだった」
千空の言葉にキリサメも確信を口にした。
「サイズがブレたことは今までない。石化光線の光を広範囲に濫用してはならないという言い伝えもある。エネルギー切れは十分考えられるわね」
申し訳なさそうに告げたキリサメに対して、ガイアはサラリと「そういうことだ」とうなずいた。
「で、でもさぁ。充電切れのケータイとか髭剃りとか、ほんっっの一瞬だけビクッと動いたりとかしない? だから、さぁ」
「たしかに1回はチャンスがあるかもしれない。ならばなおさら、貴重な回復手段は奥の手として残しておけ。命に支障があるわけでもあるまい?」
ガイアはそう言うと石化装置を右腕の断端の上で器用にクルクルと回して見せた。
「気遣いおありがてぇこった。じゃあこの超絶オーバーテクノロジーの石化装置、解析ができた暁にゃあ、お客様第一号はガイア先生に決まりだな」
千空の返答にガイアはニヤリと笑って「治験でもいいぞ。なぁ羽京」と答えた。
これはガイアの気遣いなのだろう。彼の腕を奪ってしまった僕への。
「ガイア・・ありがとうございます」
「言いっこなしだ。我々にはまだ仕事が多いぞ」
ガイアの言う通り、気を取り直して復活祭の再開だ。
人手もだいぶ増えきたから、ここからは2チームに分かれることになる。
復活チームと修理チームだ。
何せイバラたちがペルセウス号の通信装置をズタボロ~ンに壊してしまっているからね。
決戦が終わった直後に本土からも心配の電話がかかってきいたけど、千空の携帯電話の電池が残り0に近くて僕らの無事を知らせることはできなかった。
早く返事をしないとルリたちにも悪い。
ということで、千空やカセキ、クロムと僕は通信装置の修理にとりかかることになった。
大変だった。夜までかかった。
「あ゛―聞こえてっかルリ?」
[千空! ああよかったようやく繋がりました!]
電話口からルリの声が聞こえてきた。修理は無事に大成功だ。
[千空、あなたが不思議な通信をーーーザザッザアア]
その時突然、通信に砂嵐が入った。何か強力な電波に電波が遮断されたようだ。
となれば話は1つ。ホワイマンしか考えられない。
だけど今度はモールス信号じゃなかった。
[12800000m 1second]
この声に僕らは戦慄した。
12800000mというのが地球の直径であり、おそらく通信を介して石化装置を発動させ、地球を丸ごと石化光線で包む意図があるのは明らかだけど・・・
それ以上に不気味なのが、この声が千空の声だったことだ。
それからもこの謎の千空の声の通信は一定周期で流れてきた。
最初は度肝を抜かれたから気付かなかったけど、何度も繰り返されれば僕には分かる。
この声はボーカロイドとかに近い声の『不気味の谷』、合成音声だ。
「WHYだな。何故、わざわざ合成音声で通信してきた?」
僕らの話題はホワイマン一色に染まった。
敵意があるのは確実だが、技術力と行動があまりにもチグハグだ。
「ガイア、アナタの意見は?」
「さっぱり分からん・・・が・・いや、まさか。しかし・・・」
イバラをも手玉に取ったガイアですらお手上げだった。何か言いたげな様子でもあったけど、それ以上彼が何かを発することはなかった。
残された唯一の手掛かりは僕らの手元にある石化装置だけ。
「この石化装置の形って」
ソユーズの一言で事態は大きく動いた。
装置とよく似た形の傷のある石像を彼が覚えていたのだ。
復活させた数百年前の武人・松風が教えてくれたのは、無数の石化装置が空から降り注いでこの島にたどり着いたという情報だった。
その情報さえあれば、我らが千空の行動は早い。
パラボナアンテナをちゃっちゃと作って空に向けて、ホワイマンからの電波を逆探知。
その計測結果、判明した衝撃の事実。
「ホワイマンは月面にいる」
手も足も出ない場所に所在する人類の敵。
と、なると悪い予感しかない。このストーンワールドで千空が言い出すことと言えば・・・
「俺らは月に行く」
分かっていたよ月面旅行プロジェクト。
労力と根気と壮絶すぎる量の材料が必要になるロケット作りが決定だ。
つい1年ちょっと前まで原始人だった僕らが21世紀ですら別世界の認識だった宇宙へ。
そんな別次元すら、むしろワクワクしちゃうのが科学王国だ。
とはいっても現実的な話、全員でロケットに乗ってというのは無理な話で、そこは21世紀の技術力を参考に乗務員はせいぜい数人になるだろう。
「少しいいか? 科学王国七知将を招集したい」
そんな話で盛り上がっている中、ガイアが僕たちに声をかけた。
ペルセウス号の一室に『会議中、お静かに』の看板を立て、ガイア・千空・僕・龍水・ゲン・クロム・司が机を囲む。
「ハッハー。ホワイマンについて何か分かったのか?」
「そんなわけねぇだろ。俺たちで頭抱えてたの昨日の今日だぞ」
龍水の指パッチンの隣でクロムが苦い顔をする中、ガイアはおもむろに口を開いた。
「集まってくれて感謝する。その通りホワイマンの件だ。あくまで私の推測の域を出ないが、集まった情報から分析するに・・・我々は新たにというべきか、石化装置を作った存在に備えなければならないようだ」
もし復活者を選定できるなら、どういう人材を優先的に復活させたいですか?
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戦闘力重視のバトルメンバー
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娯楽担当のエンタメ提供者
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我に美味しい食事を。シェフ
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家が欲しいッ! 建築家
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人材よりも愛。家族を蘇らせたい
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必要なのは法の統治。政治家
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人の命は地球の未来。救急隊・救命士
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秩序こそ必要。警察官
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安心安全な子孫繁栄。産婦人科医・助産師
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小麦を有効活用。うどん打ち職人
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本当に見たいのは、自分ならどう生きるかッ