機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY   作:ichika

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第二章 南米戦争編
戦場ジャーナリスト


noside

 

C.E.71年9月末、地球衛星軌道上に位置する宇宙要塞、アメノミハシラ。

 

そこはロンド・ミナ・サハクが治める宇宙要塞であり、看過できない程の戦力と、オーブのモルゲンレーテに匹敵する規模のファクトリーを有しており、様々な勢力から狙われている重要拠点でもあった。

 

その宙域からほど近い場所に、一機のMSの姿があった。

 

その機体は、ジャンク屋組合から発売された作業用MS,レイスタであった。

 

つい数週間前に終了したヤキン・ドゥーエ攻防戦までの期間に発生した大量のMSのジャンクパーツを回収し、再利用できるパーツを繋ぎ合せて製造された機体だ。

 

今、その宙域にいる機体は、一瞥するだけでは元となったM1アストレイにも酷似していたが、背面に追加されたスラスターや、両手で保持しているガンカメラから別機体である事が判る。

 

「よっし、感度バッチリだ、ここからなら撮影できるぞ!」

 

そのコックピットの中で、黒髪の先のほうが金色に染まった特徴的な髪を持った青年がカメラスコープを覗きながらも呟いていた。

 

服装や乗っている機体からして、軍人では無い事が判る。

 

彼の名はジェス・リブル、MSに乗り、世界を見て回るナチュラルのフォトジャーナリストだった。

 

尤も、彼の取材先は主に戦場やそこにいる住民や兵士であるため、戦場ジャーナリスト的な側面が強いのだが・・・。

 

だが、本人にとってはそれが本望、誰も知らない様な場所へ行き、そこで起きた事をありのままで世界に伝える事、彼はそれを信条にしているのだ。

 

「さて、マティアスの情報だとそろそろ来る頃か?」

 

ガンカメラのズーム機能を使用し、彼はアメノミハシラ付近に展開する守備隊を写す。

 

どうやら、アメノミハシラ側も彼と同じ情報を掴んでいるのだろう、既に防衛体制が出来上がっていた。

 

その様子を見詰めながらも、彼は数日前に依頼された内容を思い出していた・・・。

 

sideout

 

side回想

 

一週間前、ジェスは地球にあるとある屋敷に出向いていた。

 

その一室、広間にジェスは呼び出され、彼のクライアントである人物、サー・マティアスと向かい合っていた。

 

「と言う訳で、今回は宇宙での取材なのよ、MSに乗れるジャーナリストの君に頼しか頼めないのよ、引き受けてくれるから?」

 

椅子に腰かけ、ジェスに依頼をするマティアスは、情報を集め、それを基に連合やザフトに対しての交渉のカードとして利用するといった事を生業としており、ジェスはフリージャーナリストであるが故に拠り所を持たなかったため、彼を雇う事で生の声や実情を知る事が出来る様になったのだ。

 

「ユーラシア連邦がオーブのアメノミハシラを攻める・・・、確かなのか?」

 

何度も彼の依頼を引き受けた事のあるジェスだったが、あまりにも先を行くマティアスの情報には最初は疑問にも思う事がしばしある。

 

だが、それらは現実に存在し、発生する事が確かだったため、彼はマティスの情報力の凄まじさを改めて実感していたのだ。

 

「えぇ、まだ公に・・・、と言うより、隠密作戦に近い形ね、当事者以外誰も知らないでしょう。」

 

彼の疑問に答える様に、マティアスは確信めいた言葉を織り交ぜながらも話した。

 

隠密作戦であると言う事は、その情報を、証拠となる瞬間を押さえておけばこれもまた一つの交渉カードとして使用できる、それに気付いたのだろう、ジェスは表情を輝かせながらも頷いた。

 

「分かったよ、マティアス、悪いけどまたMSを用意してくれないか?」

 

「分かったわ、直ぐに手配させましょう、貴方、あたしのタイプだから♪」

 

了解したジェスにウインクしつつ、彼はMSの手配を約束していた。

 

そのオカマの様な口調に今だ慣れていないのだろう、ジェスは苦笑とも愛想笑いとも取れる笑みを零しながらも、部屋から出て行った。

 

sideout

 

noside

 

「今回の依頼も、誰も知らない情報って言ってたな・・・、何時もながら、マティアスの情報網には恐れ入るよ・・・。」

 

依頼された時の様子を思い返しながらも、彼はアメノミハシラの周囲に気を配った。

 

