機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY   作:ichika

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影の者

side宗吾

 

「神谷卿、目的地に到着しました、発進準備をお願いします。」

 

イズモ艦橋にて、俺は出撃の要請を依頼してくるオペレーターの言葉を聞いていた。

 

「了解しました、索敵を続行してください。」

 

「了解しました。」

 

今回は、久々に行われるブリッツの起動試験だ、気を抜いて掛かる訳にはいかない。

 

場所はデブリベルト外縁部、俺達アメノミハシラ勢の試験場として御馴染みになりつつある場所だった。

 

しかし、何時もとは毛色を変えて、アメノミハシラからかなり離れた場所に設定、何時もとは漂っているデブリが異なる状況で試験を行う事になった。

 

とは言え、障害物がある中での戦闘はブリッツに乗る俺が一番多く経験する事になるからこそ大切にしておきたい経験なんだよ。

 

さぁて、頑張るとしようかね。

 

背筋を伸ばしながらも、俺は艦橋を後にした。

 

sideout

 

noside

 

「神谷宗吾、ブリッツ、出る!!」

 

イズモから発進したブリッツは、機体の調子を確かめる様に漆黒の宇宙を進んだ。

 

まるで泳ぐような動かし方だったが、あまりスラスターによる熱紋を察知されないための手段なのだろうか。

 

今回、彼の機体の左腕には、なにやら巨大なクローの様な物が三つ装備されていた。

 

これまで装備されていたグレイプ・ニールの様に、腕の外側に配置されているのではない、左手首が見えない様に、三つのクローが巨大な拳の様に腕を取り巻いていた。

 

「おっと・・・、やっぱり少しバランスが崩れてるな、調整しねぇと。」

 

その新装備の調子を確かめる為の試験機動ではあるが、この試験の結果次第で機体の設計思想が大きく変わる恐れもあるため、宗吾はいつも以上に力を籠めて機体を動かしていた。

 

「しっかし、動かすだけならアメノミハシラの近くで良い筈なんだけど・・・、どうしてここに来させたんだ・・・?」

 

彼は、上司である一夏が何故デブリベルトでの稼働試験を命じたのか、その理由に合点が行かない宗吾は首を傾げていた。

 

ここではしっかりとしたデータが録れるかどうかも怪しい、もし、海賊やその他勢力にぶつかる事を前提としているならば話は違うが、そう都合よく出てくるとも考えにくい。

 

「まぁ、試しにやってみるかなぁ。」

 

そう考えながらも、何事もやってみなければ分からないと言う様に、彼はブリッツのトリケロスを一つのデブリに向けて構える。

 

だが、その時だった、以前よりも強化されたレーダーが何かを捉えた。

 

「なにっ・・・!?敵かっ!?」

 

だが、周りには大小様々なデブリが無数に浮遊しており、、MSの機影は見当たらなかった。

 

しかし、宗吾は気付いていた、戦い方の一つとして、遮蔽物に身を隠す戦法があるのだから。

 

「そこだっ!!」

 

彼は、少し離れた場所に在ったデブリに向けて、ビームライフルを発砲した。

 

そのデブリがビームに貫かれる一瞬前に、紅い影が彼に迫ってきた。

 

「なにっ・・・!?あれは・・・!?」

 

彼に迫ってくる機体は、背面から一本の対艦刀を引き抜き、彼目掛けて振り下ろした。

 

だが、それぐらいならば回避する事は出来ため、彼はスラスターを吹かして斬撃を回避した。

 

「あれは・・・、ソードカラミティ・・・!?」

 

その機体は、アメノミハシラにも存在する、カラミティのバリエーション機、ソードカラミティだった。

 

バーミリオンの機体は、太陽光を背に彼を見下ろすかのように切っ先を向けてきた。

 

「一体誰が・・・!?アメノミハシラの誰かか・・・!?」

 

だが、そうならば話が来ているだろうし、何よりここに来させる意味も無い。

 

それに加え、ソードカラミティの左肩には誰かのパーソナルマークも入っている。

 

アメノミハシラでパーソナルマークを持っている人間は、ロンド・ミナ・サハクだけだが、そのマークですらない。

 

では、このソードカラミティに乗っているのは誰か?

