ようこそ実力至上主義の教室へ〜間違った青春はとある教室で始まる〜   作:らふ

48 / 49
第48話規範

俺はあの少女のことを知っている。

 

彼女が俺の事を知っているかは兎も角として俺は彼女のことを記憶している。

 

俺だけが知っているなんてことになれば自意識過剰となり何か言われるかも知れないが、多分その恐れは杞憂だ。憶測でしかないが彼女も俺を知っているだろう。

 

あれは俺でも記憶しているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某日の学校帰りのこと。

 

中学生の俺は学校帰りに遊ぶ人もいないし、友達もいるはずがない俺は普通に帰っていた。

 

いつもどおりの帰り道。なんの変哲もないアスファルトで埋められた道を歩き今日の晩飯は何かなとか、あの先生の新作が出たって書いてあったけどもう売ってるのかなとか、適当な事を考えてあるいていた。

 

そこへ、女性のものと思われる悲鳴が響く。

 

女性の悲鳴が響こうと知った事じゃない。この時期も流石俺といったばかりに平和主義でも戦争主義でも無かった。

 

だが、女性の悲鳴はついに俺の目の前で響く。面倒だ面倒だと思っている割には足は現場に歩き出し、目の前にまで来ていた。

 

「あん?何見てんだ?」

 

ーーーからはもう星乃宮先生に言ったのでわかると思う。ボコボコにされて、翔に助けられて、彼女は去った。

 

だからここで、論点にすべきなのはその少女…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は確かに見ました。」

 

佐倉愛里。彼女である。

 

「最初にCクラスの生徒が須藤くんに殴りかかったんです。間違いありません。」

 

彼女の出した声には前聞いた声と違い、張りがあった。

 

何かを覚悟してきたのだろうか?それは一重に成長したと言っていいかどうかはわからないが、俺の知っている佐倉とは違っていた。

 

そう。前会った彼女の声と違っていたのだ。

 

「すまないが私から発言させてもらってもいいだろうか」

 

すっと坂上先生がてをあげる。

 

ならば彼女は何が変わったのか。思考?性格?態度?容姿?事情?

 

俺は恐らく冷静ではない。だから、こう、次次と感情が舞い出てくるのだろう。

 

「本来、極力教師は口を挟むべきではないと理解しているが、この状況はあまりに不憫でならない。生徒会長、構わないかな?」

 

「許可します」

 

「佐倉さんと言ったね。私は君を疑っているわけではないのだが、それでもひとつ聞かせてくれ。君は目撃者とて名乗り出たのが随分遅かったようだが、それはどうしてかな?本当に見たのならもっと早く名乗り出るべきだった。」

 

ただ一つ、俺は理解しようとしている。過去に、現在に繋がる、一部分。そして、これから先。未来を。

 

「それはーーその………巻き込まれたくなかったからです………」

 

「どうして巻き込まれたくないと?」

 

「………私は人と話すのが、特異じゃありませんから」

 

「なるほどよくわかりました。ではもう一つ。人と話すことが得意じゃない貴方が週が明けた途端目撃者として、名乗りを上げたのは不自然じゃありませんか?これではDクラスが口裏を合わせて貴方に嘘の証言をさせようとしている風にしか見えない」

 

得意じゃないことは初対面の印象から誰でもわかることだろうと思う。だが、坂上先生はそれも込みでDクラスは計算してるんじゃないか?と疑いを持ちかける。

 

当たり前の手法、論法だが、今は悪くさえ思えてくる。

 

「そんな……私はただ本当のことを……」

 

「幾ら話すのが苦手だとしても、私には自信を持って証言しているようには思えない。それは嘘をついているから、罪悪感に苛まれているからではないのかな?」

 

「ち、違います。」

 

それは俺も考えたことだが、清は基本的に無関心。堀北に至っては善悪に縛られ、常にレールの上を行く写実主義者。いわゆるリアリストだ。

 

Dクラスに現状。表向きの天才は清と高円寺くらいのものだろう。

 

これを以て有り得ないと断言する。そして、恐らくこの審議は地続きのまま終わるだろう。

 

裏はみえても、表しか出ない。

 

「私は君を責めているわけではないよ。恐らくクラスのため、須藤くんを救うため、嘘をーーーーーーー

 

 

 

この敷かれた道は俺を否定しているようにみえて気に入らない。

 

壊したい壊したいと思っていても、表に出る自責が悪心を堰き止める。

 

だから、これからも俺は"常識"という概念と向き合っていくのだろう。今の佐倉を見たことによって次次と湧き出た感情はそのためだ。

 

俺のすぐ前で、向き合っている姿が見えたから安心した。そして、俺の先を行く彼女を見て羨望した。

 

俺は一言言いたい。昔に戻って、一瞬だけだったが面識を持った彼女に向かって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

審議が俺の考えた通り妥協点を模索すると言う段階で決着がつく。話にならないとばかりに堀北はその場を後にして、Cクラスの生徒は堂々と去っていった

 

残っているのは俺と、陽乃(既に寝ている)と堀北さんと清、あとは佐倉だけだ。

 

彼女も俺に気づいていたのか、ただ単に清に付き添いたいだけなのかは知るところではないが、こちらに歩いてくる。

 

位置的に堀北さんと清、俺と佐倉という組み合わせで対面する。

 

「久しぶりだな。佐倉」

 

その言葉はあまりに簡単すぎて、

 

「あなたは……あの時のヒキタニさんですよね」

 

「ち、違う。それは渾名だ。俺の名前は比企谷だ。」

 

「あ、あぁあ、ご、ごめんなさい」

 

佐倉は取り乱して謝る。

 

