宇宙最強の龍神たちが異世界を征く   作:御代川辰

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第肆首中 怪物と勇者と再会 勇者の章

「終わったか?それぞれステータス*1及び戦闘力指数を確認して、俺のところに見せに来い」

 

 メルドは面倒(めんどう)すぎてどこかへ逃げてしまいたい、という心情がわかる表情で呼び掛け、プレートの確認を始めた。

 さらにその確認時の態度も非常に悪く、プレートを数秒見つめるだけで何も言わずに終わらせ、確認表が書かれた紙に乱暴に判子を押してさっさと次の者と交代させるという有り様だった。

 そしてハジメのプレートを視界に入れたその時。

 

「あんたこんなんで大丈夫か?一般人と何も変わらないぞ」

 

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名:南雲ハジメ(なぐも はじめ)

生年月日:西暦2000年8月29日2時55分59秒

年齢:17歳

血液型:FO K 4023 θ Ej

性別:男

水準値:1

天職候補:錬成師(Drillinger)藝術家(Artist)(Artisan)

 

筋力:15(装備《学校制服》で6減)

体力:12(装備《学校制服》で6減)

耐性:17(装備《学校制服》で2増)

敏捷:9(装備《学校制服》で6減)

魔力:23(職業スキル《魔力生成》で4増)

魔耐:11(職業スキル《魔力制御》で8増)

 

技能:言語理解・錬成・魔力生成・魔力制御

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 あまりにも淡白(たんぱく)な態度で、悲惨な事実をあっさりと告げた。

 

「特に錬成師(ドリリンガー)なんて見飽きるほどありふれてる。騎士団も俺を含めた全員が持ってるし、王族の中にも何人かいるぐらいだ」

 

 更に追い打ちをかけるように言葉を繋ぎ、ハジメの心を粉々に砕く。

 ハジメはすっかり意気消沈(いきしょうちん)してしまい、伊丹(いたみ)に苦笑いされながら(なぐさ)められていた。

 

「次、銀髪のあんた」

 

 メルドはハジメが自分の前から去ると、今度は眼鏡をかけ帽子を被った女性、掟上(おきてがみ)今日子(きょうこ)に声をかけ、プレートを確認する。

 

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名:掟上今日子(おきてがみ きょうこ)

出生年:西暦2978年

年齢:25歳

血液型:JG U- 1051 ρ Zh

性別:女

水準値:1

天職候補:探偵(Detective)間諜(Operative)記憶の乱用者(Dopant)

 

筋力:15(装備《私服》で5減)

体力:9(装備《私服》で5減)

耐性:6(装備《私服》で5減)

敏捷:8(装備《私服》で5減)

魔力:無し

魔耐:無し

 

技能:言語理解・観察眼・完全忘却・ハイドープ

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 理解不能な技能にメルドは少し(うな)る。

 

「完全忘却ってどういうこった?」

「眠る度に全ての記憶を失うんです。自分の名前すらも」

 

 困惑するメルドの質問に、今日子(きょうこ)はあくまでも落ち着いた態度で返答した。これに対し、メルドはため息を吐き、仕方がないと言いたげな様子で今日子(きょうこ)に告げる。

 

「戦闘能力がないのに間諜(かんちょう)なんか務まらんし、この探偵って職業も全く理解できん。あんたは完全に戦力外だ」

 

 今日子(きょうこ)も理解できていないようで、素っ気なく「ふーん、そうですか」とだけ答え、メルドの前から去る。

 

「(炭治郎、伊之助…………あの女の人、絶対人間じゃないよ。すごく小さいけど、不自然な音がする)」

「(ああ、微かだけど人間じゃない匂いがする。鬼じゃないけど、人間に擬態している“何か”であることは間違いない)」

「(関わらない方が良さそうだな…………)」

 

「次、紫だか藍色だかわからん色の服のあんた」

(あれ?あの服と顔ってもしかして…………)

 

 メルドの態度の悪さに完全に無視を決め込んでいたサブナクは、そのメルドに呼ばれて机の前に出た一二三(ひふみ)の顔を数秒見た後、察したのか顔を少しずつ青ざめさせ、一二三(ひふみ)もサブナクの目をしっかりと見つめながらにやりと微笑む。

 メルドは二人の様子に気付くことなく、提示されたプレートを確認し始める。

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名:遠野一二三(とおの ひふみ)

生年月日:西暦1998年5月6日

年齢:19歳

血液型:AO

性別:男

水準値:1

天職候補:武士(Warrior)殺戮者(Slaughter)虐殺者(Genocider)

 

筋力:500(加護《武神の加護》で二倍)

体力:500(加護《武神の加護》で二倍)

耐性:500(加護《死神の契約》で二倍)

敏捷:500(加護《武神の加護》で二倍)

魔力:500(加護《死神の契約》で二倍)

魔耐:500(加護《死神の契約》で二倍)

 

