機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY   作:ichika

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第四章 天空の宣言編
新章への扉


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プラント、アプリリウス市の行政区画のとある場所のとある部屋に、三名の男女の姿がそこにはあった。

 

「コートニー・ヒエロニムス君、ベルナデット・ルルー君、わざわざ呼び寄せてしまってすまないね。」

 

「いえ、議長のご要請ならばお受けいたしますわ、ねぇ、コートニー?」

 

「はい、それに、自分も興味がありましたので・・・。」

 

窓際に立つ男性の言葉に、彼に招かれていたジャーナリストのベルナデット・ルルーと兵器開発局のコートニー・ヒエロニムスは大丈夫だと言わんばかりに頷いていた。

 

「そうか、それは良かった、これからの世に、強い兵器は勿論の事、情報を制する事も必要不可欠だ。」

 

二人の返答に、彼、プラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルは柔らかく笑んだ後、二人に数枚の資料を手渡した。

 

ギルバート・デュランダル。

元々はコロニー・メンデルで遺伝子研究を主に行っていた学者であったが、政治の道へと方向転換、その類い稀なる手腕と、融和を唱える思想に共鳴した一般大衆だけでなく、穏健派急進派問わず多くの議員たちからも支持されるカリスマ性を誇っていた。

 

無論、それだけならば他国の指導者と何ら変わらない様にも見えるが、それだけでない事は明白でもあったが、それは誰も知りうる余地のない事だった。

 

そんな彼が手渡した資料には、それぞれに付き一人ずつの顔写真とそれに付随する細やかな情報の類いが記載されていた。

 

「そのためには、我々の新たな力を内外に示す事が必要不可欠だ、そのために、君達が推薦する彼等にも見て貰いたいのだよ。」

 

「それは良いお考えですわ、きっと、彼等も見届けてくれますわ。」

 

「・・・。」

 

デュランダルの想いに賛同するように答えたベルナデットは、朗らかに笑って見せた。

 

この翌週から行われる、ザフトの新しい力を示す発表式典に置いて、自分達が新たなる一歩を踏み出せると微塵も疑っていないのだ。

 

だが、そんな彼女とは対照的に、コートニーは考え込む様な表情で自身の手元にある二つの資料に目を通した。

 

一つはフリージャーナリストのジェス・リブルとその愛機、アウトフレームのモノ、そして、もう一つが彼が最も因縁深い相手であると自負している男、織斑一夏の資料があった。

 

そう、その資料とは、式典兼MS公開試験の招待者名簿と言うべきものだったのだ。

 

「(なぜ、議長は彼を呼び寄せるんだ・・・、なにか、裏があるのか・・・?)」

 

ジェスは兎も角、一夏はアメノミハシラのナンバー2であり、そう簡単に公に姿を現さない存在だ。

それに加え、コートニーは彼の正体を誰にも明かした事は無い。

 

つまり、どうやって彼を見付けだせたのか、それに到るまでの経緯を見出せなかったが故の不気味さを感じているのだろう。

 

「(一夏・・・、お前は、この事をどう思う・・・?)」

 

その不気味さを払拭しようと、彼は今ここにはいない友に向けて問うた・・・。

 

sideout

 

noside

 

同じ頃、アメノミハシラでは久方ぶりの再開劇が行われていた。

 

「ジェス、カイト、久し振りだな。」

 

「一夏ぁ!久し振りだなぁ~!!」

 

アメノミハシラの客間にて、フリージャーナリストのジェス・リブルは、アメノミハシラのナンバー2、織斑一夏と実に二年ぶりの再会を喜び、彼と固い握手と抱擁を交わした。

 

南米での見送り以来、長い間顔を合わせていなかった彼等だが、そこには苦楽を共にした確かな絆があった。

 

「よぉ一夏、随分と御大層なモノ着込んでんじゃねぇか、偉くなったもんだな。」

 

「勘弁してくれ、これは肩が凝るんだ。」

 

カイトのからかいに、一夏は困ったように笑うが、その表情には懐旧の念が強く滲み出ていた。

 

確かに、一夏の制服は二年前とは異なり、ロンド・ミナ・サハクが纏う様なマントを身に着けている。

地位が高い人間にしか着けられない代物だが、彼はそれをあまり好ましくは思っていないのだ。

 

「まぁ、MS弄る時とかは作業服着てるけどな、引っ掛かったら洒落にならん。」

 