第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦から既に半月が経過し、停戦に向けての準備が進められているが、それは所詮、再び訪れる動乱への準備でしかなかったのだ。

 

そして、今回のターゲットとなるのは、巨大なファクトリーを有するアメノミハシラと、それを狙うのが前大戦で多くの兵力と月面基地を失った連合軍であるという。

 

考えてみれば有り得ない話ではない、宇宙での生産工場の中でも、中立的立場かつ巨大な設備を有しているのは、アメノミハシラ以外に存在しない、手っ取り早く使える場所にこれ以上と無い場所でもあった。

 

彼がそう考えていると、スコープの先で一機のM1Aアストレイが動き、虚空に向けてライフルを発射した。

 

誤射ではない、その射線の先には幾つものスラスター光が見て取れ、アメノミハシラへと向かって行く。

 

「来たか!!」

 

ズーム機能を使用し、向かってくる機影を写す。

 

そこには、ざっと見て30機近い数を誇るストライクダガーの大軍が展開しており、アメノミハシラを守るM1A部隊と交戦に入っていた。

 

物量で勝るユーラシアの部隊だが、練度は然程高くない様で、少数ながらもエースパイロット級を揃えるM1A部隊と拮抗していた。

 

「ユーラシアは相変わらずの物量戦か・・・、だけど、防衛隊側が不利か・・・?」

 

その戦闘の様子を覗きながらも、ジェスは戦力差を分析していた。

 

確かにアメノミハシラのMS隊は精鋭揃いではあるが、所詮は私兵団、連合の様な大部隊を揃える事は出来ない。

 

故に、現在展開しているユーラシアの戦力の半数にも満たないアメノミハシラ側の状態を心配しているのだろう。

 

だが、そんな彼の不安を否定する様に、アメノミハシラから更にMSが出撃してきた。

 

「ソードカラミティにレイダーか!これは良い画になる!」

 

珍しいMSの出撃に興奮しているのだろう、彼は表情を輝かせながらもカメラを回した。

 

そんな彼の目の前では、戦列に参加したソードカラミティとレイダーがストライクダガー部隊と交戦に入っていた。

 

かなりの腕のパイロットが乗っているのだろう、コックピットやバイタルエリアを避けながらも、二機は的確にダメージを与え、ダガーを次々に退けて行く。

 

「これはアメノミハシラが有利・・・、ん・・・?」

 

このままユーラシア劣勢のまま終わると思っていたジェスの視界の端に、何かが映り込んだ。

 

彼はその方向へとカメラを向けると、MSが二機、凄まじい勢いでソードカラミティとレイダーへと突っ込んで行くのが見えた。

 

それは、それぞれのパイロット専用を現すパーソナルカラーに塗装された、ソードストライカーを装備した105ダガーだった。

 

「黒と赤のダガー・・・!?なんて速さだ!!」

 

黒いダガーはシュベルト・ゲベールを両手に保持し、赤いダガーはマイダス・メッサーを右手に保持していた。

 

彼の目の前で黒いダガーはソードカラミティに急接近、回避しようとするカラミティの両腕を切り裂いた。

 

その付近では、赤いダガーがパンツァー・アイゼンを射出し、レイダーの頭部を掴み、自身の方へと引き寄せながらもビームブーメランで頭部を切断していた。

 

それは、まさに一瞬の内に起こり、瞬きをしている間に終わっていた。

 

「一瞬で・・・!?なんだあの二機は・・・!?」

 

あまりの手際に、ジェスは驚愕した。

 

エースパイロットなんて生易しい物ではない、あの二機に乗っているパイロットは只者では無いと言う事しか、彼には分かり得なかった。

 

戦闘不能になったソードカラミティとレイダーにトドメを刺すつもりなのだろう、黒と赤のダガーは得物を構え、虚空を漂うだけの二機へと突っ込んでゆく。

 

墜とされる・・・!!

