機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY   作:ichika

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閃光の果て

side一夏

 

『その首!我らが貰い受ける!!』

 

『一躍トップかよ!良いねぇ、俄然負けられねぇ!!』

 

2機の空戦可能なダガーが俺のストライクSへ向かってくる。

 

ガトリングやレールガン、接近してのサーベル攻撃で攻めてくるが、まだまだ粗い部分が目立つ。

 

だが、俺達に比べれば未熟というだけで、贔屓目抜きで見れば準エース級の実力はある。

戦力増強のためには、是非ともウチに来て欲しい人材なのは確かだな。

 

ま、俺の示した道に上手く食いついてくれたみたいで何よりだ。

アメノミハシラでの地位は、オーブ国内での地位と比べても良い物だと感じてくれていなければ、このように俺を狙ってくれさえしないからな。

 

ならば、俺はその期待を裏切る事無く彼等を下し、彼等を救う。

それが、アメノミハシラの将軍としての、今の俺の役目の一つだ・・・!

 

「受けて立つ、ハロ!!」

 

『アバレルゼー!!トメテミナー!!』

 

クロスグリッドターンを用い、撃ち掛けられる弾丸の全てを回避、一番短い刃であるビームナイフを二本とも引き抜いてエール装備のダガーを迎え撃つ。

 

嘗めている訳では無い、ただ、間合いが近すぎるせいで対艦刀は使い辛い。

故に、こっちの方が小回りは効く。

 

妥当な判断だと思いたい。

 

『お初に御目にかかる!俺はオーブの騎士!ファンファルト・リア・リンゼイ!その首を貰い受けるぜ!!』

 

「俺の首は安くないぞ、君達の想い全部つぎ込んでも、果たして届くかな?」

 

ビームサーベルを二刀流の要領で振り、ストライクSのコックピットを狙って行く。

 

だが、それを見切っていたか、俺は半身になって機体を逸らしつつ、ビームナイフを振り、サーベルのビーム発生基のみを切り落とす。

 

二本とも切り下せたのは僥倖だったが、これで終わるまい。

 

『やりますね・・・!だが、まだまだぁ!』

 

やはりな。

ソイツはそこそこやるらしい、すぐさま腰から予備のビームサーベルを二本とも抜き放ち、ストライクSを落とそうと迫ってくる。

 

だが・・・。

 

『邪魔すんなよファンファルトォ!その方は俺の獲物だぁ!!』

 

I.W.S.P.を装備したダガーに乗る男は、この戦いに参加している誰よりも手柄を欲しているようだ、仲間を巻き込む様にガトリングを撃ち掛けて攻撃を中断させてくる。

 

慇懃無礼だが、似合わん口調だ。

まるで、政敵と相対した時の俺みたいだな。

 

『ワイド!!何しやがる・・・!?』

 

「まったく、手柄を焦るな!」

 

ファンファルトと呼ばれた男のダガーを足場にして離脱しながらも、機体を捻って左手のビームナイフを投擲、ワイドと呼ばれた男のダガーの左腕の付け根に直撃させる。

 

『なにぃぃっ・・・!?』

 

『ワイドッ!?な、なんて腕だ・・・!!』

 

離脱するワイドのダガーに驚愕するファンファルトだが、その隙を俺が逃す事は無い!

 

もう一本のビームナイフもと適するべく機体を動かそうとしたが、それより早く、アグニとライトニングストライカーの砲撃が俺を狙って打ち掛けられる。

 

『申し訳ありませんが織斑卿、内輪もめる様な奴でも仲間なのです、討たせるわけにはいきません!』

 

サウンドオンリーの通信ながらも、俺を狙った砲撃機のパイロットから通信が入る。

 

その声からは、出世したいと言う欲よりも、仲間を討たせないと言う意思が伝わってくる。

 

「お前、イイ覚悟あるじゃねぇか、気に入った・・・!!」

 

俺の好きなタイプの信念を持つ男だ、お前はアタリ、なんだろうな!

 

何時もは封じ込めているこの戦闘に身を任せる本能も、今は解放しようじゃないか。

 

俺を昂ぶらせてくれる何かを持つ、この愛おしいオーブの子等のために!