「そりゃ御尤も。」

 

だが、そんな見栄は必要ないと感じているのだろう、二人は軽妙に笑い合いながらも握手を交わした。

 

「で、宗吾の奴は如何した?今日は見てないが・・・。」

 

そんな中で、カイトは嘗て会った一夏の部下、神谷宗吾の姿が見えない事に疑問を抱き、彼に尋ねていた。

 

一夏の副官であるなら、この場に顔を出していてもおかしくはない筈なのだが、とでも考えているのだろう。

 

「あぁ、アイツは仕事で地球に降りてる、まぁ、機を見てこっちに戻ってくるかもしれないけどな。」

 

「そうか・・・、少しは成長したかどうか見てみたかったが、仕方ない。」

 

一夏の説明に、カイトは何処か納得した様に口元を歪めた。

どうやら、宗吾の行先が分かったのだろう。

 

「おっと、そんな話をしている場合じゃなかったな、何か依頼があるんだろ、ジェス?」

 

だが、そんな話をしている場合ではないと気付いたのか、一夏はジェスに向けて尋ねていた。

どうやら、今回も今回で別件の用事があったのだろう。

 

「あぁ、俺達、これからプラントのアーモリー・ワンに取材に行くんだけどさ、マティアスに聞いたら一夏達も招待されてるみたいじゃないか、なんだったら一緒に行かないかって聞きに来たんだよ。」

 

そう言えばそうだったとでも言う様に、ジェスは彼に今回の要件を手短に話した。

 

彼は、プラントのキャスター兼ジャーナリストのベルナデット・ルルーの推薦招待により、アーモリー・ワンで行われるザフト製新型MSの公開テストに取材に行ける事になっていた。

 

そのついでに、彼女から今回の公開テストに招待されている者達のリストを貰ったのだが、そこに一夏達の名前が記載されていた為に、話を聞くためにアメノミハシラへと赴いたのだ。

 

「あぁ、コートニーから招待を受けたが、まさかデュランダル新議長殿直々の推薦だったとは思いも寄らなかったがな。」

 

「どういう事だ?」

 

だが、一夏の口から飛び出した言葉に耳を疑ったのか、ジェスはもう一度説明してくれと言わんばかりに尋ね返した。

 

まさか、プラントの新議長が他国の重要人物を呼びだすとは思いもしなかったのだろう。

 

「コートニーから招待を受けた時、俺は何気なく誰が俺を呼び寄せたか聞いたんだ、そしたらデュランダルの名前が出て来るじゃないか、まさかプラントのトップにまで俺の事が伝わってるなんて・・・。」

 

何故自分の事がプラントにまで伝わっているのか、それに合点が行かなかった一夏は頭を抱えていた。

 

コートニーと幾度か会っているが、所詮は所属不明のアンノウンという扱いにしかなっていない筈だし、彼は気付いていたが所詮はその程度、プラントの首脳陣が気付く問題でもない筈だった。

 

しかも、一夏は念には念をという事で、情報屋であるケナフ・ルキーニに痕跡の消去を依頼し、何処にも存在しない亡霊の様に曖昧で、見付けられないモノとして今までやり過ごして来たのだ。

 

更に言えば、コートニー程の男が、彼の属する場所に気付いていたとしても、易々と口外するとは思えないのだ。

故に、何処から情報が漏れたのか見当も付かない状況になっているのだ。

 

「なるほど、そりゃ俺にも分からん、だが、お前は行くんだろ?」

 

「あぁ、聞かなきゃいけない事も多々あるからな。」

 

誰に何を聞くのかは言わずもがな、彼等はやるべき事を見出している様だった。

 

「なに、俺とシャルの機体も完成した、新型同士のテストには持って来いだ、乗ってやるよ、誘いに。」

 

「なにっ!ホントなのかっ!?取材させてくれよっ!」

 

心配いらないと言わんばかりに言い放った一夏の言葉に、ジェスは興味を惹かれた様に瞳を輝かせてカメラをむけようとしていた。

 

どうやら、一夏の乗る新型機が気になって仕方ないのだろう。

 

「アーモリー・ワンで目一杯動かしてやるさ、あぁ、それはそうと、頼んでおいたものは持て来てくれたか?」

 

「あぁ、アレな、マティアスに頼んでもらってきたよ、三つで良かったのか?」

 

