機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY   作:ichika

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遭遇

noside

 

漆黒が支配する広大な宇宙に、一隻のザフト軍戦艦、ナスカ級が存在を気取られぬ様にゆっくりと航行していた。

 

その様子はまるで、何者かにひっそりと近づいている様であった。

 

そして、予定のポイントに辿り着いたのだろうか、艦は更に速度を落とし、船体中央のカタパルトを開いてゆく。

 

暫くして、数機のジンが発進し、全機が同じ方向へと突き進んでいく。

 

よく訓練されているのか、或いは指揮する者の腕良いのか、一糸乱れぬフォーメーションで標的へと進行するその様は、まるで時間との闘いであるオペの様にも見える。

 

指揮官機と思しきジンのカスタム機を先頭に、MS部隊はその先に在るザフトの秘匿技術を取り戻すべく、漆黒を切り裂いて進んでいく。

 

そう、彼等はザフトから密かに持ち出された秘匿技術、Nジャマ―キャンセラーの強奪のため、それを持っている船、リ・ホームを攻め落そうとしていたのだ。

 

狙われているとも知らぬ標的は、襲撃されると警戒すらしていないだろう。

 

故に、自分達に徐々に迫ってきている彼等の存在にまだ気付いていないだろう、その油断に付け入る隙があるというもの。

 

研ぎ澄まされた牙が、静かに、そしてしたたかに進行しつつあった・・・。

 

sideout

 

sideセシリア

 

艦橋に戻ろうと通路を進んでいると、突如としてけたたましいアラートが鳴り響きました。

 

「何事ですの!?」

 

一旦驚きはしましたが、よくよく考えてみれば分かる事でした。

 

これは間違いなく、敵が接近して来ているに違いありませんわね・・・!

 

「ジョージ!どうしたんだ!?」

 

ロウさんがこの船の艦長、ジョージ・グレンさんに何があったのかを確認しつつも、何処か焦りの表情を浮かべておられました。

 

すぐさまジョージさんが現れ、状況を説明してくださいます。

 

『ナスカ級とMSが数機接近して来ている!狙いは恐らくドレッドノートだ!』

 

やはり・・・!!

 

厄介な物には厄介事が舞い込むとリードさんは仰っていましたが、本当にそうなっておりますわね・・・!

 

「やっぱり・・・!どうするセシリア!?」

 

シャルさんが何処か覚悟を決めた様な表情でこちらに向き直り、私に何かを聞こうとしている様でした。

 

と言いましても、やるべき事はただ一つです、彼女もそれは承知の上で尋ねてきたのでしょう。

 

「この船に乗っている方々の内、戦力を持っていますのはロウさんとシャルさん、そして私ですが、シャルさんは戦闘のMSでの戦闘経験は御座いますか!?」

 

「ロウとの模擬戦しかないけど、僕の機体は遠距離砲撃用なんだ、援護ぐらいなら出来るよ!!」

 

それでこそですわ、近接戦は私が、遠距離戦はシャルさんが受け持つ、前の世界での戦い方と何一つ変わらないではありませんか。

 

それがこの世界でも戦える様になるだけです、なんだか懐かしいですわね・・・。

 

「ロウさん!風花さんをお守りする事が私に課せられた任務ですわ、これから出撃致しますわ!!」

 

「セシリア!?無茶だ!デュエルはまだ直したばっかりなんだぞ!?動作確認もしないで戦闘なんて無謀だ!!俺が出て食い止める!」

 

私の言葉に、ロウさんは驚いた顔を見せ、私を止めようとしていました。

 

それもそうでしょう、彼は私達が別世界の人間だったと知っています、そんな人間が今だ触れて間もない兵器で戦場に出るなんて無謀だと言いたいのでしょう。

 

「いいえ、私達はもうこの件に関わりすぎています、今更逃れる事なんて出来ませんわ。」

 

「それに、僕達はもう仲間なんでしょ?なら助け合わないとだよね?」

 

私の言葉に追従して、シャルさんも彼に言葉を投げかけておりました。

 

相変わらず、私達は誰かに護られるばかりを良しとは出来ませんわね。

 

「僕達が先行して数を減らす!この中で火力があるのはバスターだけだよ!」

 

以前は破壊にのみ使ったこの力、今は仲間を、友をお守りする為に使わせていただきましょう!!