 

そう思った彼の目の前で、何処からか飛来した弾丸が二機のダガーの行く手を阻む。

 

威嚇射撃だったのだろう、進路に撃たれただけで直撃させる様な気配は微塵も無かった。

 

「何処から・・・!?」

 

慌ててカメラのズーム機能を使用してみると、アメノミハシラの傍に三機のMSの機影が確認できた。

 

「あれはデュエルにバスター・・・、それにストライク・・・!?」

 

その三機は、少し軍事を知っている人間であるなら常識と言われる機体だった。

 

GAT-Ⅹ102 デュエル

GAT-Ⅹ103 バスター

 

そして、GAT-Ⅹ105 ストライクだった。

 

大西洋連邦が最初に造った試作型MSであり、前大戦では連合、ザフトにおいて多大な戦果を挙げた機体達だった。

 

「何故あの機体が・・・!?それにストライクの装備・・・、あんなの見た事無いぞ!!」

 

デュエルとバスターは彼も資料映像で何度か目にした事があり、その装備の特徴は掴んでいたが、ストライクが背面に装備している物は、彼にとっては初めて目にするものだった。

 

驚愕する彼の目の前で、ストライクは腰元から二本の実体剣を引き抜き、黒いダガーへと向かってゆく。

 

それに応じたのだろう、シュベルト・ゲベールを構えた黒いダガーも動きだし、ストライクとの距離をどんどん詰めて行く。

 

四本の対艦刀がぶつかり合い、閃光を散らして辺りを一瞬照らしていた。

 

ストライクのパイロットもかなりの腕を持っているのだろう、ソードカラミティを一瞬で屠ったダガーを相手に拮抗状態に持ち込んでいた。

 

それを脇目に、赤いダガーとデュエル、そしてバスターも交戦に入っていた。

 

デュエルはビームサーベルで赤いダガーに切りかかり、バスターは回避した所に砲撃を加え、徐々に追い込もうとしていた。

 

だが、そう簡単に墜とされる気は無いのだろう、赤いダガーはそれら全ての攻撃を捌き、デュエルと切り結ぶ。

 

「なんて・・・、なんて戦いだ・・・!!すげぇ!!」

 

目の前で繰り広げられるエースを超えたパイロット同士が織り成す戦闘に、ジェスは目を奪われた。

 

殺し合いだと分かってはいる、だが、その事を忘れさせる様な凄まじさが目の前の戦闘にはあった。

 

それを見逃してはならないと感じたのだろう、彼はカメラを回し続けた。

 

だが、そんな熱気に水を差すかのごとく、レイスタのコックピットにアラートが鳴り響く。

 

「なんだ・・・!?これはMS反応!?」

 

彼が計器を見ると、アメノミハシラへ接近してゆく反応があった。

 

一機や二機ではない、一個中隊クラスの戦力だ。

 

「この角度は・・・、アメノミハシラの直上!?別働隊がいたのか!!」

 

反応があった方向へとカメラを向けると、そこには幾つものスラスター光が確認できた。

 

なるほど、守備隊が戦っていたのは陽動、本命は直上から攻め入る部隊だったのだ。

 

アメノミハシラ直上には守備隊は展開しておらず、全くの無防備と言って良い、完全に裏をかかれている様にも見えた。

 

ストライクや他の防衛部隊は陽動側の敵機と交戦しており、迎撃に向かう事が出来ない。

 

「このままじゃ・・・!アメノミハシラが墜ちる!!」

 

その時だった、もう間もなくアメノミハシラに取り付こうとしていたストライクダガーが四肢を寸断されてゆく。

 

「なんだ・・・!?」

 

何もない筈の空間から攻撃が次々に繰り出され、接近していたユーラシアの機体を戦闘不能へと追い込んでゆく。

 

しかも、その全てが武装や手足のみを破壊し、コックピットやその周辺には全く当たっていなかった。

 

『我が名はロンド・ミナ・サハク、連合の兵よ、何故我が城を攻める?』

 

困惑する彼の耳に、涼やかな女性の声が届く。

 

それと同時に、奇襲部隊の前方の空間が揺らめき、金色のフレームを持った黒き機体が姿を現した。

 

「あれがゴールドフレーム・・・!ロンド・ミナ・サハクか!!」

 

彼はその機体に乗る人物を知っていた。

 

天空の城を守護する女王、オーブのロンド・ミナ・サハクとその機体、ゴールドフレーム天ミナ。

 

先程の攻撃も、ミナの卓越した技量で敵機にダメージを与えていたのだと、彼は気付いた。

 

『こちらはモーガン・シュバリエ!そちらのファクトリーを提供して頂きたい!!』

 

驚愕と興奮に打ち震える彼に、新たな声が届く。

 

「モーガン!?月下の狂犬まで出て来たのかよ!!」

 

彼の目の前には、ガンバレルストライカーを装備した105ダガーの姿があり、損傷した味方を庇う様にゴールドフレームと対峙していた。

 

どうやら、今回の作戦においてのユーラシアの指揮官はモーガンの様だ。

 

まさかの展開に、ジェスは身を乗り出した。

 

