機動戦士ガンダムSEEDASTRAY X INFINITY   作:ichika

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陰謀の陰

noside

 

「・・・、それで、ルキーニの足取りはまだ掴めないのかしら・・・?」

 

『はっ・・・、全ての情報が巧妙に隠されており、痕跡が掴めません・・・。』

 

某宇宙ステーションのとある部屋・・・・。

その部屋は、中世アジア風の屏風などで飾られており、その部屋の主の趣味を反映している様にも思えた。

 

部下からの情報に一瞬だけ表情を顰めるが、部屋の主であるその女性はまぁいいと言う風に紅茶を啜った。

 

「まぁいいわ、私達の手から逃れられる筈も無くてよ、それより、アーモリー・ワンに潜り込ませたスパイからの情報は如何かしら?」

 

『はっ・・・、そろそろ試験も大詰めになるそうで・・・、ですが、本当によろしいのですか・・・?』

 

その女性に尋ねられると、通信先の相手は渋る様に答えながらも尋ね返した。

 

どうやら、その先に待つ命令を知っているが故に躊躇っているのだろう。

 

「良いのよ、スパイなんて、幾らでも換えが効くのだから、それに沿えないのなら、貴方達も同じ道を辿る事になるわ。」

 

『・・・!か、かしこまりました・・・!!』

 

脅しとも取れるその言葉を聞き、通信先の相手は自分に降り掛かるやもしれぬ厄災に恐れ、その意思に沿おうと通信を切った。

 

「ふふふ・・・、バカな人達ね、まぁいいわ、私の、人類の幸福の為に働いて貰うわ。」

 

だが、彼女にとって、それは取るに足らない存在なのだ。

 

人を単位としてしか見ない、彼女にとっては・・・。

 

sideout

 

side一夏

 

『はぁ・・・、頭痛い・・・、どんだけ呑むのよ・・・。』

 

ストライクSの公開から四日後、俺達はもう一度デブリベルトまで戻って来て、MSの公開テストに就いていた。

 

アーモリー・ワン出発の四時間前まで飲んでいたからか、通信機からベルの頭の痛そうな呻きが聞こえてくる。

 

アーモリー・ワンに戻った俺達は、アーモリー・ワンでも有名な酒屋で取材という名目で呑み始めた。

 

俺はベルとジェスの取材を受ける傍らで、彼女を真っ先に酔い潰そうとした。

テキーラやウォッカを中心に頼み、質問一つにつき一回呑ませるという手段を使ったのだ。

 

いやはや、彼女があまり飲めない女で助かった、正直な話、疲れも有ってそんなに飲める気がしなかったからな。

 

てなわけで、二日酔いが数名出ているが、結果オーライだ。

 

『ベルってお酒飲めない人だったんだね~、ビックリしたよ。』

 

『いや、一夏達が異常に強いからだよ・・・、俺だって、気持ち悪いって・・・。』

 

オープンチャンネルから聞こえ来るシャルの呆れた声と、ジェスの気分の悪そうな声が交互に聞こえてくる。

 

アメノミハシラの連中は大酒飲みが多いから、あの程度の飲酒は慣れている。

だが、普段飲まない奴がいれば、それこそこの世の地獄だろう。

 

『あれぐらい呑めませんと、ウチではやって行けませんわよ?』

 

『いや、本当に勘弁してください・・・、俺、まだ十六・・・。』

 

『若いな、エースたる者、あれぐらいで潰れていてはダメだな。』

 

セシリアの言葉に、まだまだ若いシンは顔色を悪くして言い、コートニーは意地悪く笑った。

 

シンは大酒のみのセシリアとシャルに絡まれ、数杯飲まされた挙句にぶっ倒れたという始末だった。

プラントは十六で成人だから煙草も酒も問題にはならなかったが、真面目に過ぎる彼は酒を飲んだことが無かった上に、金髪ボインの美女に囲まれてテンパった部分があるんだろう。

 

情けないとは思うが、それぐらいのほうが可愛げが有って良い。

ま、俺の嫁さんをやる気は無いけどな。

 

『ふん、ナチュラルと酒を飲むなど・・・、コーディネィターの恥晒し共め。』

 

そんな時だった、割り込んできたマーレがまたしても嫌味を吐いてくる。

俺はナチュラルでもコーディネィターでもない存在だから何とも思わないが、相当嫌な奴と言う事は考えなくても分かる。

 

