機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY 作:ichika
noside
「待ってください・・・!」
「むっ・・・?」
自室へと戻ろうとしていたロンド・ミナは、自身を呼び止める様に掛けられた声に反応し、その声の主を確かめようと振り向いた。
そこには、先程ロウ・ギュールと共にいたセシリアとシャルロットが息を切らしながらも彼女を見据えていた。
「セシリアにシャルロットか、どうしたんだ・・・、っ!?」
彼女達を見たミナは、自分の口から飛び出した言葉に驚いていた。
どうして目の前にいる二人がセシリアとシャルロットと言う名前なのだと思ったのか、それが自分でも分からなかったのだ。
主の突然の反応に、彼女の傍らにいたソキウスたちは歩みを止め、僅かに怪訝の表情を表に出していた。
「やっぱり、ミナさん、ですわよね・・・?」
「お前達、私を知っておるのか・・・?いや、何故私はお前達の事を知っているのだ・・・?」
自分の名を初対面の人間が知っていた事と、自分が彼女達の事を知っている理由が分からぬのだろう、普段は冷静な彼女も僅かに焦った様な表情を見せていた。
だが、何時までも狼狽えている彼女ではなかった、何せ、この様な事は、以前にも一度合ったのだから・・・。
「お前達、別世界の人間だな・・・?」
「はい、ミナさんも僕達の事を知ってるんですか?」
確認する様に問うた彼女の言葉に、シャルロットは頷きつつも探る様に尋ね返していた。
それは、質問と言うよりも、寧ろ確認と呼ぶべきモノであり、別段深い答えを要求している訳ではなかった。
「あぁ・・・、お前達の事は名だけ知っている・・・、だがそれだけだ、別の私がお前達とどの様な関係だったかは知らぬ・・・、済まぬな・・・。」
彼女の質問に答えながらも、ミナは少し申し訳なさそうな色を見せ、小さく謝罪の言葉を口にしていた。
「そう、ですわよね・・・、では、この方を・・・、一夏様がどこにいるか御存知ではありませんか・・・?」
そんな彼女の反応に一瞬だけ気落ちした様な表情を見せるも、セシリアは気を取り直し、懐から綺麗に畳まれた写真を取り出し、ミナに近寄りながらも見せていた。
その写真を見たミナは驚愕と同時に、やはりかと言う様な、何処か優しげな表情を見せた。
そんな主の表情が理解できなかったのだろう、ソキウス達はこっそりミナの手元を覗き見、一様に僅かに驚いた様に眉を動かしていた。
「一夏様・・・?」
「「・・・っ!?」」
ソキウスの一人、フォーソキウスが呟いた言葉に、セシリアとシャルロットは驚き、目を見開いていた。
その表情からは、まさかここに自分達が探し続けている男がいるのかと言う色が濃く滲み出ていた。
「まさか・・・!一夏様が・・・!?」
「ここに・・・、ここにいるんですか・・・!?」
彼等の反応から、彼女達が探していた男、織斑一夏がここにいるのだと確信した二人は、ミナに向けて、会わせて欲しいという様な目を向けていた。
自分達の全てを捧げてきた男が、心の底から慕い、再び逢える事を夢見続けてきた男がこの世界に、ここにいると分かったのだ、是が非でも会いたいだろう。
「あぁ、私に仕えてくれている、まさかお前達も生きていると思っていなかった、故に彼を外に出さなかったのだが・・・。」
ミナは、一夏が生きている事を教えながらも、まさか彼が愛していた女が生きているとは思ってもみなかったのだろう、その表情はある種の後悔が見て取れた。
もし、彼を発見した時にもっと深く探していたのならば、彼女達も同時に見付ける事が出来たかも知れないのだ、その分だけ、一夏が抱える苦しみを大きくせずに済んだかも知れないと・・・。
「生きてる・・・、一夏様が・・・!」
