機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY   作:ichika

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マイスターズ セシリア編

sideセシリア

 

『オルコット卿、デュノア卿、試験開始まで50セコンド、準備をお願いします。』

 

『了解です、セシリア、準備は良い?』

 

「準備完了、何時でも始められましてよ。」

 

管制官からの通信を受けたシャルさんからの通信に答えながらも、私は機体のバランスと出力を調整し、これから開始されるテストに備える事に致しました。

 

このテストは私のデュエルを強化するための第一段階、キッチリ熟しませんとね。

 

デュエルは私の特性に合わせて、ロングダガーのフォルテストラに、ドレッドノートが置いて行ったドラグーンを装備したモノになっております。

 

膨大なエネルギーを生み出す核エンジンが必要となるドラグーンシステムを使用するにあたって、フォルテストラには新たに幾つかのバッテリーパックを装備しておりますが、それでもPS装甲との併用ともなると長時間の運用は困難を極める事でしょう。

 

『フォルテストラのテストと、ドラグーンのテストを一度にするのもどうかと思うけど・・・、プレアが遺した武器なんだ、キッチリやり遂げようね。』

 

ですが、それも稼働時間を計るためです、今は亡き弟が使った絆を、こんな私が使わせて貰うのです、私も気合を入れると致しましょう。

 

「そうですわね、手加減はしませんわよ、シャルさん?」

 

『そう来なくっちゃ!』

 

『記録開始、試験開始してください。』

 

私達が意気込んだ直後、試験開始を告げる通信が入りました。

 

私は省エネの為に切っていたPS装甲をONにします。

 

「久し振りですが・・・、出来る限りやってみましょう!行きなさい、ドラグーン!!」

 

機体を操作しながらもバックパックからドラグーンを四基とも射出し、意識を集中させてフォーメーションを取りながらも攻撃を仕掛けます。

 

『うわっ・・・!やっぱりセシリアのドラグーン使いは凄いね・・・!逃げ場が無いや・・・!!』

 

オールレンジからの攻撃をシャルさんのバスターは巧みにスラスターを吹かして回避、避けられない物はミサイルで相殺するなどして完璧なまでに見切っておられます。

 

「そう仰いながら・・・!避けておられるではありませんか!」

 

シャルさんに怪我をさせないためにコックピットを避ける攻撃をしているのも原因なのでしょうが、それだけで避けれる程私の攻撃も甘くはない筈です。

 

『テストって言われてるけど・・・!やられっぱなしは性に合わないからね!こっちからも!!』

 

「そう来ると思いましたわ・・・!!ですが、負けませんわよ!」

 

バスターからガンランチャーやミサイルが雨霰と言うべき密度で飛んできますが、私は機体のスラスターを吹かして回避し、お返しとして右肩に装備されていたレールガンで応戦、同時にドラグーンの全砲塔からビームを撃ちだします。

 

『ちょっ・・・!?それ使ったらエネルギー切れるよ!?』

 

シャルさんの言う通り、先程から恐ろしい勢いでエネルギーが減って行くのを横目で確認しておりますが、恐ろしい限りですわね・・・。

 

量子通信システムがこれほどまでにエネルギー消費の激しい代物なのでしたら、有線型の方が使い易いやもしれません。

 

「そうですわね・・・!ですが、データ録りの為です、動けなくなったら連れて帰って下さいませ・・・!!」

 

『一夏と同じ事言うよね、君も、僕も・・・!!』

 

「夫婦とは、似てくるものなのですよ・・・!!」

 

シャルさんの言葉に答えながらも、私はデータが録り易いようにと機体を動かし続けます。

 

引っ切り無しに警告音が耳を打ちますが、それでも構わずに攻撃を続けます。

 

しかしながら、ビーム兵器にPS装甲、それに加えての量子通信システムのエネルギー消費は相当なモノですわね・・・、まだ模擬戦を初めて五分と経っておりませんのにもうイエローゾーンの四分の一まで減ってしまっております。

 

もし、フォルテストラ内に追加バッテリーが無ければとっくの昔にバッテリーは干上がっている事でしょう。

 

今ある技術だけでは、とても実用出来るレベルではありませんわね・・・。

 

核エンジンを持って来れば良いのでしょうが、一夏様からのお達しで、なるべく条約に抵触しない様な範囲での改修プランで進める様です。

 

ですから、この量子通信システムをどう改良するのかがキモになってくる事でしょう。

 

「エネルギーレッドゾーン・・・、もう長くは持ちませんわね・・・!」

 

『嘘!?もうエネルギー切れ・・・!?』

 

私の攻撃を捌き切るシャルさんから驚愕の言葉が返ってきますが、それに答える間も無く、バスターから対装甲炸弾砲が撃ちだされ、デュエルのフォルテストラに直撃します。

 

「きゃぁぁっ!?」

 

誘爆を防ぐために咄嗟にパージしますが、今の爆風でのダメージが襲い掛かります。

 

何とか体制を立て直しましたが、その時にはもう、戦えるだけのエネルギーは残ってはいませんでした。

 

程なく、デュエルのエネルギーは切れ、フェイズシフトダウンを引き起こしてしまいました。

 

『エネルギー切れを確認しました、今回のテストを終了します、帰還してください。』

 

管制官からの言葉を聞き、私は暑苦しいヘルメットを脱ぎ、大きく溜め息を吐きました。

 

「シャルさん、申し訳ありませんがエスコートお願いできますか?」

 

『言うと思ったよ、それじゃ引き上げるよ。』

 

私の頼みに応え、シャルさんはバスターを操作して、デュエルを牽引してアメノミハシラへとコースを取りました。

 

さて・・・、一息つく間も無く反省会ですわね。

 

ですが、久し振りのドラグーンのコントロールは疲れますわね・・・、シミュレーションを繰り返して勘を取り戻しませんとね・・・。

 

何れ訪れる、その時の為に、ね・・・?