後で聴いた話、彼は二年前の大戦において、白鯨ことジェーン・ヒューストンに苦しめられたザフト水軍の一員だったらしく、元々コーディネィターの選民意識に染まっていた思考が、更に歪んで悪質化したそうだ。

 

ナチュラルは勿論の事、ナチュラルの肩を持つコーディネィターすらも敵と断じている、味方にいて欲しくない人間である事は確かだ。

 

腕は立つそうだが、それを考慮しても味方にはなりたくない。

普段から近くにいなくちゃならないコートニー達は御愁傷様だ。

 

『マーレ!!ご、ゴメンね皆!後で私が撃墜しておくから!!』

 

そんな彼を咎める様にリーカが声を上げ、不穏な事を言い放つ。

 

なるほど、同陣営からもこの扱いか・・・、どうやら、テストパイロットの基準は実力と裏事情にのみ左右されるらしい。

 

さて、どうしたモノか・・・。

 

「さて、私語はここまでだ、ベル、テストを開始する、各艇へ通達してくれ。」

 

だが、難しい事を考えるのは後で良い、今はやるべき事をやるだけだ。

今回の試験は俺のストライクSをリーダーとした異所属七機編成編成でのチームプレイを見るらしい。

 

とは言え、所属が異なる機体同士、連携は兎も角、個々の機体性能を見たいのだろう。

 

『了解したわ、レコード開始、各員持ち場について。』

 

ベルは各艇へ指示を出し、MS各機に通信が入る。

 

「各パイロットへ通達、これより、デブリベルトにおける機動性及び運動性、各々の回避法を図る。」

 

『了解!!』

 

『ナチュラル風情が命令を・・・、ちっ・・・!従ってやる!』

 

一名ふてぶてしい奴がいるがそんな事は些細な事だろう。

 

俺はストライクSのフットペダルを踏み込み、デブリベルトへ突っ込む。

 

「織斑一夏、ストライクS、先行する!!」

 

『シン・アスカ、インパルス、追走します!!』

 

ストライクSを追うようにインパルスが付いてくる。

シン、君の手並みを見せてもらおうか。

 

デブリベルトは無数のデブリが地球の重力に引かれてリング上に集まった宙域だ。

そこは大小様々なデブリが、それぞれランダムに動き回る場所だ。

 

しかも、デブリ同士の衝突も起こり、その度に軌道や形、規模が変わり、予測も難しくなる。

 

その中をMSで突っ切ろうと思うのは、悪手だと言えるだろう。

 

「そんなもん、予測しながら進めばいい!」

 

しかし、ここにいるのはザフトとアメノミハシラのトップエースだ、この程度のデブリなど、回避することなど造作もない。

 

『セシリア・オルコット、デュエルグレイシア、切り裂きます!!』

 

『コートニー・ヒエロニムス、カオス、突破する!!』

 

ドラグーンを持つセシリアとコートニーは、道の先にあるデブリを切り裂き、ミサイルで破砕した。

 

『シャルロット・デュノア、バスターイグニート、穿つ!!』

 

『リーカ・シェダー、ガイア、突貫するわ!!』

 

シャルはバスターイグニートの大火力でデブリを爆砕し、ガイアはビームライフルとビームブレイドを上手く使い、追突を見事に回避していた。

 

「シン、あのデブリに突っ込む、息を合わせろ!!」

 

『はい!!分離して抜けます!!』

 

ストライクSのスラスターを強引に噴射し、AMBACを使うことでデブリを回避する。

インパルスは四つの戦闘機へ分離し、デブリの各所に空く穴を見事に通り抜けた。

 

「やるな!俺より機体の扱いが丁寧だ、見習わせてもらうよ!」

 

『そんな事は・・・!でも、嬉しいですよ!』

 

デブリを抜けてすぐに合体し、シンはインパルスの最高速度を持って更に奥へと進んでゆく。

 

そうだ、シン、そうやって飛んで行け。

君は、飛べるんだから・・・。

 

いつか、俺もそうやって飛べるようになるために、俺は彼と機体を奔らせ続けた。

 

sideout

 

noside

 

「ふざけやがって・・・、ナチュラルと、それに乗せられた愚か者が・・・!!」

 

アビスのコックピットの中で、テストパイロットであるマーレ・ストロードは不愉快だと言わんばかりに吐き捨てた。

 

気に入らない、自分はこんな機体になど乗りたくは無かった。

 