ロンド・ミナが出てくる事は予想していたが、モーガンが出てくるとは思っても見なかったのだろう、カメラを覗き込む彼の表情は輝いていた。

 

『・・・っと言っても無理な話だと分かっている、すまないな、上層部の一部が軍需産業の社員に唆されているんだ。』

 

『そうと知りながらも戦うか?』

 

『軍人だからな、命令には逆らえんさ。』

 

オープンチャンネルで通信しているのだろう、モーガンの苦笑交じりの声と、ロンド・ミナの探る様な声が彼の耳に届く。

 

どうやら、この作戦を実行するに至った経緯を話しているようだが、そう簡単に話しても良い事なのだろうかとジェスは首を傾げた。

 

『そちの立場は分かった、この私が相手をしてやろう。』

 

『ありがたい!傭兵の御二人さん!これは俺の戦いだ、手出し無用で頼むぜ!!』

 

彼女の申し出に答え、モーガンは黒と赤のダガーに向けて通信を入れた。

 

どうやら、あの二機は傭兵が乗っていたらしいが、今の彼にはそんな事はどうでも良かった。

 

「これは・・・!世紀の対決だっ!!」

 

たった今、彼の眼前で行われようとしているのは、世間に名の売れたパイロット同士の戦いだ、その戦闘能力も、並のパイロットの比ではない。

 

そんな者達の戦闘が始まるのだ、若干戦闘マニアの気があるジェスにとっては、取材以上に自信が撮りたいと思える画なのだろう。

 

『行くぞ!!』

 

宣言と共に、モーガンはガンバレルを四基とも射出、ゴールドフレームの周囲へと展開させ、同時攻撃を開始する。

 

その攻撃は面と呼んでも差し障りが無いほどに多く、並のパイロットでは回避する事すら出来ぬだろう。

 

だが、ミナほどのパイロットともなれば回避する隙間など幾らでも探し出せるのだろう、ゴールドフレームはステップでも踏むかの如く弾丸の雨を回避し、ガンバレルを撃ち落そうと攻撃を仕掛ける。

 

その様子はまさしく、エースを超えた者が織り成す、美しくも苛烈な戦いだった。

 

「ミナもモーガンもすげぇパイロットだ・・・!いつかインタビューしてみたいぜ!!」

 

エースパイロットとしての彼等ではなく、一人の人間としての彼等の生の声が聴きたい、ジェスはそう願ってやまなかった。

 

人の声を聞き、その人物達と関わる、その事を世界へと伝えたいと言う想いに裏打ちされた願いでもあった。

 

だが、いくらそう願えども目の前で起こっている事は殺し合い、謂わば紛争に近しい物だった。

 

『くっ・・・!!』

 

ミナの正確無比な射撃が105ダガーを襲い、ガンバレルが瞬く間に二基破壊された。

 

「ガンバレルがやられた!モーガンがやばいっ・・・!!」

 

このままでは彼が負ける!

 

そう思うジェスの目の前では、ゴールドフレームが腰に付けていたレイピアを抜刀、残った二基のガンバレルを破壊、トドメを刺そうと105ダガーへと向かってゆく。

 

「・・・っ!!やめろぉーっ!!こちらジャーナリストのジェス・リブルだ!!モーガン!この戦いはアンタの負けだっ!!」

 

折角の人物が死ぬのが耐えられないのだろう、ジェスはレイスタを操縦し、二機の間に割り込みながらもオープンチャンネルで叫んだ。

 

『フッ!とんだ珍客のお出ましか?だが、貴様の言う通りだ、我々は負けた、ロンド・サハク、撤退を認めてはくれないか?』

 

彼の登場に苦笑しながらも、モーガンは時が来たと言わんばかりにロンド・ミナに尋ねていた。

 

『見事な判断だ、撤退を認めよう、追撃せぬよう、全機に達しておこう。』

 

「えっ・・・!?そんなあっさり・・・!?」

 

敵の撤退を嫌にあっさり認めたミナの言葉が信じられなかったのだろう、いくら止めに入った身とは言えど、ジェスは驚きを禁じ得なかった。

 

『部下を殺さない配慮に感謝する、次こそは本気で頼むぞ、ははは。』

 

MSで器用に敬礼し、モーガンは部下と傭兵二人を引き連れて撤退していった。

 

「何故・・・、っ!そうか!分かったぞ・・・!!」

 

何故モーガン達の撤退を認めたのか、その理由を考え付いたのか、ジェスはハトが豆鉄砲を喰らった様な表情をしていた。

 

