機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY   作:ichika

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居残り組の訓練

side宗吾

 

「さーて!訓練しようぜ、宗吾!!」

 

一夏に仕える事になってから数日の後、俺達は格納庫の一角に置かれていると言うシミュレーターの所に来ていた。

 

機体は一夏にやられてしまっている為に、修復してもらっている最中だったから、今はこうやって感覚を鈍らせない様に訓練する以外ない。

 

「分かってるっての、はしゃぎ過ぎんなよ、まだ白い目で見られてるんだから。」

 

俺の目の前を行くこの女は、自分がどんな環境にいるのか本当に理解しているのか、甚だ疑問だ。

 

俺達が生きてここに居れるのですらも奇跡に近いのに、その軌跡を理解して慎ましく動くなんて事は出来ないのだろうか?

 

まぁ、ある意味でテンションが上がっても可笑しくない状況である事には変わりないってのも事実だけどな。

 

「ならよ、アタシらが戦果挙げりゃ良いじゃねぇか、一夏だってそうだ、流れ者なのにここの№2だぜ?」

 

「アイツは特殊だ、俺達は今まで通り、マイペースに示して行けばいいさ。」

 

玲奈の言う事も一理ある、だが、俺は一夏程腕が立つ訳でも無ければ、人望もゼロに限りなく近い、ハッキリ言って彼の様になれるには相当の困難があると見ていいだろう。

 

だからこそ、今は静かに己を磨く、それだけでいい。

 

「分かったよ・・・、なら、シミュレーションだけでもアイツに勝ってみせようぜ!」

 

「はぁ・・・それなら好きにしろ・・・、だが、俺も興味はあるな・・・。」

 

一夏の技量の高さはこの前の戦闘で殺されかけたために、この身が一番良く知っている。

 

だが、それは彼が自分の機体では無いゴールドフレームに乗っていた時のモノだ、もし、彼がストライクに乗っているならどんな動きを見せるか、それを知っておいて損は無いだろう。

 

そんなものは建前にしか過ぎないんだろうが、今は心の赴くままに戦うとしよう。

 

それぞれシミュレーターに入り、自機のデータを打ち込んでミッション内容を選択する。

 

と言っても、その選択はどういう仮想敵と戦うかを決めるだけなので、正直言ってスクロールしてれば大体終わる。

 

これまでは連合やザフトのMSをメインに戦っていたから、今日はアメノミハシラのメンバーと戦ってみるのも良いだろう。

 

「有った、これこれ・・・、織斑一夏卿・・・、ストライク+I.W.S.P.っと・・・。」

 

俺のブリッツで何処まで通用するのかなんて分かりっこないが、格上相手の訓練程刺激になる物は無い。

 

「場所は・・・、宇宙空間で・・・、これで良し!」

 

環境条件も設定し終えるとすぐさまフィールドが構築され、俺のブリッツのデータが投影される。

 

「よっしゃ!神谷宗吾、ブリッツガンダム、やってやるぜ!!」

 

機体を操作し、宇宙空間を模したフィールドを感覚を確かめながら動いていると、どこからともなくレールガンが飛来した。

 

「うわっ!?いきなりかよ・・・!?」

 

あれはI.W.S.P.の砲撃か・・・!嫌に正確だな・・・!アイツ、狙撃が苦手とか言ってなかったか・・・?

 

「けど、一回避けたら後は・・・!?」

 

無いとタカを括っていると、今度はガトリング砲が飛んでくる。

 

「くそっ・・・!近付く隙も無いのか・・・!!」

 

何とかトリケロスを掲げて防御するが、俺の脚が止まった事を察知したのだろう、凄まじいスピードでストライクが迫ってくる。

 

「げっ・・・!?もう距離を詰めたのか・・・!?」

 

いや、冷静になればわかる事だ、こっちに向かって来ながらあれだけの精密射撃を行っていたんだと・・・!

 

だが、俺もやられてばっかりは見っとも無い、何とか機体を逸らして繰り出される蹴りを回避、すれ違いざまに回し蹴りを入れようと機体を動かすが、ストライクはそれよりも早く動き、コンバインドシールドでブリッツを殴り飛ばした。

 

「ウソだろ・・・!?こっちが先に動いてたんだぞ・・・!?」

 

これがアイツの・・・、一夏の反応速度なのか・・・!?