 

「樹里、風花ちゃんとプレアをよろしくね!僕達が何とかしてみる!」

 

「風花さん、樹里さんとプレアさんを頼みます!」

 

「待て!セシリア、シャルロット!!」

 

ロウさんが引き止めるより早く、私達は格納庫に向けて動き出していました。

 

そんなに離れていなかったため、直ぐに格納庫に到達し、私達はそれぞれの愛機に乗り込み、機体を立ち上げていきます。

 

この出撃準備の感覚・・・、何時ぞやの戦争の時と似ておりますわね・・・。

 

恐らくは、シャルさんが共に居て下さる事が大きな支えとなって下さっているのでしょう、私の心は、以前には無かった余裕というものが出来つつありました。

 

『セシリア、またこうやって戦えるね、僕達のコンビネーション、見せ付けてあげようよ!』

 

シャルさんも同じ事を考えていらしたのでしょう、通信機から自信に満ち満ちたお声が聞こえてきます。

 

恐らくは、彼女も私と同じ想いを抱いておられるのでしょう、声のトーンから何となく分かります、これも長い付き合いの賜物と言えるのでしょうか?

 

「えぇ、望むところですわ、一夏様がおられずとも、私達の戦いを今一度お見せ致しましょう。』

 

私には共に戦って下さる友が、そしてお守りしたいと心から思わせて下さる仲間がいて下さいます、それならば、この力、存分に振るわせていただきましょう・・・!

 

カタパルトまで機体を移動させ、発進の準備を完了させます。

 

さぁ、参りましょう、私達の本当の戦いは、これからですわ!

 

「セシリア・オルコット、デュエル、参ります!!」

 

sideout

 

sideシャルロット

 

セシリアのデュエルが発進した事を確認して、僕はバスターをカタパルトまで進める。

 

それにしても、ちょっと前まではセシリアが生きてるなんて思いもしなかった、そしてこんな風に一緒に出撃するなんて事は、まるで夢を見ている様な気分だよ。

 

でも、浮かれてなんていられない、目の前には敵が、僕達を殺してでもドレッドノートを奪おうとする集団が迫ってきているんだ。

 

だから、ここで僕達が討たれて、折角出来た新しい友達と、やっと再会できた親友と死に別れる訳にはいかない。

 

漸く新しい生き方が出来るんだ、だからこの力を、破壊の為だけに使ってきた力を、今こそ友を護る為に使う・・・!

 

さぁ、行くよバスター、これからは一緒に違う活き方を探そうよ、それが僕達の活きる意味なんだ!!

 

『進路クリアー、気を付けて行けよ、シャルロット。』

 

オペレーター代わりのジョージの通信が届き、ハッチが開いてゆく。

 

煌めく宇宙の星々の狭間に、人為的なスラスター光が瞬いているのが見える。

 

案外早く来たね・・・、こっちはまだ発進してないっていうのに・・・。

 

ぼやぼやしてる暇は無い、セシリアだけに任せる訳にはいかないしね!!

 

「了解だよジョージ!シャルロット・デュノア、バスター、行きます!!」

 

カタパルトから射出されたバスターは虚空に飛び出し、先行してたセシリアのデュエルを追いかける様に進んでゆく。

 

『シャルさん、バスターでロングレンジ射撃をお願いしますわ、斬り込みはこの私にお任せくださいませ。』

 

「了解だよ、油断しないで行こう、僕達はルーキーも良いところなんだし、ここで死んだら一夏にも会えないしね。」

 

『ふふっ、了解ですわ、生きて皆さんの下に戻りましょう、今度こそ、棄ててしまったものを取り戻すためにも!』

 

そう、僕達は生き残って、今いる友達と歩んでいく事と、今はいないけど、何処かに必ずいる人を見つける為に戦うんだ。

 

こんなところで死ぬわけになんていかない、だから、今は生きるために戦う!

 

「行くよ、バスター!!」

 

ガンランチャーとビームライフルを連結した長高インパルス砲を構え、先頭の一機に狙いを定め、僕はトリガーを引いた。

 

sideout

 

noside

 

火蓋が落された戦闘を、風花はリ・ホームの艦橋から険しい表情のまま見つめていた。

 

シャルロットの駆るバスターのロングレンジ射撃を紙一重で回避したザフト軍は、近距離戦闘に持ち込もうと間合いを詰めてくる。

 

しかし、簡単に打たれるほど彼女達も甘くない、バスターに接近するジンのカスタム機を、デュエルが頭部バルカンで牽制しながらもレッドフレームから借り受けたビームライフルで射撃、他のジンの接近を許さない。

