ようこそ実力至上主義の教室へ〜間違った青春はとある教室で始まる〜   作:らふ

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第二十一話彼女の独白

「はぁ、なんで俺とお前がデートしてんだろうな」

 

「あん?あの人が言い出した事だろ?俺は別にあいつとお前とがデートする時間が減らせればそれで良いんだしな」

 

うわぁ、こいつ超友達思い。優しいなぁ。それなら普段から他の人にも優しくしてればいいのに。いや、無理か。こいつにそれを求めるのは癪だしな

 

昔からこうだったし、別に何もいうことはないよな。翔は翔だ。ちょっと変なとこあるけどそれを除けばただのいい友達だ。

 

こうやってデートするようなことがない限りそんなことは考えず、適当に過ごしてたんだろうなーと考えると今日はいい日?になりそうだと思う。

 

「まぁ、いい機会だよな。俺とお前がこうやってデートだなんて」

 

「あぁ、そうだな。八幡誘ったら絶対こねぇし」

 

「いやいや、誘うことがあるのかよ」

 

「デートじゃなくてもな、もともとあまり話さなかったろ俺ら」

 

「そうだな、翔と出会った時は全くと言っていいほど喋らなかったな」

 

「八幡は良くも悪くも引くからな。だからこちら側が引っ張らないと釣り合いが取れねぇんだよ。」

 

「あ、なんかそれわかるかも。噛み合わない奴とか絶対いるよな」

 

「あぁ、それが俺らだったろ?」

 

そうだったかな。俺と翔は最初は仲良くなんてなかった。あったのだって偶然だし、それが縁と言えるものではなかったはずだからだ。

 

まぁ、そんな関係だったのが何を間違ったらこんな関係になってしまうのか。それは俺に聞いてみてもわからない。それこそ全くな。

 

だからあの出来事は良くも悪くも影響したってことだろう。

 

「まぁ、昔のことは関係ねぇよ。今を楽しもうぜって事で、あのカフェ入ろうぜ」

 

「ああ。……………ああ?!」

 

そのカフェはカップル限定のカフェだった。はぁ?いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや。

 

首をこれでもかとばかりにぶんぶんぶん振る。

 

「なんだ?何か不都合でもあんのか?」

 

「え?お前はいいのかよ?」

 

ちょっと鳥肌が立ちながら翔の方を見る、多分俺の首はギシギシ言ってる事だろう。

 

こ、こいつ自分が何言ってるか分かってんのか?

 

「あぁ、カップル限定ってとこか?別にいいだろLGBTの問題だってあるんだし。俺は気にしねぇぞ」

 

え、えぇ。何言ってるか分かってないだろこいつ。

 

無理だよ、無理無理無理。なんで男子とはいらねぇといけねぇんだよ。女子ならともかく………女子でもないな。

 

うーん。そう考えたら性別っていう概念を無視すればいけるのか?

 

まぁ、今後こいつとの付き合いにヒビが入ってもいけねぇし。

 

「はぁ、まぁ分かったよ。入ればいいんだろ入れば」

 

「あぁ、だから入るぞ」

 

カップル限定と書いているからにはそれを徹底しているのか全員が男女で座っている。

 

は、はぇええええええ。

 

絶対場違いだろ帰るぞと視線で送るが、へぇーとばかりに視線を巡らせている。

 

は、はぁ?こいつなんです店の中感心したように見てんだ?帰るぞと念を送り続ける。

 

ようやく気づいたのかこちらに向く。

 

お、おうやっと気づいたか、さぁかえるぞと言おうとすると…………

 

「何名さm…………………あの、ここカップル限定って書いてあるの読みました?」

 

「おう、読んだぜ?だから俺らはカップルだが?」

 

「は、はぁ?あ、すみません。で、でもですね。ここはカップル限定なのであって……「あ?なんだテメェ?」

 

ひっ、すみません。ご、ご案内しますね。」

 

うわぁー定員さん怖がってるよ。てか俺らカップルじゃねぇからな?翔の表情変わらなすぎて怖いんだが。

 

「こ、こちらの席でよろしいでしょうか」

 

