機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY 作:ichika
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『プレア!アイツらが来たぞ!いけるか!?』
頭部の接合が完了したドレッドノートのコックピットに座ったプレアは、格納庫横のコントロールルームへと退避したロウの指示を聞きながらも機体を急ピッチで立ち上げていた。
「CPC設定完了、Nジャマーキャンセラー起動、各武装問題なし、核エンジン出力良好、ドレッドノート、全システムオールグリーン!!いけます!!」
機体が立ち上がった事を確認し、彼はドレッドノートのPS装甲を展開した。
「ドレッドノート、君の勇気を僕に!!」
自分一人の力では出来ぬ事でも、誰かと力を合わせれば出来る事が必ずあると知った彼は、この機体と立ち上がる事に決めたのだろう。
その言葉から強い意志が滲み出ていた。
そんな彼の眼の前には、パイロットスーツを着込んだ連合の人間が拳銃を構え、彼を睨み付けていた。
「(うっ・・・!なんだ・・・、この暗い感じ・・・!?)」
目の前の敵から発せられる黒い炎の様な意志に呑まれそうになりながらも、彼は操縦捍を握り締めた。
今は気圧されている場合ではない、自分だけが戦えるのだ、仲間の命は、プレアの腕にかかっている、こんな所で引いている場合ではないのだ。
「警告します!直ちにこの船から退去してください!従わない場合は力で排除します!!」
オープンチャンネルで目の前の男に呼びかけるが、彼は退却するどころか、ドレッドノートのツインアイを狙って拳銃を撃ち掛けてきたのだ。
「うっ・・・!?」
その強気な姿勢に今度こそ呑まれそうになったのか、プレアは思わず機体を後退させようとしてしまった。
そんな彼を叱る様に、コックピットに通信が届いた。
『プレア!!船の事なら気にするな!お前の好きにやれ!!』
「わ、分かりました!」
ロウの言葉に、意識を引き戻された彼は、一層強く操縦桿を握り締め、ターゲットカーソルを目の前の男に合わせ、トリガーを引いた。
「抵抗するなら、撃ちます!!」
ビーム兵器ではオーバーキルになると判断したのだろう、彼は頭部バルカンで威嚇射撃を行った。
敵は驚くべき身の熟しでバルカンの弾丸を回避し、遮蔽物の陰に隠れた。
それを確認したプレアは機銃の掃射を中断し、敵の出方を窺った。
敵は早急に排除したい所だが、彼とて無暗に船を傷付ける様な真似はしたくないのだろう。
そんな時だった、男が身を隠してから一分もしない内に、何やら嫌な音が聞こえてきた。
「どうしたんですか!?」
『不味いぞ、リ・ホームのエンジン制御を敵に取られた、アイツら、エンジンを暴走させるつもりだ!」
「なんですって!?」
自分の問いに答える様に聞こえてきたジョージの声に、プレアは驚愕の声をあげた。
エンジンを暴走させる、その意味を彼は知っていたのだ。
『このままでは臨界点を超えて、この船は爆発してしまうな。』
そう、このままエンジンが想定以上の出力を出し続ければ、間違いなくオーバーヒートによって爆発する事は目に見えていた。
だが、これは間違いなく脅しである事も彼は分かっていた。
何故ならば、この船には彼等以外に連合の兵も乗り込んで来ている、そんな中でこの船を自爆させれば彼等は味方を殺す事になる、そんな事はしないだろう。
だが、それを止める手立てを、今のプレアは持ち合わせていないため、どうする事も出来ない、これではこちらが追いつめられるばかりだと、彼も理解していた。
『これは私達を脅す積りですわね、あちらがそのつもりなら、こちらにも手がありますわ、プレアさん、聞こえていましたか?』
「は、はい!」
そんな時だった、唐突にセシリアの声が聞こえ、彼は思わず上ずった声で返事をしてしまった。
何か打開策でもあるのだろうか、彼女の声は強い意志に満ちていた。
『ビームライフルで右舷を撃ち抜きなさい!!そこに敵船のエンジン部がありますわ!!」
「えっ・・・!?」
思わぬ指示に、彼は驚愕のあまり絶句していた。
確かに、リ・ホームは現在、敵船と反対向きに停泊しているが、ここから撃てば、間違いなくリ・ホームにも大きな被害が出てしまう事は間違いなかった。