「うん・・・!生きてるんだよ・・・!やっぱり生きててくれたんだ・・・!」
その言葉に、二人は口元を押さえ、今にも泣き出しそうに瞳を潤わせていた。
最愛の男が、自分達の全てを捨ててでも共に在りたいと願った男が、すぐそこにいる、それだけで、彼女達の心は早鐘を打ち、歓喜によるた昂りを抑えられなかったのだ。
「すぐに会わせてやろう、だから、それまで泣くな、好きな男の胸で泣いてやれ、それが一夏のためにもなる。」
泣き出しそうな二人に近づき、ミナは彼女達の頭を撫でながらも優しく囁いていた。
泣くなら彼と共にいる時だ、自分には見せなくてもよいと、彼女は言っているのだ。
「「はいっ・・・!」」
「よし、ウェイドマン整備士長を呼べ、彼なら一夏の所在を知っている筈だ。」
「かしこまりました。」
瞳に涙を溜めながらも笑うセシリアとシャルロットの様子に微笑みながらも、ミナはフォーソキウスに命じ、彼に近いと思しきジャックを呼ぶ様に命じていた。
ソキウスが去り、数分もしない内に彼に連れられた金髪オールバックの整備士、ジャックが彼女達の前に現れた。
「ミナ様、御用件はなんでしょう?というより、この嬢ちゃん達は・・・?」
ミナに敬礼しつつ、ジャックは見慣れないセシリアとシャルロットの事を訝しみ、探る様に尋ねていた。
「一夏の妻達だ、奴は今どこにいる?すぐに会わせてやれ。」
「えぇっ!?マジですかぃ!?アイツからは死んだとばっかり聞いていましたが・・・!?」
彼女の言葉にかなり驚いたのだろう、ジャックはこれでもかと言わんばかりに目を見開きながらも、二人の顔を凝視していた。
彼の驚愕は尤もだろう、何せ、彼は以前に一夏より愛していた女達の存在は聞いてはいた、だが、彼の口振りから既に死んでいるとばかり思っていたのだ。
「色々訳ありなのだ、詮索してやらないでくれ。」
「わ、分かりました、そろそろ戦闘も終わる頃でしょうし、恐らくはストライクの近くにいるかと・・・。」
詮索してやるなと言う言葉に頷きつつ、彼は一夏が今おかれている状況を思い出していた。
戦場へと見送ったのはジャック本人であるし、一夏ほどの力量を持った男がよもや格下相手に討死するはずも無い。
故に、戦闘も終結している頃だと予想し、彼が戻ってくる場所を、ジャックは示したのだ。
「そうか・・・、なら、そこまで案内してやれ、一夏もそれを望む筈だしな。」
「ハッ!承知しました!嬢ちゃん達、付いて来な、こっちだ。」
主の思いを理解したのだろう、ジャックはミナに敬礼しながらもセシリアとシャルロットを先導する様に歩き出した。
「はいっ!」
「お願いします・・・!」
二人の暖かな想いに触れた彼女達はミナに、そしてジャックに頭を下げながらも彼の下へと急ぐ。
そこに、愛しき人がいるのだから・・・。
『ストライク、帰還します、整備士各員は補給作業の準備を行ってください。』
格納庫に入った三人を迎えたのは、戦闘に出ていたMSの帰還を告げるアナウンスと、それに反応して動き出す整備士達の姿、そして、MSハンガーに向けてゆっくりと歩いているストライクの姿だった。
「あれは・・・、ストライク・・・!」
「それにI.W.S.P.を着けてる・・・!間違いないよ・・・!あれは一夏の・・・!!」
その機体の姿に、セシリアとシャルロットは堪え切れずに涙を零していた。
I.W.S.P.は嘗て、彼女が愛した男が最も多用したストライカーであり、彼女達にとっても馴染み深い装備でもあったのだ。
そんな彼女達の目の前で、ストライクは機体をハンガーに固定、電源を切ったためにフェイズシフトダウンを起こし、鮮やかなトリコロールがダークグレーへと変色してゆく。
それから間もなく、コックピットハッチからパイロットスーツを着込み、ヘルメットを被った男性が姿を現し、ハッチの上でヘルメットを脱いだ。