 

彼がそれを考えるよりも先に、ソードカラミティはスラスターを吹かしながらも、猛然と突っ込んできた。

 

「あぁもう!やってやるさ!!」

 

しかし、何時までも混乱している程宗吾も愚鈍ではない、すぐさまスラスターを吹かし、突き出された対艦刀を回避し、死角からビームサーベルで切り付ける。

 

だが、相手もそれを見越していたのだろう、半身になるだけであっさりと回避し、スキュラの発射体勢に入った。

 

「ウソだろっ・・・!?」

 

発射直前にフットペダルを思いっ切り踏み込み、強引に操縦桿を倒す事で直撃だけは回避する。

 

しかし、避けきれなかった右肩に大出力ビームが掠り、先端が溶け出した。

 

「おい!お前一夏だろ!?」

 

自分の動きを読み、尚且つ嫌がらせの様に大火力で攻めて、この後にネチネチ小技が来る、そんな嫌味な戦い方をするのはこの世で数人といない。

 

故に、彼はそれを最も得意としている男を思い出し、相手に向かって叫んだ。

 

とは言え、接触回線を開いている訳でも無いので、届いているかどうかも怪しい所ではあるが・・・。

 

だが、そんな彼の事などお構いなしに、ソードカラミティは後退しつつも左肩のマイダス・メッサーを投擲し、緩急をつけた攻撃を交え始めた。

 

「うぉっ・・・!?だけど、甘い!!」

 

しかし、普段からソードカラミティを相手に模擬戦を繰り返す宗吾にとって、その攻撃は予想の範疇の事でしかなかった

 

マイダス・メッサーを躊躇いなくビームライフルで打ち抜き、そのまま爆煙に紛れ、ミラージュ・コロイドで接近して終わらせる。

 

その戦法を取ろうとした矢先、ブリッツの頭部をパンツァー・アイゼンのクローがしっかりと拘束、ブリッツの体勢を崩しながらも一気にアンカーを巻き取った。

 

「しまった・・・!!だけど、まだまだぁ!!」

 

このままでは逃れる事すらできずに、対艦刀で一刀両断されてしまうのは目に見えていた。

 

だが、彼にはまだ奥の手があった、いまだ試した事の無い、新装備が。

 

「コイツでぇっ!」

 

彼が思いっ切りレバーを押し込むと左腕のクローが展開し、得物を振らせんと言わんばかりにソードカラミティの右腕を捕縛した。

 

だが、それだけではない、紫電が奔り、ソードカラミティからブリッツへエネルギーが流れ込む。

 

そう、ブリッツの左腕に搭載されているクローの正体、それはゴールドフレーム天に装備されているマガノイクタチを基に開発されたものだった。

 

その名も、《ハービヒト・ネーゲル》、大鷹の爪と言う名を冠した兵器だ。

 

ミラージュ・コロイドを使用するマガノイクタチを逆輸入する形で採用し、天に装備された物よりも小型化させた代わりに数を二本から三本へと変更し、拘束性の強化を図っている。

 

また、クローを展開させた際は、その名の通り大鷹の爪の様にも見え、一度捉えた獲物を離す事は無い。

 

「これで終わらせる・・・!!」

 

いきなり襲いかかって来られたが、折角のワンオフ機だ、破壊するには惜しいと考えたか、若しくは、単純に殺しをしたくないからか、彼は放電を続けながらもトリケロスで威嚇するだけで済まそうとした。

 

しかし、彼は忘れていた、自分の間合いに入ったという事は、相手の攻撃の間合いにいるという事、そして、敵を捕縛していては逃げ場が無いという事を。

 

その甘さを着くかのように、ソードカラミティはブリッツを掴んでいた左腕のパンツァー・アイゼンのクローを外しながらも、左腕をトリケロスの裏に滑り込ませ、銃口をコックピットから外す。

 

そして、そのまま勝負を決める腹積もりなのだろう、スキュラをチャージし始めた。

 