それを覚悟の上でやれと言っているのだ、正気の沙汰とは思えなかったのだろう。
『壊れても直せばいい!やるんだプレア!!』
『撃ちなさい、プレアさん!!』
「はっ、はいっ!!」
ロウとセシリアに押される様に機体を操作し、彼は言われるがまま、ビームライフルの銃口を右舷に向けて構えた。
『よしっ!そこだ、撃てぇっ!!』
「えぇいっ!!」
半ばやけくそながらも、彼は言われた位置に銃口を合わせ、トリガーを引いた。
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「なにっ!?」
敵のMSが、自分の船を撃った事に驚いたカナードは、思わず、隠れていた遮蔽物から身を乗り出し、状況を見極めるべく目を凝らした。
まさか、追い詰められて血迷ったのかとも考えたが、彼はその射線の先に存在するものに気付き、戦慄した。
「まさか・・・、見えないオルテュギアを撃ったのか・・・!?」
その推理は正しかった、ここは格納庫とはいえど、船首に近い辺りであり、船首を反対方向に向けていたオルテュギアからしてみれば船尾、しかもエンジン部であったのだ。
つまり、敵はそれと理解し、わざと自分達の船を撃ったのだ。
『すぐにこちらの船への干渉を解除、停止してください!さもないと貴方達の船を撃ちます!この距離なら絶対に外しません!!』
「くっ・・・!!」
目の前のMSからの警告が再度響き渡り、彼は盛大に顔を顰めた。
主導権を握ったと思いきや、まさか自分達が逆に追い込まれるとは思っても見なかったのだろう。
「くそっ・・・!!メリオル!!一旦引くぞ!!全員を船に戻せ!!」
『りょ、了解しました!!』
カナードの決断に、通信機の向こうにいるメリオルは了解しながらも、全員に向けて退却を命じていた。
カナードは今一度、目の前のMSを睨み付けた後、追撃を受ける前に格納庫から飛び出し、入ってきたハッチまで走った。
「くそっ!!このままでは済まさんぞ・・・っ!!」
この船には必ずや核を使える様になるシステムが存在している、それがどの様なMSに積まれているかはわからない。
だが、先ほど彼の前に立ちはだかった見た事もないMS、あれを調べる価値はある様に思えてならなかった。
「今に見ていろ・・・!必ず手に入れてやる!!」
暗い想いと共に、彼は母艦へと戻っていった・・・。
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形勢が悪化したためか、オルテュギアはリ・ホームへの干渉を停止し、艦内に残っていた兵の撤退が完了すると同時にエンジンを点火し、リ・ホームから遠ざかって行った。
ロウ達もその場に留まる事は危険だと判断したのだろう、リ・ホームも前進を開始、宙域から離脱し始めた。
『取り敢えずエンジンは正常、航行に問題はない、ウイルスも駆除しておいたぞ。』
「リーアムはプロフェッサーが診てくれてるよ、命に別状は無いみたい。」
ジョージは艦の状況を、シャルロットは撃たれたリーアムの容体を、格納庫に集った全員に報告する様に話していた。
彼女は先程まで、プロフェッサーと共にリーアムの治療を行っていたために、ドレッドノートの起動時に居合わせなかったが、自分が手伝える事が終わったために格納庫へとやってきていたのだ。
「よかったぁ~、もう安心ね・・・。」
彼女達の言葉から脅威が去った事に安堵したのだろう、樹里はホッと胸を撫で下ろしていた。
「いや、船のシステムはまだ完全に回復してないし、ドレッドノート以外のMSはまだチェックが終わってないから動かせやしない。」
しかし、そんな彼女の気持ちを否定するかの様に発せられたロウの言葉に、樹里は再び泣きそうな顔になってしまった。
一難去ってまた一難というべきか、彼らは敵の追撃を予想していたのだ。
「このまま離れれば必ず敵は追ってきます!」
「そうなんだが・・・、レッドフレームがあれじゃなぁ・・・。」
風花の言葉に頷きながらも、彼は自分の愛機の現状に苦い表情を浮かべていた。
現在、レッドフレームは解体されてしまい、原型を留めているのが胴体と左脚部のみという散々な状況だ、これでは戦闘も出来る筈がなかった。
