シデコブシの蕾。その花が満開に咲き誇るとき、その花は…… 作:青の色系が好きな者です。
お話を見て下さった皆様、どうもありがとうございます。( ⁎ᴗ_ᴗ⁎)ペコッ
とても嬉しくて、私の励みにもなって
本当に感謝しかないです…(TT)ありがとうございますっ!
今回は、第3話 日常編となります。
最後の方は、オリジナル要素があります。
少しでも楽しんで頂けたのなら、嬉しいです。
それでは、本編へどうぞ…
彼女と挨拶を交わしたあの日
私に優しく語りかけてくれた、■■■■は
私にとって初めてのお友達だった。
実際、彼女と触れ合っていると
全てを受け止めてくれる、その優しさに
私は、私のままでいいんだと思った。
そんな優しい■■■■だから
自分の■■すらも受け入れていたんだろうね……。
神世紀298年 5月15日 勇者御記
大赦書史部・巫女様 検閲済
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三ノ輪銀の朝は、場合によっては早い。
その理由は、産まれたばかりの弟のお世話があるからだ。
幼馴染みの時音と共に、銀の弟である金太郎の世話をしていた。
「ウゥ.....う〜.....」
「おいおい、泣くなって。
お前は年は離れていても、この銀様の弟だろう?
泣いていいのは、母ちゃんに預けたお年玉が帰ってこないと悟った時だけだゾ」
銀は、赤ん坊の弟の目を見ながら
楽しそうに、おどけながら語りかけていた。
「うぇぇ......ぐすっ」
「あぁ、ぐずり泣き始まってしまった.....ミルクやオシメじゃないだろうし.....」
赤ん坊は特に不快なことがなくても、ぐずぐずと
くすぶる様に泣いたりする事がある。
「時音ぇー、いつものやるぞー?」
「ん。はーい、今行くから待ってね?」
学校へ行く為に、時間割りを確認しながら
教科書を学校指定の鞄に詰めていた時音は、
銀に呼ばれたので、彼女が赤ん坊を抱えて座って居る
縁側へ、少し早歩きで向かった。
「……よいしょ、っと。準備いい?銀ちゃん」
「よし、OK〜」
未だ泣き続ける赤ん坊に銀は、
ガラガラのおもちゃを、その小さな手に握らせると
銀の右隣りに座る時音。
「そんじゃあ、せーの…」
「「〜〜〜♪♪」」
息を吸った後、2人揃って子守唄を口ずさむ。
そうすると、金太郎君はいつもご機嫌になるのだ。
2人とも慣れたものだった。
「おー泣き止んだな。エラいぞ、マイブラザ♪」
「金太郎君、泣き止んでくれてありがとう。良い子だね
よしよし…(ナデナデ)」
泣き止むと褒めて、頭を撫でてあげる。
すると金太郎は嬉しそうに、パァッと笑う。
「ホント、甘えん坊な弟だよな。
それに、時音と歌う子守唄じゃないと泣き止んでくれないんだから…ホントにお前は、時音のこと大好きだよな?」
「僕のこと好きなのかな…そうだったら嬉しいな……でも銀ちゃん。金太郎君はきっと、大好きなお姉ちゃんが
一緒に歌ってくれる子守唄が好きなんだよ。そうだよね?金太郎君」
「ほー、そうなのか?マイブラザーよ?」
「うぅ?....あぁ〜う...」
「ほら、金太郎君もそうだよって、言ってるよ?」
「おぉー可愛い奴めぇ〜♪よーし!