技能:言語理解・武芸千般・武術千般・武道千般・闇属性魔法・剣聖剣武・生命探知・全能神の加護・武神の加護・死神の契約

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「おおすげぇ!こいつは大戦力じゃないか!」

 

 突然メルドの目の色と態度が変わった。メルドの態度の急変に騎士たちは目を白黒させ、他の者はなんだなんだと一二三(ひふみ)を取り囲むように集まる。

 

「異界の存在とは言え神の加護を受けているのか!こいつは期待できるぞ!」

 

 メルドは問題がありすぎる一二三(ひふみ)の天職候補には一切触れず、指数の数値の高さや会得(えとく)している技能のみに言及しており、かなり興奮しているのがわかる。

 しかし、一方の一二三(ひふみ)(あき)れ気味に興奮で落ち着きのないメルドにきっぱりと言い放った。

 

「数字は所詮数字だろ?そんなものに才能の有り無しは関係ない。実力がはっきりしている以上、運と努力次第で後からいくらでも(くつがえ)せる」

 

 一二三(ひふみ)の指摘にメルドははっと我に返る。

 

「すまない…………興奮しすぎたようだ。次はそこのあんた」

 

 メルドは一二三(ひふみ)を下がらせ、光輝のプレートを確認する。

 

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名:天之河光輝(あまのがわ こうき)

生年月日:西暦2000年7月7日

年齢:17歳

血液型:BB BkNull 2893 ω Ve

性別:男

水準値:1

天職候補:勇者(Brave)剣聖(Sword Master)(さば)きの剣士

 

筋力:100(スキル《勇気》で50%増)

体力:100(スキル《勇気》で50%増)

耐性:100(スキル《勇気》で50%増)

敏捷:100(スキル《勇気》で50%増)

魔力:100(スキル《勇気》で50%増)

魔耐:100(スキル《勇気》で50%増)

 

技能:言語理解・剣聖剣武・■■剣■■の継承者

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「うーん…………」

 

 メルドは光輝(こうき)のプレートに写されているステータスの指数を(なが)めながら(うな)る。

 

「さっきのヒフミって奴と比較したら大分(だいぶ)劣るが、勇者ってのはいるかいないからぐらい珍しいからな。まあ、何とかなるだろ」

 

 メルドから受けた評価こそ低いが、ステータスの数値が高くレア職業持ちであることもあり、学級の生徒らからはかなり熱い視線を浴びている。

 が、光輝(こうき)は冷酷な表情を崩さないまま、集団の方へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 その日の夕方、光輝(こうき)は何を思ったのか、クラスメイトらと同じ地球からトータスに召喚された人々を書庫に集めていた。

 

「おい、()()()どうしたんだよ光輝(こうき)?」

 

 【坂上(さかがみ)龍太郎(りゅうたろう)】は自身に背を向けたままの光輝(こうき)の肩に手を乗せ、心配の声をかけた。

 

「……………………みんな、俺が言うことをよく聞いてくれ」

 

 が、光輝(こうき)(なか)ば乱暴にその手を下ろさせると、クラスメイト全員の方へ向かって注目を(うなが)す。

 突然半数近くの人間が一人の人物に向かって注目したのにつられて、残りの半数の人間も光輝(こうき)の方へ注目する。

 

「(ハジメ、(しずく)光輝(こうき)から何か聞いてないか?)」

 

 龍太郎(りゅうたろう)がハジメらの背中を叩き、二人の視線を光輝(こうき)の方へ移動させる。

 

「(僕は知らないよ)」

「(私も、何も聞いてない)」

 

 と、二人は何も知らない様子だった。

 

(…………ま、知らなくても損はないんだけどね)

 

 書庫で書物を読み(あさ)っているエリュシオンとスーヨウは気付かないふりをしているが、ルキフィアは、光輝(こうき)の様子に改めて違和感を覚えていた。

 

(あのガキ、まさか本気(ガチ)で自分の本心をバラす気なんじゃねぇだろうな…………)

 

 ルキフィアは前日の光輝(こうき)とイシュタルのやりとりを思い出していた。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

[[前日]]

 

「そのエヒト神と言うのは?」

 

 光輝(こうき)は友人らの不安に満ちた表情には目もくれず、冷淡な表情のままイシュタルに問う。

 

「ここトータスを創造した唯一無二の神であり主でございます」

 

 イシュタルは光輝(こうき)の真意に気付かぬまま、高らかな声をあげふんぞりかえったような態度で彼の問いに答えた。

 

「唯一無二と言うことは他に神にあたる存在はいないということですか?」

 

 光輝(こうき)はすかさず次の質問をイシュタルに投げ掛けた。

 

「その通りでございます」

 

 イシュタルはあっさりと即答した。光輝(こうき)はたった数度の質問をしただけであるにも関わらず、先ほどまでの態度がきれいになくなりすっかりいい気になっている目の前の老人への疑念を強める。

 

 何らかの裏の事情があると確信した光輝(こうき)は、考えられる限りの質問を弾丸のようにイシュタルに投げ掛けた。

 

Q1.戦争において魔人族が有利になった要因は?