可哀想すぎるんだけどこの店員。めっちゃビクビクしてるよ。ほら足とか震えてる。立ってるのがやっとって感じだ。

 

俺がすみませんとばかりに頭を下げるとキッと睨みつけてくる。お前のせいだぞと言ってる気がしたが、瞬時に目の色を変えてーーー

 

 

「あ、あのすみません。ーーーーあっ」

 

 

こちらに向けて倒れてくる。なんだなんだ?と思っていると。しゅっと俺のポケットの中に紙を入れる。

 

「これ私の連絡先です。今日の夜お電話下さいね」

 

「はぁ?」

 

「あん?どうした?おい店員転げてんじゃねぇよ。躾はちゃんとされてんだろ」

 

「は、はい。」

 

 

そして俺の耳に、では待ってますねーと耳打ちしてホールのほうに戻っていく。

 

え、なんだったの?

 

俺のポケットをがさがさと探ってみると紙が見つかる。

 

そこには手書きのメールアドレスと電話番号が書いており、なんだったのかと疑問ばかり浮かんでくる。

 

そういえば今日は視線が痛くないな。そこが関係しているのか?

 

まあ、今日は翔と葉山と雪ノ下さんとのデートに集中しよう。気を抜くと倒れそうだしな。

 

「はぁーい。お待たせしましたぁ。カップルジュースでーす。」

 

なんか妙に甘ったるい声でジュースを持ってくる。あれ?俺らなんなんだっけ。もう八幡訳がわからないよ。

 

「さぁ、八幡飲むぞ」

 

 

そこからの記憶はない。うん。気を失ってよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうー比企谷くん?隼人とのデートもちゃんとしなきゃ」

 

「いやいや、翔だけで充分ですよ。俺には荷が重すぎます。既に死にそうな俺にとってはね」

 

ほんと死にそうだった。世の中のカップルとはなんなのか。痛いほど知らされた。

 

カップルってなんなんだろう

 

 

「だめだよー悦に浸ってちゃー日が暮れちゃう。早く私とのデートもしなきゃ」

 

「わっ」

 

俺が放心してると、雪ノ下さんが俺の手を取って歩き出す。早めにスタスタと歩いて行くため、俺が後から引っ張られる形となり非常に歩きづらい。

 

雪ノ下さんはこうでないとな。

 

「はぁ、自分で歩けますからいいですよ」

 

「えー?そう?でも私はこっちのほうがいいなぁ」

 

「ねぇ、雪ノ下さ「陽乃」……………雪ノ下「陽乃!」……ゆき「陽乃!!!」……………」

 

 

「雪ノ下さんじゃなくて陽乃って呼んでほしいな」

 

夕に照らされたその顔は少し悲しげで儚かったが、実に美しかった。

 

それで、つい見惚れてしまい、答えるタイミングを失ってしまう。どう答えればいいのかも忘れてしまった。

 

「陽乃…………さん」

 

「陽乃!!!」

 

むぅーと言わんばかりにいじけた様子で張り合ってくる。はぁ、あんた俺より年上だろいいのかそれで。

 

「うん。私は比企谷君より年上だよ。でもね、私にとっては弟みたいな存在なの。」

 

「弟?俺がですか?」

 

「そう弟。とっても手のかかる弟。隼人も昔はそう思ってたんだけど、最近は可愛げがなくて弟だとは思えないんだ。」

 

「それは陽乃………さんが思ってるだけで、あいつは姉だと思ってるんじゃないですか?」

 

「ううん。隼人にはたくさんひどいことしちゃったしそうは思ってないはずだよ。それよりも……………」

 

「ちょっ、……………」

 

そう言いながら、俺のほうに倒れかかってくる。

 

俺の胸に顔を埋めてくる。

 

それは普段の陽乃さんとは異なって見えて、どこか違った。

 

「私ね、結構我慢したと思ってるんだ。妹のため妹のためって、全部やってきた。」

 

「はい。でもそれは間違いだったですね」

 

そう。間違い。陽乃さんが見せてきた、完璧な姿の影響かそうでないかは知らないが、雪ノ下の人格構成の大半は陽乃さんのコピーだろう。

 

