機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY   作:ichika

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再会、友よ 後編

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セシリア達が格納庫に降り立った頃、先行したロウ達から少し遅れて艦橋から出たシャルロットは、独り格納庫までの廊下を進んでいた。

 

少しゆっくりめに進んでいたためか、彼女が制御室に入った時には、ロウ達が宇宙服を身に着け少女と並んで艦橋へと戻ろうと制御室に入って来たところだった。

 

「おう、遅かったじゃねぇかシャルロット。」

 

彼女と目が合ったロウは、何処かからかう様に笑いながらも、戻るぞと暗に告げた。

 

「ゴメンね、ちょっと遅くなっちゃったよ、その子がサーペント・テールの・・・?」

 

「はい、風花・アジャーです、叢雲 劾の代理として参りました。」

 

シャルロットに尋ねられた風花は、仕事人の顔付きになりながらも自己紹介をし、彼女の前に立つ。

 

「そっか、よろしくね風花、僕はシャルロット・デュノアだよ。」

 

彼女の挨拶に微笑み、名乗りながらも右手を差し出し、彼女は握手を求めた。

 

「シャルロット・・・?」

 

シャルロットの名を聞いた風花は、少し驚いた様な表情を見せ、彼女を凝視した。

 

「うん?風花もシャルロットに会った事あるのか?」

 

風花の反応を疑問に思ったのか、ロウはシャルロットと風花を交互に見ながらも尋ねた。

 

「ううん、会った事は無いと思うの、でも、シャルロットの名前だけは聞いたことある・・・。」

 

「どう言うこ事ですか?誰かから聞いた等はありませんか?」

 

風花の曖昧な言葉に、リーアムは首を傾げながらも問うた。

 

彼と同じ様に、シャルロットも何処か不思議そうに彼女を見ていたが、そこである事に気付いた。

 

「あれ?プレアはどうしたの?」

 

「あ、ホントだ、いないね。」

 

彼女の言葉に、樹里は制御室内を見渡すが、プレアの姿は何処にも無かった

 

恐らくはまだ、格納庫の方にいる事は理解できるのだが、一応の確認と言うのも必要である。

 

「まだ格納庫にいるのかもな、しょうがねぇ、呼んでくるか。」

 

彼を呼びに行こうと、ロウは踵を返し、格納庫へと足を向けるが、シャルロットがそれを呼び止めた。

 

「待ってロウ、僕が呼んでくるよ、何かあったのかも知れないし、先に風花ちゃんを休ませてあげてて。」

 

「そうか?悪いな、頼むよ。」

 

彼女の申し出に少々申し訳なさそうな表情を見せるも、折角の申し出を断るわけにもいかず、彼はシャルロットに後を任せた様だ。

 

「うん、任せてよ、それじゃあ、また後でね~。」

 

彼等に告げた後、彼女は格納庫に通じている扉まで行こうと動き出した。

 

「あーっ!!思い出した!そうよ!シャルロット!!貴女なんですね!!」

 

「へっ!?」

 

いきなり叫んだ風花の声に、シャルロットは前のめりになりそうになったが、何とか体勢を立て直し、彼女の方に向き直った。

 

「な、何!?どうしたの!?」

 

流石のシャルロットもこれには驚いた。

 

予想もしていなかったタイミングでの叫びだ、驚かないわけがなかった。

 

「いえ、セシリアが貴女の名前をとっても懐かしそうに話してくれたんです、だから、アタシは貴女の名前を知ってるんです、でも、もういない人だって聞いてて・・・。」

 

「えっ・・・?」

 

何の気なしに言ったのだろうが、当のシャルロットには思いもしなかった言葉だったようだ、今までの驚愕など比にならぬほどに目を見開き、彼女に詰め寄り、肩を掴んだ。

 

「今、セシリアって言った・・・!?本当にセシリアって言ったの・・・!?」

 

「えっ・・・!?は、はい!」

 

彼女の何処か鬼気迫る表情に気圧されたのか、風花は後退りしそうになりながらも答えた。

 

先ほどまで温厚だったシャルロットが、詰問に近い形で尋ねてくる事に、ある種の恐怖を覚えたのだろうか・・・。

 

「セシリアは今何処にいるの!?お願い、教えて!!」

 

