機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY   作:ichika

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決戦前夜

sideセシリア

 

「一夏様~、いらっしゃいますか~?」

 

第12基地の格納庫にやって来ました私とシャルさんは、愛しの旦那様であります一夏様をお呼びします。

 

これからの作戦について、一応の確認をしておこうと立ち寄った訳ですの。

 

一夏様はストライクの量産機部隊を率いて、私はジェーンさんと共に海で、シャルさんはバリーさんの援護として空を担当して戦う事となりましたので、いざと言う時に何処に集うべきかなど、細かく決めておきませんと、三人そろってアメノミハシラへ帰れませんものね。

 

「おう、セシリア、シャルも、そっちの訓練は終わったのか?」

 

「うん、バリーさんとも大体の打ち合わせは終わったし、後は僕達の事でちょっと決めておきたい事があるんだ。」

 

ストライクのコックピットから降りてこられました一夏様に用件を説明しながらも、シャルさんはスポーツドリンクが入ったボトルを手渡しておられました。

 

「あぁ、撤退先の事な、そうだなぁ、沿岸だと見付かり易いし、ジャングルの中の方が良いかもな。」

 

私達の考えていました事が伝わったのでしょう、一夏様は思案なさる様な表情を御見せになりながらも、場所の指定をなされていました。

 

「ですが、Nジャマーの影響を考慮しませんと・・・、通信が繋がらなければ合流が出来ませんわよ?」

 

「それもそうだな、だからと言って、明確な場所指定も難しいな・・・。」

 

そうなんですのよねぇ・・・、私達はこの南米の事をあまりよく存じ上げておりませんし、下手にしていしまえば、間違いなく混乱を呼びますし、市街地などには流石に近づけませんしねぇ・・・。

 

どうしたものでしょうか・・・?

 

「戦いが終わったらエドを目指して終結ってのもアリかもな、その方が色々と手間が省けそうだ。」

 

「そっか、確かにそれなら見つけやすいし、良いかもね。」

 

なるほど、勝鬨が上がった場所へ向かえば、必然的に合流できますものね、その方が効率的ですわね。

 

しかし、それを果たすためには、まず私達が生き残る事が最低でも必要となるでしょう。

 

厳しい戦になる事でしょうが、ここは何としても、最善を尽くすと致しましょう。

 

「隊長、お取込み中申し訳ありませんが・・・、こちらのデータにお目通しをお願いできますか?」

 

そう思っていた時でした、一夏様の部下と思しき褐色の女性がこちらに歩み寄り、一夏様に何かのデータを手渡されていました。

 

どうやら、機体の反応速度数値と、戦場での足場の関係が記されているのでしょう、それに目を通された一夏様の表情が険しい物に変わられました。

 

「ミーナはこのままでいいとして、コージのこの数値はなんだよ・・・、機体の適正と合ってないじゃないか、少し見てくる。」

 

「はい、お願いします。」

 

何か装備に問題があったのでしょう、一夏様は一機のダガーLの方へと歩いて行かれました。

 

「貴女は・・・。」

 

「あっ、申し遅れました、私は一夏卿の配下であります、フィーネルシア・フェルミと申します。」

 

私が名を尋ねるより早く、フィーネルシアさんは頭を下げてくださいました。

 

私達よりも僅かに若い程度でしょうか、同年代の女性にあからさまな敬語を使われますと、何かとむず痒い物がありますわね・・・。

 

「フィーネルシアさん、ですわね、私はセシリア・オルコット、一夏様の妻です、どうかお見知りおきを。」

 

「僕はシャルロット・デュノア、一夏の妻だよ、よろしくね~。」

 

「た、隊長の奥方様、ですか・・・!?」

 

私達が名乗りますと、フィーネルシアさんはどこか驚いた様に目を丸くされておりました。

 

・・・、なるほど、一夏様が既婚者だったという事に驚かれたのか、もしくは落胆でしょうか・・・。

 

「とは言いましても、事実婚というだけで、籍は入れておりませんが・・・。」

 

