機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY   作:ichika

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シエロ

sideセシリア

 

「今帰った、ミナはいるか?」

 

アーモリー・ワンからアメノミハシラに帰って来た私達は、この城の主であるミナさんを探して玲奈さんに尋ねました。

 

ですが、出迎えに来たのは玲奈さんだけで、他の方は慌ただしく動き回っておられました。

 

玲奈さんもパイロットスーツに着替えておられましたので、一体どんな重要な事なのでしょうか・・・。

 

「三人ともお帰り~、ミナならジェネシスαに警告に出てるわ。」

 

「警告だと・・・?」

 

警告とは・・・、それに、ジェネシスαに出ていらっしゃるのですか・・・?

一体、今何が起こっているのでしょうか・・・?

 

「状況を説明してほしい、今何が起こっている?」

 

ですが、まずは状況を見極めてそこから動く、それが一番ですわね。

 

「まぁ、帰って来てばっかりで悪いけど、すぐに出ないといけないって事ね、これを見て。」

 

「なんだ・・・、これは・・・!?」

 

玲奈さんが見せて下さった情報端末には、信じられない情報が表示されていました。

 

「ユニウス・セブンが、動いている・・・!?」

 

「そんな・・・!あれは安定軌道にあるのに・・・!?」

 

まさか、ユニウス・セブンが動いて、地球の重力に引かれて落ちているだなんて・・・!!

 

「既にジャンク屋のチームが調査に出たわ、だけど、もう止められないぐらい軌道がずれている、ザフトがジュール隊を向かわせて破砕活動をするみたいよ、だけど、それが出来るかどうかは分からないけどね。」

 

「破砕、ですか・・・。」

 

確かに、このままでは地球人類は壊滅、それに加え、地球も人類や動植物が住める環境では無くなってしまいますわね・・・。

 

それを少しでも回避するためにも、ユニウス・セブンの残骸を小さく砕き、完全なる破滅を回避する、という事ですわね・・・。

 

しかし、よくそんな詳細な情報がこれほどまで早く届けられているのは、ある意味で不自然ですわね・・・。

 

「これは、全てルキーニさんから齎された情報ですの?」

 

「いんや、流石にルキーニの旦那でもここまで正確で詳細な情報はも少し掛かるわ、これは、サーマティアスから齎された情報よ。」

 

「やはり、サーの御力添え、か・・・。」

 

なるほど、これで繋がりましたわ、サーマティアスの御力ならば、この情報を掴む事など容易いという事、そして、今、サーの傍には宗吾さんがおられます、アメノミハシラへ最速で情報を伝える事も出来るでしょう。

 

「と言う事は、そろそろ俺達に動けと言いたいのか・・・。」

 

「でしょうね、じゃないと、ミナが自分からジャンク屋に出向く筈も無いわ。」

 

でしょうね・・・、世界が大きく動くタイミングを教えて下さる代わりに、本気で動けと言いたいのでしょうか・・・。

 

「だが、まずは全軍にスクランブルを待機させろ、アメノミハシラ、ひいてはオーブに墜ちるユニウス・セブンの残骸を防ぐ、ミナがジャンク屋の協力を取り付けない限り、ミナの宣言も実行には移せないしな。」

 

しかし、物事には順番と言う物があります、幾ら重要な事柄でも、目下に迫っている危機を無視して出来る程甘くはありません。

 

今の最優先事項は、ユニウス・セブンの地球落下の阻止、そして、ザフトが破砕した際に生じる破片の除去、ですわね。

 

「とりあえず、アタシもすぐに出る準備するわ、PS装甲の機体は、限界高度ギリギリで活動って事で良いでしょ?」

 

「勿論だ、もし大気圏に落ちても大丈夫なように、俺と玲奈がそのギリギリのラインで留まる、セシリアとシャルはその手前でなるべく撃ち落してくれ。」

 

「かしこまりましたわ。」

 

「出来るだけやってみる、大気圏落下だけは避けたいけどさ。」

 

単独飛行が出来るストライクSとイージスシエロは兎も角、デュエルグレイシアとバスターイグニートは重力下飛行は不可能ですから、妥当と言うべき判断でしょう。

 

「よし、準備にかかるぞ、補給が終わり次第発進する、良いな?」

 

「「「了解!!」」」

 

しかし、今はそんな細かい事を考えている場合ではありません。

今は護るべきモノの為に動く、それだけですわ。

 

それが、この世界に生きる人々を救う手段にも繋がるのですから・・・。

 

sideout

 

noside

 

その後、ザフト軍ジュール隊とミネルバの活躍により、ユニウス・セブンはメテオブレイカーにより真っ二つに分割され、その両方が地球に直撃しないコースへと外れた。

 

しかし、それでもまだ、破砕した際に生じた大小様々な残骸は、無慈悲に地球へと降り注いでゆく。

 