大きくなったら舎弟としてコキ使ってやろう、にヒヒ〜」
弟のことが可愛くて仕方ない銀は、いつも頬を緩ませては
つい、金太郎を甘やかしてしまうのだった。そんな笑顔の銀を見つめている金太郎は、嬉しそうに笑っていた。
銀と金太郎の二人が幸せで満ち溢れてる。
そんな眩い光景を目に映しだす時音。その表情はとても
「またそんなこと言って……金太郎君?大きくなったら色々大変だろうけど、お姉ちゃんの事を頼んだね?」
「もしもし、時音さんや?それはどう」
「あ、そろそろ行かないと遅刻しちゃうね」
「へ?……うぇっ、やっば!早くしないと!行くぞ時音!!」
「はいはい、そんなに慌てなくても大丈夫だよ..。
.それじゃあ、行ってくるね?金太郎君」
「あ〜うぅ〜」
銀は、鞄を背負い慌ただしく玄関へ向かい
金太郎へ行って来ます、と伝えた時音も銀の後に続けて
玄関から出て、いつもの様に2人一緒に学校へ向かった。
第二話
須美達が通学する、神樹館の方針として
四年生を超えれば、買い食いが許される様になる。
10歳を超えると、自分でお金の使い方を勉強して社会を知るのもいい、ということだ。
子供達のモラルが高い
神樹館ならではの自由な校風である。
というわけで、須美、園子、銀、時音の6年生4人は
現在、巨大ショッピングモール・イネスの1階フードコートにて、堂々とおやつのジェラートを食べていた。
先日の、大橋に襲撃してきた敵を退けた祝いの
祝勝会をしていた。
「どう、どう? ここのジェラート!
めっさ美味しいでしょ!イネスマニアのアタシの
一押しだからね♪」
キラキラと、瞳を輝かせて熱く語っている銀。
「最高だよ、最高だよミノさん!
クレープもいいけど、ジェラートもこんなに
いいモノだったんだね〜」
目に涙を浮かべながら、ジェラートを頬張っている園子。
「あはは。てか、なーんで少し泣いちゃってるの?
乃木さんってば」
「私ね、前にお母さんとデパートに行った時にね、
食べたクレープが美味しかったから、それ以上に美味しい
おやつはないって思ってたから、新発見なんだよね〜。
これは嬉し泣きだよ〜」
「良かったね?そのちゃん.(ナデナデ)」
急に泣き出した園子に驚きながらも
彼女の頭を撫でて、落ち着かせる時音。
「時音って乃木さんと仲良いよな?
二人とも知り合いなんだっけ?」
「うん、そうだよ〜。
トっきーとは、家族同士のご挨拶の時に
初めて会ったんだよ〜ね?トっきー♪」
「うん、そうだよ。その後に連絡先を交換してから
通話で何度か話すようになったんだよ。その時から
そのちゃんとは友達なんだよ、ね?」
「うん!!私のはじめてのお友達なんだよ〜♪」
「へぇー、そうだったのか。あれ?
二人は同じクラスになった事なかったんだっけ?」
「んー、それが6年生になるまでなかったんだよね?」
「そうなんだよ〜だから、今こうやって
トっきーと一緒のクラスになれたのが、すっっご〜く!
