機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY 作:ichika
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「プレアーっ!!」
ドレッドノートとハイぺリオンが戦闘を繰り広げていたコロニーから、盛大な爆発光が発生し、暫くの間瞬きながらも消えて行った。
その光景を目の当たりにした風花は、その付近で戦っていた自身の友の名を叫んだ。
それは核爆発による物であり、他でも無く、どちらかの機体が破壊された事を物語っていたのだから・・・。
嫌な汗が彼女の背を伝い、落ちて行くのが鮮明に感じ取れたが、ここで叫んだ所でどうなるわけでも無い事ぐらい分かっていた。
その時、セシリアがフットペダルを強く踏み込んだのだろう、突如としてデュエルが動き出し、爆発光が瞬いていたコロニーへと向かって行く。
「セシリア・・・!?」
彼女の行動に驚いたのだろう、風花は声を上げながらもセシリアの顔を見た。
その表情には、変わらず悲しみの色が出ていたが、今は何処か焦りの色すら窺う事が出来た。
「急ぎませんと・・・!プレアさんは・・・っ!」
「セシリア・・・?」
セシリアの焦りの理由に合点が行かなかいのだろう、風花は困惑の表情を浮かべていた。
モニターを見てみれば、シャルロットのバスターもデュエルに追随し、コロニーへと向かっていた。
通信回線をあえて繋げていなかったために、シャルロットの表情を窺う事は出来なかったが、セシリアと同じく焦燥に駆られている事だけは伝わってきた。
風花は知らなかったのだ、クローンであるプレアに課せられた、もう一つの呪われた宿命を・・・。
風花が困惑している内にも二機はコロニーに接近し、穿たれた穴からコロニーの中へと侵入して行った。
そこに待ち受ける、非常なる現実を見つめるためにも・・・。
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コロニー内部は酷い有様だった。
元々廃棄されてから時間が経っていた場所であったために、人的被害は皆無であった。
だが、元々廃墟と呼ぶべき内部の施設や町並みは、ハイぺリオンの核エンジンが引き起こした核爆発によってかなりの広範囲に渡って破壊し尽くされ、更地同然と言う有様だった。
爆心地から程近い場所には、パーツごとに見れば何とか判別できる程度のハイぺリオンの残骸があちこちに散らばっており、爆発の凄まじさと威力を物語っていた。
そこから数十メートル離れた場所には、フェイズシフトダウンを起こしながらも損傷が見られないドレッドノートが、何かを庇う様な恰好で地に横たわっていた。
カナードを受け止めると同時に、機体を反転させながらも核分裂による誘爆を防ぐためにNジャマーキャンセラーを停止させ、PS装甲で灼熱を、そして機体で影を作る事でソニックウエーブからカナードを護ったのだ。
幸いな事に、防ぎ様の無い放射能は、核爆発によって穿たれた穴からの酸素流失によって宇宙空間へと流されて行ったお陰で、ドレッドノートの方には影響が少ないと思われた。
「うっ・・・。」
ドレッドノートの掌の中にいたカナードは、負傷こそすれど何とか動ける様であり、掌の中から這い出てきた。
それを認めたのだろう、胸部コックピットよりプレアが降り、ふらつく足取りで彼の前にやって来た。
どうやら、最早身体が言う事を聞かない様だ・・・。
「プレア・・・っ。」
全身に走る痛みを堪えながらも、カナードはバツが悪そうに彼の名を呟いた。
散々貶して存在否定を続けていた自分を、彼は身を呈して助けてくれたのだ、何をどう言えば良いのか分からなかったのだろう。
「よかっ・・・た・・・。」
カナードが無事だった事を感じ取ったのだろう、安堵した様な表情を見せた直後、プレアは地面に崩れ落ちた。
「プレア・・・!?おい、しっかりしろっ!」
突然プレアが倒れた事に驚きつつ、カナードは彼に駆け寄り、その小さな身体を抱き起した。