周りのメンバーも普段は全く焦る事のないシャルロットの焦燥に駆られた表情に、只事ではないと察した様で、止めようにも如何すべきか悩んでいる様だった。

 

「お、落ち着いてください!アタシと一緒にここに来てます!」

 

自身の身体を揺さぶる様に尋ねてくる彼女に、風花は困惑しながらも格納庫の方を指さし、答えた。

 

「分かった!ありがとっ!!」

 

それを聞いたシャルロットは彼女に礼を言うと、一目散に駆け出し、格納庫に入って行く。

 

あまりの衝撃に呼吸は不規則になり、心臓の鼓動もより強く脈打つ。

 

「(セシリア・・・!セシリア・・・ッ!)」

 

別たれてしまったと思った友が、何時の日も、忘れる事など無かった友がそこにいるかもしれない、それだけで彼女の心は踊った。

 

もう二度と会えぬ事を覚悟し、生きていこうと思った。

 

希望を抱いて裏切られる事を恐れ、探す事さえ出来なかった。

 

殆ど諦めて、叶うはずが無いと思っていた夢が、まさに今、現実になろうとしていた。

 

格納庫に出た彼女は、内部を見渡して目的の人物を探し始める。

 

バスターのすぐ傍には、先程着艦したであろうデュエルが佇んでおり、その近くにいると当たりを付けた。

 

その方向へと足を進めると、何やら話し声が聞こえてくる。

 

「取り敢えず、風花さん達を追い掛けましょう?話はそれからでも遅くはないでしょう?」

 

「はい・・・、わかりました。」

 

一つはプレアの声であるが、もう一人の声は涼やかな女性の声だった。

 

「(この声は・・・っ!)」

 

間違いない、その女性の声を聴いたシャルロットは確信めいた感情を抱いた。

 

何度も自分の傍らで聞き、耳に馴染んだ優しい声・・・。

 

それは、彼女の唯一無二の親友の声だった。

 

「セシ・・・リア・・・?」

 

震える声で、彼女の方に向けて歩いてくる金髪の女性に向けて、シャルロットは言葉を発した。

 

その言葉には、そうであってほしいと言う想いと、やや確信めいた何かが籠められていた。

 

「っ・・・!そ、その声は・・・、まさか、シャル、さん・・・!?」

 

彼女の声に弾かれる様に顔を上げた女性の表情は、驚愕に彩られていたが、その美しく整った顔が、普段どんな表情をしていたのか、シャルロットは容易に想像する事が出来た。

 

「えっ!?何!?何ですか!?」

 

日は浅いが、仲間として行動していたシャルロットと、今会ったばかりのセシリアが互いに驚いた様な表情を浮かべ、今にも泣き出しそうになっているのが理解出来なかったプレアは、彼女達の間で視線を右往左往させていた。

 

「セシリアだ・・・、やっぱり、やっぱりセシリアだ・・・!」

 

愛しき友の名を呟きながらも、彼女は自分の目頭が熱くなってゆくのを自覚していた。

 

いや、彼女は泣いているのだ、二度と会う事の出来ぬと諦めていた友が、昔と変わらず自分の前に立っている事に、彼女は喜びの涙を流していたのだ。

 

それを認めたのだろう、セシリアも顔をくしゃくしゃに歪め、泣きながらシャルロットの方へと向かってくる。

 

「あぁ・・・、シャルさんっ・・・!!」

 

「セシリアぁぁ・・・!!」

 

距離が縮まり、二人は互いの温もりを感じる様に抱擁を交わす。

 

「シャルさん・・・!また、会えましたわね・・・!」

 

「会いたかった・・・、会いたかったよぉ・・・!」

 

セシリアも、そしてシャルロットも、愛しき友との再会に涙し、嗚咽を堪えきれずにいた。

 

死を以て愛しき者達と引き裂かれ、この世界に流れ着いた時から、ずっと独りだと思っていた・・・。

 

「よくぞ・・・、よくぞ御無事でっ・・・!」

 

「うん・・・、うん・・・っ!」

 

しかし、それももう終わりだ、最愛の友は、今、確かに自分達の傍にいる、彼女達はそれを確かめる様に抱き合った。

 

「え?えぇ・・・?なんですか・・・!?」

 

そんな彼女達を見るプレアは、どうすれば良いのか分からず、狼狽えるだけで彼女達に話しかける事が出来ない。

 