「「・・・っ!」」
ヘルメットから零れた艶やかな黒髪、精悍な顔立ちの中にある寂しそうな影、そして切れ長の目から覗く黒曜石の様に黒い瞳・・・。
それは彼女達が間近で見続け、共に有り続けたいと願った者のそれだった・・・。
背格好はいくらか変われど、纏う雰囲気は全く変わらない・・・。
彼は・・・、彼こそは・・・。
「一夏様・・・っ!!」
「一夏っ・・・!!」
彼女達が愛し、会いたいと願い続けていた男、織斑一夏であった・・・。
aideout
side一夏
『一夏殿、敵機の殲滅完了しました、任務完了です。』
ストライクのコックピットの中で、俺は守備隊長からの通信を無味乾燥な心地で聞いていた。
ストライクでの初戦闘とは言えど、既に隅々まで知り尽くした機体だ、手足の如く扱える。
そのため、攻め込んできた敵の制圧にも、然程時間は掛からなかった。
「了解、交代要員の到着次第、順次防衛線を離れアメノミハシラに戻ってくれ、整備士達に仕事させてやれ。」
Ⅰ.W.S.P.のレールガンで敵のフォーメーションを崩し、そこへ後方に控えたM1A部隊による砲火で数を減らし、撃ち漏らしがあれば俺が対艦刀で切り裂いていくという、何の捻りも無い戦闘だった。
だが、それだけに、俺の心は棘でも突き刺されたかの様に痛む。
その痛みは多分、まだ俺は人を殺す事に本当の意味で覚悟を決めきれていないんだと思う・・・。
可笑しな話だ・・・、昔は毎日の様に人を切ってたんだ、戦争だって経験してる身だ、殺しになんて慣れてるはずだったのにな・・・。
それもそうか・・・、俺は人間を止めてたからな、人間にとって当たり前の事すら感じなくなってたんだ・・・。
だから、どれほど殺しても罪の意識に苛まれなかった、そのツケが今降り掛かってるのか・・・。
「くそっ・・・、何やってんだ俺は・・・、護りたい人がいないってだけで、このザマか・・・。」
苦しみを、罪を独りで支え切れていないんだ、俺は二人に依存しきっちまってたから・・・。
彼女達が居てくれたから強く振舞えてただけだったんだ、喪って初めて気付かされたよ・・・。
『一夏様、交代します。』
打ちひしがれる俺の耳に、M1Aに乗った守備隊員の声が届く。
何時の間にか俺以外の戦闘部隊は下がっており、俺が戻る番の様だ。
と言うより、何で皆俺の事を様付で呼びたがるのか・・・、新参者にその呼び方はぎこちないにも程があるぜ?
「了解した、後は頼んだぞ。」
『はい、お疲れ様でした。』
後を任せ、俺はアメノミハシラへと機体を借り、入港ゲートから格納庫へと侵入、何時もの様にハンガーまで機体を持って行き、メンテナンスベッドに固定、機体の電源を切った。
そう言えば、客人が来ているらしいな。
何かの交渉をしているらしいがどうなったのやら・・・。
ミナの事だ、簡単には交渉には応じないだろうが、それでもどうなったのかは気になる所、今から聞きに行ってみるとするか・・・。
コックピットハッチを開け、機体から出ながらもこの暑苦しいヘルメットを脱ぎ、汗の雫を払う様に頭を振った。
「一夏様・・・っ!!」
「一夏・・・っ!!」
乗降用のラダーを取り出そうと手を動かした、まさにその時だった・・・。
聞き覚えの、いや、耳に馴染んだ声が俺を打った。
「・・・っ!?」
あまりの衝撃にラダーを掴めずにつんのめるが、そんな事を気にせずに、俺は声のした方へと目を向けた。
そこには、ジャックの後ろに立つ薄金髪の女と、その隣に立つ濃金髪の女の姿があった。
見紛う筈がない、あの二人は、ずっと俺の傍にいてくれた女達の・・・。
「セシ・・・リア・・・?シャル・・・?」
あまりの事に、俺の口の中はカラカラに渇き、動悸も激しさを増し、眩暈までしてくる始末だ。
夢・・・?それとも疲れで見えてる幻覚か・・・?