彼が欲しかったのは、セカンドステージの中でも、その意義を体現しているインパルスただ一つ、他の機体は所詮付属品でしかないのだ。

 

その付属品に乗せられているだけでも癪なのに、インパルスに乗るのは自分よりも年下の、それも新兵同然の男だ。

プライドの高い彼にとって、それだけで許されない屈辱なのだ。

 

さらに、その男が、自分が見下すナチュラルとつるんでいるのだ、唾棄すべき事だ。

 

故に、彼は邪魔者を排除する事に注力する。

それがたとえ、同胞であっても・・・。

 

「邪魔者は、これで消えると良い!」

 

sideout

 

noside

 

「おぉ~!!やっぱりMSは宇宙が映えるなぁ!しかも、陣営が違うMSのそろい踏みって、中々撮れないぜ!」

 

MS達の動きを、少々離れた場所からアウトフレームで撮影するジェスは、その光景の豪華さに感激の声を上げた。

 

彼がMSに乗って写真を取る様になった理由の一つ、MSの迫力と美しさに魅入られた彼にとって、眼前の光景はカメラマン魂を刺激して止まないのだ。

 

「宇宙の怖さを知らんからそんな事が言えるんだ!気を引き締めろ!」

 

だが、真に宇宙の恐ろしさを知るカイトにとって、今いる場所がどれほど危険で、どれ程護り辛い場所か良く分かっていた。

 

故に、純粋な好奇心だけで動かれては堪った物ではないのだろう。

 

「へいへい、分かってますよ・・・、ん・・・?」

 

カイトの言葉にウンザリしつつも、カメラのシャッターを切り続けるジェスは、受信性の高いアウトフレームのセンサーが、何処からか発せられた信号を捉えた。

 

「何の信号だ・・・?」

 

それに気付いた彼は、その発信源を捕捉すべく、高性能センサー搭載型のガンカメラを辺りに向けた。

 

「あそこか・・・?一体何が・・・?」

 

信号は直径数百mほどのデブリの内部から発進されており、僅かだが熱紋も感知された。

 

他の機体は気付いていないのか、それとも、アウトフレームの強化されたセンサーでしか捉えられなかったかは分からなかったが、彼以外にその信号に言及する者はいなかった。

 

「なら、少し見て来るか・・・!」

 

ならば、動けるのは自分以外いない。

そう思うよりも先に、彼はアウトフレームのスラスターを吹かしてデブリへと向かう。

 

「ジェス?どうした?」

 

カイトがそれに気付き、ジェスに通信を入れる。

 

「少し見てくる!大丈夫だよ。」

 

「まったく・・・、人の気も知らないで・・・。」

 

着いて来なくていいと言わんばかりの彼の言葉に、カイトはタメ息を大きく吐いて、その機体を見送った。

 

デブリに到着したアウトフレームは、空洞の様に空いていた穴から内部へ侵入し、何かないかと捜索を始める。

 

センサーはどんどん肥大化していく熱紋を示しているが、何があるかまではサッパリわからなかった。

 

「『8』、ライトを点灯してくれ、もっとよく見たい。」

 

『ガッテンだ!』

 

『8』に依頼すると、アウトフレームに取付けられているライトが点灯し、空洞の中を照らした。

 

すると、その奥には、エネルギーを収束させている砲台の姿があった。

 

「こ、これは陽電子砲・・・!?なんでこんな所にっ・・・!?」

 

『まずい!トラップだ!!』

 

予想だにしなかった事に愕然としたジェスは、一瞬反応が遅れてしまう。

 

その一瞬の内に、陽電子砲は臨界点を迎え、今にも発射されようとしていた。

 

「くっ・・・!エネルギー全開・・・!!」

 

一瞬の硬直から立ち直った彼は、アウトフレームのビームサインを引き抜いてシールド状に展開、何とか身を護ろうとした。

 

その瞬間、彼の視界は白く染まった・・・。

 

sideout

 

side一夏

 

「っ・・・!シンっ!!」

 

突如として、進行方向にあったデブリが爆ぜ、陽電子の光条がこちらに向かってくる。

 

なんとかシンに警告を飛ばしつつ回避する事には成功したが、一体何が起こったんだ・・・?

 

『だ、大丈夫です・・・!でも、一体何が・・・!?』

 

無事に回避できたシンは、目の前で起こった事に困惑しているのだろうか、声が上擦っていた。

 

まさかデブリに何か仕掛けられていたのか・・・?