 

更に、ジンが回避した先に向け、シャルロットがガンランチャーやミサイルを撃ちかけ、攻撃に転じさせないといったコンビネーションが出来上がっていた。

 

それもそうだ、セシリアとシャルロットは嘗ての世界で共に戦い続けた間柄、相手がどういう風に動けば自分がやるべき事も自ずと分かっているのだ。

 

故に、その連携の精度は非常に高く、ザフト正規軍の連携に勝っていた。

 

しかし、敵もそう易々とは墜ちてはくれない、散開し、ナスカ級からの艦砲援護を受けつつ挟撃を仕掛ける。

 

デュエルとバスターは互いの背を護る様に動きながらも攻撃を回避してゆくが、反撃の暇が無いのだろう、目に見えて攻撃が少なくなってきていた。

 

「セシリア・・・!シャルロット・・・!」

 

風花の隣に立つ樹里は、何処か不安げな声を漏らしながらも戦闘を見ていた。

 

そんな彼女達の目の前で、ジンのマシンガンがデュエルの装甲を掠め、バスターのミサイルを次々に撃ち落してゆく。

 

このままでは、いかにPS装甲で身を固めているデュエルとバスターとは言えど、エネルギーが枯渇してしまえばそこで終わり、嬲り殺しにされるのがオチだ。

 

『シャルロット!セシリア!待たせちまったな!!』

 

『ロウ!遅いよっ!』

 

『気を付けてくださいな!向こうは私達を殲滅するつもりですわ!!』

 

数の面で劣勢に立たされた彼女達を援護する様に、遅れてきたレッドフレームが戦線に参加、手近なジンにガーベラストレートを抜刀し、斬りかかった。

 

そのジンは銃剣を巧みに振るい、レッドフレームと切り結ぶ。

 

相当の手練れが乗っているのだろう、近接格闘が本分であるレッドフレームが押し切れずにいた。

 

『クッソ!躊躇いなしかよ!ちったぁ組合のマークを気にしやがれってんだ!!』

 

ザフトの攻勢に、ロウは悪態をつきながらもジンから間合いを取り、飛来してくる弾丸をガーベラで受ける。

 

その様子に、風花は唇を噛んだ。

 

自分達がドレッドノートの頭部を奪ってしまったせいで、リ・ホームがザフトの攻勢にさらされてしまっていると、彼女は思ってしまっていた。

 

自分達が奪わなければ、こんな所で寄り道を、遠回りを喰らう事が無く、リ・ホームは目的を果たせていたはずだと・・・。

 

『警告する!直ちに投降し、そちら所持しているわが軍のMSを引き渡せ!!さもなくば命の保証は出来ない!!』

 

自責の念に責め立てられる彼女の耳に、ザフトの司令官であると思しき男性の警告が届く。

 

その警告に、風花は不審を抱いた。

 

それもその筈、最初から命の保証をするのならば、攻撃などしてこない筈だ。

 

ならばこの警告は・・・。

 

「も、MSって・・・?」

 

状況を今だ飲み込めていない樹里が、訳を知っていると思ったのだろう、プレアに説明を求める様に尋ねた。

 

その判断は正しい、ドレッドノートを持ち出したのはプレアであり、その裏に隠された事情を一番理解しているのだから。

 

「ドレッドノートの事です、あれは正規のルートでザフトから持ち出した訳ではないので・・・。」

 

「えぇ~!?それじゃあ、向こうの言い分が正しいじゃない!?渡した方が良いじゃない!!」

 

「・・・。」

 

彼女の言葉に何も言い返せないのか、プレアは押し黙り、どうするべきか悩む様な表情を見せた。

 

彼女の指摘は尤もだった、正規ルートで持ち出した訳で無いのならば、悪党は自分達の方であり、言い逃れできない状況だ、命だけでも助けてくれるのならば、一もにも無く引き渡す事が筋であると言えるであろう。

 

だが、果たしてそれが正しい選択だと言えるのだろうか・・・?