「そう、ですか・・・。」

 

やはり、一夏様に気があったという事ですか、妻としては旦那様が好い男だという事に悪い気は致しませんが、女としていうなれば、少々妬けてしまうのも致し方ないというものでしょう。

 

「でもねぇ、最近一夏って冷たいんだよね~、この前は僕達をほったらかしてザフトのエースと戦ったりしてたし、今は、ねぇ?」

 

「はっ・・・!?た、隊長をお借りしています、も、申し訳ありません・・・!!」

 

何処か含みのあるシャルさんの物言いに、御自分が一夏様を私達から盗っているのだと感じられたのでしょう、フィーネルシアさんは勢いよく頭を下げられておりました。

 

「シャルさん、何脅しているのですか、一夏様に怒られますわよ?」

 

「えへへ、ついやっちゃった♪」

 

私の戒めに、シャルさんは悪びれた様子も無く舌を少しだけ出しておどけていました。

 

そんな私達の様子を不安そうに見ながらも、フィーネルシアさんは続く言葉を待っている様でした。

 

しかし、フィーネルシアさんは何も悪くはありません、一夏様はのめり込むと周りが見えなくなる御方ですから、こういう風にほったらかしにされるのはもう慣れっこですもの。

 

本音を言うのでしたら、私達も一夏様の傍で戦いたいところですが、今回は一局集中よりも多方面に戦力を振り向けなければなりませんから、そういう訳にもいきません。

 

「フィーネルシアさん、一夏様の事、よろしくお願いいたしますわね?」

 

「僕達は一緒に戦えないからさ、だから、君に彼の事、任せても良いかな?」

 

「そんな・・・!私なんて、まだまだです・・・!隊長を、そんな・・・。」

 

御自分にはその力量が無いと表情を曇らせる彼女に、私は何処か安心感を抱きました。

 

自分の力を見誤らず、それでいて謙遜なされる姿勢は好感が持てます。

だからこそ、私達は旦那様の背中を任せても良いと、無意識の内に感じ取れたのでしょう。

 

「貴方だから、御頼みしているのです、私達の代わりなどとは申しません、貴女ご自身の想いで、一夏様の御傍にいてあげて下さいな。」

 

「セシリア卿・・・、シャルロット卿・・・。」

 

私の言葉に、彼女は不安げながらも私達を見詰め返した後、覚悟を決めて様にその表情を凛々しい物へと変えられました。

 

「分かりました、このフィーネルシア・フェルミ、必ずや、御二人に隊長をお返し致します、ですから、それまでお待ちください!」

 

「はい♪」

 

自分に任せてくれと言うフィーネルシアさんの言葉に微笑みながらも、私は心の何処かで楽しみにしていたのかもしれません。

 

私達の本当の姿を知らない彼女が、私達を癒してくれる事を・・・。

 

「フィーネルシア、一度模擬戦に出るぞ、お前も早く来い!」

 

「は、はい!」

 

一夏様に呼ばれたのでしょう、フィーネルシアさんは私達に一礼した後、エールストライカーを装備している一機の105ダガーへと走って行かれました。

 

もう少しお話ししたいところでしたが、今はその時ではないでしょう。

この戦争が終われば、またいずれ・・・。

 

「さぁ、シャルさん、一夏様の隊の方々にお飲物でも用意してお待ちしておりましょう?」

 

「だね、ここじゃあ、邪魔になるもんね。」

 

暴風に吹き飛ばされない内にお暇いたしましょう。

そんな事を考えながらも、私達は連れだって格納庫を後にしました・・・。

 

sideout

 

side一夏

 

セシリアとシャルと別れた後、俺は隊のメンバーと模擬戦形式の訓練に出た。

 

ストライクも地上専用、それも密林地帯に存在する腐葉土等に対応するために接地圧を合わせるなどして地形条件に合わせてあるから、重力があるという以外は宇宙と変わらぬマニューバを見せる事が出来る様にしておいた。

 