 

明らかに並のコーディネィターを上回っている上に、隙が無い。

 

「けど・・・、ビーム兵器が無いI.W.S.P.なら、一撃でやられる事も無い・・・!賭けてやるぜ・・・!!」

 

何とか体制を立て直し、ミラージュ・コロイドを展開、AMBACを用いてスラスターを吹かす事無く機体を動かし、ストライクとの距離を徐々に詰める。

 

「死角からなら・・・、っ・・・!?」

 

死角からなら避けられないと踏んだが、ストライクはイーゲルシュテルンやガトリング砲をあちこちにばら撒いていた。

 

「げっ・・・!?対処法モロバレかよ・・・!?」

 

失念していた・・・!この城には天ミナがあったんだ・・・!

 

弱点を熟知されていてはこんな物、無用の長物に成り下がっちまう・・・!!

 

すぐさまミラージュ・コロイドを解除し、銃弾を受けながらも後退、ランサーダートを牽制代わりに撃ちかける。

 

だが、ストライクはまったく動く事無くランサーダートを三つとも切り裂いた。

 

「おいおい・・・!これ、本当にデータ通りなんだろうな・・・!?」

 

有り得ないだろ・・・!しかも一本しか対艦刀使ってないのに・・・!

 

「こんなバケモノに勝てるか・・・!?」

 

いや、勝てないと言う反語は置いといて、冗談抜きでダメージを与えられる気がしない。

 

「いや・・・!勝てなくて元々!!格闘戦を!!」

 

近距離戦なら、負けても本望!

だから、俺は出し惜しみはしないぜ!!

 

ビームサーベルを展開してストライクに斬りかかるが、対艦刀と切り結ぶよりも先に軽くあしらわれ、逆にコックピット付近を攻撃された。

 

一発でアウトにはならないと言えど、どんどんエネルギーは減って行く一方だ、何れはエネルギーも尽き果て、敗北するだろう。

 

分かっていた事とは言っても、こりゃないぜ・・・。

 

ストライクは体勢を立て直せていないブリッツに追撃とばかりにイーゲルシュテルンを撃ちかけてくる。

 

「このっ・・・!まだ終わるかぁぁ!!」

 

ピアサーロックを射出、バルカンの弾丸を弾きながらもストライクのコンバインドシールドを捕縛、巻き取りながらもスラスターを吹かして一気に距離を詰める。

 

引っ張っておいたから体制も崩している、これならば・・・!!

 

せめて、この一撃だけでも・・・!!

 

「届けぇぇぇ!!」

 

だが、渾身の一撃が届くより早く、ストライクはシールドを手放し、対艦刀を両手に持ち、シールドを貫いてこちらに攻撃してきた。

 

「なにっ!?」

 

予想すら出来なかった攻撃に回避する事が出来ず、もろにその攻撃を喰らって体制を崩してしまう。

 

しかも、その一撃でブリッツのエネルギーが切れ、PS装甲が切れた。

 

その隙を見逃さず、ストライクは左腕に握っていた対艦刀をブリッツに突き刺した・・・。

 

――YOU LOSE――

 

画面がブラックアウトし、そこに赤い文字で敗北を告げられた。

 

「そんな・・・、手も足も出ないのか・・・!?」

 

攻撃すら与えられず、ほぼ一方的なまでの戦い・・・、これが、俺と一夏の実力差だとでも言うのか・・・!?

 

「ずげぇよ・・・!すげぇじゃねぇか・・・!織斑一夏・・・!!」

 

俺もそれなりにMSは乗って来たけど、アイツはそれを遥かに超えてる・・・!

 

「一体どんな訓練をすれば、此処まで強くなれるんだ・・・!」

 

過去に何かあったとか聞いてるけど、それが要因なのか・・・?

 

しかし、彼は過去に対して後ろめたい想いが有る様だった・・・、聞くにしても簡単には答えてくれやしないだろう。

 

いや・・・、そんな事を知るよりも、俺にはまずやるべき事がある。

 

せめて、独りでも彼に張り合える様に強くなる、それだけなのだから・・・!!