 

「お前等、かかって来い!俺も本気だぁ!!」

 

ストライクSのスラスターを全開にし、再びアキダリアを狙って浮上したソード装備のダガーへ一気に詰め寄る。

 

『俺の方を狙ってくるのは、計算済みですよ!!』

 

アキダリアへ脚を付けたソイツは左肩部アーマーよりマイダス・メッサーを引き抜き、こちらに投擲してくる。

 

牽制のつもりなんだろうな、避けた所へ飛び上がり、シュベルト・ゲベールで一閃、分かり易いが効果的な策だ。

 

コイツは策士なんだろうな。

最も、昔の俺には遥かに及ばないが。

 

「そうかい!なら、止めてみな!!」

 

マイダス・メッサーが回転しながら此方へ向かってくる所へビームナイフを投擲、相殺する。

 

それと同時にアスカロンを一本引き抜き、ガルーダストライカーの強烈なパワーを持った加速で強引に突き進みながらも、一気に間合いに入る。

 

『貰ったッ!』

 

「こちらがな!」

 

シュベルト・ゲベールの一閃を身体を鎮める事で回避しながらも、アスカロンの一閃でダガーの脚を斬り飛ばす事に成功する。

 

『何っ・・・!?』

 

「後で引き上げてやる、それまで大人しくしておいてくれ。」

 

バランスを崩したダガーの腹を蹴り、海へと落とす。

 

まずはこれで一機無力化した、あと4機を早く落として、アグニスの救援に行かないとな・・・!

 

「ストライク!俺に応えろッ!!」

 

一気にフットペダルを踏み込み、エールの推力でも着いて来れない程の加速で一気に孤島へ機体を奔らせる。

 

『まさか・・・!?』

 

『ガルド達を先にやろうってか・・・!?』

 

俺のやろうとしている事を見抜いたか、二機の空戦機は俺を追いかけて来る。

 

だが、遅い。

エールもI.W.S.P.も、俺が二年かけて研究し尽くした。

 

そのデータを基に開発されたコイツには着いて来れやしないさ!!

 

一気に二機を引き離しつつも撃ち掛けられるアグニの大出力ビームを回避し、牽制代わりにレールガンとビームキャノンで二機の手前の海を砲撃して目くらましをした後、急降下して二機の目の前に降り立つ。

 

『まさかっ・・・!?』

 

「その砲撃も、得意じゃないが何度も考察はしているさ。」

 

ビームサーベルを引き抜いて来る前に対艦刀の一閃で二機の脚を斬り飛ばし、追撃としてビームピストルで両腕の関節を狙って撃ち抜き、行動不能にする。

 

「もう少し待ってな、悪い様にはしない!」

 

ストライク元来の脚部の運動性を用いて身を屈めつつスラスターを一気に吹かし、地を蹴り上げると同時に跳躍、スラスターだけで飛び上がるよりも圧倒的に速い速度で駆け上がる。

 

『は、速い・・・!?』

 

『バカな・・・!?MSで出来る動きじゃ・・・!?』

 

「甘い!!」

 

やはり、実戦経験の少ないのはオーブ兵の弱みだな。

だが、腕の良いパイロットを腐らせる訳にもいかん。

 

だから、お前達には悪いが、勝たせてもらおうじゃないか!!

 

『くっ・・・!ワイド!挟み込む!!サシでは勝ち目がない・・・!』

 

なるほど挟み撃ちか、だが、その程度で俺が墜ちる筈ないだろうが!!

 

臆することなく前方から向かってくるエールを迎え撃つべく、対艦刀を二本とも引き抜く。

 

『分かってらぁ!!ここで勝たなきゃ・・・、ッ!?』

 

後ろにも気を配っていたから気付いた、I.W.S.P.の機体が突如として違う方角へと向かって行く。

 

作戦ミスか、それとも仲間を見捨てる屑か・・・?

 

『な、なんだ・・・!?機体のコントロールが・・・!?』

 

『ワイド!?何をやってる!?』

 

『俺は何もしてねぇ!!機体が勝手に動いてんだ・・・!!』

 

わざと通信を繋げていた為に、焦るパイロット達の会話が聞こえてくる。

 

機体のコントロールをロストしただと・・・?

 

まさか、量子ウィルスか・・・?