それに加え、解体されていないデュエルやバスターにも、下手をすればウイルスの影響が伝染してしまっているかもしれない、そんな状況で戦闘になれば、相手に操られてしまう恐れがあるため、確認作業を終えるまでは起動すら危ういのだ。
プロトジンは作業用に使われているために戦闘には向いていないため、最初から頭数には入っていない。
「こうなりゃ、俺かセシリア、若しくはシャルロットがドレッドノートに乗って出るしかないか・・・?」
まともに戦闘の出来るメンバーの顔を見ながらも、彼は使い慣れない機体で、これから攻めて来るであろう敵機と遣り合えるかと顔を顰めた。
自分の機体ならば使い勝手が分かるが、初搭乗でエース級以上の敵と遣り合えと言われるとなると不安にならない訳がなかった。
それはセシリアとシャルロットも同じであろう、特にドレッドノートの特性を知る二人からして見れば、使いこなせるか否かの問題が浮上してくるため、はっきり言って特性を知らないロウよりも不安は大きいだろう。
そんな時だった、ドレッドノートのコックピットから戻ってきたプレアが声を張り上げた。
「僕が・・・、出ます・・・!ロウさん達は、船とMSの修理を・・・、してください・・・!」
しかし、体調が優れないのだろう、彼は苦しげに肩で息をし、足元も覚束ないのだろうか、心なしかふらついている様に見えた。
「お前は休んでろプレア!!」
「そうだよ、そんな身体じゃ無茶だよ!!」
どう見ても大丈夫そうには見えないプレアを止めようと、ロウとシャルロットは彼に休む様に告げるが、彼は首を横に振りながらも彼等を見た。
「大丈夫、です・・・、それに、あの機体は、僕じゃないと真の力を引き出せないんです・・・。」
「真の力・・・?」
苦しそうに粗い息を吐きながらも、彼は自分でなければいけないと言い張った。
その言葉に引っ掛かる所があるのだろう、ロウは訝しげに呟いていた。
真の力とは何なのか、それが分からないのでは信頼したくとも出来ないのだろう。
「・・・、分かりましたわ、お行きなさいプレアさん。」
そんな空気を破る様に、セシリアが思いがけない言葉を発した。
「セシリア!?」
全員が彼女を注視し、特に驚いたのだろう、シャルロットからは問い質す様な声が上がった。
セシリアとて分かっているのだ、こんな状態の少年に戦闘を任せる事へ危険性を、そして何よりも、プレアを行かせたくないというロウ達の親心も・・・。
だが、それを理解して尚、彼女は彼に行けと言った理由があったのだ。
「あの機体、ドレッドノートとは嘗て戦った事がありますの、あの機体に積まれている装備が、特殊な力を持っていないと動かせないという事も存じ上げております。」
淡々と告げるセシリアの言葉に、リ・ホームのメンバーは今だ納得の行かない様な表情を見せていたが、何かを感じたのだろう、反論する事はなかった。
「ですが、今のプレアさんを一人で戦闘に出す訳にもいきません、だからこそ、風花さん、プレアさんと一緒にドレッドノートに乗ってあげてくださいませんか?」
「えっ!?アタシが!?」
突然話を振られた事に驚いたのだろう、風花は目を丸くしながらもセシリアに訳を尋ねる様な素振りを見せた。
「風花さんぐらいの大きさであれば、ドレッドノートのコックピットに入っても操縦出来るでしょう、それに、何かあった時には風花さんがドレッドノートを動かしてリ・ホームに戻ってくる事ができますわ。」
「なるほどな、だがよ、風花はMSの操縦が出来るのか?」
彼女の説明に納得したのだろう、ロウは頷きながらも風花に問い掛けていた。
確かにたとえ乗れたとしても、彼女がMSを動かせなければ何の意味もないどころか、ただの足手纏いになりかねない為に、確認を怠る事は出来ないのだ。
「あ、うん、MSなら前にブルーフレームを劾のところまで操縦していった事があります、だから、多分ドレッドノートも船に帰還させるぐらいなら動かせると思います!」
彼の問いに答える様に、風花は自分の経験を語り、MSを動かす事ぐらいなら出来ると伝えた。
途中、樹里が本当かと尋ねると、一応と答えていた事は割愛しよう。
「そんな・・・、危険です・・・、僕一人でも・・・!」
彼女を巻き込みたくないのだろう、プレアは引き留めようとしたが、やると決めていた風花は止まらなかった。