近付いてみて初めて気付いた、プレアの表情からは血の気が引いて青ざめており、呼吸も不規則になっていた。
それに加え目も見えなくなりかけているのだろう、焦点が合っていなかった・・・。
「時が・・・来たんです・・・、こうなる事は・・・分かっていました・・・、僕に施されたクローニングは・・・、不完全だったんです・・・、こうしている間にも・・・、細胞が・・・。」
「なんだと・・・!?そんな身体で戦っていたのか・・!?」
プレアの身体に秘められた秘密を知らされた彼は、一瞬の驚愕をその顔に浮かべるも、何処か困惑にも似た色が垣間見えた。
「何故俺を助けた・・・!?お前がそうまでして・・・っ!?」
なぜそんな身体で自分と戦ったのか、どうして命を縮める様な真似をしていたのか・・・。
そんな感情が、カナードの表情からは読み取る事が出来た。
「手を・・・、もう・・・目がよく見えないんです・・・。」
カナードが掴んでくれる事を期待してだろう、プレアは右手を掲げていた。
目が見えていないのだろう、その手は宙を彷徨い、行き先を見付けられないでいる様だった。
果たして、その手を自分が掴んでも良いのか、その資格がある人間なのだろうか・・・。
プレアの望みは叶えてやりたい、だが、何かが彼の腕を引き留めていたのだ。
そんな時だった、爆心地に穿たれた穴より、デュエルとバスターが姿を現し、彼等に近付いてきた。
地に膝をつけた機体のコックピットからは、セシリアとシャルロット、そして風花が出てきた。
「プレアっ!!」
彼女達は何も躊躇する事無くプレアへと駆け寄った。
セシリアとシャルロットは、カナードに対して警戒の色を見せるが、彼がプレアを抱き上げていた事で、ほんの僅かだがそれを緩めた。
「プレアさん・・・!しっかり・・・!」
「しっかりしなよ・・・!プレアっ・・・!!」
プレアの頬に手を触れ、彼女達は声をかけた。
その声は既に涙声になっており、彼の宿命を知っている彼女達にしか抱けない想いが籠っている様にも感じられた。
「セシリア姉さん・・・、シャルロット姉さん・・・、それに、風花ちゃんも・・・?」
三人の声に気付いたのだろう、彼はほんの少し嬉しそうな表情を浮かべていた。
姉と呼ばせてくれる女性が、自分の事を友だと言ってくれた少女が、自分の死に際を見に来てくれたのだ、彼で無くとも嬉しいだろう。
「カナード・・・さん・・・、手を・・・、貴方も・・・。」
三人がそれぞれ彼の手や頬に触れる中、唯一彼に触れていなかったカナードへ、プレアは手を差し出した。
彼はそれに一瞬戸惑いを見せたが、セシリアがそうしてやってくれと言わんばかりの視線を向けていたため、彼はその手を取った。
「温かい・・・、姉さん達も・・・、風花ちゃんも・・・、貴方も・・・、こんなに温かい・・・、僕を包んでくれる・・・、みんなの想いの中にいるんですね・・・。」
カナードの手の温もりを感じ、彼は辛そうな表情を押し殺して微笑んだ。
それほどまでに、自分は今幸福なのだと・・・。
「こんな俺でも・・・、温かいのか・・・?そう生きていいのか・・・?」
自分でも・・・、戦いだけに生き、造られた命であるカナード自身が生きても良いのかと言う問いに、プレアは静かに頷いた。
それは肯定であり、彼にそうすべきだと言う様でもあった・・・。
だが、その間にも、彼の体温は徐々に下がってゆき、呼吸の音もどんどん小さくなっていった。
それは、プレアと言う人間が、死に向かっていると言う事に他ならなかった・・・。
「プレア・・・!」
「最期に・・・、皆が・・・傍にいてくれて・・・、嬉しかっ・・・た・・・。」
シャルロットの呼びかけに微笑み、彼は四人への感謝の言葉を最後に目を閉じた。
そして、途切れかけていた呼吸音が完全に途切れ、カナードが握っていた手が、力なく地へと落ちた・・・。
それはプレアと言う少年が、此処に短すぎる一生に幕を下ろしたという事に他ならなかった・・・。
「プレアっ・・・!プレアぁぁぁっ・・・!!」