だから、陽乃さんと俺はそれを間違いだと言った。

 

「でも、そんな考えこそが間違ってたのかもしれない。私がこの前雪乃ちゃんを見た時、なんて思ったと思う?」

 

「うーん。歪とかですか?」

 

「ぶっぶー。第不正解だよ。君にはまだそう見えるのかもしれないけど、あの子はもう私の影を追ってない。」

 

「そうですね。それだけは断言して言えることだと思います」

 

「私はあの時思ったの。私なんかより遥かに成長してるって」

 

「ふっ、まぁ色々ありましたからね」

 

「あは、なんで比企谷くんが偉そうなの」

 

こいつめと、俺をデコピンしてくる。地味に痛い。力こめやがって。

 

それにしても、苦しかったのか。自分の行動に意味がなかったかもしれないと、そう思ってるはずだ。

 

雪ノ下は成長した。陽乃さんより成長したかどうかはわからないが、成長した。

 

多分雪ノ下自身が陽乃さんの影を追っているということに気づいたのだろう。

 

去年と一昨年は色々あった。

 

そこで成長した雪ノ下は以前より遥かに逞しく見えるはずだ。

 

それに対して、陽乃さんは自分が動いたことで、もうちょっとうまくやれたのではないかと、そう思ったのだろう。

 

だから、俺が在すべき行動とはなんなのか、それくらい分かってるはずだろ。比企谷八幡。

 

「無駄なんかじゃないですよ。貴方はちゃんと役目を終えました。なら、今すべきことなんて貴方なら簡単でしょう」

 

「うっ…………ひくっ………どうすればいいのかな、どうすれば許してくれるかな」

 

気づけば泣いていて、その体はボロボロになっているように見えた。

 

傷ついて傷つきすぎて、その先にあるのが破滅ならどんなに辛いことだろう。だから、慰めなんていらないはずだ。

 

「ちゃんと正直に謝りにいきましょう。陽乃さんと俺で」

 

「……そんなことで許してくれるかな」

 

俺の胸に顔を埋めて泣いている。この人も吐き出したかったのだろう。だからこんなデートなんて仕向けて場を作った。そこまでするのはこの人しかいないと思うが、それでも行動したのだから。それに答えるのが筋だ。

 

「あいつなら笑って洗い流してくれますよ。もう、姉さんったら、とか言ってな。」

 

「ふふっ、似てなーい。」

 

「だから大丈夫です。逆にあいつが許さないなんてあり得ないですよ。俺がリア充になるくらいあり得ないです。」

 

「あはは。そうかもね。でも。私は君のこと好きだよ。」

 

「俺は陽乃みたいな人はあまり好きじゃないんだけどな」

 

「ぶぅー、って、あれ?今陽乃って……」

 

「さぁ、そろそろ帰るぞ。今日ももう暗いしな」

 

「ふふっ、初めて呼び捨てのしかも名前で呼んでくれたね。ねっ、私も八幡って呼んでいいかな?」

 

「勝手にしろ。明日雪ノ下に謝るんだろ?さっさと帰って寝るぞ俺は」

 

「俺はって。そこは私も含まれてるんじゃないのー?」

 

つんつんと頬を突っついてくる。ええい恥ずかしいし、可愛いからやめろ。こっちだって結構勇気振り絞ってやってんだぞ?気づいてるだろこの人。

 

「今日はありがとね」

 

 

「それはいいかr……………」

 

頬に何かが当たる。それは少し暖かくて、湿っぽくて、柔らかくて、束の間の間何が起こったのかわからなかった。ただこれだけは分かった。この人は変わらずにいるのだろうこれから先も。ずっと。

 

そこに俺がいるのかどうかはわからないが、この人なら無理やり詰め込んできそうだなと少し呆れていた。

 

ただし、俺はこの日のことを忘れないだろう。いい意味でも、悪い意味でも、絶対に。

誰かとカップリングさせたいと思っているのですが誰がいいですか?

  • 櫛田桔梗
  • 一ノ瀬帆波
  • 坂柳有栖
  • 椎名ひより
  • 龍園翔
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