機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY   作:ichika

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プレアの想い 前編

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L4、廃棄コロニー群が存在する宙域に、二機のMSの姿があった。

 

灰色の機体、カナード・パルスが駆るハイぺリオンと、トリコロールの機体、プレア・レヴェリーの乗るドレッドノート、通称Xアストレイだった。

 

プレアからの通信に呼応したカナードが、申し合わせたかの様にこの宙域までやって来て、彼を待ち受けていたのだ。

 

「やっと戦う気になったか、嬉しいぞ!」

 

決着を着けられる事への喜びなのだろうか、狂喜を滲ませた声で叫ぶカナードに、プレアは胸を締め付けられる様な感覚を抱いた。

 

改めて感じたのだろう、彼が元から抱えていた闇を、自分が更に大きく、そして深くしてしまった事に・・・。

 

「カナードさん、僕は戦いたくはない、今からでもコックピットを降りて話し合いましょう。」

 

だが、彼を倒すべきか分からないプレアは、あくまでも話し合いを求めるが、カナードは今更何を言うのかと言う風に、Xアストレイを掠める様にビームサブマシンガンを撃ちかけた。

 

「くどいぞ、お前も俺を止めるつもりなんだろう?ならば、戦って俺を止めてみるんだな。」

 

戦う事で、自分に何かを示してみせろとでも言っているのだろうか、カナードの言葉にはプレアを試す様な色が窺えた。

 

それに気が付いたのだろう、プレアは大きく息を吐き、決意を籠めた目を、画面越しの彼へと向けていた。

 

「分かりました、戦ってでも貴方を止めてみせます!」

 

「そうだ、それで良い、行くぞ!!」

 

プレアに戦う意志があると見るや否や、カナードが動いた。

 

アルミューレ・リュミエールを展開するつもりなのだろう、機体の各所より発生基が展開されてゆく。

 

「そうはさせないっ!行って!プリスティス!!」

 

アルミューレ・リュミエールが展開されてしまえば、それを貫く兵装を持たないXアストレイでは不利だと判断したのだろう、プレアはプリスィスを射出、ハイぺリオンに対して攻撃を仕掛ける。

 

だが、その攻撃が届くよりも先に光の殻が展開され、プリスティスのビームを弾き返した。

 

「無駄だっ!!一旦展開されたアルミューレ・リュミエールを破る方法などないっ!!無限の核のパワーもあるのだからなぁっ!!」

 

叫びながらも、ハイぺリオンを挟み込む様に展開してきたプリスティスを、彼は腕部の発生基の出力を変える事でビームサーベルを形成、内側からの斬撃で二基とも破壊した。

 

「今度はこちらから行くぞっ!精々落とされん様に逃げるんだなっ!!」

 

ビームサブマシンガンの弾丸をまき散らしながらも、彼は回避運動に入ったXアストレイを追い回し、フォルファントリー下部のコネクターに、背面に装備されている核エンジンユニット直結のエネルギー供給用のパイプを繋げた。

 

フォルファントリーは元々、装填方式を採っていたビームキャノンだが、そこにエネルギーを直結出来れば弾丸を装填せずとも発射可能となったのだ。

 

その大火力の光弾を、回避を続けているXアストレイへ向けて発射した。

 

「くぅっ・・・!?」

 

呻きながらも、プレアはシールドを犠牲にする事で光弾を逸らし、機体本体へのダメージを避けた。

 

「どうしたっ!?背中のデカブツはただの飾りかぁっ!!」

 

攻撃する手段を無くしたとは思わない、何せ、自分は嘗てそうして敗れたのだから・・・。

 

「Xアストレイ!僕にあの人を救う勇気をっ!!」

 

押され気味になった事で、プレアも新装備を、そして、この戦いの切り札たる四基のドラグーンを射出、フォーメーションを取りながらもハイぺリオンに向けて飛ばした。

 

「いいぞっ!戦えプレアっ!!」

 

やっと応戦してきた事に喜んだのだろう、カナードは嬉々として攻撃を続けていた。

 

まるで、この戦いにすべてを賭けているかの様な勢いで・・・。

 

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二機の戦闘が行われている宙域から少し離れたポイントにて、カナードの母艦、オルテュギアが戦闘の様子を見守っていた。

 

今回はカナード自ら単独出撃を望んだために、他の隊員達は皆、ブリーフィングルームや、艦橋にて、彼等の戦闘の成り行きを見ていた。

 

「我々はパルス特務兵のサポートをしなくても本当に良いんでしょうか・・・?」

 