いや、夢だろうが幻覚だろうが、幻なら俺を取り殺そうとしてくる筈だ、なのに、すぐ近くに見える彼女達は、今にも泣き出しそうな表情をしている・・・。
そこで、俺はもう一度頭を叩かれた様な衝撃を受けた。
これは夢などではない・・・、現実なのだと・・・。
「セシリア・・・!シャル・・・っ!!」
ラダーを取り出し、降下を始めるが地に足が着くまでの僅かな間も惜しかった、俺はストライクの膝辺りでラダーから飛び降り、彼女達を抱き締めるのに邪魔なヘルメットを投げ捨てながらも二人へと駆け寄る。
「一夏様ぁ・・・!!」
「一夏ぁ・・・!!」
二人も俺の方に駆け出し、どんどん距離が縮まって行き、俺達は抱き合った。
懐かしい香りと、二人の身体の温もり、そして、俺の身体に抱き着くこの感触が、幻でも、夢でも無い事を俺に教えてくれていた・・・。
「セシリア・・・!シャルも・・・!生きてて・・・、生きててくれたのか・・・っ!!」
「一夏様ぁ・・・!よくぞ・・・、よくぞ御無事で・・・!」
「会いたかった・・・、会いたかったよぉ・・・!」
生きていてくれた事は当然の事ながら嬉しい、だけど、それ以上に、こんな如何しようも無いバカ野郎を想い続けてくれた事に、俺は感極まって涙を零していた。
もう、堪えられない・・・、止め処なく涙が頬を伝って落ちて行った。
「ごめん・・・!ごめんな・・・!お前達にまでこんな・・・、こんなに辛い思いをさせてしまった・・・、こんな弱い俺を許してくれ・・・。」
俺のわがままなんかに付き合わせてしまったせいで、彼女達に苦しい思いをさせてしまった事への申し訳なさに、俺の口からは自然と謝罪の言葉が零れていた。
「いいのです・・・、良いのです一夏様・・・。」
「貴方にまた会えた・・・、それだけで僕達は幸せだよ・・・。」
そんな俺に、二人は優しく、そして涙声ながらもそんな事は無いと言ってくれていた。
彼女達の気遣いが、今の俺にはこの上なくありがたいものだった。
「ありがとな二人とも・・・、もし、こんな俺に愛想を尽かしてないなら・・・、前みたいに俺といてくれないか・・・?お前達がいてくれないと、俺はダメなんだよ・・・。」
心からの、そして何よりも大切な願いを、俺はセシリアとシャルに囁いた。
俺は二人がいてくれなきゃ何にも出来やしない、この一カ月以上の時間で身に染みて分かったんだ・・・。
だから、彼女達には傍にいて欲しい、これからもずっと・・・。
「はい・・・♪」
「喜んで付いてくよ♪」
俺のプロポーズに近い言葉に、セシリアは微笑み、シャルは半泣きながらも笑って頷いてくれていた。
それは、他でもなくOKをくれたという事・・・。
「ありがとう・・・、二人とも、愛してるぜ・・・。」
あまりの喜びに、嘗ての世界でも殆ど口にしなかった言葉が口をついて出ていた。
そうだ、俺は二人に好きだとも、愛していると言った事は殆ど無かった・・・、それなのに彼女達は俺をこれ程までに想ってくれている、それが嬉しかったんだ。
「私も、心よりお慕いしておりますわ・・・。」
「僕も大好きだよ・・・、だから、もう二度と離さないでね・・・?」
少しだけ驚いた様に目を軽く見開きながらも、彼女達は咲き誇る薔薇の様に笑ってくれた。
その笑みは、俺の記憶の中にあるどんな笑みよりも美しく、見惚れてしまいそうになるほどの可憐さがあった。
「あぁ・・・、離すもんか・・・!ずっと、ずっと一緒だ・・・!」
もう離さない、誰にも渡すものかという想いと、彼女達への愛を籠めて、俺は二人と唇を重ねた・・・。
sideout
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一夏がセシリアとシャルロットと口付けを重ねた瞬間、格納庫内に拍手と喝采の渦が巻き起こった。