その恩恵かなんだろうか、俺はたった一機で部下達のダガー五機と渡り合っていた。

 

レールガンで砲撃機の足元を狙い撃ち、体制を崩させて援護どころではなくする。

 

『うわっ・・・!?」

 

『なんて射撃の精度・・・!?』

 

彼等に立て直させ様としているのだろうか、俺に向かってくる二機のソードストライカー装備のダガーLの斬撃を半身になることで避けつつも、峰打ちで転倒させた。

 

『きゃっ・・・!?もぉ~!!手加減してくれてもいいんじゃない~!?』

 

『躱された・・・!?早過ぎる・・・!』

 

あまりの力量の差に為す術なく倒れ伏したミーナとネーヴェのダガーLを踏み台代わりにして飛び上がり、上空から攻めて来たフィーネルシアのエールストライカーを装備した105ダガーと切り結ぶ。

 

「攻めてくる角度は悪くなかったが、タイミングが遅かったな、討ち損じだ。」

 

『流石は隊長・・・!我々を歯牙に掛けぬほどお強いとは・・・!!』

 

お褒め頂くのはありがたいが、まだまだ満足はしていない。

俺はまだ、アイツに勝てていないんだ、この程度で満足していたら俺は勝てないんだ・・・!

 

だからこそ、俺は戦い抜い続けてやる、自分に気けじめを着けるためにも・・・!!

 

「アイツはもっと強かったぞ・・・、俺を恐怖させるぐらいに、な・・・!!」

 

ビームサーベルと拮抗させていたシールドを推力任せに押し込み、フィーネルシアの機体姿勢を崩させた。

 

「まだ、俺は強くなる・・・!!」

 

そのままの勢いでビームサーベルを弾き飛ばし、背後に回り込みながらも地表へと蹴り落とした。

 

『きゃぁぁっ!?』

 

通信機からフィーネルシアの悲鳴が聞こえてきたが、そこまで高度は高くないから怪我もしていないだろう。

 

「模擬戦終了だ、機体を格納庫へ戻せ。」

 

彼等の腕は大体分かった。

シュミレーション慣れしすぎているせいか、俺の様な我流の戦い方に弱いらしい。

 

腕は悪くないのだが、実戦経験不足と言わざるを得ないと言うのが本音だ。

 

まぁ、それは経験を積む以外にそれを補う事は出来ないから今すぐに強くなるのは難しいだろう。

 

『了解しました、あの、隊長・・・。』

 

「どうした?」

 

他の隊員達が帰投していく中、フィーネルシアが俺に何かを尋ねてきた。

先程の模擬戦の講評ならば格納庫でも良い筈だ、何がどうしたと言うのか?

 

『隊長、私は、貴方に付いて行けてますか?』

 

「どういう意味だ?」

 

意味が測りかねるな・・・、どういう事だろうか?

 

『セシリア卿とシャルロット卿に、貴方を頼むと言われました、ですが、私はこんなので良いのかって・・・。』

 

なるほどな、セシリアとシャルから頼まれた手前、こんな無様なままでいいのかって事か?

良い心がけだが、それは自分を追いつめる事にもなりかねんからな。

 

「気にする事は無い、お前はお前のまま、俺に付いて来てくれればそれで良いさ、あの二人の代わりなんて、誰にも務まりやしないんだからさ。」

 

そりゃ、前世から全てを捨ててまで俺を愛してくれている人達と比べるのは酷な話だ、入れ込み様も桁違いなんだからな。

 

だが、俺達の仲を承知したうえで、彼女は俺に付いて来ようとしてくる、それに答えてやらないと男が廃るってもんだ。

 

「だから、俺を信じろ、お前も、隊の皆も全員で生き残させてやるからな。」

 

『はい・・・!お願い致します!』

 

それで良い、今はただ、俺の背を追って来い、追い着けた時に、お前は知るんだからな。

 

「よし、基地に戻るぞ。」

 

『はい!』

 

俺の後に付いて来る事を確認しながらも、俺はストライクを基地に向けて飛翔させた。

 

さて、こんだけ期待されちゃ、身体張ってやらねぇと、な・・・?