 

『あそこは、ジェスが向かっていた場所だ・・・!』

 

「なんだって・・・!?」

 

ジェスが向かった・・・!?という事は、巻き込まれたのか・・・!?

 

『テスト中に事故を起こすとは・・・!まったく迷惑なナチュラルめ!!』

 

「あれが事故な訳があるか!!トラップが仕掛けられていたんだ、恐らく、狙いはインパルスだ!」

 

こんな時でも嫌味を吐く事を忘れないマーレに怒鳴り返しつつ、俺はこの状況を推察する。

 

俺とシンのみが通るルートに仕掛けられていたという事は、俺かシンを狙って仕掛けられていたという事が推察できる。

 

そして、表向きは所属不明な俺を殺すメリットは何処にも見当たらないし、あるとすれば、ザフトの新型たるインパルスの破壊とパイロットの殺害・・・!

 

要するに、これはシンを狙ったという訳か・・・!!

 

『ならば我々は撤退する、新型機を狙ったのだとすれば、ターゲットは我々だからな。』

 

『でも、ジェスが・・・!!』

 

リーカが何とか救助に向かおうとするが、マーレはあっさりと機体をナスカ級に向けてさっさと撤退して行った。

 

こんな時に撤退しても意味が無かろうに・・・!!

 

『一夏様!この宙域を離脱していく小型艇が・・・!!』

 

『なにっ・・・!?」

 

セシリアの報告に、俺はその小型艇の姿をモニターに捉える。

その船は、このテストに同行していた別のジャーナリストが乗り込むモノで、俺も一度話した事が有る人物が乗っているものだった。

 

この宙域を、撮影区域内を出ようとしているのか、その速度は徐々に上がっていた。

 

こんな時にまさかエンジントラブルと言う事もあるまい、これは、逃亡だ・・・!

まさか・・・!!

 

「セシリア!コートニー!!あの船を追ってくれ!!恐らく、この件に関わっている、絶対に逃がすな!!」

 

彼がこの件を仕組んだかどうかは定かでは無い、だが、逃げるにしてはタイミングが出来過ぎている。

 

それに、仕組んでないにしても、ここで逃げるという事は俺達の機体の情報を盗んだとも考えられる。

言ってみれば、スパイと言う事だ、余計に逃がす訳にもいかない。

 

『了解いたしましたわ!!』

 

『任せてくれ、ジェス・リブルを頼んだ!!』

 

俺の指示にすぐさま反応し、セシリアとコートニーは小型艇を追う様に機体を奔らせる。

 

グレイシアとカオスならそれなりに速度も出る、何とか追い続けられるだろう。

 

「リーカはシンを護ってくれ、シンが真っ先に狙われていた、二度目があるかもしれん!」

 

『わ、分かったわ!!』

 

『一夏さん!俺だって行けます!!』

 

リーカへの指示が、まだ自分が未熟だからだという風にでも聞こえたか、シンはインパルスをデブリへと向けようとした。

 

「シン!!君は狙われている、だから、デブリの中じゃ満足に戦える訳じゃ無い、ここは俺達に任せてくれ!」

 

シンを、まだまだ未来のある彼をこんな所で死なせる訳にはいかない。

 

無論、ジェスも死なせない、俺が必ず助け出す!

 

「もう誰も!俺の目の前で死なせやしない!!」

 

誰かが死ぬなんてまっぴらだ、だったら、力の限り、俺は手を伸ばす。

それで救えるなら、立ち止まっている訳にはいかねぇんだ!!

 

「シャル!カイト!行くぞ!!まずは道を作る!!」

 

『勿論だよ!』

 

『俺に命令するなよ!だが、助かる!!』

 

シャルとカイトに通信を入れつつ、レールガンとビームキャノンを展開し、不規則に、そして勢いよく動き回る無数のデブリに照準を合わせる。

 

同時に、シャルのバスターイグニートもガレオス並行連結式ビームライフルを連結させ、大出力ビームを撃つ準備を整えていた。

 

「『ツインバスターシュート!!』」

 

大火力火器の掃射に、眼前で壁のように立ちはだかるデブリは焼かれ、まるで貫かれた様に道を抉じ開けた。

 

『なんて火力だ・・・!デブリに道が!!』

 

「驚いてる暇は無い!!行くぞカイト!!」

 

『あぁ!!』

 

その空間に新たなデブリが戻る前に突っ切る、唯一俺達が出来る救出法だ。

だったら、立ち止まっている暇なんてない、真っ直ぐ進むだけだ。

 