大気圏で燃え尽きる程の大きさならば問題は無かっただろう、だが、大気圏で燃え尽きず、尚且つ、甚大な被害をもたらす程の質量と巨大さを持ったデブリの方が圧倒的に数が多かった。

 

故に、一つでも地球に落としてしまえば、数え切れぬ程の命が一瞬の内に失われる。

いや、それだけでは無い、連合とプラントの関係がさらに悪化し、最悪の場合は開戦と言う最悪の結末すらあり得る。

 

特に、オーブと言う国は今だ連合の支配下にあり、その余波に巻き込まれてしまう恐れがあった。

オーブと言う国を護るためにも、彼等は立ち上がった。

 

「第五小隊、準備は良い?一番槍はアタシ等が務めるわ、一つとして地球に落とすんじゃないわよ!!」

 

『了解!!』

 

アメノミハシラ防衛ラインよりも前に出た所で、迎撃部隊の先鋒を任された部隊長、早間玲奈は自身の愛機のコックピットで部下のパイロット達に通信を入れる。

 

機動力の最も高い彼女の機体ならば、縦横無尽に動き回り、落下するデブリに対応できると踏んだフォーメーションなのだろう、最低限の随伴機しか彼女の周りにいなかった。

 

「アタシが突っ込んだら、カイとユウヤはミサイルで出来るだけ砕く事に専念して、マキナは拡散状況と二人のサポートをよろしく、実弾だからアタシの機体にゃ通らないし、心置きなくやりなさい!」

 

一夏達の指示の仕方を身近で見続けたからか、彼女の指揮も様になっており、的確かつ無駄の無いフォーメーションが組まれていた。

 

『了解しました!』

 

『早間卿もお気を付けて!』

 

「分かってるわ、旦那もまだ帰って来ないし、会えるまでは死にやしないわ。」

 

部下からの返答を聞き、彼女は改めてヘルメットバイザーを下ろし、操縦桿を握り直す。

 

やっとこの時が来た。

自分の我儘のせいで機体の完成は大幅に遅れてしまったのだ。

 

だが、迷惑を掛けてしまった仲間のお陰で自分の機体は完成させて貰えたのだ。

その落とし前は、ここで付ける事が出来ると彼女は意気込んでいる。

 

風の様に宙を駆ける、それが今の自分にやるべき事なのだ。

 

「じゃあ、行くわよ、アタシの新しい力!新しい翼!!」

 

そのために、今戦うべき時は逃げない、新しい力で、仲間の為に!

 

「早間玲奈、イージスシエロ!行くわよ!!」

 

彼女の想いに応え、新しき翼は羽ばたく。

 

AC-GAT-X303 イージスシエロ

早間玲奈のイージスと一夏がザフトから譲り受けたプロトセイバーのデータを掛け合わせ、新造された最新鋭可変MSである。

 

大気圏内での飛行が最低条件として製作されたが、ザフトの最新鋭MSであるプロトセイバーのデータを流用し、変形をある程度簡略化した結果、軽量化にも成功し、大気圏内での最高速度は、速度面に特化して製作されたストライクSを上回る性能を有するに至った。

 

また、玲奈が好んでいたスキュラは内部構造簡略化のために撤廃されたが、頭部に新造されたツォーンⅡを、背面にはスラスターユニット兼用のビームキャノン≪グラム・ゼファー≫が装備された。

 

そして、一番極めつけは腕部のビームサーベル発振器が、デュエルグレイシアに装備されるクロイツ・ルゼルの様に大型化した大型ブレード≪トルメント・フロスト≫が装備されている。

ビームサーベルの発振機能は引き続き残されており、レーザー対艦刀と同等以上の威力を誇る上に、MA形態時は機首にもなる部分である。

 

脚部サーベルは実体刃が軽量化の為にオミットされ、発振器のみに置き換えられている。

 

「けどまぁ、今回はミサイルユニット主体なのよね、頼んだわよ!!」

 

しかし、イージスシエロ最大の強みは、マルチウェポンブースターと呼ばれるMA形態専用追加ユニットを装備する事により、直線加速力とオプション装備される武装による攻撃力の強化が成される点にあった。

 

ストライクのストライカーパックの思想を引き継いだモノになっているが、主にスピードと火力を増強する為のモノであり、MS形態では使用不可能である装備でもある。

 

取り回しには若干難があったが、今回の様にただ単純にデブリを破砕するだけならば全く問題は無かった。

 

今現在も開発が進んでおり、今回はミサイルユニットを装備していた。

 

左右八門ずつ、計十六のミサイルポッドから次々とミサイルが発射され、墜ちてくる破片に直撃して粉微塵へと還して行く。

 

「砲撃開始!!撃ち漏らすんじゃないわよ!!」

 

『了解!!』

 