「アンタだって危険な事やろうとしてるじゃない、こんな時は皆で力を合わせないと!」
「でも・・・!」
力を合わせるべきだという彼女の言葉に納得できないのだろう、彼はまだ渋る様な表情を見せていた。
そんな彼を見た風花は、ある事を伝えようとした。
「ねぇ、なんで劾が仲間を持つか知ってる?」
「え・・・?」
彼女の質問の意味がよく分からなかったのだろう、プレアは彼女を凝視し、理由を尋ねる様な目をしていた。
やはり分かってないのかと思いながらも、風花は言葉を紡いでゆく。
「一人でもあんなに強い劾だよ、普通仲間なんていらないと思うでしょ?アタシもそう思ってた、でもね、劾を見て気づいたんだ、独りで出来る事は限られてる、でもね、仲間がいれば可能性は何処までだって広がっていくんだよ。」
最強の傭兵でも、独りきりでは成し遂げられなかったであろう任務でも、サーペント・テールという一つのチームでやって来たからこそ成し遂げられたのだと、彼女は気付いていたのだ。
劾一人の力じゃない、リードの情報、ロレッタのサポート、そしてイライジャの詰めがあってこそ、劾はミッションを成し遂げられたのだと知っていたのだ。
「だからね、一人で戦おうとしないで、貴方にはアタシ達がいるから、ね?」
「風花ちゃん・・・、皆さん・・・。」
彼女の言葉に、プレアは彼女を見つめた後、彼等の周りに立ち、その通りだと笑っているロウ達を見た。
そして気付いた、自分は一人じゃない、まだ日は浅くともこのチームの一員として過ごしてきたのだと・・・。
「ありがとう風花ちゃん・・・、お願いするよ・・・。」
「うん!任せて!!」
もう、彼の中に迷いはなかった。
独りの力の限界を、支えあう事で生まれる力に気付いたのだから・・・。
「よっしゃ!頼んだぜ、プレア、風花!!」
「気を付けてね、バスターが直ったらすぐに行くからね!」
ロウは頼もしげに、シャルロットは心配そうにしながらも彼等に声をかけ、自分達がやるべき事に向った。
「プレア、これを着て行って、サイズは大丈夫だと思うよ!」
『頼んだぞ!』
「ありがとうございます、皆さん!」
樹里に手渡されたパイロットスーツに袖を通し、彼はドレッドノートへと一足先に向った。
彼とて、自分がやるべき事が分かっているのだ、もう立ち止まる事はないだろう。
「風花さん、押しつけてしまう様ですが、プレアさんをお願いしますね?勿論、あなたも無事に帰ってきてくださいね?」
セシリアは風花に宇宙服を手渡しながらも、プレアを助けてやる様に頼んでいた。
共に行動した日は数える程しかなくとも、彼は彼女の仲間だ、心配にならない筈もない。
当然、この世界での初めての仲間である風花も無事に帰ってきて欲しいと願っているのだ。
「任せてよ、アタシがちゃんと連れて帰ってくるよ、皆の所に。」
セシリアの言葉に、彼女はにこやかに微笑みながらもパイロットスーツを着込んでゆく。
「セシリアって、すごいね。」
「何が、ですか・・・?」
風花の言葉の意味を理解できなかったのだろう、彼女は首を傾げ、問い返した。
自分なんて・・・、と思っている彼女だ、凄いと言われてもピンとこないのだろう。
「アタシね、ずっとプレアを止めようとしてたんだ、でも、セシリアはプレアに行けって言ったでしょ?普通なら出来ないよ。」
「あれは・・・。」
セシリア本人にとっては大した事ではなかったのだろう、何せ、心に従ってこそ、後悔しないと思っているのだ、彼がやりたいと言ったのなら、止めるなど愚問だ。
「だから、セシリアがやれって言った事、本当に凄いと思うの、アタシも、プレアを助けるよ、セシリアがやったみたいに!」
そう言い残し、風花はプレアを追う様にドレッドノートへと向かって行った。
「凄い・・・、ですか・・・。」
独り残されたセシリアは、何処か自嘲気味に呟いていた。
自分は何一つ、彼女に誇れる様な事を見せていない、それなのに、風花は自分を凄いと言ってくれるのだ、嬉しくもあるが、それと同時に、自分がそれに値する人間かどうかも分からなかったのだ。
「私なんて・・・、ただの弱虫ですわ・・・、本当に凄いのは、風花さん、貴女ですのよ・・・?」
自分にしか聞こえない程度の声で、彼女は羨ましそうに呟いていた。