 

sideout

 

noside

 

とある日の夜、南米軍のキャンプの一角にある仮設家屋の中で、ジャーナリストのジェス・リブルはコンピュータを使って、自身が取材していた内容を記事にまとめていた。

 

ここに来てからというもの、彼は様々な人物と出会い、その生の声を聞く事が出来た。

 

『エドワード・ハレルソン、人は彼の事を≪切り裂きエド≫と呼びたがるが、そんな通り名とは違い、彼は穏やかで明るい男だ、彼は南米の事を誰よりも思い、誰よりも前に立って戦っている、そんな彼を見ている人達なら、きっと分かる筈だ、彼は一人で戦っている訳じゃないと、共に戦う人々と共に戦っているんだと。』

 

記事に自身が撮った写真を貼り付け、彼はその日の記事の作成を終えた。

 

その写真には、ソードカラミティを背景にポーズを撮るエドの姿や、その協力者達、そして、南米の人々の姿が写っていた。

 

彼等の目には希望の光が宿っており、絶対に負けてたまるかと言う様な気概が見て取れた。

 

「俺の報道で、誰かにここの事を分かってくれれば、良いんだけどな・・・。」

 

ここの戦況は、彼が様々な媒体を通じて発信してはいるが、連合軍は攻め手を緩める事は無く、他の場所での反応も彼には届いていない。

 

それ故に、本当に自分の報道が誰かに届いているのかと不安になってくるのだろう。

 

「他の奴らに届いてなくとも、俺達にはしっかり届いてるさ。」

 

そんな彼の言葉に答える様に、背後から声が返られた。

振り返ると、そこにはビールジョッキを持った一夏が立っていた。

 

「相変わらず、ジャーナリストの悩みは尽きない、か?」

 

「一夏・・・、からかわないでくれよ。」

 

テーブルの上にジェスの分のビールジョッキを置きながらも、彼は手近な椅子に腰掛けながらも尋ねていた。

 

「まぁ、な・・・、俺がやってる事って、本当に誰かに伝わってるのかって、思ってさ・・・、俺が報道をしても、何も変わっちゃいないから、余計にそう思うんだ・・・。」

 

南米に来る以前からの付き合いである一夏ならば、自分の心情が吐露出来ると感じているのだろう、ジョッキを受け取りながらも、彼は何処か悔しそうな表情で呟いていた。

 

彼も不安なのだろう、自分がこのままやる事が正しいのかどうか・・・、彼には分からなくなりつつあった。

 

「人と人の輪は、そんな簡単には広がらない、情報だって同じだ、誰かを経て、また誰かに繋がって行く、ゆっくりと、それでいて確かにな・・・。」

 

空になったジョッキに新しくビールを注ぎながらも、彼は自分なりの言葉を紡いだ。

 

「だから、焦る事なんて無いさ、お前はお前に出来る事を、俺は俺に出来る事をする、それでいいんじゃないか?」

 

「自分に出来る事・・・、俺に出来る事・・・。」

 

彼の言葉に感じるものがあったのだろう、ジェスはその言葉を反芻する様に呟いていた。

 

「そう、だよな・・・、それしか出来ないなら、それだけをやり通せば良いんだよな!」

 

「あぁ、それが俺達に出来る事なら、やってみて行き当たったトコで考えればいいだろ。」

 

何かを理解した様に表情を明るくした彼の言葉に呼応しつつ、一夏はジョッキを顔の高さに掲げていた。

 

「ま、今は男同士で呑んで、明日への糧にしようぜ?」

 

「そうだな!遠慮なく呑むぞ~!!」

 

気負いすぎるなと言わんばかりの、一夏なりの気遣いに気付いたジェスは、それを無碍にはすまいとばかりジョッキを持ち直し、彼のジョッキと乾杯して一気にビールを咽に流し込んで行く。

 

「良い飲みっぷりだ、俺も釣られて呑みすぎてしまいそうだな。」

 