嬉しいんよ〜♪」
「おっ、とと…ふふっ。僕もそのちゃんと一緒のクラスになれて嬉しいよ」
「わぁ〜い!私達、両想いだね〜えへへ〜♪」
「おー、お二人ともお熱いですな〜♪」
園子と時音の出会い話しを聞き、2人の関係性を知る銀。
そして、目の前で時音に抱き着いている園子達を、銀は
揶揄っていた。
一方で、1人難しい顔をしながら
ジェラートと睨めっこをしていた須美に、話しかける銀。
「鷲尾さんは、なんでジェラートにガンつけて
固まってんだろね?」
「わっしーには、ジェラート合わなかった〜?」
「鷲尾さん、大丈夫?」
「合わないどころか……宇治金時味のジェラートが……
とても美味しくて…」
3人の問いかけに気付いたのか、3人の方へ
体を向き直し、神妙な面持ちで話した。
「気に入ってくれたんなら嬉しいな!なぁー時音!」
「うん、そうだね。鷲尾さんの口に合って良かったよ」
「あれ、それなら何でそんな顔してるの〜?」
「……私、おやつは和菓子か、せいぜいところてん派
だったから。それがこの味……僅かに揺らいだ私の信念が、情けなくて……」
カタカナが嫌いな和風美少女、須美。
食べ物に対しても、そのこだわりは相当
強かった。
「なんだかわっしーが難しいこと言ってる」
「良くわかんないけど……鷲尾さんがジェラートを
気にってくれて、良かったよね?」
「だな!ていうか、ウマかったなら
それでいーんじゃね?」
「そうだね〜。はふぅ、幸せ……メロン味にして大正解だよ〜」
「この、ほろ苦い抹茶とあんこの甘さが織り成す調和が
絶妙だわ……うん、うん……」
とても美味しそうに頬張りながら、ジェラートの感想を
詳しく語る須美。
「ふふっ、なんだか鷲尾さんって面白っ!」
「ね〜。もうちょっと怖い人かと思ってた〜」
「でも、今の鷲尾さんを見てたら何だか安心しちゃったな」
鷲尾須美は、真面目過ぎるところがあるから
少し心配をしていた時音だったが、彼女の年相応の姿を
見て安心したのだった。その一方で、3人に言われた言葉に怖いとか、面白いとか、そんなことはないだろう…
真面目なだけだ。と思いながらも、ジェラートが美味しかったので、食べ続けていた。
「なんだか、わっしーの食べっぷりを見てたら
宇治金時味も食べたくなってきたなぁ〜」
物欲しそうな目をしながら
視線を須美に向ける、園子がいた。
「それなら一口あげたらいいんじゃないかな?」
「だな!鷲尾さん、一口恵んであげなよ♪」
時音と銀の言った言葉に
戸惑っている須美。すると、
「え、ええと〜、こういうの、初めてで、緊張するけど、憧れでもあったので、お言葉に甘えて……頂きま〜すっ」
そんな言葉を並べて、一方的に言ってきた園子は
口を大きく開き、あーん、と待ち受け体勢に入った。
須美は、一瞬フリーズをしていた。
今、自分がしようとしてる行為は、礼儀作法に反する
事ではないか…と思ってしまったからだ。
須美がそう思考してる間にも
目を瞑って、口を開けて、笑顔で待ち構えている園子を
無視なんて出来る筈もなくて……須美は、おそるおそる、自身のジェラートをスプーンに掬い、園子の口元へ運ぶ。すると園子は、ぱぁっと顔を輝かせ、美味しい!と言って、今度は園子が自身のジェラートを須美の口元まで運び、差し出した。
「わっしー、あーんだよ!あーん〜」
またしても須美は、一瞬フリーズしてしまう。
「……!?…えぇ、あ、あーん……ん!メロン味も
美味しい…」
「だよね、だよね〜♪」
だが、園子の差し出したスプーンの上で輝く
メロン味のジェラートは、とても魅力的で……何より、
園子の嬉しそうな顔を見ていたら、断れず……須美は、
公衆の面前で餌付けをされたのだった。
「なんだか初々しいじゃん。ガチの恋人か!」