そんな中、メリオルと共に艦橋で戦闘を見ていた一人の男性兵士が、彼女に問い掛けていた。

 

如何に強いカナードでも、万が一という状況もあり得る、まして、敵は一度とは言えカナードに打撃を与えたのだ、用心した方が良いと思っているのだろう。

 

「彼は独りで戦う事を望んでいるのよ、私達が手を出すのは無粋だわ。」

 

「ですが、我々も加われば勝率は上がる筈です!」

 

戦いに出る必要はないというメリオルに、兵士は理解できないとばかりに食い下がるが、メリオルの目は、黙っていろと言わんばかりに彼を見ていた。

 

「彼は自分一人の力を試したいのよ、たとえその為に死んだとしても・・・、っ!?」

 

説明する様に話している最中、彼女は、カナードが抱いている真の想いに触れてしまった。

 

「(戦って死ぬ事を・・・?死に場所を求めていると・・・?彼は戦って死ぬ事を望んでいるの・・・!?)」

 

それが真実かどうかは分からないが、メリオルにはそうとしか思えなかった。

 

戦闘に執着する理由も、スーパーコーディネィターを超えるためでも、プレアという少年を殺す為でも無く、戦いの中で自身という存在を終わらせたいのだと考えれば何も不思議でないと・・・。

 

嫌な予感が、彼女の中では徐々に強くなってゆく。

 

「(プレア・レヴェリー・・・、どうか・・・、どうか彼を、カナードを殺さないで・・・っ!)」

 

だが、戦場にいない彼女に出来る事はなく、ただ、彼を想って祈る事しか出来なかった。

 

運命の子、プレアに自身の想いを託して・・・。

 

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苛烈を極める戦闘は、カナードの内にある闘争心を激しく掻き立てて行く。

 

ドレッドノートはドラグーンを駆使し、彼が撃ち掛ける弾丸をいなし、時折彼に攻撃を仕掛けてくる。

 

アルミューレ・リュミエールがあるとは言えど、ここまで自身と渡り合う事が出来た敵機は今までに無く、彼は沸き立つ心が命じるままに攻撃を繰り返していた。

 

「俺は戦い、勝利する事だけで存在を許されてるんだ!お前に負けたままなど、在ってたまる物かっ!!」

 

負けたままでは、自分は存在を認めて貰えない。

 

それは、彼がこれまで過ごしてきた闇その物だった。

 

戦いを強要され、その中で戦果を挙げる事で身を立ててきたのだ、それ以外の事など、考えも付かないのだろう。

 

「貴方には戦いも勝利も必要ありません!もっと他に生き方がある筈です!貴方は人々の理想、高い希望を持つ者・・・、スーパーコーディネィターなんでしょう!?」

 

プレアは、彼が何者なのかを知っていた。

 

人類の希望、高き望みである最高のコーディネィターの資質を持った者である事を。

 

「違う!!俺はその失敗作だ!!キラ・ヤマトを生み出す過程で生まれた出来損ないなんだよ!!」

 

だが、カナードはそれを否定する、そして告げる、自分はその失敗作である事を。

 

並のコーディネィターを超える能力を有していても、所詮は紛い物でしかなく、本物には遠く及ばないのだと・・・。

 

どちらも正しい言い分だったが、それ故に話は平行線を辿る一方だった。

 

「こんな力、戦う事以外の何に活かせる!?」

 

自分の持つ力が、カナードには戦い以外での使い道が見いだせなかった。

 

そのためだけに鍛え上げ、磨き上げてきたのだ、活かし方も知らねば、何をすれば良いのかも分からない。

 

故に、彼は戦い続ける事で、自身の能力を使ってきたのだ。

 

「生まれながらにそんな特殊な力を持ってるお前如きに言われる筋合いは無いんだよっ!!」

 

それに、彼は自然に生まれながらにして高い力を持つプレアにだけは、能力についてとやかく言われたくは無かった。

 

自分よりも年下の少年が、彼の攻撃を捌き、尚且つ反撃まで行おうとするのだ、カナードからしてみれば、スーパーコーディネィターの様な存在にも見えるのだ。

 

そんなプレアから能力について言われれば、必然的に彼は自分が出来損ないであると強く認識させられてしまうのだ。

 

だが、彼はプレアと言う少年の過去について、あまりにも知らなさ過ぎた。

 

何せ、カナードは彼と戦う事にしか興味が無かったのだから・・・。

 

「僕こそ・・・、僕は・・・、クローンなんです・・・。」

 

疲労と、細胞の機能停止による身体機能の低下に苦しんでいるのだろう、プレアは荒い息を吐きながらも、自身に課せられた運命を語った。

 