避けようと思えれば避けられる、しかし、そのためにはハービヒト・ネーゲルを外す必要があり、それを外すと対艦刀で切り裂かれるのがオチだ。

 

つまり、彼は王手を掛けたつもりが、逆に誘い込まれてしまっていたのだ。

 

「ばっ・・・!?こんな至近距離で撃ったらお前もタダじゃ済まないぞ・・・!?やめろぉ!!」

 

自分が死ぬのは勿論勘弁だが、相手にも傷付いてほしくは無い、それが、彼なりに今も持っている考えであり、行動理念だった。

 

だが、そんな事は戦場に出れば何の意味も持たない、生きるか死ぬか、それが全てであるのだから。

 

「くっ・・・!?」

 

もう終わった、そう考えた彼は、きつく目を閉じた。

 

だが、いくら待てども、その瞬間は来なかった。

 

「なに・・・?」

 

拍子抜けした様な声を上げ、彼は目を開けて眼前のソードカラミティを見た。

 

『任務完了した、これよりそちらに向かう。』

 

『了解しました、模擬戦終了、着艦を許可します。』

 

「は・・・?」

 

ソードカラミティのパイロットがイズモと通信している事が理解出来なかったのだろう、彼は馬鹿みたいに口を開けて呆ける事しか出来なかった。

 

無理も無い、先程まで彼を殺す気で掛かって来ていた相手が、何故自分の味方とやり取りしているのか、まだまだ彼の理解が及ばない事が多すぎるのだろう。

 

『まだまだだな、忍びの兄ちゃん、これじゃこの先生き残れないぜ?』

 

「くっ・・・!勝ったからって上から目線で・・・!誰なんだ、アンタ・・・!?」

 

自分の未熟さを指摘されてはぐうの音もでないのだろう、宗吾は悔しげに口元を歪めながらも、相手の正体を確かめるべく叫んだ。

 

負け犬の遠吠えにしかならないと知っていながらも、それだけでは悔しいからだろうか・・・。

 

『俺の名はカイト・マディガン、プロMSパイロットだ、お前の上官とは呑み仲間さ。』

 

「はぁ・・・?の、呑み仲間・・・?」

 

まったく予想だにしていなかった答えが返ってきたために、彼はまたしても呆けたように口を開いた。

 

傍から見れば、何と間抜けな顔だと言われる事だろう。

 

『詳しい事は後で一夏に聞け、俺は報酬を取りに行く、置いてくぞ。』

 

「お、おぉい・・・!?」

 

ソードカラミティがイズモに向けて奔り出したのを見て、彼もブリッツをイズモへ向けた。

 

今だ困惑に支配された思考で、何の事かを必死に考えながらも・・・。

 

sideout

 

side宗吾

 

「お疲れさんカイト、いきなり連絡して悪かったよ。」

 

アメノミハシラに戻ると、少し大きめのアタッシュケースを抱えた一夏が俺達を出迎えてくれた。

 

俺の前を歩く、金髪黒ひげの伊達男は彼を見るや否や、如何にも愉しかったと言わんばかりの表情をしていた。

 

どうやら、今回は一夏の差し金だったらしい。

 

「気にするな、折角エドから盗ん・・・、貰った機体を動かす機会がもらえたんだ、ありがたい位だ。」

 

「おい!?今盗んだって言いかけたよな・・・!?あんなワンオフ機どうやって盗むんだよ!?」

 

一夏に応えるマディガンの言葉に突っ込むが、一夏も彼も完全に聞き流していた。

 

コイツらには、そんな事どうでもいいんだろうか・・・?

 

「あぁ、あのソードカラミティ、カイトが持って行ってたのか。」

 

「一夏も知ってんのかよ・・・。」

 

もうヤダ・・・、なんでこう、重い事を軽く流す様な人がいっぱいいるんだろう・・・。

 

「ま、カイトのお陰で、コイツの良い訓練にもなった、これはほんの気持ちだ、受け取ってくれ。」

 

俺の困惑を他所に、一夏は手に持っていたアタッシュケースを胸の高さまで持ち上げ、中身を見せびらかす様に開いた。

 

その中に入っていたのは二本のワインボトルと、それを揺らさない様に敷き詰められた現ナマだった。

 

・・・、何この・・・、なに?