 

sideout

 

noside

 

「セシリア、シャル、テストお疲れさん、見せて貰ったよ。」

 

格納庫に隣接されたシミュレータルームにやって来たセシリアとシャルロットを出迎えたのは、彼女達の夫であり、A.G.R計画の主導者である織斑一夏であった。

 

彼は二人にドリンクボトルを渡しつつも、先程の戦闘データをモニターに映し出されていた。

 

「セシリアの事信じてたから疲れてなんか無いよ、でも、デュエルの欠点は一目瞭然じゃないかな?」

 

「そうだな、だが、それはセシリアが一番分かってる筈だ、そうだろ?」

 

自分は大丈夫だと言うシャルロットの言葉に頷きながらも、一夏はセシリアの表情を窺うように尋ねていた。

 

どうやら、セシリアの口から先程の模擬戦で得られたデータについての判断が欲しいのだろう。

 

「はい、一言で評するなら、使い物にならないと言わざるを得ませんわね、非常に心苦しいですが・・・。」

 

自分の好む武装を、それも弟の様に思っていた者が使っていた装備を使い物にならないと評するのは辛いのだろう、苦虫を幾つも噛み潰したような表情を浮かべていた。

 

「やはりな・・・、量子通信システムにPS装甲、そしてビーム兵器の併用と来ればエネルギーも持たんか・・・。」

 

「えぇ、それにフォルテストラのせいで機体が重くて仕方ありませんわ・・・。」

 

予想していたと言わんばかりの表情で語る彼の言葉に頷きながらも、セシリアはドリンクを飲みながらも語っていた。

 

試験段階とは言えど、得られる成果よりもそれに伴うデメリットの方が大きいと思われると、使用するにもそれなりに考慮せざるを得ないのだ。

 

「ですが、改良すべき点でもあります、エネルギーの変換効率を向上させることさえ出来ましたら、実戦でも運用できるレベルになる筈なのです・・・、ですから・・・!」

 

だが、それでも自分の得意とする兵装を、そして、弟の想いを継ぐためにもこの武器を使いたいのだろう、セシリアはどこか切実な表情を浮かべながらも言葉を投げかけていた。

 

自分を変えようと思えたきっかけをくれた者への敬意と慕情が、彼女を突き動かしているのだろう。

 

「よし、良く言った、セシリアのプランは決まったな。」

 

その言葉を待っていたと言わんばかりに、一夏は優しげな笑みを浮かべながらも端末を弄り、要望を記録している様だった。

 

「今回は希望を見出すための軽い確認みたいなもんさ、セシリアの希望でデュエルをブラッシュアップする、それが目的なんだ。」

 

「一夏も人が悪いねぇ~、今のやり取りだけ聞いてたら使わせないみたいな雰囲気だったよ?」

 

言葉を引き出した彼のやり方をからかう様に、セシリアの隣にいたシャルロットは何処か棘のある言葉を掛けていた。

 

それを受けた一夏は苦笑しながらも、そんな事は無いさとばかりに肩を竦めていた。

 

「ま、セシリアの要望は分かった、とりあえず開発部に研究依頼を出しておくよ、取り敢えずは第一段階は完了だ。」

 

「はい・・・♪」

 

人前だから、大胆なのはまた後でとでも言うように、優しく頭を撫でながらも労う一夏に、セシリアは満たされたような笑みを浮かべていた。

 

それは、愛する男に甘える女の表情でもあり、彼女の想いの深さが滲み出ている様にも見えた。

 

「それじゃ、部屋に戻るぞ、ジャックにデータを伝えてくるから二人はシャワーでも浴びて待っててくれ。」

 

「かしこまりましたわ、御早いお帰り、お待ちしております♪」

 

二人に部屋に戻る様指示を出した一夏は、まだやるべき事があるとばかりに踵を返し、パイロット控え室を後にした。

 

それを見送ったセシリアはもう一度深くシートに座り直し、少し疲れた様にタメ息を吐いた。

 

「どうしたの?」

 

「いえ・・・、久し振りにドラグーンを扱いましたので、少し緊張していましたから・・・、つい・・・。」

 

どうかしたのかと気遣わしげな表情で話しかけるシャルロットに微笑み返し、セシリアは疲れを振り払う様に立ち上がりながらも背伸びをしていた。

 

使い慣れているとは言えど、ブランクがある状態で扱いきれるか不安だったのだろう、いつも以上に気が張っていてもおかしくは無いのだ。

 

だが、それも一時の話だ、感覚さえ取り戻せば、彼女はまた手足の様に扱えるようになる事を見越していた。

 

「さぁ、シャルさん、お部屋に戻って旦那様をお出迎え致しましょう?」

 

「ん、そうだね、今日は何時間相手してくれるか楽しみだね♪」

 

「ふふっ、そうですわね♪」

 

何かを楽しみにしながらも、彼女達は他愛も無い会話を交わしながらも自分達の部屋へと戻って行った・・・。

 

sideout




次回予告

バスターのデータを睨むシャルロット、彼女が得意する戦いとは・・・。

次回機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY

マイスターズ シャルロット編

お楽しみに~
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