何かを思い出したように、一夏はジェスが取り出したパスの様な物を三つ受け取っていた。

 

表面には一夏とセシリア、そしてシャルロットの顔写真と、その裏にはジャンク屋組合のマークが刻印されていた。

 

「ジャンク屋組合の条約監視委員の証明パス、確かにあったら便利だとは思うけど、どうして欲しがるんだ?」

 

彼にパスを手渡したジェスは、お前の立場でこれがいるかと言わんばかりに尋ねていた。

 

そのパスは、ジャンク屋組合の中にある、条約監視委員会が発行する証明書の様なものであり、ただ招待されるよりもより自由な行動が可能となるモノである。

 

「このパスがあれば何かあってもプラントから即トンズラできるぜ、何も無い事を祈りたいがな。」

 

「怖い事言うなよ・・・!」

 

彼の疑問に答える様に軽妙に話す一夏の言葉に冷や汗を流すジェスの様子に、カイトはタメ息を吐きながらも事の趨勢を見ていた。

 

「さて、出発は3日後だ、キッチリ持成すから楽しんでけよ。」

 

「酒か!いいねぇ、二日酔いで移動するのも悪かねぇ、勝負してやる。」

 

「うぇっ!?どんだけ呑む気だよっ!?」

 

一夏の言葉に乗り気なカイトと、ナチュラル最強の男とコーディネィターの二人に挟まれたジェスは素っ頓狂な声を上げた。

 

間違いなく酔い潰される、彼の脳裏には、嘗ての南米軍でのキャンプで悪酔いした一夏とカイト、そしてエドとジェーンに絡まれ、吐くまで飲まされ続けた記憶が蘇って来ていた。

 

その時の当事者が二人もいるのだ、正直言って逃げたいのだろう。

 

だが、そんな彼の表情にも嫌そうな色は無かった。

 

「(一夏、もう大丈夫なんだな・・・。)」

 

かつて、南米で見せたあの死にそうな顔を、押し隠したか吹っ切れたかは分からなかったが、今は浮かべていない事が、ジェスは安堵した様な心地で見守っていた。

 

それならば、自分は酒に付き合う事で、もう少しだけでも気を紛らわせてやるか。

そう考えた彼は、一夏に肩を組まれながらも歩いてゆく。

 

友と呼べる者達との語らいを楽しむべくして・・・。

 

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「MS五機をメンテナンスベッドに固定完了です!」

 

一週間後、ジャンク屋組合が用意した輸送用シャトルにて、L4宙域に存在するアーモリー・ワンに乗り込んだ、ジェス、カイト、一夏、セシリア、そしてシャルロットの五名は、アーモリー・ワンの来訪者用格納庫に自分達の機体を預けていた。

 

「よろしくお願いします、あと、充電も。」

 

「分かりました、責任を持ってお預かりします。」

 

一同を代表して、ザフトの整備士が持ってきた承諾書にジェスがサインし、五人は迎えが来るという場所に向けて歩いた。

 

すると、二台のジープが走って来て、彼等の前に止まった。

 

「おっ!ベルじゃないか!」

 

「久し振りねジェス、それから一夏達に御守の彼も?」

 

「仕事だからな。」

 

どうやら出迎えの人物と言うのはベルナデットなのだろう、彼女は柔らかい笑みを浮かべながらも手を振って彼等を招き、それに応じてジェスも手を振りかえす。

 

いや、出迎えは彼女だけではないらしい、もう一台のジープに乗っていたのは、一夏が良く知る者達だった。

 

「良く来てくれた、一夏!」

 

「セシリア!シャルロット!来てくれてありがと~!」

 

コートニーとリーカはジープから降り、穏やかな笑みを浮かべて一夏達に歩み寄った。

 

「コートニー!お招き感謝するよ。」

 

「リーカさん、お元気そうで何よりですわ♪」

 

「二人とも、随分仲良くなったんだね♪」

 

一夏はコートニーと握手を交わし、セシリアとシャルロットはリーカと抱擁を交わして再会を喜んでいた。

 

「あら?リーカとも知り合いなの?」

 

そんな彼等の様子を窺ってたベルナデットは、まさか既に面識があるとは思わなかったのだろう、軽い驚きに目を見開いていた。

 

それもその筈、彼女はコートニーと仕事をする事は多々あれど、リーカと仕事する機会は少なく、一夏達と会う機会も非常に少ないのだ。

 

