ようこそ実力至上主義の教室へ〜間違った青春はとある教室で始まる〜 作:らふ
俺のこの学校への入学の理由。
それが胸に突っかかって未だ離れない。
俺はどういう意図があってこの学校に来たのか。
その答えは近くにあることを知らない
「……折本さぁ、お前こんなやつだったっけ?」
「えぇー?それうけるわー。私はいつもこんな感じだし?」
「比企谷、諦めた方がいい。折本は難儀なやつだぞ」
「いや、何よりも先にお前が混じっていることに対して違和感を覚えるんだが」
葉山、折本、俺の順に横並びで廊下を歩いている。移動教室だからなのだけれど、葉山がいるのが気になって仕方ない。
「まぁまぁ、いいじゃないか」
「だよねー。私も葉山くんもクラスで浮いてるとこあるし」
「は?お前等クラスで浮いてんの?」
初情報なんだが。こいつ等はどこでもやっていけそうな奴らなのに超意外。まじか、イケメンでも浮くことってあるんだな。美人ギャルでも浮く………なんでもありません。だから俺の腕を引っ張らないでもげる
「ったく。葉山くんもそうだよね」
「俺はどう接すればいいのか分からなくなってね。こんな不器用なやつだったんだって知ったよ。」
少し後悔が滲むような言い方をしてくる。口惜しんでいるように口にするが、葉山自身どう思っているのかが理解できない。
こいつは昔の葉山隼人ではない。何を考えて生きているのか、よく分からなくなっている。
「あー、わかるわぁそれ。Bクラスの生徒はなんか一体感っての?結構暑い感じだから、適当にやり過ごしてたりするとダメそうだしねー」
「折本の言い分だとBクラスに合ってないな折本は。」
「何その言い方〜私は別にそれでもいいから葉山くんとかと絡むようになったんだけど」
「は、ははっ、俺は別に頼んでないんだけどな」
額に汗を浮かべて視線をあっちこっちさせている。
葉山苦労してんだな。だが、俺も苦労してんだぞ?主に翔とか。彼奴方向性がおかしいというかなんというか、最近なんか一緒に住まねぇか?とか言ってきやがったしな。
やだよ。お前と暮らしてたらろくな目に合わなそうだもん。蛇の道は蛇ってな。怖い。言ったら教育とかなんとか言って山に連れ出されそうだけど。
「私は上っ面だけで付き合っていくのが嫌になったの。だから、葉山くんとか比企谷と一緒にいると変に気を使わなくていいから楽なだけ」
「なんかそれわかるわー。変に気を使ったりしてると痛い目見るよな」
「比企谷は、黒歴史レベルで痛い目見るよねー」
「比企谷。俺はわかってるからな」
「なんでお前俺のことを温かい目で見てんだよ。やめろ!そういう同情いらないから!」
黒歴史なんて山ほどあるぞ。
例えば、勇気出して女の子に話そうとしたあの日。
『これねー。まじいけてるよね〜』
『それまじあるわ〜』
『何お前勝手に話に入って来ないでくれる?まじキモいんですけど。』
『ぐはっ』
『もう行こ〜』
いや、短すぎる上に辛い。会話10秒で終了したんですけど。あれ?俺空気読めてなくね?しかも話し方三浦に超そっくり。
「そういえば比企谷。お前一之瀬といい雰囲気だよな?」
葉山が空気を読んだのか沈みかける気持ちにストップをかける。ありがとう葉山。その気遣いはまじで心が痛む。
てか、一之瀬と俺が関わっていることをなんで知ってんだよ。ま、まさかお前。
「お前、まさか、一之瀬のこと……」
「は、ひ、比企谷…「なーに?珍しい組み合わせだねっ。」
一之瀬が、葉山を掴み話に入れてとばかりに顔を覗かせる。
ひょこんと顔を覗かせる一之瀬は目をキラキラさせている。何期待してんだこいつ。というか由比ヶ浜との入れ替わり戻ってよかったな。
「ちょっ、ちょっと、一之瀬さん。そろそろ離してくれないかな?」
「あっ、ごめんね」
「いや別にいいんだけどな」
「ならよかったよ」
何こいつ。なんか見てるとイライラしてくるんですけど。ほら、血管立ってる。
「なぁ、お前等どういう関係なんだ?」
「え?葉山くんとは何もないよ?」
「ひ、比企谷そういうことは聞くもんじゃないよ」
あたふたして、少し焦っている。イライラする。こうやってまざまざと見せつけられていると嫌でもイライラしてくる。
あぁー、お前等ってそういう関係だったんだな。お幸せに。そしてささやかな悪意を込めて爆発しろ。
「そうか。ならいいんだ。」