 

「いえ!その必要はありません!!」

 

その選択肢の裏に気付いた風花は、きっぱりとNOと答えた。

 

「か、風花ちゃん!?どうして!?」

 

何故彼女がそれを拒否するのか、その理由が分からない樹里は彼女を凝視し、理由を問う様に叫んだ。

 

彼女の言葉を受けた風花は、彼女以外の全員が気付いているであろう事を説明する様に話し出した。

 

「アタシ達の命を助ける気なら、最初に攻撃を仕掛けてから交渉をしようなんてしません。」

 

『その通りだな。』

 

彼女の説明に同意する様に、ジョージは自分もそう思っていたと言う様に相槌を打った。

 

彼等の言葉通り、ザフトが彼等の命を助け様とするなら、交渉から入るなり、警告を発するなりしたであろう。

 

だが、目の前のザフト軍は問答無用と言う様にMSを展開、彼等を墜とそうとしていたのだ、そこからの交渉と言うのも甚だおかしな事だ。

 

「恐らくは、こちらが予想以上の戦力を持っていた事と、セシリアとシャルロットが思った以上に手ごわかった為に交渉に転じただけです、たとえ交渉に応じても攻撃を受けない保証はありません。」

 

「秘密を知った者は全員殺す、って感じよね。」

 

「そんなぁ~!?」

 

風花の解説に頷きながらも、やれやれと言った風に話すプロフェッサーの言葉に、樹里は涙声で叫んでいた。

 

何とかして命拾いしようと考えていたのだが、その方法があっさりと否定されてしまったのだ、彼女でなくても嘆きたくなるだろう。

 

そんな彼女を尻目に、プレアは何かを決心したかの様に顔を上げ、宣言する。

 

「僕がドレッドノートで出ます!!」

 

「!?しかし、あの機体は完全では・・・!」

 

彼の言葉に相当驚いたのだろう、コンソールを操作していたリーアムが振り返り、彼を制止する様に言葉を発した。

 

彼の言葉通り、現在のドレッドノートは動力源である核エンジンを起動させる為に必要なNジャマ―キャンセラーが搭載された頭部を奪われてしまっている。

 

そのため、サブバッテリーでの稼働に限定されてしまう上、急場しのぎの為に、ロウがグレイブ・ヤードで回収したゲイツの頭部をそのままくっ付けているだけだ、PS装甲の展開はおろか、通常攻撃すらそう何度も行なえないのが実情だ。

 

それを理解して尚、プレアは出撃を宣言したのだ。

 

「この船でまともな武装が残っているのはドレッドノートだけです、いくらシャルロットさんやセシリアさんが強いとは言っても、何時まで持つかわかりません、それに、これ以上この船の皆さんに御迷惑を掛ける訳には・・・!」

 

「分かりました、私もジンで出ます、これで数の不利も少しは軽減されるでしょう。」

 

彼の出撃の意志が固いと見たリーアムは、その意見を尊重する為なのか、自分も出撃すると言い、席を立った。

 

確かに、リーアムはコーディネィターであり、軍人や傭兵ほどでは無いにしろ、MSの操縦もでき、一応の戦闘経験も持っているため、護衛や迎撃ぐらいならばこなせるだろう。

 

「そんな・・・!そもそもこの状況は僕が招いたものです!ですから・・・!」

 

彼の申し出に、プレアは申し訳ないという様に声を上げ、彼を思い留まらせようと言葉を続けようとした。

 

この戦闘は自分が招いたもの、だから他人は巻き込めないし、落とし前を着けるのは自分独りでやるべきだと思っているのだろう。

 

だが、それは受け取る人間の感性では、仲間を信用していないと受け取られても仕方ない。

 

「いいですかプレア、貴方はもう私達の仲間です、それにシャルロットにも言われたでしょう?仲間なら頼り合ったり、助け合ったりするものです、遠慮しすぎてはいけません、好意は素直に受け取ってください。」

 

「リーアムさん・・・、すみません、ありがとうございます・・・!」

 

仲間なら助け合えばいい、迷惑を掛けても補い合えばいい、その言葉が嬉しかったのだろう、プレアは表情を輝かせ、大きく頷いていた。

 

まだまだ、遠慮をしている様にも見えるが、シャルロットやロウのお陰か、最初の時の様に誰かに頼らず、自分独りだけでやろうという姿勢ではなく、少しは誰かに頼るという事に抵抗が無くなってきたのだろう。

 

「それでは行きましょう、時間もあまり有りません。」

 

「はいっ!」

 

「二人とも気を付けるのよ、只者じゃないわ。」

 

艦橋を出て行く二人の背にプロフェッサーは注意を投げかけながらも、各機にプレアとリーアムが出撃する事を伝えていた。

 

そんな中、風花は独り、何か腑に落ちないと言う様な表情を見せていた。

 

恐らくはプレアの態度、他人の行為を素直に受け取れない理由が釈然としないのだろう。

 

彼女からしてみれば、こんな状況、たった独りで出て行った所で何が出来るわけでも無い、寧ろ、既に戦っているセシリア達の足を引っ張る事にもなりかねないのだ、此処は大勢で出張った方が戦力的にも妥当である。

 

それなのに何故、彼は何でも独りで抱え込もうとするのだろうか?