風花は彼の亡骸にしがみ付き、声を上げて泣き叫ぶ。
初めてできた同年代の友の、早すぎる死を嘆いて・・・。
「プレアさん・・・、よく、頑張りましたわね・・・。」
「もう、戦わなくて良いんだよ・・・、だから・・・、おやすみ・・・。」
泣き声を堪えながらも、セシリアとシャルロットは彼のおでこに口づけし、肩を震わせて泣いた。
ほんの一時だけでも、弟になった者の、その死を悼んで・・・。
「何故だ・・・、何故プレアは死んだ・・・?誰かのクローンだからか・・・?クローンは死んでも良い人間なのか・・・!?」
そんな中、カナードは憤りを籠めた声を上げる。
何故プレアが死ななければならないのか。
その理由がクローンだからなのだとすれば、彼には到底受け入れる事は出来なかった。
「俺はどうなんだ・・?失敗作の俺は生き残っているじゃないか・・・!俺は他人を殺してでも生き残ると決めていた筈だ・・・、これが俺が望んだ結果だとでも言いたいのか・・・!?」
生きる為に他者を犠牲にして強くなる、それが、カナードが生きてきた道であり、行動理念でもあった。
今回も、結果を見れば彼は生き残り、敵であるプレアは命を落とすと言う物だ、彼の勝利である事には変わりは無かった。
だが、今のカナードには、それがどうしても受け入れられなかった。
死を覚悟して自分を止めてくれた少年に、自分が本当の意味で負けたと気付いていたのだから・・・。
彼自身が気付かぬ内に涙が零れ落ち、プレアの服を濡らした。
それは、敗北への悔し涙ではなく、プレアと分かり合えなかった、分かろうとして来なかった自分自身への後悔の涙だったのだ。
「俺は・・・!俺はこれからどう生きて行けばいいんだ・・・っ!うぅぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
咽が張り裂けんばかりの声を上げ、彼は泣き崩れた。
それはただ、コロニー内に反射して虚しく響くだけで、誰も、その声に答える事は無かった・・・。
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アメノミハシラのとある部屋に、サーペント・テールのメンバーが集まっていた。
劾がプレアを案内した後、セシリアを保護した礼としてロンド・ミナ・サハク及び、織斑一夏両名から補給を兼ねて母艦ごと迎え入れられ、風花の帰りを待っていた。
任務報告を聞くだけではない、彼女が体験してきた事へのケアも兼ねていた。
そんな彼等が待つ部屋に、セシリアと共に風花が入って来た。
その表情は暗く、まだ涙の痕が僅かに残っている事が見受けられた。
「よぉ、お帰り風っぱな。」
それに気付いているのか否か、リードは相変わらず酒瓶を掲げ、彼女を迎えていた。
「どうした?元気無いな?」
そんな彼とは対照的に、イライジャは風花の元気がない事に気付き、心配そうに声を掛けていた。
ロレッタは彼女に心配そうな表情を向けるも、今は何も言うべきでは無いと判断したのだろう、何も言わずに彼女の方を見ていた。
「ううん、なんでもないよ・・・、劾、任務の最後の報告を・・・。」
そんな彼等の想いに気付いたのだろう、風花は笑みを取り繕い、目の前に立つリーダー、叢雲 劾に報告すべく表情を引き締めた。
彼女の様子に、セシリアは気遣わしげな表情を向けるが、劾は心配いらないとばかりに頷き、風花と向かい合った。
「ドレッドノートとハイぺリオンはL4宙域の廃棄コロニー群で戦闘、ハイぺリオンは核エンジンの暴走で大破するも、パイロットのカナード・パルスは生存・・・、プレアは・・・。」
戦闘の経過を説明しながらも、プレアの話になると堪え切れなくなったのだろう、彼女は大粒の涙を零した。
それを知っているセシリアもまた、瞳を潤わせながらも堪える様にして唇を噛みしめていた。
ここで自分が泣いてしまったら、風花が報告し終わる前に泣き崩れてしまうと思ったのだろう、故に、彼女は涙を堪えているのだ。