彼女が後方に控えるM1A部隊に指示を飛ばすと、間髪入れずにミサイルやバズーカの弾丸が飛んでくる。

それらは狙い違わずに玲奈が砕いたデブリを更に細かくし、大気圏で燃え尽きる程度の大きさへと変えて行った。

 

「よっし!その調子よ!そのまま続けて!!」

 

『僕も援護するよ、避けてね!!』

 

デブリの間を駆け巡るイージスシエロに、別働隊の指揮を採っていたシャルロットのバスターイグニートから通信が入る。

 

どうやら、一斉射撃による広域撃破を狙いたいのだろう、玲奈の視界に全砲門を開放した、頼もしき友の機体が入り込む。

 

「任せた!アタシに構わず、思いっ切りやりなさい!!」

 

自分の機体も、そして、友の腕も信じられる。

だから、自分はこのまま飛び続けるだけだと。

 

『言われなくても!イグニート、全砲門完全開放!!』

 

彼女の言葉を受け、シャルロットは自身の愛機の最大火力で落ちてくる破片を一掃する。

その一発一発の火力は凄まじく、如何にPS装甲で身を固めた機体ですら一撃で沈黙させうる威力を持っていた。

 

だが・・・。

 

「やるわねぇ~!やっぱ、火力は正義ね!!」

 

その致死の嵐の中を、風となったイージスシエロは泳ぐ様に進んでゆく。

 

推力だけでは無く、彼女の細やかな操縦で火線を避けていた。

 

アメノミハシラメンバーの中でも、特にシャルロットのバスターと戦いを重ねた玲奈は、その癖を見抜いて回避しているのだ。

 

勿論、読めていたとしても反応し、回避できるほどの腕前が無ければそれも不可能だ。

故に、その繊細かつ鮮やかな動きこそが、彼女の力量の高さを如実に表していた。

 

だが、そんなシャルロットにも当然カバーしきれない程に、破砕しきれなかった破片は多かった。

 

それらは地球の重力に引かれ、どんどん高度を下げ、遂にはアメノミハシラの防衛隊の眼前にまで迫った。

 

「けど、速さも正義よ!!」

 

しかし、そこは遊撃隊である玲奈だ、イージスシエロの全推力で追いすがり、機首に展開したトルメント・フロストにビーム刃を展開、大型のデブリに突撃して叩き割る。

 

そして、その勢いのままに手近なデブリへと突撃、次々に砕いてゆく。

 

その姿やまさに八艘跳びと表すに相応しく、風の如き素早さを持っていた。

 

「行くわよ!アタシのイージス!!この宙を駆けるわよ!!」

 

もう彼女は、誰かの後を追いかけるだけではない。

 

仲間の為に、信じられる友の為に、その理念の下で飛び続ける。

 

これまでの鬱憤を、全て晴らすためにも・・・。

 

sideout

 

noside

 

「戻ったぞ、一夏、破片の撤去作業、ご苦労であった。」

 

「おう、戻って来たって事は、ジャンク屋には避難要請をしてきたって事か?」

 

デブリの除去作業を終えた直後、見計らったかのようなタイミングで帰って来たミナが、限界高度スレスレで撤去作業を続けていた一夏に声を掛けていた。

 

それは労いでもあったが、ある種の確認の様にも取る事が出来た。

 

ミナは先程までジャンク屋組合の総本部であるジェネシスαに、ソキウス達を伴って警告に出向いていたのだ。

 

「ユニウス・セブンの管理を任されていたのはジャンク屋組合だ、それをあのようなテロに用いられては、崩壊するのは時間の問題だ。」

 

「だろうな、さっきルキーニに聞いたよ、連合の艦隊が、ジェネシスαに攻撃を開始したと。」

 

「やはりか・・・、悪い方へ、局面が変わって行くな・・・。」

 

何者かの思惑か、それとも必然か、物事が破滅の一途を辿っている。

 

誰かが一石投じねば、それに歯止めを掛ける事が出来ないほど、地上も宇宙も混乱の只中にあった。

 

「一夏、ジャンク屋組合の組合長以下、客人たちを集めてから計画を発する、そなたも準備に取り掛かると良い。」

 

そして、そのための手札を揃えていたのがロンド・ミナ・サハクと言う女王であり、

 

「遂にか・・・!分かった、すぐに用意させる。」

 

その配下である織斑一夏も、彼女の意に沿う様に手札を切れる状況を、ゆっくりと作っていたのだ。

 

「動くぞ、我々の、いや、人類の未来のために。」

 

「おう!」

 

そして今、彼等は動き出す、理想を現実のモノとするために・・・。

 

sideout




次回予告

裏切りか、それとも必然か、運命の歯車は狂い、彼等を新たなる場所へと誘う。

次回機動戦士ガンダムSEEDASTRAYXINFINITY

裏の思惑

お楽しみに
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