これまで、たった数人にしか、それも、自身の恩人と、姉同然の存在にしか語った事の無い、呪われた真実を・・・。

 

「僕のオリジナルになった人の・・・、この能力を欲した連合に創られた・・・!だけどっ・・・!!僕は兵器として生きるなんて嫌なんだっ!!」

 

プレアもカナードと同じ、戦いのために、人を殺すための兵器として創られた。

 

だが、彼は兵器として、限られた人生を生きるのが嫌だった。

 

そう思えたからこそ、素晴らしい友に、仲間に、そして姉達に出会う事が出来たのだ。

 

それをカナードに伝えるべくして、彼は今、こうやって戦っているのだ。

 

「お前もか・・・、面白い!俺達は同じモノだ!戦うべくして生まれた存在だ!!」

 

だが、プレアの願いはまだ、彼には届かない。

 

自分が違う生き方が出来ると思わない彼には、プレアが抱いている思いなど、考えもつかない次元にあるのだろう。

 

「お前のその力と、俺のスーパーコーディネィターとしての資質!!その全てをかけて戦おうじゃないか!!俺達は戦う事しか出来ないんだからなぁっ!!」

 

戦う事しか出来ないと、カナードは叫ぶ。

 

そうなるべきと強いられ、自分もそうであるべきと、目標を定めて戦い続けた。

 

だから、兵器としてしか生きられないと・・・。

 

「違う・・・!そんな事っ・・・!絶対に違うっ!!」

 

そんな事がある分けが無いと、プレアは叫ぶ。

 

自分もそうして創られ、戦いを強いられた存在だった。

 

だが、そうじゃない生き方も出来た、その温かさも知る事が出来たのだと・・・。

 

正しさなんてない、だからこそ、両者共に、自身の想いを、その強さをぶつけ合っているのだった・・・。

 

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「プレア・・・。」

 

戦闘宙域から少し離れた宙域で、風花はセシリアの操縦するデュエルのコックピットから、友であるプレアと、彼の因縁の相手、カナードの戦闘の様子を見ていた。

 

本当は小型艇に乗り込み、一人でもここに来るつもりだったが、セシリアとシャルロットも、彼の戦いを見届けるために機体を出すと言ったので、彼女は姉同然の存在であるセシリアのデュエルに同乗して、この宙域までやって来たのだ。

 

光芒が煌めく度に、彼女の心はまるで鷲掴みにされた様な感覚を覚える。

 

プレアは無事なのだろうか、生きているのだろうか・・・・?

 

もし自分に力があったのならば、彼女は戦場に入り、彼を援護したいと思っているのだろう。

 

だが、今の彼女には力がない、物理的にではなく、精神的にも、そして年齢的にも・・・。

 

全てに於いて、足りない事尽くめな彼女は自分の無力さを恨んだ。

 

見届けると覚悟して出てきたつもりだったが、実際は飛び出したくて堪らなかったのだ。

 

「大丈夫ですわ、プレアさんはお強い、必ず、私達の下へと戻って来て下さいますわ・・・。」

 

そんな彼女を宥めようとしているのだろうが、セシリアの声も不安で震えており、自分とシャルロットが飛び出さぬ様に、互いで互いを牽制し合っていた。

 

彼の覚悟を穢さない様に・・・、そして、自分達の役割を果たすために・・・。

 

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「僕も貴方もっ!!何かを・・・!戦う事を決められて生まれて来た訳じゃないんだ!!この力も貴方の能力も!どう使うかなんて自分次第なんだ!!」

 

撃ちかけられるビームサブマシンガンの弾丸を、ドラグーンのビームで相殺しながらも、プレアはカナードヘと叫んだ。

 

生まれ持って何かを決められた人間はいない、自分の在り方は自分で決める事が出来ると・・・。

 

「生まれ持った宿命を消し去る事など出来ないっ!お前ならば分かると思っていたが、所詮は平和に馴らされたただの餓鬼か・・・!!」

 

だが、カナードは彼の言葉を否定する、生まれ持った宿命は消し去れないと・・・。

 

彼の脳裏には、自分が幼い頃の、研究所時代の光景が蘇っていた。

 

身体に繋がれたケーブル、自分を見る研究員達の目・・・。

 

全てが彼の抱えている闇だった。

 

故に、同じ様に作られ、戦う事を強いられていた筈のプレアの答えに、彼は失望していたのだ。

 

「戦う宿命に苦しめられたのは・・・、貴方だけじゃない・・・!」

 

彼の言葉に、プレアも自身の過去を思い返す。

 