「だとしたら、可愛いカップルだね?」
銀は笑いながら、そう突っ込んできて。
時音も2人の、初々しくも可愛いらしい姿を見て
思った事を、そのまま言葉を口にする。
「ふふん、確かに宇治金時もメロンも超素敵な味だよ。
でもね?お二人さん。このフードコートで最強はアタシが食べてる、醤油味のジェラート。コレはガチで、ナンバー1よ!」
銀はそう言って、園子と須美の口元に醤油味のジェラートを運び、少し強引に2人の口へとねじ込み、醤油味ジェラートの感想を聞く。
「どうどう、ピッカーン!ってきた乃木さん?」
「……うぅ〜ん、なんだか難しい味だね〜」
「あれ?」
思ってたよりも反応の薄い園子に、銀は首を傾げながら
思わず、声を溢した。
「いい味だと思うけど、大人向けの味かもしれないわね」
須美はというと、配慮した言い方で味を形容する。
「あんれぇ?鷲尾さんまでそれ言うの。
こんなウマいのに、、、しゅん」
「こんなに、あむ、ん…美味しいのにね?醤油豆味」
銀が持っていた、醤油味ジェラートをスプーンで掬うと、
自身の口の中へ入れ、醤油味ジェラートの感想を述べた
時音。
「だよな!やっぱこの味を解ってくれるのは
お前だけだぜ!時音!」
銀のイチオシの醤油味ジェラートは、やはり
万人受けはせず、時音にしか好評を得られなかった。
「ね〜トっきー。
今食べてるジェラートって、何味なの〜?」
「え、コレはね七味豆乳味だよ」
「おぉ〜なんか凄い味だね〜?」
「七味、豆乳味……水月さんって、独特な味覚をしてるのね……(醤油味も美味しそうに食べてたものね…)」
「ホント変わった味覚なんだよね…。
アタシは砂糖とミルクいっぱい入れないとコーヒー
飲めないのに、時音はブラックコーヒーとか普通に飲むんだよ?スゴくない?」
「そ、そうなのね……(味覚の発達がいいのかしら……)」
銀が言うには、時音の味覚は昔からこんな感じだったようで、銀も彼女の味覚はかなり変だと思っているらしく……須美は、そんな時音の味覚を伺ってしまいたくなった。
銀と須美が、そんな話しをしてる横で
時音の七味豆乳味のジェラートに、興味深々な園子は
先程と同じように時音に一口せがんでいた。
「ねぇ〜トっきー?
そのジェラート、一口食べてもいい〜?」
「少し辛いけど、大丈夫?」
「うん、大丈夫なんよ〜」
「それなら良かった、今あげるね?はい、あーん」
「わぁ〜い、頂きま〜す。あーんっ!
んん〜、ちょっとピリっとくるけど、その後の豆乳が、
まろやかで美味しいんよ〜」
「ほんと?それなら良かった……そのちゃん。
今度は僕がそのちゃんのメロン味を、、一口貰っても……いいな?」
「!! うん♪もちろんだよ〜
トっきーはい、あーん」
「あーん、ん…うん、美味しいねメロン味。
一口くれてありがとう、そのちゃん」
「どういたしまして〜 えへへ〜♪」
時音の方から、ジェラートを一口欲しいと
言ってきてくれた事に、園子は一瞬だけ驚くも、
それと同じくらいに嬉しかったらしく
メロン味のジェラートを一口分、時音の口へ運び入れて
仲睦まじく、お互いのジェラートを食べさせ合いっこを
していた。
その後、4人はイネスの屋上へ移動していた。
この街の全体と瀬戸内の海と大橋と…見晴らしの良い景色も見える。そして四国を囲う壁が特徴的だ。
「なー、2人ともフードコートあまり詳しくなかったけど、イネスにはあまり来ない系?」
「ええ。今まであまり行こうとも思わなかったし……」
「私は、そもそも買い食いもそうだけど、イネスに行くのも、おうちでは禁止だったの。でも勇者に選ばれてからは全部OKだって〜」
「ならさ、今度から4人でイネスに遊びに来ようよ!
この街で、最大の極楽施設のイネスをっ!