彼女が持てていない輝きを持っている事への羨望か、それとも別の何かか・・・。
「雅人さん、どうか、プレアさんと風花さんをお守りください・・・、分かり合えなかった私達の悲劇を、あの方々にさせないためにも・・・。」
この世界にはいない、嘗てドレッドノートを駆った者に、彼女は祈った。
自分の友を、仲間をまた失わぬようにと・・・。
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「プレア・レヴェリー、ドレッドノート、行きますっ!!」
追撃してくる敵機を迎え撃つために、プレアは風花と共にドレッドノートに乗り込み、艦の後方へと機体を駆った。
敵船からもMSが発艦したのだろう、先程の戦闘でザフトを単機で壊滅させたMS、ハイぺリオンが彼等の方へと向かって来ていた。
「来た・・・!リ・ホームはやらせない・・・っ!!」
決意を籠め、宣言しながらもフットペダルを踏み込み、彼はハイぺリオン目掛けて突っ込んで行く。
向こうも彼を認識したのだろう、右腕に握られたビームサブマシンガンを撃ち掛けてくる。
「くっ・・・!流石に、やるっ・・・!!」
あちらが欲しがっているのはNジャマーキャンセラー、ひいてはドレッドノートというMSそのものだ、機体を破壊し尽くさなければパイロットなどどうでもいいのだろう。
その証拠に、ハイぺリオンはコックピット部への直撃を避けている様にも見えるが、腕部や脚部を狙って来ている、当たってしまえば、コックピットを焼かれる恐れはあるのだ。
「プレア!!」
彼が反撃しない事に焦りを覚えたのだろう、同乗する風花が攻撃しろと言わんばかりに声を上げる。
「待って・・・、今・・・!」
彼女の叫びに答えながらも、彼は眼を閉じ、真に撃つべき敵の姿を見ようとした。
縦横無尽に動き回るハイぺリオンのコックピットに座る人物ではなく、彼が纏う黒き闇が、彼の敵だった。
「行けっ!プリスティス!!敵はあの黒い炎だ!!」
彼の意志に呼応する様に、ドレッドノートの腰部に装備されていたアンカークローの様なモノが射出され、ビームを打ちかけながらもハイぺリオンを襲う。
しかし、そんなものは効かないとばかりに、ハイぺリオンは左腕のビームシールドを広げ、いとも容易く防御、プリスティスが接近してきた所に、銃口上部から発生させたビームナイフでケーブルを切断した。
それによって、ドレッドノートの戦力をダウンさせたと思ったのだろう、灰色の機体は更に速度を上げ、彼等に迫ってくる。
だが、彼等はまだ終わってなどいなかった。
「今だっ・・・!!」
プレアが意識を集中し、レバーを押し込むと、切断されたケーブルの先端のクローが外れ、ハイぺリオンの背後からビームを撃ちかけた。
それに気付いたのだろう、慌ててアルミューレ・リュミエールを展開しようと発生基を出していたが、ビームシールドが展開される前に、プレアは発生基を破壊していった。
「これって・・・?」
「ドラグーンシステム・・・、量子通信を使った、このドレッドノートの・・・、特別な力、だよ・・・。」
目の前で起きる無線端末の操作に驚いた風花に答える様に、彼は息を切らしながらも説明を続けた。
恐らくは、その力を使う事で体力を消耗しているのであろう、疲労の度合いが徐々に濃くなっているのが見て取れた。
しかし、その間にもプリスティスはハイぺリオンへの攻撃を続け、右背のバインダーやビームサブマシンガンを破壊していた。
攻撃手段を封じられたハイぺリオンはなす術がないのだろう、反撃すら出来ず、ただビームの雨に晒されていた。
「今なら・・・、終わりにするよ、ドレッドノート・・・っ!!」
それを認めた彼はトドメを刺すべく、本体が握っていたビームライフルを構え、二基のプリスティスとの三方向同時を攻撃を仕掛けた。
必殺の光条は、灰色の機体に向かって容赦なく突き進み、交錯した・・・。
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次回予告
敗北を突き付けられるカナード、だが、それは終演ではなく、更に燃え盛る要因となる・・・。
次回機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY
暴走する闇炎
お楽しみに~。