コックピットを模した装置に縛り付けられる様にして座らされ、データを採るためのケーブルを身体中に突き刺された事もあった・・・。

 

その全てが、プレアには苦痛であった。

 

だが・・・。

 

「だけど・・・、貴方が否定する平和な暮らしが・・・!皆の想いが・・・!こんな僕を支えてくれているんです・・・!」

 

それを覆い隠して有り余るのが、彼に向けられていた、色んな人々から送られた温かく、そして優しい想いだった。

 

マルキオが、同じ時を過ごした孤児達が、ロウ達リ・ホームのメンバーが、風花が、そして、セシリアとシャルロットがくれた温かな想いこそが、こうして彼と共に在り、支えてくれているのだと・・・。

 

「想いの力だと・・・?そんな物が何になるっ・・・!!」

 

それに気づかないカナードは、まるで否定するかの様に攻撃を続ける。

 

そんな曖昧で抽象的な物が何になるのかと、信じられるのは自分一人しかいないのだと・・・。

 

「貴方は気付いていないだけなんだ・・・!貴方も人々の想いの中で生きてるという事を・・・!!だから・・・!!」

 

人は誰かの想いの中で自我を形成し、そうして生きている。

 

そう信じるプレアは、その想いをカナードヘと届けるべく祈る、そして、想う。

 

「僕も貴方のためを想うっ!!」

 

想いを籠め、彼が持てる力を振り絞り、ドラグーンをハイぺリオンの上下左右へ展開、先端にある砲口からフィールドを形成、アルミューレ・リュミエールごと彼を包み込んだ。

 

「な、何だ・・・!?このフォーメーションは・・・!?」

 

攻撃するためでもなく、自身を護るためでもなく、ハイぺリオンを包む様に展開されたフィールドに、彼は驚愕、いや、困惑した。

 

「これが僕の想い・・・、貴方を包む・・・。」

 

優しげな声で、プレアは告げる。

これこそが自分の想いであると・・・。

 

「想いだとっ・・・!?そんなものっ!!」

 

だが、カナードはそれを払おうと、一基のドラグーン目掛け、ビームサブマシンガンを発砲した。

 

この距離ならば外す事もないと思ったのだろうが、その目論見は外れる事になった。

 

弾丸はハイぺリオン自身が展開するアルミューレ・リュミエールに阻まれ、消滅した。

 

「た、弾が外に撃てないだと・・・!?モノフェーズシールドが機能していないのかっ・・・!?」

 

まさかの事に、カナードは硬直した。

 

ハイぺリオンの攻撃が、どういう訳かアルミューレ・リュミエールの外に出ないのだ。

 

これでは、彼は攻撃する手段を封じられたも同然であり、打開するためには、シールドを外さなければならないが、そうすれば必然的にハイぺリオンは無防備になり、ドラグーンの攻撃に曝される運命にあった。

 

なんとかして破壊しようと、彼は我武者羅にビームサブマシンガンを乱射するが、無敵を誇るアルミューレ・リュミエールを破る事は出来なかった。

 

「僕は貴方の殻を無理に抉じ開けようとは思っていません・・・、ただ、貴方を・・・、貴方の全てを包み込む・・・!」

 

抉じ開けるのではなく、すべてを受け入れて包み込む・・・。

 

そうする事で、彼のささくれ立った心を癒し、その心に巣食う闇を晴らそうとしたのだ。

 

「くっ・・・!このっ・・・!!」

 

そんな中、破壊できないならば振り切るまでと思ったのだろうか、ハイぺリオンはスラスターを吹かし、フィールドからの離脱を試みる。

 

それに気付いたプレアも、Ⅹアストレイのスラスターを全開にし、ハイぺリオンを追い、フィールドを維持し続けた。

 

機動力では、ハイぺリオンよりもドレッドノートの方が勝っているために、カナードは一向に逃げ切れなかった。

 

「振り切れない・・・!ならば・・・!!」

 

振り切れないならば、別方向からの衝撃で破壊なり、機能を停止させればと思ったのだろうか、彼は廃棄されたコロニーの一基に猛スピードで突っ込み、自己再生機能を持ったガラスを突き破りながらもコロニー内に侵入していく。

 

それを追い、プレアもコロニー内に侵入、カナードが進む先に目を向けた。

 

そこは大小様々な建造物の数々が立ち並んでおり、ハイぺリオンはそれらを破壊しながらも飛んでいた。

 

「カナードさん!!止まってくださいっ!!」

 

コロニーだけでなく、彼自身の事を神秘しているのだろう、プレアは言葉を走らせる。

 