 

どこぞの時代劇で見た様な景色だけど、取引って実際にこんな事してるの?

 

「ふっ・・・、お前も悪だなぁ、一夏ぁ?」

 

「カイト程じゃないさぁ・・・、はははっ。」

 

なぁ、わざとだろ、わざとなんだろその小芝居・・・。

 

ホント、この二人の今の顔、凄いあくどい顔してるからなぁ・・・。

 

「ありがたく頂戴するよ、マティアスに差し入れてやるのも悪くない。」

 

「それなら、もう二本付けるよ、ジェスに飲ませてやれよ。」

 

マティアスにジェスって奴がどんな人物か知らないが、この二人にとって重要な意味を持つ人間だという事は察せた。

 

特に、二人ともジェスには何やら色々な想いが顔に出てるしな。

 

「折角だし、呑んで行ってくれ、セシリアとシャルにも言えば酌ぐらいしてもらえるぞ?」

 

「そいつはありがたい!良い女に注いでもらえる酒程旨いモノは無いからな!」

 

はははと軽妙に笑いながらも、一夏とカイトはさっさと歩いて行ってしまう。

 

というより、理由付けて呑みたいだけだろうに・・・。

 

まぁ、話も聞いてみたいところだし、俺も着いて行くか。

 

そう思いながらも、俺は彼等を追いかける様に歩き始めた・・・。

 

sideout

 

noside

 

その後、一夏の部屋に招かれたカイトと共に酒宴が始まり、その部屋にいた織斑夫妻及び、宗吾と玲奈、そしてカイトはいつも以上の量を飲んで行く。

 

地球で呑んで以来の酒盛りだった一夏とカイトは世間話や下世話な話を交えて杯を酌み交わし、それに呆れながらも、セシリアとシャルロットは夫と夫の友人に酌をしつつも自分達もワインを咽に流し込んで行く。

 

そんな酒豪達の異常なペースに呑まれたのか、普段から一夏達と酒を飲む機会が多い筈の玲奈さえ、普段の四分の一にも満たない時間で潰れてしまっていた。

 

「うっ・・・、なんだよ・・・、本当にザルだよな・・・!そろそろ身体に悪いぞ・・・!?」

 

矢鱈と酒に強い上にアルコール依存症気味な一夏と、彼と普段から飲んでいる上に体質的に元々強いセシリアとシャルロットは兎も角、カイトまで異様に酒に強いとは思いもしなかったのだろう、宗吾は蒼い顔をしながらも口元を抑えた。

 

仕方あるまい、今だ二十歳になったばかりの、酒を飲む機会すら稀だった彼では、その差は埋めがたいものが有るのだから。

 

「なに小さい事を言ってるんだ、今を楽しまないとやってられんぞ。」

 

「楽しむ・・・、か・・・?」

 

カイトの呆れた様な声に、宗吾は首を傾げながらも問うた。

 

彼の言葉には目の前の酒盛りに対してと言うよりも、宗吾自身に対しての言葉がある様に感じられたから・・・。

 

「目の前の事で精一杯になるのと、目の前の事を精一杯やるのは違う、気持ちの入れ方が違うからな。」

 

「よく分からないな・・・、どういう事だよ・・・?」

 

カイトの言葉の意味を理解出来なかったのだろう、彼は少しムッとした様な表情を浮かべていた。

 

無理も無い、言うなら言うでハッキリズバッと言って欲しいのが彼の性分なのだから。

 

「それだよ、答えを焦り過ぎている、それが戦闘にも出てるってこった、眼の前しか見れないから、裏を掻かれるのさ。」

 

「うぐっ・・・。」

 

自分のその場凌ぎのやり方を勘付かれていた事にぐうの音も出ないのか、宗吾は苦い表情を浮かべた。

 

自分はそこまで分かり易いのか、隠密戦主体の自分が情けない・・・。

 

「大方、コイツ等のアレコレ聞き出したいからってのもあるだろうが・・・、気にしすぎだろ?」

 