故に、接点を見いだせないのだろう。

 

「仕事先でよく会うんだよ、それにしても、ベルも久し振りだな。」

 

「えぇ、久し振り、深くは聞かないでおくわ。」

 

「助かるよ。」

 

彼女の疑問に一夏があいまいに答えると、ベルは仕方ないと言わんばかりに肩を竦めてジープに乗り込んだ。

 

「一夏達は俺達の方に乗ってくれ、そう言えば宗吾と玲奈は如何した?」

 

一夏達をジープに乗せようとするコートニーだったが、彼等の一行の中に見知った顔が二人ほど欠落している事に気付いたのだろう、首を傾げて一夏に問うた。

 

「宗吾は地球に降りてる、玲奈は機体の最終調整の為に残してきた、防衛戦力が出払っちまったら困るしな。」

 

「なるほど、また会って話をしたかったが仕方ないな。」

 

宗吾と玲奈の不在理由を告げる一夏の説明に納得したコートニーは、少し寂しげに笑っていた。

 

一時とはいえ、共に杯を傾けた仲だ、もっと互いを深く知ってみたかったのだろう。

 

だが、一夏が宗吾をここに連れて来なかったのには、彼の機体の存在も大きく影響している事は否めなかった。

 

ブリッツスキアーはユニウス条約で禁じられているミラージュ・コロイドを装備した機体であり、その機体を公にするという事は一夏達の立場を悪くしかねない材料でしかない。

 

そのため、宗吾はアメノミハシラの中でも、特に表に出ない影の存在になりつつあるのだ。

 

しかし、そんな事など知る由も無く、コートニー達は一夏達をジープに乗せ、今回の目的地まで向かう。

 

その道すがら、格納庫の間を通り抜ける事も何度かあったため、量産体制に入ったザクウォーリア等の新型機の数々が彼等の前に姿を現した。

 

「ザクがついに量産化されたか、こりゃやり辛くなるなぁ。」

 

「あれがザクウォーリアですか・・・。」

 

「南米で見たザクより見た目がすっきりしてるね。」

 

その機体とやり合った一夏は苦笑し、セシリアとシャルロットは造形のシンプルさに驚いている様だった。

 

「ふふっ♪それだけじゃないの、あのザクはウィザードシステムって言うバックパック交換方式を採用してるの!一夏のストライクのデータが活かされてるの。」

 

「あぁ、一夏の戦闘データはザフトが持っていたストライクのデータを遥かに上回る質だったからな、ナンバー12のデータも反映させたら、恐ろしい位完成度が良くなった。」

 

そんな三人の反応に気を良くしたのか、リーカとコートニーはザクウォーリアの開発経緯を改めて語った。

 

ユニウス条約で機体保有数が限られた中で、どれだけ機体に汎用性を持たせられるかが連合ザフト両陣営でのカギになったのだ。

 

そうなれば、バックパックのみの変更でどんな状況にでも対応できるX105という機体は、非常に参考になる機体であると言えるのだ。

 

「俺かー・・・、ってか、前から気になってたけど、ナンバー12って何?」

 

自分と自分の機体のデータが使われていた事をとやかく言うのではなく、一夏は前々から気になっていたナンバー12に言及する事にしたようだ。

 

「ザフトが唯一奪取出来なかったストライクを模した機体だとでも思ってくれ、機密事項に入るから、すべては語れないんだ。」

 

「なるほど、大体察した。」

 

苦い顔をするコートニーの表情がバックミラー越しに見えたからだろうか、一夏はそれ以上何も言わずに車外を流れる景色に目をやった。

 

そのまましばらくすると、フェンスに仕切られた広大な土地が見えて来た。

どうやらそこが、今回の主な活動場所になるのだろう。

 

入場口には関係者以外立ち入れない様になっているのだろう、ゲートキーパーの詰め所が作られ、そこにいる警備員にパスを見せないと入れないという仕組みになっている様だった。

 

「ここが試験場か・・・、やけに広いな・・・。」

 

「あぁ、主に四機の新型をテストしている、俺とリーカと、後二人がそれに参加している。」

 

停車したジープから降りた一夏達が辺りを見渡していると、コートニーが軽い説明をする様に話す。

 

その言葉から、彼等は今回関わる新型機が四機存在する事を悟り、大まかなテスト内容も窺い知る事が出来た。

 