ヒキタニ、は俺史上最も出てきた渾名であり、その頻度はヒキガエルに次ぐ。最初言われた時は涙で枕を濡らしたが今では言われてもなんとも思わないくらいには成長した。成長?成長だよな。

 

「それよりも、がんばったな。」

 

「………私は知っていること^_話しただけだよ」

 

「証言者がいるだけでも清や堀北にとってありがたい筈だ。結果はどうあれ、な。」

 

「ありがとう……」

 

「うんうん。素直にものが言えるようになったんじゃないのか?」

 

何故か自分のことのように嬉しく思い、そう口にする。

 

不良から助けた(られた?)時は名前と少しお礼言っただけで帰っていったからな。

 

言いながら頭を撫でる。

 

「ひっ………ご、ごめんなさい。まだ慣れてなくて。」

 

「そうだった。佐倉は男性が苦手なんだったな。ごめん。うざかっただろ」

 

「いえ……男性が苦手なだけだから、八幡くんが悪いというわけでは…」

 

「え……名前?」

 

「ひ、ひきぎゃ、ひきた、ひきたに……

 

「あ、あぁ。もういいわ。大体わかった。」

 

こいつ喋らなすぎて舌がうまく回らないんだな。それか緊張して?俺と話すことに緊張はしないだろうから多分前者。

 

俺も半年以上人と喋ってない時期があってうまく口が回らなかったことがある。佐倉と同じかどうかはしらんが。

 

「で、今回はまたどうして…あ、ごめん。ゆっくりでいいからな」

 

「大丈夫。私、ちゃんとするから。。」

 

 

 

「いやいや、無理してちゃんとする必要なんてないだろ。自分の行動に制限ばかりかけていたら息苦しいぞ。俺だってダメダメなところいっぱいあるが、直そうとしてないしな」

 

佐倉の言葉が気になり、長く言ってしまう。余計なお世話か……俺ができていないことを他人にアドバイスするなんて馬鹿げてるしな。

 

「うん………ありがとう」

 

「気にする程度でいいんだが……今日はよくきたな。俺だったら絶対行かないから、羨ましい……」

 

本心。少人数でも人の前で話すとなると臆するものだが、緊迫した空気だと尚更きつくなる。

 

生徒総会の時俺は結構緊張して、何かトラブルが有れば話せなかったかもしれない。

 

「ううん。頑張らなきゃいけない理由があるから……八幡くんにだっていずれわかるよ」

 

「は??」

 

「がんばって……ね………」

 

言い切る前に清の側に寄っていく。伝えたいことは伝えたので思うところはない。

 

そこで色々考えてみるのだが………

 

「なるほど…な」

 

分かったようでわからなかったが、俺が進む理由にはなったのだと思う。

 

佐倉は進もうとしている。多少間違った方法であれど、自分と向き合おうとしているのだ。

 

俺も、胸につかえていたものがとれた気がして、また前へ進もうと思った。

 

 

 

 

「そちらは終わったか?」

 

「そうですね。俺と佐倉が話す事はもうありません。」

 

「そうか…………それから佐倉と言ったな」

 

堀北さんは清の後ろに隠れている佐倉に声をかける。

 

「証拠は審議に出すだけの証拠能力を有していた。しかし、覚えておく事だ。その証拠の評価と信用は証明力で決まる。今回お前の証言が真実として認識される事はないだろう」

 

事実だが、言い方がきつい。

 

清の後ろあたりから忍び泣く声が聞こえる。

 

「私は本当のことを」

 

また面倒なことになりそうなので火種が広がらないようにここで打ち切りにさせてもらう。堀北さんも分かってるはずだしな。

 

「堀北さん。本人も重々承知しているはずです。今回のことは証言者が悪いんじゃ無くて始めからCに傾いていたという事実が悪かったんでしょう?」

 

「む、確かにそうかも知れないが、証言者に技量があれば、状況を一変させることはたやs「はーい!すとっぷすとっぷ。私が寝ているのに騒ぎ立てないで!」

 

「…………」

 

おい。清。そんな目で見てやるな。あれでも寝起きなんだよ。あれ?なんで寝起きなんだろ。

 

「もう終わった事だし何処か食事でも行かない?」

 

「い、いや。俺にはまだ言わないi「学くんはしつこい!早くいくよ」

 

陽乃は堀北さんの袖を引っ張り反対方向へ行こうとする。

 

「あ、俺は行かなくても大丈夫ですよね」

 

予め予防線を貼る。行きたくないというのが本心だ。

 

「は?は・ち・ま・ん君もいくよね⭐︎」

 

「………はい。是非ご一緒させてください」

 

ひっくり返るのが早いって?馬鹿いうな。魔王様だぞ?あ、違ったお代官様だぞ?逆らえるものか!

 

いえ、睨んできたのが怖かったというのが本心です。はい。

 

「じゃっ!お・ふ・た・りはぁ二人であつーi「やめっ、皆まで言おうとすんなよ。堀北さんも早く行きましょう」

 

変なことを口走ろうとしたため咄嗟に陽乃の口を塞ぐ。

 

堀北さんは頭にはてなマークを浮かべている。あ、恋愛感情とかに疎そうですもんね。でも、俺も分かってますよ。は「八幡君!」

 

「それじゃあ、綾小路君と……佐倉ちゃん?だっけ?お元気で〜〜」

 

「あの、いたいって!!」

 

「はぁ。これだから陽乃は。」

 

かたや糾弾して、かたや呆れ、かたや元気に、かたや泣き、かたや無感情に…非日常はいつしか日常となる。

誰かとカップリングさせたいと思っているのですが誰がいいですか?

  • 櫛田桔梗
  • 一ノ瀬帆波
  • 坂柳有栖
  • 椎名ひより
  • 龍園翔
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。