A.魔物を使役するようになったから。

 

Q2.そもそも魔人族とは何か。

A.人類(ヒト族)の成り損ないである。

 

Q3.何故勇者の候補に明らかな一般人がいるのか。

A.エヒト神が勇者にふさわしい人物と判断したから。

 

Q4.召喚ができたのに帰還させることができないのにはもといた場所を正確に特定できない以外に理由はあるのか。

A.神であっても力を使い過ぎると反動で凄まじい負担がかかるから。

 

Q5.過去に魔人族に迫害行為をしたことがあるか。あるなら理由はなぜか。

A.現在進行形で行っている。最古の記録では人類(ヒト族)は魔人族に理由なく苛烈な迫害を受けていたと記されている。

 

Q6.エヒト神の誕生に関わる神話・古事*2・伝承はないのか。

A.ない。そもそも神の誕生について研究すること自体がない。

 

Q7.神の名をみだりに唱えてはならないという考え方はないのか。

A.むしろ神への信仰心を示すため、神を常に名で呼ぶことを心がけている。

 

Q8.魔法とは何か。

A.神の権能を模倣したもの。

 

 と言った具合だった。イシュタルは20以上の質問に答えきると、不気味な笑顔を浮かべながら光輝(こうき)に言う。

 

「質問は以上でよろしいですね?」

「はい。以上です」

 

 対して光輝(こうき)(かたく)なに冷淡な態度を崩さない。

 

「最後に少し……」

 

 そう言って光輝(こうき)は一度言葉を切り、少し周囲を見回した後再びイシュタルの方へ視線を移す。

 

「先ほどの件について、いくつか条件を加えてもよろしいですか?」

 

 イシュタルは光輝(こうき)の言うことに疑問を感じながらも、笑顔を崩さずに応答する。

 

「我々が不利になり過ぎない程度であれば、何なりと」

 

 光輝(こうき)はイシュタルの返答に(こた)えた。

 

「一つ目の条件は先ほどの通り、戦争への参加の意思のない者の徴発を免除すること。二つ目も同様、本来住んでいた世界へ帰還するまでの間、教会及び国家が召喚された人を無条件で保護すること。三つ目、戦争参加の意思を示した人物には何らかの武装を制限無しで()()すること。四つ目、半年以内に帰還の準備を整えること。そして五つ目、万一我々の中から死亡者が出た場合は、戦争の継続ではなく召喚された人を帰還させることを優先すること。以上です」

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

(こいつはかなり面倒な仕事になりそうだな…………)

 

 ルキフィアはあまりにも冷淡な表情を、どこか物悲(ものがな)しげにも見える顔に変えた光輝(こうき)を見ながら、ため息を吐いていた

 

「本当は、この無意味な戦争に加担する気なんてない」

(…………クソガキのくせして、責任を遂行する能力(ちから)だけは一丁前(いっちょまえ)だな)

 

 クラスメイトらは光輝(こうき)の言葉に絶句し、ルキフィアは彼の態度を改めて酷評した。誰よりも正義感が強く、困っている人や追い詰められている人を見捨てきれない人物である天之河(あまのがわ)光輝(こうき)が、(うそ)(いつわ)りのない弱音(よわね)()くなど考えられなかったのだろう。

 特に、(しずく)香織(かおり)龍太郎(りゅうたろう)、ハジメの四人は驚愕のあまり呼吸すらも忘れかけてしまっている。

 

「しかも自分から参加すると言っておいて、みんなまで巻き込んでしまった。本当にすまない…………」

 

 直立したまま深々と頭を下げる。しかし、拓士(たくし)はため息を一つ吐くと光輝(こうき)の元へ歩み寄り、声をかける。

 

天之河(あまのがわ)くんだったな。顔を上げてくれないか?」

 

 光輝(こうき)拓士(たくし)の言葉に従って顔を上げる。

 

「何も一人で背負い込む必要はない。ましてや君、まだ半人前だろう?」

 

 さりげなく何かを指摘した後、拓士(たくし)伊丹(いたみ)烏丸(からすま)の方をしばし見つめた後、再び光輝(こうき)の方へ視線を戻し、続ける。

 

「みんなの命のために戦うことが罪なら、俺たちが代わりに背負ってやる。そのための自衛隊だ」

 

 

 

 

 

 その後、拓士(たくし)たちは月が登り始めてから自室に戻った。伊丹(いたみ)はつい先ほどの拓士(たくし)の言葉を思い出し、感動の涙を流している。

 

真神(まかみ)大佐流石(さすが)です!ホントにかっけぇ!」

「まああれは、中学の頃の年上の友達の受け売りなんだけどな」

「だとしてもですよ。とっさにあんなこと言える人はほとんどいませんから」

「まあな」

 

 彼らが話し疲れて眠る頃には、静かに夜が更けてゆくのであった。

*1
社会的な身分・地位。ここでは職業等の総称。

*2
大昔に実際にあったこと。故事と通じる。

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