三人が驚いて身体を離し、辺りを見渡すと、ジャックを筆頭とする整備士達、守備隊員に保安部員、そして格納庫にやって来ていたロウ達ジャンク屋とロンド・ミナの姿もあった。
「おめでとうさん御三方~!!」
「アツアツだなぁ~!見せつけてくれるぜ!」
三人を冷やかす様な、いや、祝福する様な言葉が格納庫中から聞こえ、一夏達はここがどこだったかを思い出し、顔をトマトよりも紅くしていた。
まさか衆人観衆の中でプロポーズ&口付けをかましたのだ、彼等で無くても恥ずかしくなるだろう。
「一夏~、アツイねぇ?こっちまで恥ずかしくなるだろうが。」
『ヨカッタ、ヨカッタ。』
ハロを抱えたジャックが彼等の傍に寄りながらも一夏の肩を小突き、ニヤニヤと笑っていた。
彼もまさか一夏達が目の前でイチャ付くなど思ってもみなかったのだろう、何処か気恥ずかしそうな表情を見せていた。
「セシリア、おめでとう~!よかったね~!」
「いいなぁ、アツかったね~。」
「か、風花さん・・・!」
「樹里・・・!?見てたのぉ・・・!?」
セシリアとシャルロットは、それぞれの妹分に祝福兼からかいを受け、更に顔を紅くし、噴火しそうになっていた。
子供には刺激が強い物も見せてしまっただろうが、それを気にかけている余裕は今の彼女達にはなかった。
「良かったな一夏、お前の望みが叶ったな。」
「ミナか・・・?どこから見てたんだ・・・?」
『アツイゼアニキ!』
主であるミナが話しかけてきたが、あまりの恥ずかしさに直視できないのだろう、彼はジャックから受け取ったハロで顔を隠しながらも、どの辺りから見ていたのかと尋ねていた。
いや、聞かずとも分かるだろう、ここは格納庫、一般の整備士も多く働いている、彼等の前でアツいアツい抱擁を交わしたのだ、目立たぬ筈もなかった。
「私はお前達が抱き合った辺りからだな、久方振りの再会で喜ばしいだろうが、少しは自重せよ。」
『マワリハタイセツニナ~!』
ミナはからかいとちょっとした咎めを、ハロは耳をパタつかせながらも彼の前で動いていた。
「だが、これでお前が苦しむ事も減った、これからはそなた達三人で私と共に、新たな世界の姿を作ってくれ、お前達が今示した様に。」
一夏達に向け、彼女は自分が作るべき世界の為に力を貸せと語る。
その言葉に、一夏は彼女の心境の変化を感じ取ったのだろう、何処か怪訝の表情を浮かべていた。
「どういう心境の変化だ?前までのアンタなら、そんな事言わなかった筈だぜ?」
「フッ・・・、そうだな・・・、民と言うモノを、国と言う言葉の本当の意味を、彼から教わったのだ、私もその道を信じてみたいのだ。」
彼の問いに、ミナはセシリアとシャルロットをからかっているロウを見ながらも答え、一夏ですら見た事の無い様な笑みを浮かべていた。
その表情から察したのだろうか、彼はただ何も言わずに頷き、愛しき者達を慈愛の眼差しで見つめていた。
その表情には、嘗ての破壊者としての面影は何処にも無く、ただ愛しき者達を見つめる一人の男の表情だけがあった。
「アンタが信じる道なら、きっと優しい世界になるんだろうな・・・、なら、俺も信じてみたくなったよ、本当の意味での国ってヤツを、さ・・・?」
小さく、それでいてハッキリとした口調で彼は自身の言葉を口にしていた。
誰かに強制される訳でも無く、決然たる想いを籠めて・・・。
今迄の覚束無い足取りとは打って変わり、彼はしっかりとした足取りで歩き始める。
もう、自分は独りではない、頼れる友と目指すべき目標、そして何よりも愛おしい者達の存在・・・。
これまでの彼が失くしてしまっていた物を、彼は遂に見つける事が出来たのだから・・・。
sideout
次回予告
分かり合えぬ者、分かりたいと思う者、すべての者の想いと共に、彼は勇気と共に行く。
次回機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY
Xアストレイ
お楽しみに~。