しかし、幸か不幸か、そんな彼の状況を打破してくれる人物は既に格納庫から去ってしまい、戻ってくる気配も無いために助けを求める事も出来ない。

 

「(え?どういう事?シャルロットさんがセシリアさんを見た途端泣き出して・・・?セシリアさんもシャルロットさんを見て泣き出した・・・?どういう事なの・・・?)」

 

状況への理解が追いつかないのだろうか、彼は眼を丸くし、呆然と立ち尽くす以外無かった。

 

「えっと・・・?セシリア・・・?シャルロット・・・?」

 

そんな彼に救いの手が差し伸べられた。

 

シャルロットの様子がおかしいと思って格納庫へと引き返して来た風花が、きつく抱き合っている二人に恐る恐る話しかけていた。

 

それに反応したプレアは、心の中で大きくガッツポーズをし、この途轍もなく気まずい雰囲気を破壊してくれた彼女に感謝していた。

 

「「あっ・・・!」」

 

風花やプレアの存在に気付いたのだろう、セシリアとシャルロットは自分達の世界から立ち戻り、どちらからともなく慌てて抱擁を解いた。

 

「あ、あはは・・・、み、見てた・・・?」

 

シャルロットは二人の視線に対し、照れ臭そうにしながらも、何処か誤魔化す様に笑っていた。

 

セシリアも彼女と同じく、顔を赤くしていたが、そこには羞恥の色よりも、喜色の方が色濃く出ていた。

 

「やっぱり、その人がシャルロットなんだね、セシリア?」

 

「えぇ、この方が私の最初の親友、シャルさんですわ。」

 

風花の問いに、セシリアは胸を張って答えた。

 

そこには後ろめたさも迷いもなく、ただ真っ直ぐな想いだけが籠められていた。

 

「やっぱりそうなんだ!良かったねセシリア!」

 

彼女の晴れやかな表情を見た風花は、まるで自分の事の様に喜んでいた。

 

それもそのはず、愛しき者と離れ離れになる辛さを、彼女とて知らぬわけではないのだから・・・。

 

「後程ご紹介致しますわ、シャルさんにも、風花さん達にもね♪」

 

「そうだね、それよりも、まずはロウ達を追掛けようよ、風花ちゃんからドレッドノートの事を聞かなくちゃだしね?」

 

風花とプレアに笑いかけたセシリアに、シャルロットも朗らかに笑いながらも艦橋の方へと足を向けていた。

 

自分達の再会を喜ぶ事は後でもできる、ならば、今すべきなのは奪われたドレドノートの処遇と、サーペント・テールの意向なのだと、余裕を持って考える事が出来たのだろう。

 

彼女の言葉に同意する様に、プレアと風花も頷き、彼女達は連れ立って歩き始めた。

 

今、真に自分達がやるべき事を為すために・・・。

 

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「・・・と、いうわけで、任務については今は何もお話しできません!」

 

リ・ホーム艦橋内に、風花の言葉が響いた。

 

格納庫での一連の邂逅の後、艦橋へとやってきた彼女達は、ドレッドノートの頭部はサーペント・テールが預かり、何者にも渡す積りが無い事と、今現在ではプレアに返却する事はできないと告げた。

 

「なんだよー、それなら何の為に来たんだよ。」

 

「そうよねぇ~・・・。」

 

『話にならん!!』

 

それを聞いたロウ、樹里、そして『8』は落胆、そして批判的な反応を見せた。

 

彼等の反応は当然のモノであるといえるだろう。

何せ、何らかの理由を示してくれるのかと期待していたのだ、それが裏切られた事に対する落胆も含まれているのであろう。

 

「そうです!!あれは大切なものなんです!!返してください!!」

 

「落ち着いてください、プレア・・・。」

 

「熱くなっても仕方ないから、ね?」

 

マルキオからドレッドノートを任されていたプレアは風花に詰め寄りながらも叫び、リーアムとシャルロットは彼を落ち着かせようと声をかけていた。

 

ジョージとプロフェッサーはというと、彼等の様子を見ながらも納得のいく答えを得られなかった事に、顔を顰めていた。

 

「ごめんなさい・・・、アタシだって本当は・・・、でも、時が来れば、きっと・・・。」

 

「時・・・?」

 

彼等の反応を受け、自分も納得していないと申し訳なさそうに語る風花の言葉を、正確には呟きをロウは聞き逃さなかった。

 