「こっちよ、あそこに待ってる彼が、今回共に行動してもらうパイロットよ。」

 

彼等に続いてジープから降りたベルナデットが、全員を先導する様に仮設テントまで歩く。

 

そこには、ザフトレッドを纏った、神経質そうな顔だちをした男性が仮設コンソールの前に腰掛け、何処か明後日の方向を気だるげに眺めていた。

 

「彼はマーレ・ストロード、コートニーやリーカと同じく、今回のテストパイロットの一人よ。」

 

「あ、ジェス・リブルです、これからよろしく。」

 

彼女がその男性、マーレを紹介すると、ジェスは笑みを湛えて握手をしようと手を差し出した。

 

「ふん、ナチュラルの記者にナチュラルのパイロット共・・・、こんなヤツラを呼び寄せるなど、議長は何をお考えなのか・・・。」

 

だが、それを見たマーレは、ジェスのコトを、いや、その場にいたナチュラル全員を嘲笑う様に吐き捨て、そっぽを向いてしまう。

 

その言動が頭に来たのか、セシリアとシャルロットは僅かに顔を顰めた。

 

いきなり貶されては、気分も悪かろう。

 

「マーレ!!これから協力し合う人たちになんて事を!!」

 

そんな彼を咎める様に声を荒げるベルナデットだったが、そんな事など知らんと言うかのように、マーレは横目で睨みつけるだけで訂正や詫びの言葉を口にはしなかった。

 

「すまない、一夏、ジェス・リブル・・・。」

 

「いや、大丈夫だ、口が達者って事は腕は確かなパイロットなんだろう、楽しみだよ。」

 

同僚の暴言を詫びるコートニーの言葉に、一夏は何処か皮肉気に言葉を返した。

 

それに気付いたか、マーレは一夏とコートニーの両名を睨んだが、すぐさま鼻で笑って明後日の方向を向いてしまう。

 

どうやら、マーレは他のテストパイロット同士ともあまり仲が良くないのだろう。

 

「しかし、もう一人は如何した?ここには居ない様だが・・・。」

 

「あぁ、シンなら、そろそろ来るよ、ほら。」

 

もう一人のテストパイロットの姿が見えない事に気付いた一夏が辺りを見渡しながら尋ねると、リーカはある方向を指し示した。

 

全員がそれにつられて目をやると、四機の航空機の様な物が彼等の上空を飛ぶ。

 

「見た事の無い形状・・・、戦闘機が新型なのか?てっきりMSだと・・・。」

 

カメラを構えるジェスだったが、飛んで来たのがMSでは無く戦闘機タイプの機体だという事に少々落胆しているのだろう、その声色からは気落ちした様な色が伝わってくる。

 

「いや、違う、あれは・・・。」

 

「まさか・・・!」

 

だが、その機体達の違和感に気付いたのだろう、カイトとセシリアが声を上げた。

 

そんな彼等の予想を裏付ける様に、その戦闘機たちはトランスフォームを開始する。

一番戦闘機に近い形の一機がブロック形態へと変形し、その上下に、胴体と下肢へと変形した二機が合体。

 

そして、最後の機体からモジュールが切り離され、それが背面に装備され、PS装甲がトリコロールへと色づく。

 

その姿は、もはや戦闘機と呼べるものでは無く、それは正しく・・・。

 

「MSになった・・・!?」

 

「合体変形だと・・・!?」

 

MSへ合体したその機体に、一夏達は度肝を抜かれる。

予想だにしないその奇抜さに、誰もが二の句を告げなかった。

 

「あれが新型の一機、ZGMAF-X56S インパルス、パイロットはシン・アスカ、ザフトの新時代を担う機体よ。」

 

誇らしげに機体を語るベルナデットの言葉は、一夏達には届いていなかった。

ジェスは新型の奇抜さに、そして、アメノミハシラの三人はその機体に、戦士としての本能を抑えきれずに、胸を押さえて好戦的な笑みを浮かべていた。

 

早く戦ってみたい、そんな感情が彼等からは見て取れた。

 

こうして、波乱に塗れる公開テストが、開始されるのであった・・・。

 

sideout




次回予告

国に尽くす者、国に裏切られた者、立場は違えど、同じ国を見ている二人の思いが交わる時、少年は何を想うか。

次回機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY

シン・アスカ

お楽しみに
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