「プレア・レヴェリーは死亡・・・!Nジャマーキャンセラーは、カナード・パルスの手で地球に・・・!!」
何とか、自分の役目を果たそうと必死なのだろう、風花は涙を流しながらも報告を終え、劾を見た。
これで良いかと、もう泣いても良いのかと・・・。
「ミッション・コンプリートだ、よくやった、風花。」
もう堪えなくて良いんだと言う様に、劾は彼女の肩に手を置き、優しく微笑んだ。
その笑みに、最後の一線が崩れたのだろう、風花は火が着いた様に声を上げて泣いた。
「プレアが・・・!プレアがぁ・・・!!」
劾にしがみ付いて泣く彼女を慰める様に、ロレッタは彼女の身体をあやす様に抱き締め、リードとイライジャは、プレアの死を悼む様に目を閉じていた。
プレアの、少年の短すぎる人生を嘆くサーペント・テールのメンバーをしばし眺めた後、セシリアは、気付かれぬ様そっと部屋を後にした。
廊下に出た彼女は、気を抜けば溢れそうになる涙を必死に堪え、自分が戻るべき場所へと走った。
とある部屋に辿り着き、その中に入ると、ベッドに腰掛け、今にも泣き出しそうな表情のシャルロットと、神妙な面持ちで三人分の紅茶を用意する、彼女の愛しき人、織斑一夏の姿があった。
シャルロットはセシリアを見るや否や、アメジストを思わせる美しい瞳から涙の雫を零していた。
盟友の涙に釣られそうになるが、彼女はまだ泣くべきでは無いとばかりに堪え、一夏に向き直った。
「一夏様・・・、この件につきましては・・・。」
「シャルから大体の事は聞いたよ、お前達には辛かっただろうな。」
報告しようとするセシリアの言葉を遮り、普段と何一つ変わらない声で話す彼の言葉に、彼女は僅かな憤りを禁じ得なかった。
彼がプレアに会った事が無い事は承知している、だが、何故平然としていられるのか、彼はまだ、嘗てのままなのかと言う想いが、彼女の中で渦巻いていた。
「・・・、貴方様は・・・、泣いてくださらないのですか・・・?プレアさんと・・・、私達の弟と関わりが無かった事は存じております・・・、ですが・・・!!」
彼にも泣いて欲しかった。
プレアと言う少年の覚悟の末を、その輝いた命の痕跡を知って欲しかった。
泣かずとも、せめてその死を悼んで欲しかったのだろう、彼女はこれまでした事も無い表情で一夏を睨み付けた。
「俺が泣けば、ソイツは喜ぶのか・・・?」
「えっ・・・?」
ただ、黙って彼女の言葉を聞いていた一夏が振り向きざまに放った言葉に、セシリアとシャルロットは驚いた様に顔を上げた。
彼の言葉の真意が分からない訳じゃない、寧ろ、分かっているからこそ驚いているのだろう。
「面識の無い俺が泣いたとしても、プレアとやらは喜ばんさ、アイツを想い、共に過ごしたお前達が泣いてやる事が、アイツにとって嬉しい事なんじゃないのか?」
自分が泣かずとも、彼女達はそれぞれの意志で泣く事が出来る、人間に戻ったのだ、嘗ての様に三人全部同じという訳では無いのだから。
彼女達もそれに気付いていない訳では無い、彼が自分達が感じている痛みを感じていない事からも、経験してきた別れも違う事からも分かり切っている事だったのだ。
「だから、お前達は泣け、遠慮する事なんてないさ、俺が受け止める、お前達の涙も、悲しみもすべて、な?」
俯く二人に近づき、彼は彼女達の身体を抱きすくめた。
泣くなら自分の胸で泣け、そう言っている様にも感じられた。
「うぅっ・・・。」
「うぁぁ・・・!」
その優しさに、堪えていた想いが零れたのだろう、セシリアとシャルロットは彼の胸に顔を埋め、声を上げて泣きじゃくった。
自分達を、数えきれない程の罪を犯してきた自分達を姉と呼び慕ってくれた少年の、その命の痕跡を慈しむ様に、そして、あまりにも早すぎた別れを嘆く様に・・・。
そんな彼女達の背を優しく、あやす様にさすりながらも、一夏は瞳を閉じた。
自分は出会う事の出来なかった、その少年の死を悼む様に、そして、彼が慕った女達を、自分が護っていくと誓う様に・・・。