有り得なくはない、何せ、連合の中でも暗部部隊だ、その程度の装備なら有していてもおかしくは無い。

 

それに、使っている機体はあの黒い機体、ストライクノワールのパイロットだと断言できる。

 

昔の俺も躊躇う事なく使っていたからな。

 

「だが、何の為に・・・!?」

 

味方にそんな御大層なモノを仕込む必要は無い。

 

効力があるとすれば敵のコントロールを奪ったところに攻撃を仕掛けるか、同士討ちさせる様に仕向ける事の方が何倍も有効だ。

 

尤も、同士討ちを仕向けようにも、俺の機体にはハロと言う量子コンピュータから独立したAIが存在する。

つまりは、ウィルスに対抗する手段を持っているために効き目は無いが・・・。

 

では、何故味方機のコントロールを奪う?

 

オーブの兵を使い捨ての駒のようにしか思っていなくとも、無意味な行動だとは分かる筈だが・・・?

 

いや待て・・・、何かがおかしい。

薄々感じてはいたが、何故この部隊は初期のストライカーしか装備していない?

 

そもそも、空戦機ならばよっぽどムラサメの方が優秀だ、なのに何故、わざわざストライカーを装備させたダガーで出てくる?

 

その答えは、俺自身が一番分かっていた事じゃないか・・・!!

 

「ちっ・・・!そういう事か・・・!!」

 

このままではマズイ、恐らく、奴の狙いはマーシャンの殲滅では無く、アグニスただ独り。

 

「ファンファルト!お前はここに残ってろ!!」

 

『織斑卿・・・!?』

 

「これは罠だ・・・!彼は俺が救う!』

 

部下ではないが、それでも位は俺の方が遥かに上だ、従ってくれるだろう事を祈りつつ、俺はI.W.S.P.装備のダガーを追った。

 

その先では、デルタアストレイとストライクノワールが凄まじい速さで交錯し、デルタの左腕が飛び、ノワールストライカーが破壊されていた。

 

それを見計らったか、ダガーは一気に速度を上げ、落ち行くノワールへと迫って行く。

 

「やはり・・・!逃げろ、アグニスッ・・・!!」

 

警告を飛ばすがもう遅い、I.W.S.P.が強制的にパージされ、一瞬の交錯の後にストライクEに装着された。

 

『あの連合ヤロウ・・・!最初から俺らを利用するつもりでぇッ・・・!!』

 

『ッ・・・!?』

 

その状況を理解出来なかったせいで、アグニスは硬直してしまっている。

 

これは、マズイ・・・!

 

スラスターを全開にして距離を詰めるが、最早間に合わなかった。

 

ストライクE+I.W.S.P.はデルタアストレイとの距離を詰め、残っていた右腕と左わき腹に対艦刀を突き刺した。

 

『ぐぁぁぁっ・・・!!』

 

「アグニスーーーーッ!!」

 

苦悶の悲鳴を上げながら落ちていくアグニスのデルタに追いすがり、何とか空中でキャッチする事には成功した。

 

だがこれでは戦えない、俺も、そしてスウェン・カル・バヤンもそう感じているだろう。

 

『コードδ、機能停止を確認、アンノウンを確認するもエネルギー残量微量のため追撃は中止、これより帰投する。』

 

友軍への報告をした後、ストライクEは俺を睨むように一瞥、そのままオーブ本島の方へと戻って行った。

 

見逃してくれた、か・・・。

 

安堵のタメ息が漏れたが、今はそれどころでは無い・・・!

 

「アキダリア!すぐに救護班を用意しろ!デルタを着艦させる!」

 

『り、了解しました・・・!』

 

上擦った声のザフトの軍人の声を聞きながらも、俺はアグニスを、待たせているオーブの兵達を救うべく機体を奔らせる。

 

もう、俺の目の前で誰も死なせない・・・!

あの時みたいに、個の腕の中にある命を消させてなるモノか・・・!!

 

救えなかった者への贖罪にも似た心地を抱えながらも、俺は操縦桿を握り締める。

 

間に合ってくれと、無事でいてくれと、心の底から願いつつ・・・。

 

sideout




次回予告

ファントム・ペインから逃れたアグニス達を見送り、一夏は救った者達と共に宙へと戻る。
だが、運命の魔の手は彼を離そうとはしなかった・・・。

次回機動戦士ガンダムSEESASTRAY X INFINITY

宙の景色は

お楽しみに

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