そん彼に負けじと、一夏はジョッキに口を付け、咽にビールを流し込んで行く。

 

「早々に潰れないでくれよ?ここに来てから呑めなかったから、じっくり楽しみたいんだ。」

 

「こっちのセリフだっての!」

 

それに対抗するかの様に、ジェスも彼が持って来ていたビールをジョッキに注ぎ直し、浴びる様にして飲み干してゆく。

 

普段から抱えるモノが多すぎる一夏と、危険に身を投じ過ぎているジェスには、それなりのストレスがあり、特に一夏は自身のプライドから、喩え自分の妻に対してでも弱った部分を見せたくはないと言う事もあり、こうやって吐き出す事がどれほど大切なのかと良く分かっていた。

 

だが、本人達がどう思っていようが彼等を取り巻く環境は、彼等を想い、寄り添ってくるのだ。

 

「一夏、ジェス、こんな寂しいトコで呑んでるなよな。」

 

そう言いながらも現れたのは、酒が入ってほんのり肌が赤くなったエドと、ジェーンだった。

 

「特に一夏、アンタ、自分の嫁をほったらかしにするのはどうなんだい?それに、隊員達とも交流しとかないと、隊長としての問題もあるよ?」

 

「それは言わないでくれよ・・・、まぁ、貴女の言う通りだ、カイトがセシリアとシャルを口説いてないかも心配だし、釘刺しに行くとでもするか。」

 

ジェーンの言葉に苦笑しながらも、彼は部屋から出て、

カイト達がいる場所まで行ってしまった。

 

「ジェス、俺達も行こうぜ、仲間同士なんだし、腹割って語り合おうぜ?」

 

「そうだな、先行っててくれよ、すぐに追い駆けて行くからさ。」

 

「おう、早く来いよ?」

 

彼を誘った後、待たせている者達がいるのだろう、エドはジェーンと共に部屋から出て行った。

 

そんな恋人達を見送り、彼は書き上げていた原稿を保存し、端末の電源を落としながらも願っていた。

 

今、この地で共に戦う者達に、真の勝利が訪れる様に、と・・・。

 

sideout

 

noside

 

それからさらに数日の後、南米軍の早期警戒レーダーが南米を取り囲むようにして侵攻してくる連合の艦隊の姿を捕捉していた。

 

「連合軍艦隊来ます!!領海内に侵攻中!輸送機の発艦も確認!!」

 

作戦指揮所に届いた報告を受け、エドを始めとする南米軍に参加するパイロット達の内、地上で連合を迎え撃つ者達はは自身の機体へと走った。

 

「ストライカーズ、発進準備は出来てるな!遅れるなよ!」

 

その中の一人、ストライク系の機体で編成された部隊長である織斑一夏は、愛機であるストライク+Ⅰ.W.S.P.に乗り込みながらも部下であるパイロット達に号令を飛ばしていた。

 

『コージ・ジンクス、105ランチャー、問題ありません、いつでも行けます。』

 

『ミーナ・カーバイン、Lソード、いつでもどうぞ~♪』

 

『キース・チャップマン、LD、準備OKです!』

 

『ネーヴェ・ヴァリーチェ、Lソード、行ける。』

 

四名の隊員達が機体を立ち上げながらも、出撃準備が出来ている事を彼に報告していた。

 

因みに、彼等の機体が装備しているストライカーは、一夏が隊長に着任してから行った模擬戦内での結果を考慮し、それぞれの適正に合わせて一夏が装備させたものである。

 

また、敵も彼等と同じくストライカーパックを装備した機体を多数投入してくる筈であるため、武器は敵から奪い取る事で幾らでも使用可能といった利点もあるため彼等の部隊は先駆けとして、大西洋側から侵攻してくる敵部隊を迎え撃つ手筈となっている。

 

『フィーネルシア・フェルミ、105エール、発進準備完了しました、指示をお願いします、隊長。』

 

「了解した、ストライカーズ各員に達する、この織斑一夏のストライク+I.W.S.P.に続け!!」

 