ストライクSの強大な推力を以て、俺は一目散にジェスがいる筈のデブリへと突き進む。

 

どうやら資源衛星だった物の様だ、それなりに大きく、それでいて、小型のマシンや一般的なMSなら通れるような穴も見付かった。

だが、さっきの爆発の衝撃か、穴は全て塞がっており、とてもではないが進入は出来そうにも無かった。

 

「ダメだ・・・!完全に塞がってる・・・!」

 

『通信も繋がらん・・・!これじゃあ抉じ開け様にも・・・!』

 

なんて状況だ・・・、ここで下手にビームで抉じ開けようものなら、中にいるアウトフレームに当たってしまうかもしれない・・・!

 

だからと言って、実弾や対艦刀でチマチマ削っても時間が掛かってしまう。

それでは生存率も大きく低下してしまうので、救助の意味が無い。

 

如何する・・・!?どうすれば良い・・・!?

 

その時・・・。

 

『マシタダ!マシタダ!!』

 

「何っ!?」

 

突如としてハロが警告を発し、俺は咄嗟に後退しつつデブリから飛び上がる。

 

するとどうした、デブリを突き破る様に、内部から超高インパルス砲の火線が飛び出してくるじゃないか。

 

「このエネルギー反応は、アグニの・・・!?」

 

まさかアウトフレームの武装ではあるまい、何せ、彼の機体は民間機なのだ、武装類は積んでない筈だ。

 

だが、穴が出来たのは幸いだ、中へ入らねぇと・・・!

 

『ジェスか!?無事なんだな!?』

 

『カイトぉ!一夏も・・・!助かったぁ~!』

 

中を覗き込んだカイトのジンが、中で片膝を付いてアグニを構えているアウトフレームを発見する。

 

まさか、本当にアグニを撃ったのか・・・?

偶々このデブリの中にあったとはいえ、それをストライカーとして接続しなければ使用出来ない筈だが・・・?

 

いや、今はそんな事を考察している場合じゃないか・・・!

 

「無事で良かった・・・!今引き上げる!」

 

穿たれた穴から内部に侵入し、アウトフレームの腕を掴んで引っ張り上げる。

 

どうやらスラスターが破損しているらしく、自律飛翔は難しそうだ。

 

「カイト!手伝ってくれ、このまま担いでいく。」

 

『分かった、まったく、世話の焼ける奴だぜ。』

 

『ははは・・・、返す言葉も無いや・・・。』

 

カイトの愚痴に、ジェスは愛想笑いを浮かべて誤魔化す様にしていた。

ホント、野次馬は身の危険顧みずに情報を追うから手に負えない。

 

だけど、ジェスの場合はそれが良い方向へ向かう事もあるから、責めるに責められないんだよな。

 

しかし、そんな事はどうでもいい。

問題はジェスの機体の事だ。

 

何故ジェスの機体は、ジェネシスαにあった機体、要するにザフト系列のガンダムなのに連合のストライカーパックを装着できたんだ・・・?

 

ロウが手を加えたのは外装だけだと聞いているから、内部構造やシステム類に大きな変更は無いだろう。

つまり、この機体は基からストライカーを装備できる機体だったという訳か・・・。

 

「コートニーが言っていたナンバー12・・・、ジェスの機体が・・・?」

 

ここに来た時と、二年前の南米でコートニーの口から語られた機体の型式番号・・・。

それはストライクを模した機体だという事は想像に難くない。

 

「という事は・・・、デュランダル議長はその事を知っていた・・・?」

 

恐らく、デュランダルほどの人物になると、こういう公の催しに参加する人間の所属や所有機などはすべて割り出せるほどの脈を持っているだろう。

 

だから、俺の所属にも勘付いているだろうから、ベルを使って確証を得ようとしたと考えられる。

 

そこから考えると、ジェスの機体もザフト製MSがルーツであることを知った上で呼び寄せた、という事になる・・・。

 

「一体、俺達に何をさせる気なんだ、デュランダル・・・。」

 

得体の知れない気味の悪さに歯噛みしつつ、俺はジェスを運んで帰投した・・・。

 

sideout




次回予告

訪れるは厄災の音、新たなる火種が灯される時、世界は混迷へと墜ちて行く。

次回機動戦士ガンダムSEEDASTRAYXINFINITY

ガンダム強奪

お楽しみに
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