「知った様に言うな・・・、アイツには、もっと大きな何かがあるんだ・・・、俺達も知らないほどの苦しみが・・・。」

 

酒のつまみを新しく調達しに行った一夏を指しながらも、カイトは宗吾に問うた。

 

気にするほどの事が彼にあるのかと言いたげだったが、宗吾は首を横に振りながらも否定した。

 

一夏の苦しみを理解して尚、その本質を知って彼の助けになりたいと思っているのだろう、宗吾の口ぶりからは一夏を案ずるような色が見て取れた。

 

「俺も力になりたいんだよ・・・、アイツが苦しむなら、その苦しみを消してやれるような男に・・・。」

 

「無理だな。」

 

自分の想いを否定する様なカイトの言葉に、宗吾はありありと苛立ちの色を浮かべた。

 

想いが軽いと捉えられた事に対する憤りか、それとも、自分が未熟だと上から目線で言われている事への怒りか・・・。

 

だが、カイトはそんな彼の突き刺す様な視線など気にも留めない、なお言葉を続けた。

 

「アイツの苦しみは誰かに知ってもらう事で軽くなる訳じゃ無い、寧ろ、知られる事で余計に苦しむ事になるもんだ。」

 

「っ・・・。」

 

何処か遠い眼をしながらも、カイトは一夏の抱える闇に、その根源たる過去に考えを巡らせる。

 

一夏の誰にも触れて欲しくない過去を知る訳ではないが、一夏の異様なまでの他人の命への執着、喪失の恐怖から、何かを読み取る事は容易かったのだろう。

 

故に、彼は感じたのだ・・・、一夏は何もかもを失い過ぎた反動で、より執着が強くなりすぎているのだと・・・。

 

「だからって・・・、何もしないままって・・・!」

 

だが、宗吾はそれを見て見ぬふりなど出来なかった。

 

彼にも、苦しんで欲しくなどないから・・・。

 

「待つことをするんだ、それがアイツを救う唯一の手立てだ。」

 

カイトはそれを受け、宗吾がやるべき事を口にする。

 

「待つ事・・・?」

 

その真意を理解出来なかった彼は、カイトにどういう事かと言わんばかりに尋ね返した。

 

「アイツが抱えてるモンは、アイツにしか分からないし、どうしようもない、手出しできないならどうなるか見届けてやるのも一つの手助けだ、だったら待つことが一番良い。」

 

待つ、それは一見放任にも見えてしまうが、別の見方をすれば、それは相手を信じて見守るという事。

 

それは途轍もなく長い時間かもしれない、だからこそ、待つことは動く事よりも難しいのだ。

 

「あの嬢ちゃん達も、きっとそうしてる筈だ、乗り越えるその時を待ってるのさ。」

 

「待つ、か・・・、それで良いんだ・・・。」

 

戻って来た一夏の両隣で杯を傾けるセシリアとシャルロットを見ながらも、カイトはその時が来ることを確信していた。

 

それがいつ来るのか、分かる時が来るのか分からない宗吾は、何処か不安げながらも、自分に言い聞かせる様に呟いた。

 

それでいいのだと、一夏は自分を裏切らないと信じて・・・。

 

「だから、今は楽しめ、その後は先を見続けろ、それがお前のやるべき事だ。」

 

「・・・、あぁ、そうさせてもらうよ。」

 

諭す様に言うカイトの言葉に頷きながらも、宗吾はウォッカが入ったグラスに手を伸ばす。

 

それを見たカイトも、自分のグラスを掲げ、彼と目を合わせた。

 

「そんじゃ、もう一回呑み直せ。」

 

「あぁ、乾杯だ。」

 

乾杯した二人は、ウォッカを咽に流し込んでゆく。

 

「ぷはっ・・・、きっつ・・・。」

 

「ははは、まだまだだな、お前さん。」

 

青い顔をする宗吾を見て笑うカイトにつられ、宗吾もまた笑みを溢す。

 

今を楽しむ、その思いを肴にして・・・。

 

sideout




次回予告

消えない過去、それを知りながらも彼は進む、何時かは受け入れられる日が訪れると信じて。

次回機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY

猛獣

お楽しみに
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