ストライクのPS装甲をオンにしながらも、彼は部隊の戦闘に立って隊を率いる様に機体の腕を挙げた。

 

それに呼応するかのように、彼の部下達は一人を除いて全員が得物を頭上に掲げた後、先行するストライクの後に続いたのであった。

 

暫く進んだ所で、彼等は一旦進軍を止め、各個に通信回線を開いていた。

 

「この先は手筈通り、隊を二つに分けて連合を挟撃する、敵に気取られない様に注意してくれ。」

 

一夏は隊員達それぞれを見ながらも、どう分けるかと頭を悩ませていた。

 

バランス良く半々に分け、其々に役割を当てて迎撃に当たる事が戦術的に好ましい事は分かっていた。

 

ソードが二機に遠距離支援機が二機、そして機動力を持った機体が二機と、巧く分けられる様になっており、何の迷いも無く隊を分けられる、筈であった。

 

『しかし隊長、お言葉ですが我等だけでは支えきれるかどうか・・・。』

 

『それに、三機ずつだと、どちらか片方ヤられた時、不利じゃないかしら?』

 

そう、彼の部下達は、一部を除いて腕が立つとはお世辞にも言えない、新兵に毛が生えた程度のレベルでしかなかった。

 

そのため、もし彼等の作戦に対応し、別働隊を攻める敵が現れた際に、一夏ならば対処可能でも、彼等にそれが出来るかと尋ねられれば首を傾げざるを得ないのは目に見えていた。

 

「だなぁ・・・、どうするべきか・・・。」

 

エドから預かった大切な兵士達だ、一人でも欠けてしまえば、エドに会わせる顔がないと彼自身痛感しており、自分の判断にそれが重く圧し掛かっているのであろう。

 

「(やっぱ、こういう時は俺が全部背負ってやる事がいいか・・・?ストライク、悪いが無茶に付き合ってもらうぞ?)」

 

覚悟を決めたのだろうか、彼はタメ息を一つ吐き、全員に向けて通達した。

 

「全員、よく聞いてくれ、俺がストライクで先行する、その後でフィーネルシア、ミーナとネーヴェはコージとキースの護衛を行いながらも敵を掃討してくれ、俺に注意を向ければ何とかなるだろう。」

 

そう、彼はストライクという、自機の希少性とそのネームバリューを使い、敵の気を向けさせる事で部下の負担を減らそうと考えたのだ。

 

それならば、下手に討たれる者は出ないだろうし、彼とストライクならば、何とかして生き残るのも不可能ではなかったからだ。

 

『なるほど・・・、分かりました、私が何とか皆を護って見せます、だから、隊長もどうか御無事で・・・!』

 

彼の指示に従うと言いながらも、フィーネルシアは彼を案じるような言葉をかけていた。

 

それは部下としての想いよりも、何処か独りの女性としての想いが滲み出ていた。

 

「分かっている、俺は宇宙に帰れんまま命を落とす気なんて更々無いからな。」

 

そんな彼女の言葉をありがたいと感じながらも微笑んだ後、彼は表情を引き締めた。

 

彼の勘から、敵はもうそう遠くない場所まで来ている事が分かる。

ここで悠長に構えている暇など無いのだ。

 

『テッキセッキン!テッキセッキン!!』

 

そんな彼の感覚を裏付ける様に、ハロが警告音と共に敵が近くにいる事を告げた。

 

「来たか!!各機ミッションスタート!生き残れよ!!」

 

『了解!!』

 

彼の指示と共に、隊員達は己の役割を果たすべく動き始めた。

隊の仲間を、南米を護るために。

 

「織斑一夏、ストライク+I.W.S.P.、行くぜ!!」

 

そして、彼も行く。

今度こそ、この力を護るために使う為に・・・。

 

sideout

 




次回予告

ついに始まった総攻撃に、英雄達は己が出来る事を為すべく戦いに身を投じて行く。

次回機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY

英雄として

お楽しみに~
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