時とはどういう事なのか、その意味が曖昧過ぎるために、彼はその真の意味を把握する事が出来なかったが、恐らくは時期の事を言っているのだという事だけは分かった。

 

「なぁ、それってどういう・・・。」

 

その真意を尋ねるべく、彼は彼女に話しかけるが、今まで静観に徹していたセシリアが彼を制し、口を開いた。

 

彼女も、恐らくは風花の呟きを聞き、それについての自身の考えを告げようとしているのだろう。

 

「そこから先は、私がお話させて頂きますわ、その時というモノについて・・・。」

 

静かに、だが、得体の知れない圧力を籠めた言葉に、シャルロット以外のメンバーは何事かと息を呑む。

 

先ほどまでの雰囲気は何処かに消え去り、今の彼女が纏っているものは仕事人としての殺気にも似た、鋭いモノだった。

 

「この度のNジャマーキャンセラーの強奪、それには深い訳がありますの、劾さん御本人の考え、そして彼に依頼したクライアントの意向とは少し異なる点があるかも知れませんが、私なりの解釈でその理由をお話しさせて下さいませんか?」

 

「は、はい・・・、お願いします。」

 

最後の一言が自分に向けられていた事に気付いたのだろう、プレアは慌てて頷き、話の続きを聞く体勢を整えた。

 

「Nジャマーキャンセラーの持つ意味、それの善の部分は皆様も知る所でしょう、地球上に埋め込まれたNジャマーの効果を無効化し、核の力を再び利用できる様になる・・・、マルキオ導師があれを手に入れようとなされたのも、恐らくはそれが理由・・・。」

 

彼女の言葉に、その点に気付いていた一同は、その通りだという様に頷いた。

 

そう、それについての想像は極めて容易い、しかし、だからこそと言うべきだろうか、あの力には悪魔の一面も存在したのだ。

 

「ですが、核の力が使えるという事は、同時にこの戦争を引き起こしたモノも、使用出来るという事にもなりかねません、しかもそれを送る先はザフトにとっての敵、地球連合が支配する地球です、導師から奪い取ろうとする者も、必ず現れる事でしょう。」

 

「なるほど、だからサーペント・テールがあれを盗んで、戦争を手っ取り早く終わらせようとする敵から護る、そういう事かしら?」

 

セシリアの説明に合点が行ったのだろう、プロフェッサーは納得の表情を浮かべながらも尋ね、それを肯定するかの様に、彼女は静かに頷いた。

 

「で、でも・・・!地球の人達だってそんな事をするのかな・・・?」

 

「一度だけでも、もう核は撃たれたんだよね?だったらもう、誰も躊躇わないだろうね・・・。」

 

樹里の必死の問いに、シャルロットは何処か諦めた様な表情で答えた。

 

彼女の言う通り、核はミサイルという形で既にプラントに撃ち込まれている、それがこの戦争の開戦の直接的な原因と言っても過言では無いだろう。

 

「ですから、今はその様な惨劇を回避する為にも、マルキオ導師にも、プレアさん、貴方にもお返しする事は出来ません・・・、どうか、分かって下さいませ・・・。」

 

これだけの理由を並べられてしまえば、返せとも言い辛いのだろうか、プレアは押し黙ってしまった。

 

だが、それだけに彼の表情にはある種の悲壮感が浮かび上がり、ある意味での絶望すら窺う事ができた。

 

「・・・。」

 

そんな彼を、シャルロットは痛ましげな表情で見ていた。

 

その様子は、年の離れた弟を気遣う姉の様だったが、今の彼女には彼に声を掛ける事が出来なかった。

 

「ですが、時が来れば、必ずお返し致しますわ、約束致します。」

 

セシリアはそんな彼に対し、深々と頭を下げながらも約束の言葉を口にした。

 

だが、それでも彼の表情が晴れる事はなく、それを見ていたロウや樹里も、声を掛ける事すら出来なかった・・・。

 

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L1宙域に、ユーラシア連邦所属艦、オルテュギアの姿があった。

 

その見てくれはゆったりとした速度で進んでいる様にも見えるが、内部は戦争の様に慌ただしかった。

 

「ライトバインダー修復完了!エネルギー充填開始します!!」

 

「ビームサブマシンガン、弾倉充填、装着完了!!」

 