 

「よっし・・・!やってやるぜ!!」

 

もう一度戦うべく、俺はコンソールに指を走らせた。

 

戦士として、もっと強くなるためにも・・・。

 

sideout

 

noside

 

「んがぁぁ~!!何よコイツゥ!?」

 

イージスのデータを使って訓練をしていた玲奈は、ストライクとの模擬戦を行いながらも発狂寸前と言いたげな叫びをあげていた。

 

MA形態に変形し、加速力で翻弄しようと試みても、進行方向へ射撃やビームブーメランによる攻撃が飛んでくる上、死角から格闘を仕掛けようとしても避けられ、逆に対艦刀で弾かれるという始末だったのだ。

 

「何よこれ~!?データ狂ってんじゃないの!?強すぎんじゃない!!」

 

今も四本のビームサーベル展開し、相手よりも多い手数で攻め立てても全く動じる事無くいなし、イージスの関節等、フレームが露出している場所や装甲の継ぎ目を狙って攻撃を仕掛けると言う、ある意味で容赦のない攻撃を仕掛けていた。

 

「強いクセにねちっこい攻撃ばっかだな・・・!それでも男かぁ!!」

 

実体兵装メインのストライクの装備ならば当然の戦法と言えるのだろうが、生憎冷静さを欠いている玲奈にはそんな考えが出来る筈も無く、ただ単に気に入らない故に苛立っているのだろう。

 

「男ならこんな風に一撃で決めてみろってんだよぉぉ!!」

 

一撃で勝負を決める様な技を打ってこない事に憤慨したのだろう、彼女はストライクと距離を取るように後退しながらもMA形態へと変形させ、スキュラを発射した。

 

ストライクはシールドを掲げるが、高出力のスキュラを止められる筈も無く、二秒と持たずにシールドが破られ、爆煙に包まれる。

 

「やったか!?やっぱ戦いはこうでなくっちゃ・・・!?」

 

勝利を確信したのだろうか、玲奈はガッツポーズをかますが、勝利宣言が聞こえない事にハッと我に返った。

 

ストライクの残骸が何一つ無い事に気付き、辺りを見渡す。

 

「どこ・・・!?どこから・・・っ!?」

 

その刹那、彼女の機体に衝撃が走る。

 

見れば、爆煙に紛れて近付いていたのだろう、イージスの下方から接近したストライクは、イージスの正面に回り込み、MA形態のままだったイージスのスキュラの砲口に対艦刀を突き刺した。

 

如何に身をPS装甲で固めているとは言えど、砲口を貫かれてはひとたまりも無く、あちこちからスパークを散らした。

 

「う・・・、うっそぉぉぉん・・・!?」

 

それを回避できる程の技量を持ち合わせていなかった玲奈は、閃光をあげて爆散した自機のデータに絶叫、項垂れてしまった。

 

「こんな事って・・・!こんなのって・・・!あんまりよぉぉ・・・!!」

 

手も足も出ず、良いトコなしの敗北だ、成り上がりたいと考えている彼女にとっては屈辱的な仕打ちであるに違いない。

 

「絶対こんな強くない・・・、訳でも無いか・・・、うん・・・。」

 

一度、彼の乗る天ミナに殺されかけている身だ、誰よりも織斑一夏と言う男の強さを知っていると言っても過言ではないだろう。

 

「でも・・・!同じ転生者って言うんなら・・・、アタシもこれぐらい強くなれるって事よね・・・!?」

 

しかし、そこはポジティブを地で行く玲奈だ、自分と同じ様な人間であるならば、自分も同じ境地に辿り着く事が可能と教えられたとでも解釈したのだろう、その眼にはこれまでにないほどの光が宿っていた。

 

「よっしっ・・・!やってやろうじゃん!アタシがアイツに成り代わってやるんだから!」

 

似合わない高笑いと共に、彼女はキーボードを叩き、次に対戦する相手のデータを打ち込んだ。

 

強くなるため、そして、自分を示すために・・・。

 

余談だが、調子に乗ってセシリアとシャルロットのデータを打ち込んでしまい、彼女達の連携プレーにまたもやなす術もなくフルボッコにされてしまうのは、また別のお話しであった・・・。

 

sideout

 




次回予告

今だ動かぬアメノミハシラ、だが、その裏では新たな計画が動き出そうとしていた。

次回機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY

二つの計画

お楽しみに
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