「・・・っ!温かい・・・、それに強い・・・?これが・・・、想いの力なのか・・・?」

 

自分に流れ込む様にして伝わってくる優しく、それでいて力強い感覚を、カナードは感じていた。

 

同時に、それがプレアの想いである事も・・・。

 

だが・・・。

 

「くっ・・・!俺はそんなものなど・・・!受け入れんぞっ!!」

 

人の想いをどうすれば良いのか、どう受け取っていいのかを知らぬ彼は、プレアの想いを拒絶する。

 

想いなど、絶対的な力の前では無力、無意味なのだと・・・。

 

「そんなまやかし・・・!このハイぺリオンが吹き飛ばしてくれるっ!!フォルファントリー出力最大ぃっ!!」

 

核エンジンユニットより伸ばしたケーブルを、バインダー下部のコネクターに接続、エネルギーの充填を開始した。

 

「っ!?ダメだ!!止めろぉーっ!!」

 

カナードが何をしようとしてるのか分かったのだろう、プレアは止める様に叫ぶが、ハイぺリオンは一向に止まる気配がない。

 

その先に待つ運命は・・・。

 

「うぉぉっ!!発射ぁぁぁっ!!」

 

カナードは、躊躇う事無くトリガーを引き、フォルファントリーの光弾を発射した。

 

それは光の膜にぶち当たり、一瞬だけ拮抗するかの様に見えたが、シールド内で乱反射し、ハイぺリオンの機体を襲い、破壊してゆく。

 

「ぐぁぁぁぁぁっ!!」

 

その余波はパイロットであるカナードすら襲い、凄まじい衝撃の後、地表に激突した様な一際大きな振動が襲いかかった。

 

「カナードさん!!大丈夫ですか!?」

 

発生基が破壊されたのだろう、アルミューレ・リュミエールは解除され、地表は捥げ落ちたパーツの数々が散乱していた。

 

「自分で撃った弾にやられるとはな・・・、失敗作には相応しい終わり方、か・・・。」

 

何とか無事だったのだろう、カナードはヘルメットを脱ぎながらも、何処か諦めた様に呟いていた。

 

自滅という終わりながらも、彼は何処か納得しているのだ。

 

想いに力に、そして、それを拒み続けた自分自身の愚かさに・・・。

 

それと同時に、コックピット内にエマージェンシーを告げるアラートが鳴り響く。

 

恐らくは先ほどの攻撃で核エンジンが不調をきたしたのだろう、間も無く爆発すると、モニターには表示されていた。

 

だが、それを見て尚、彼はコックピットから出ようとしなかった・・・。

 

「(想いの力、か・・・、俺も違った生き方をしていれば、プレアの様になれたのか・・・?)」

 

自分が違った生き方をしていれば、想いを受け入れたならば、彼と同じ様に生きられたのかもしれない・・・。

 

そう気付いてももう遅い、ここが死に場所と、彼は瞳を閉じた・・・。

 

「カナードさんっ!!」

 

自分の名を呼ぶプレアの声に、彼は意識を現実に引き戻される。

 

何事かと思い、モニターを見ると、そこにはハイぺリオンへと猛スピードで向かってくるドレッドノートの姿が映し出されていた。

 

「プレア!?来るな!!核エンジンが暴走しているんだぞ!早く逃げろ!!」

 

自分でも気付かぬ内に、彼はプレアに逃げる様に伝えていた。

 

自分の道連れになる必要はない、と・・・。

 

だが、それでもドレッドノートは止まらない、彼に、カナードに手を伸ばしていた。

 

「貴方を・・・!こんな所で死なせはしませんっ!!」

 

「プレア・・・!」

 

敵対していた自分すらも助けるというプレアの声に、カナードは頭を叩かれた様な感覚を覚えた。

 

人は想いの中で生きている、だから、カナードも救いたいのだという、彼の心が、そのまま伝わってきたのだ。

 

「(もし俺に・・・、その資格があるなら・・・!)」

 

果たして自分にそんな資格があるかは分からない、だが、それでも彼は生きたいと願った。

 

カナードは弾かれる様にしてハッチを開き、そこからドレッドノート目掛けて飛び出した。

 

ドレッドノートの両の手が、プレアの想いが彼を包んだ瞬間、ハイぺリオンの核エンジンが爆発、その衝撃で、彼の意識は闇に包まれた・・・。

 

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次回予告

プレアに訪れた宿命に、カナードは、セシリアとシャルロットは何を思うのか・・・。

次回機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY

X ASTRAY編最終話
プレアの想い 後編

お楽しみに~
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