先程、モーガンは上層部が軍需産業に唆されていたと言っていた、つまりは、彼にとっても納得がいかない命令であると言う事だと・・・。

 

「モーガンは初めから負けて撤退するつもりだったのか・・・!ロンド・ミナもそれを察して・・・!何てすげぇ奴等なんだ・・・!!!」

 

最初の一言を交わすだけで、刃を交えるだけで意志の疎通が出来てしまう、そこに痺れたのだろう、彼は目を輝かせ、撤退していくモーガンを見送り、ゴールドフレームに振り返った。

 

既にM1Aやデュエル、バスターはアメノミハシラへと戻って行こうとしていた。

 

それを確認したのだろう、ミナも機体を反転させ、帰還しようとしていた。

 

戦闘は終了したために、ジェスの仕事も終了した、ここに留まる必要は無い。

 

だが、目の前には己の信念を持ったエースパイロットがいる、こんな機会はまたと無いチャンスだった。

 

「待ってくれロンド・ミナ!!取材させてくれーっ!!」

 

それを無駄にはしたくなかったのだろう、彼は機体を動かし、ミナへと近づいて行った。

 

だが・・・。

 

『待て、ジャーナリスト、ミナに取材したいのならまずは事務所を通してもらおうか。』

 

「誰だ・・・!?」

 

突如若い男性の声がジェスの耳を打つ。

 

モニターを見ると、ストライクがレイスタとゴールドフレームの間に割り込み、レイスタの肩を掴んでいた。

 

どうやら、ストライクのパイロットが彼に接触通信を入れてきた様だ。

 

その声には僅かな警戒の色が窺えたが、ジェスを即座にどうこうしようという様な雰囲気ではなかった。

 

「ストライク・・・!さっきの黒い奴と戦っていた奴だよな?聞こえてるか!?俺はアンタにも取材したいんだ!頼むよ!!」

 

乗っている人間を知っている訳じゃないが、それでも、自分の目の前で凄まじい戦闘を見せた人物の、その本当の姿を見たいと言う想いが彼にはあった。

 

『俺にもだと・・・?どういうつもりだ・・・?』

 

ジェスの申し出の真意が分からなかったのだろう、ストライクのパイロットである男性は困惑の色が混じった声を零していた。

 

『良いではないか一夏、通してやれ、私は構わぬよ。』

 

ジェスの事に興味を持ったのだろうか、ロンド・ミナはストライクの肩に手を置きつつも取材を受け入れる様な言葉を発していた。

 

「ホントか!?ありがとう!!」

 

こうもあっさりと取材がもらえるとは思っても見なかったのだろう、ジェスは表情を輝かせていた。

 

写真を撮る事はもちろん好きだが、彼にとっては生の人間の言葉を聞く事こそ喜ばしい事なのだろう。

 

『私は先に戻る、ジャーナリストの案内は任せたぞ一夏。』

 

ストライクのパイロットに案内を任せ、ミナはゴールドフレームをアメノミハシラに向けて去って行った。

 

『はぁ・・・、ミナの奴・・・。』

 

自分に役目を押し付ける様なミナに、頭痛でもするのだろうか、パイロットの男性は盛大なため息を零していた。

 

『まぁ・・・、許可が出たんなら案内しないとな、えーっと・・・?』

 

道案内をするべく、彼はジェスに指示を出そうとするが言葉に詰まっていた。

 

どうやら、ジャーナリスト呼ばわりでは無く、ちゃんと名前で呼びたいのだろうが、如何せん、互いに初対面に等しく、顔も名前も知らないのだ。

 

「あっ、悪い、自己紹介がまだだったよな、ジェス・リブルだ、ジェスと呼んでくれ。」

 

それを察したジェスは映像回線を開き、自身の顔をストライクのパイロットに晒した。

 

それを見たストライクのパイロットは暫く考え込む様な様子だったが、ヘルメットを脱ぎ、顔を晒した。

 

『アメノミハシラの織斑一夏だ、一夏と呼んでくれ、着いて来てくれ、ジェス。』

 

「分かったよ、一夏。」

 

一夏に促され、ジェスは自分の機体を動かし、アメノミハシラへと進んでゆく。

 

自分の仕事をするために、そして、自身の目で現実を見る為に・・・。

 

sideout




次回予告

真実を追う者と過去を抱える者が相見える時、彼等は互いに何を想うか・・・。

次回機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY

ジェス・リブル

お楽しみに。
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