足早にさる。早くこの場から去りたい。何故か分からないけど、目根に釘を打ち付けられ、その場所から早く去りたいという気持ちが勝ってしまった。
何をしているんだろう。分からないけど、俺は痛くなった胸をそっと撫でる。
教室へついた俺は机に伏せるが、葉山や折本は一之瀬らと話しているようだ。
何故か、話しかけられないか、話しかけてきたらどうしようか、そんなドキドキした感覚が襲う。
「では、4時限目理科の授業を始める。」
机に顔を伏せていてはクラスポイントが引かれると思い、顔を上げる。
その時の俺の顔はどんな風だったのだろうか。
「ね、ねぇ、比企谷くん。」
「あ?なんだ?」
「ひっ、ど、どうしたの?」
「ほっとけよ。寝不足なだけだ。」
違う。そうじゃない。俺は気づけていないだけだ。何が大切で、何が要らないか。その区別がつかないだけなんだ。
「で、でも、顔怖いよ。今日は休んだら?ほら保健室に行く!」
「大丈夫だ。それとも、俺が体調不良だとなんか不都合でもあんのかよ」
少々意地悪な問いだと思う。だが、俺は同情が欲しいわけではない。ただ知って欲しいだけなんだ。
「ふ、不都合なんて無いけど。でも、心配だし。」
「一之瀬は優しいよな。誰にでも優しくて、正しい。だけどな、俺はそうじゃない。お前が思ってる奴じゃないんだ。
そのひねデレっての?そんなんじゃない。もっと醜い何かなんだよ」
「…………比企谷くんはそんなんじゃない。」
違うと、強く言うが、だからなんだ。俺が俺の考えている自分でないかなんてどうでもいい。俺はただ知りたい。
「行動全てに打算が含んであって、それらは俺の意志のもとじゃない。俺の背後には得体の知れない化け物が居座っていて蠢くたびに俺は状況に合った行動をする。
そういうのなんていうか知ってるか?偽善者って言うんだよ。」
「そ、そんなんじゃ、そんなんじゃないっ!!!!!比企谷くんはいつもいつも周囲のことばかり考えて!自分のことはいつも後回し、だから、自分にとってそう思えるだけで………私たちはちゃんと分かってるから。。ちゃんと、比企谷くんのこと………」
喋り続ける声は次第に薄れていく。それは今の俺たちにはぴったりの表現だろう。
薄れ薄れていく声を聞きながら、響く声が聞こえて来なくなるまで何秒かかっただろう。
世界が止まったように思えた。時間が経つのが遅く、呼吸が荒いのか喉がひりひりしてくる。
空からポツリポツリと降ってくる雨になす術なく当てられている俺たちはその雨に比例し言葉が消えていった。
少しばかりの時間を要しようやく頭に浮かんだ言葉がまとまったのか、言葉を紡ぐ。
「俺は自分が好きだと思っていたが、本当は嫌いなんだ。
人と喋る時きょどる俺。女性と喋る時声が上ずる俺。自己紹介の時噛む俺。喋る内容がいつも斜め上な俺。捻くれた回答ばかり出してきた俺。女性を直視することができない俺。たまに緊張した時声が裏返る俺。いつも問題ばかり起こしてきた俺。濁った目をしている俺。喋る内容と考えている内容が噛み合わない時がある俺。甘いコーヒーばかり飲んで、糖尿病になり気味の俺………
まだまだあるが、俺はそんな俺が嫌いだ。
そして最後に付け加える
一之瀬帆波と関わる比企谷八幡が大嫌いだ。」
一之瀬ははっと顔を上げて、俺の顔を覗く。今の俺の顔は酷く醜いだろう。だが、そんなことはどうでもいい。
俺の目が腐っているなんて、とっくに分かっているのだから。どうでもいい。
俺はただ知って欲しい。そして俺も知りたい。
この感情の名前を。
誰かとカップリングさせたいと思っているのですが誰がいいですか?
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櫛田桔梗
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一ノ瀬帆波
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坂柳有栖
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椎名ひより
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龍園翔