ようこそ実力至上主義の教室へ〜間違った青春はとある教室で始まる〜   作:らふ

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第43話こころ

然し……然し君、恋は罪悪ですよ。解っていますか

 

 

 

ふと、そんな言葉を思い出す。夏目漱石の『こころ』だ。中学生の頃読んだ時は酷く感動して、我ながらひねくれた解釈をしたものだ。

 

先生も、kも、奥さんも、みんな心のうちは"独り"なのだ。

 

先生は独りが故に自分のエゴイズムに苦悩し挙げ句の果てにKと同じ道を辿る。

 

奥さんは先生に胸の内を明かされずずっと独りだった。

 

Kは言わずもがな最後まで独りであったために一生を終える。

 

 

3人がそれぞれ独りであり、"私"の行く末は読者である私達が想像しなければならない。

 

夏目漱石が、ひいてはこころが本当に伝えたからったのはなんであろうか……

 

私達に寄り添う形で与えられる問という名の小説は幾重もの問題を示してくれる

 

 

 

だから俺は『こころ』という小説を読み、問題は人の心の部分であり、それは善悪問わずあるがまま動き続けると説いた。

 

そしてその答えは……

 

人間は独りになった時にこそ………死ぬ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんた酒飲んでないんだから。だ、ダメだって!」

 

体が怠い。至る所が軋んで、ぎしぎしいっていう事を聞いてくれない。その理由は昨夜にあるだろう。

 

絶対許さん!

 

実はあの後

 

 

路上でいつまでも接吻を交わすという不純異性交流ともとれる行為を30分と続けた後、何故か陽乃の部屋で夕食をご馳走してくれるという話になり、ご馳走になった後すっかり寝ている陽乃さんに毛布をかぶせ……

 

最中に、陽乃が俺の足を縺れさせ、俺を転ばせる。

 

「あ、あんた起きてたんですか?!」

 

「ちょっ……は、陽乃さん。ま、待ってください。俺たち学生ですよ?だ、だめ」

 

「いいじゃない。減るもんじゃあるまいし。そ・れ・に………」

 

陽乃は俺の上に乗っかり、ニヤリと嫌な笑みを浮かべつつ、上から順にボタンを外していく……おいおい、まてまてまてまて!

 

「だめだ……ダメらよぉ……」

 

陽乃さんは俺の耳をぺろりと這うように舐め、俺の胸を抱くようにする。

 

少し気が抜けて変な声が出るが仕方ない事だろう。

 

然し、俺たちは学生だ。身分を弁え、法律や世間体を気にしなければならない年柄であるし、何より不純異性交流というのはまずい。何がまずいかっていうとマジまずい

 

つまりそういうことだ!

 

「どいてくださいってば!」

 

勢いよく、ガバッと起き上がろうとした瞬間、腹部に重い体重が掛かる。

 

あ、いや重くはないよ?重くはないからね?

 

「ん…………」

 

呼び掛けてもなんとも言わない陽乃さんの様子に違和感を覚えた。

 

俺の腹の上から退けないし、揺すってみてもうんともすんとも言わない。

 

これはもしや………

 

「ちょっ、陽乃!」

 

気になったので、少し大きな声で呼びかけてみても反応なし。

 

さらに気になったので、刺激を与えないようにゆっくりとなるべく触らないように陽乃の頭を上げてみると

 

すやすやと寝ていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれから、微動たりともしない陽乃さんをどかそうにもどかせなくて、めちゃくちゃおも「は・ち・ま・んくんっ♫なにいってるのかな?」

 

記憶の中の陽乃が何か話しかけてくる。何を言っているのかよくわからないけどあれは………怒ってる?

 

「今日の八幡君は余程死にたそうだね〜なんなら手伝ってあげようかな〜勿論物理的に」

 

いやいや、昨日こんなこと言わなかったぞ?てか、立場的に陽乃さんはこんなこと言えないはずだ。だから違う。違うんだ!これは幻覚で………そう!夢だ!これは夢なん

 

「夢じゃないよー。って、それはいいとして……八幡君。あの子なんとかしなよ?ずーっと見てきてるから」

 

ちっ、これは本物か……ほっぺたつねっても痛くないし…実証は陽乃さん。言いながら俺のほっぺたぐにぐに抓ってきて超痛い。力込めすぎだっての。

 

陽乃は視線であの子あの子と言ってくる。

 

陽乃のことだから指を指すことはなく視線で示してくるのだ。少し切長で美しくも儚いその瞳でなにを示しているかを追う。

 

あいつは……やっぱりな

 

 

あの子とは彼女のようで、何処かでみた探偵ドラマの一部分であるかのように壁から半身を預けてチラッと覗いている。

 

あきらかにこちらを覗いてきて、何かを確認するような眼差しでこちらをみてくる

 

 

 

 

一之瀬穂波。彼女だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽乃さんには先に行ってもらって一ノ瀬と二人で話す機会を得る。

 

機会を得ると言っても、一ノ瀬はまだ視界の先にいるので先ず俺が彼方に行ってからだが。

 

 

取り敢えずあちらにいかなければ話にもならないので、一直線に一之瀬の方へと向かう。

 

早く話せねば、そう思いながら一ノ瀬の元へ着いたが、一之瀬の驚き方が面白かった。びくびくびくっと体を痙攣させたかと思うと、壁に埋もれていった。

 

無論壁に埋もれていくことはないのでぴたっと張り付いているだけなんだがそれが妙にウサギを彷彿とさせて面白い。

 

「は、はち……比企谷君どうしたの?」

 

と思うと、しゃきっと体を張り起立する。うわ、こいつ絶対学級委員やってた奴だろ、変なとこで真面目なんだよな。だがすまん、現在進行形で学級委員やってる奴だった。

 

「まぁ、いいから話しながら歩こうぜ」

 

「うん………」

 

一ノ瀬は何故かうるうるとした目で同意し、俺の後ろからとことことことことついてくる。

 

足音が一々可愛いんだよな。そしてみんなの前では堂々としている姿も俺の前ではおどおどしている姿も。どんな顔も、目も、口も………

 

あれ?これじゃあ俺が一之瀬のこと好きみたいじゃないかよ。馬鹿いうな、俺が好きなのは小町だけだ!いや、小町と同じくらい一ノ瀬のことも好きな気が………

 

なんだかもやもやとした思考を巡らせながら口を開ける

 

「なぁ、一ノ瀬。なんで昨日から俺たちのことストーカーしてたんだ?」

 

 

周りくどいのは面倒なので直球で行く。一ノ瀬の答えを鈍らせないためにもこれは正しいだろう。

 

彼女は当然の様にぶるぶると震えだし、また泣きそうになる。

 

子鹿みたいで可愛いな。まぁ、子鹿なんて動物園でもあまりみねぇけどさ。

 

「あ、あぁ、いやごめん。脅かすつもりじゃないんだよ。ただ、質問で……」

 

げほげほと不意に咳き込む。最近咳が酷くて夜起きることもあるのだが、別段痛い訳でもないし、問題視はしていない。恐らく風邪かなにかだろう。

 

「え?比企谷くん?!八幡君!!」

 

何か叫んでいるが聞き取りづらい。もう少し俺の耳に寄せていって………くれ

 

視界が少しずつ閉ざされていき、倒れ落ちる体が咳き込んだ際に塞いだ手を見る。俺の手は

 

 

 

 

 

鮮やかな赤で染められていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は殉死という言葉を忘れていました。平生使うことのない言葉だから

誰かとカップリングさせたいと思っているのですが誰がいいですか?

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