それが分からないために、彼女は心の何処かで不安に思っていた。

 

「(プレア・・・、貴方は何・・・?)」

 

本人がいない所でいくら考えても、一向に答えが出る気配は無く、彼女は只々、姉同然の友人と、その仲間達が返ってくる事を待つ事しか出来なかった・・・。

 

sideout

 

noside

 

「ロウさん!シャルロットさん!セシリアさん!僕も戦います!!」

 

カタパルトから飛び出したドレッドノートに乗るプレアは、立ち止まる事なく突き進み、戦線に参加、先行して戦っていたロウ達に通信を入れた。

 

既に戦場は混戦と化しており、気を抜けば直ぐにでも撃墜されてしまいそうなぐらいの弾丸やビームが飛び交っていた。

 

『プレアか!?コイツら並の腕じゃ無いぜ!気をつけろ!!』

 

彼の接近に気付いたのだろう、一機のジンと切り結びながらも、ロウが警告を飛ばしてくる。

 

セシリアとシャルロットはそんな余裕も無いのだろう、虚空を縦横無尽に動き回り、余計な被弾を回避する様に戦闘を続けていた。

 

「僕だって戦えます!!」

 

彼に返答しつつも、プレアは一機のジンに狙いを定め、ビームライフルを撃つ。

 

当たれば一撃必殺の威力を持つビームを、そのジンは僅かに機体を逸らすことで回避し、反撃とばかりにマシンガンを撃ちかける。

 

「避けられたっ!?うわぁっ!!」

 

『プレア!!』

 

攻撃を避けられた事に動揺した彼は、撃ちかけられた弾丸をシールドを掲げる事で何とか防ぐも、大きく体勢を崩されてしまう。

 

それを察知したシャルロットが声をあげるが、彼女のバスターも敵からの攻撃を受けているため、彼の援護に回る事が出来ない。

 

セシリアとリーアムも、各々の敵を受け持っているため、手一杯だった。

 

そんな隙を突くかの様に、ドレッドノートを攻撃したジンがスピードを上げながらも迫る。

 

「あぁ・・・!」

 

これが戦争か・・・!?

 

プレアはある事情でMSに乗れるのだが、実際問題として戦闘に出るのは今回が初めてだったのだ。

 

自分を殺そうとしてくる敵と向かい合った事も無ければ、撃たれた事も無い、そんな彼が恐怖によって動けなくなるのも無理は無かった。

 

マシンガンでは余計なダメージを与えてしまうと判断したのだろうか、ジンは重斬刀を抜き放った。

 

しかし、それを見てもプレアの脚はすくんだままで、操縦捍を操作しようにも、腕も引きつって動かない。

 

このままでは討たれる・・・!

 

しかし、そんな彼を討ち取ろうと迫っていたジンの頭部が、何処からか飛来した光弾に撃ち抜かれた。

 

「はっ!な、何!?」

 

それに気づいた彼は、慌てて光弾が飛んできた方向に目を向けた。

 

そこにはビームサブマシンガンを構えた灰色の機体の姿があった。

 

『アイツは・・・!』

 

ロウはそのMSの事を知っているのだろう、ガーベラストレートを構え直し、緊張を更に強めていた。

 

『おやおや・・・、ザフトを追っていたら意外な者に出会ったな・・・、まさか生きていたとはな、ジャンク屋の赤いガンダム!』

 

どうやら、ロウと目の前の機体に乗るパイロットは、以前何処かで接触した事がある様だ、決して友好的では無いにしろ、話し振りから何となく判別できる。

 

だが、プレアはそんな事よりも気になる事があった。

 

「(なんだ・・・、この感覚は・・・?)」

 

言い表すなら暗く、冷たい感覚を、目の前にいるMSから感じていた。

 

それと同時に、自分と同じ様に尋常ならざる何かを持っている事も感じ取れた・・・。

 

「(貴方は・・・、なんだ・・・?)」

 

sideout

 




次回予告

突如現れた最悪の敵に、ロウ達はこの苦境を乗り切る策を講じる。

次回機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY

戦術

お楽しみに~。
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