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L4宙域での決戦から一か月後の十月上旬、カナードはオーブ近海の孤島にある、マルキオ邸に隣接する教会にいた。
スーパーコーディネィターの資質を持っていた彼は、戦闘で負った傷を僅かな期間で癒し、彼のために戦い、その意味を教えた少年が身に着けていた首飾りを持って、マルキオ導師の下を訪れていたのだ。
「プレアが望んでいた、Nジャマーキャンセラーを俺が届けに・・・。」
「はい。」
目の見えないマルキオに、プレアの首飾りを手渡し、カナードは自分がやって来た理由を話した。
もうこの世にプレアはいない、だから、せめて彼に関わった者の務めとして、カナードは地球へ降り立ったのだ。
彼から首飾りを受け取ったマルキオは、何処か慈しむ様に微笑み、首飾りを撫でた。
それはまるで、自分の下へ帰ってきた少年を迎える父親の様であった。
「プレアの死についてだが・・・。」
そんな彼の様子にいたたまれなくなったのだろう、カナードは声のトーンを僅かに落とし、申し訳なさそうに言葉を紡ごうとした。
だが、その先の言葉をどう続けて良いのか、彼には分らなかった。
プレアが死んだのは、自分に関わりすぎたせいだと知っている。
自分と関わらなければ、彼はこの地で最期を迎える事が出来たかもしれない。
そう思うと、カナードはどの様な言葉を続けて良いのか、まったく分からなかった。
「それ以上は良いのです。」
そんな彼の言葉を遮る様に、マルキオは優しげな声で語った。
「貴方がプレアの死にどう関わったかは問題ではありません、私には分かります、プレアの想いは貴方に受け継がれています、ですから、彼の死は無駄ではなかったと感じられます。」
カナードがプレアとどういう関係だったかは関係無い、ただ、プレアという少年の想いを、カナードがしっかりと心に留めてくれている事が大切なのだと・・・。
「プレアの想いが・・・、俺の中に・・・。」
マルキオの言葉に、カナードは自分に言い聞かせる様に呟いた。
プレアの想いを、ただ一人の人間として生きる事の大切さを、今一度確かめる様に・・・。
「私の眼には光が射しません、その代わりに、人には見えない物が見えると感じる時があります、そして、貴方の傍にはプレアがいます、それを忘れないでください。」
彼の呟きに頷き、マルキオは言葉を紡いだ。
人には見えぬモノとなったプレアは、今もまだ、カナードの傍にいると、それを忘れずに生きて欲しいと・・・。
その言葉に頷いた彼は、マルキオに別れを告げた後に背を向け、浜辺を歩き始めた。
深夜に近いという事もあり、人の気配は全くなく、月明かりに照らされた砂浜と、耳に心地好い波の音が続くばかりだった。
──貴方がキラという人を殺したとしても、貴方が他の誰かになれる訳じゃないんです、貴方は貴方ですから──
そんな中、彼の耳に誰かの声が飛び込んできた。
聞き覚えのある声に辺りを見渡すが、そこに人影はなく、ただ白い砂浜が続いているだけだった。
だが、それでもカナードはその声の主に気付いていた。
この世界から消えてしまった少年が、魂だけになっても自分に語りかけてくれたのだと・・・。
「そうだな・・・、俺は俺だ、プレア・・・、俺は俺が行く道を探そう、お前がそうしたように・・・。」
星の煌めく夜空を見上げながらも、彼は呟いた。
自分は自分だと、そして、これからやる事があると・・・。
他の誰でもない、自分自身というものを探すために、彼は歩き続ける。
逝ってしまった少年を追いかけ、彼の様に輝くために・・・。
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はいどうもでーす!
X ASTRAY編の完結です、とは言え、これからもこの作品は続いていきます。
それでは次回予告
戦いの渦が絶えぬ地球圏に、彼は何を追い求めるのか。
次回機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY
第二章 南米戦争編
戦場ジャーナリスト
お楽しみに~