何人もの整備士達が、灰色の機体、ハイぺリオンに群がり、先程の戦闘で受けた損傷の修復、エネルギーの充電作業に精を出していた。

 

それをわき目に、コックピットから飛び出した黒髪の青年、カナードは壁際に設置されたコンソールの脇に待機していた副官であるメリオル・ピスティスの傍まで駆け寄った。

 

「メリオル・ピスティス!緊急通信とはなんだ!?」

 

「はい、こちらがそのビデオメールです。」

 

自身に怒鳴りつける様に尋ねるカナードの剣幕に怯む事無く、メリオルはモニターに映像を映し出す。

 

そこにはユーラシア連邦の軍服に身を包んだ男性、ジェラード・ガルシアの姿が映し出されていた。

 

『パルス特務兵!!』

 

「チッ!!」

 

彼の姿を見るや否や、カナードは露骨に表情を歪め、周囲に聞こえる程大きな舌打ちをしていた。

 

彼がそれほどガルシアの事を毛嫌いしている事が窺える一幕でもあると言う事は、本人やその周囲も既に周知の沙汰だった。

 

『キラ・ヤマトはまだ見つけられない様だが、まぁそれはさておき、我が情報部がザフトの不審な動きをキャッチした!』

 

「その情報部のデータが悪いからいつまで経ってもキラを捕捉できないのだろうに!!」

 

「カナード・・・。」

 

嫌味と自慢を織り交ぜながら語るガルシアの映像に、カナードは悪態を吐くが、メリオルはそれは言ってやるなと言わんばかりのトーンで彼を制止していた。

 

『そこで暗号通信の一部を解読した所、ザフトの新技術として面白いワードが確認できた、[核エンジン搭載MSを取り戻せ〕と。』

 

「なんだと!?」

 

だが、続けざまに発せられたガルシアの言葉に、流石の彼もその表情を驚愕に染めた。

 

核エンジンはNジャマーの影響で使用が出来ない、それにも拘わらず核エンジンを搭載しているMSがあるという事は・・・。

 

『無論、それが存在するという事はNジャマーを無力化する装置が開発されたという事だ、我々ユーラシア特務隊Ⅹは、そのMSを奪取し、戦力に加えるのだ!そうすれば・・・。』

 

画面の中のガルシアはまだ話を続けようとしていたが、要件はもう分かったとばかりに、カナードは紺オールを操作し、映像を切った。

 

「カナード?」

 

「クックックッ・・・、そうすれば俺のハイぺリオンは無制限にアルミューレ・リュミエールを使える様になる・・・、いいだろう、キラ捜しは後回しだ、先にそのザフトのMSを奪ってやる!」

 

邪悪な笑みを浮かべながらも、カナードは核のパワーを余す事無く使い、絶対的な防御力を持った己の機体で、本物や先程の蒼い二機を葬る場面を想像していた。

 

ガルシアの命令に従うのは些か癪だが、己の愛機の強化に繋がるのならばそれでも構わないと言う様にメリオルに告げた。

 

「メリオル!そいつの位置は分かるか!?」

 

「はい、暗号から座標を割り出し、そこに向かいます。」

 

「良いだろう、ハイぺリオンの修理が終わり次第発進する!」

 

彼女の言葉に頷き、彼は格納庫から居住ブロックに足を向け、その場から去って行った。

 

その後ろ姿を見送りながらも、メリオルは何処か妙な胸騒ぎを覚えていた。

 

「(どうしてそこまでして戦うの・・・?貴方は、何が望みなの、カナード・・・。)」

 

女としての勘か、それとも部下として思う所があるのか・・・、彼女は彼の心に秘められた何かに一抹の不安を覚えていた。

 

そして、彼が本当に望む事とは、果たして本物の抹殺なのか、それすらも今の彼女には怪しく思えてならなかった・・・。

 

「(・・・、いいえ、そんな事、ある訳ないわね・・・。)」

 

自分の内に浮かんだ考えを否定する様に首を振り、彼女は部下に指示を出すべく艦橋へと足を向けた。

 

自分の上官であるカナードの望みを実現させてやるために・・・。

 

sideout

 

 




次回予告

久方振りに訪れた、友との時間を慈しむ様に、二人は過去に想いを馳せた。

次回機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY

過去と今と

お楽しみに~
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