この『イネスマニア』のアタシと『イネスマニア補佐官』の時音で、2人を案内してあげるよ!それにイネスを知らないのは、ガ・チ・で。勿体ないよ!」
あまりイネス来ないという、須美と園子に
イネスを案内すると銀は意気込む。
自称イネスマニアとしての熱意が、見受けられた。
そして『イネスマニア補佐官』という称号を(勝手に)
付けられた時音は内心、いつの間に補佐官になったんだろう…?と思っていたりした。
「そ、そう…その時はよろしくお願いするわね…。
でも最大の……というより、他にあまり極楽施設も
ないような…」
「鷲尾さん、それを言わない方がいいかと……」
「わっしーのことは、わっしーでいいのに〜…」
「そのっちが許可を出す事でもないと思うわ」
昔から銀がイネスへ行く度に、一緒になって付き合わされてきた時音も彼女との長年の付き合いで、すっかりイネスの事に詳しくなっていたりする。
「ちゅうか、二人はいつの間にか仲良くなりすぎでしょ。クラスで席は隣とはいえ、元はそれほど会話もなかった
ハズなのに」
「ほんとだね?二人ともすっかり
仲良しさんになってて、驚いちゃったよ。」
先程から、須美と園子の仲の良さが気になっていた銀が
そう言って口に出す。
「アタシなんか、再検査がやっと終わった時には
外がすっかり暗くなってたんだよ?」
「いや、あれは銀ちゃんの自業自得かと…。
それから、アタシ"達"が正しいよね?僕は銀ちゃんが
検査中ずっと待ってて、大変だったんだよ?」
「うぅ、それを言われると……何も言えん。
はぁ…でもどうせなら、大赦の車に乗りたかったな〜」
「ははっ、いつか乗れたれいいね?(つんつん)」
そう言って、謝りつつも少し拗ねている、銀の頬を
ぷにぷにと突っつき、楽しむ時音。
じゃれついてくるその表情は、とても楽しげだった。
「三ノ輪さんと水月さんが幼馴染みなのは
知っていたけど…幼馴染みというのは二人のような
感じなのかしら?」
今度は須美からそう返されて、両隣に並んでいた
銀と時音は、お互いに顔を見合わせた後、正面にいる
須美と園子の方に顔を向き直して、口を開く。
「うーん、どうだろうなー?アタシらは幼馴染みって
言っても、家族みたいなもんだしな?」
「うん、昔から銀ちゃんの家族とは仲良くさせてもらってて、家族揃って行くような行事に、僕も一緒に連れてもらったりしてるもんね?」
「そうそう。だからアタシらは幼馴染みって感覚じゃなくて姉妹みたいな感じなんだよねー」
「あなた達がそんなに仲が良いのは、姉妹同然に育ったからなのね」
「わぁ〜二人とも素敵な関係だね〜。いいなぁ〜…私、友達はあまり居ないし、幼馴染みなんて夢のまた夢だよ〜」
「何言ってるのさ、乃木さん!アタシ達は同じテーブルで食事もした仲なんだよ?つまりは」
「ダチコーって訳だよ!って言いたいんでしょ銀ちゃん?」
「そう、そーゆこと!
てか、そこはアタシに言わせてくれよな……」
「だ、ダチコー!それって友達って意味だよね、友達に
なってくれるの?ミノさん?」
「モチのロン!乃木さん…もとい、園子」
「ミノさん。私、とっても嬉しい!」
園子は、満面の笑みを浮かべて喜んだ。
普段から、大赦の最高位である乃木家の娘として
大事にされている分、勇者に選ばれるまでは、まともに
外出も出来きなかった彼女にとって、この上ない喜びだった。
銀と時音は、須美を見つめる。銀の瞳は輝いており
時音も今、銀が抱いている心情と同じ想いを、言葉に表した。
「須美って呼んじゃっていいよね?」
「ええ。こちらも、ごほん…銀と呼ぶわ」
銀のぐいぐいと距離を縮めてくる感じが、須美は嫌いではなかった。銀は傍から見ていると、なんだか馴れ馴れしい性格だと思っていたが、いざ自分がぐいぐい来られると、案外嬉しいものだった。
「……僕も。須美ちゃんって、呼んでいいかな?」
少し控えめに時音は、そう言ってきた。
バーデックスとの戦闘時では、普段からの落ち着きある
彼女とは違って、凛々しくも、力強い姿。
自分達とは違う、型破りな戦闘スタイル……その豪快さに驚いた須美にとっては、その時の彼女とのギャップに
少し戸惑いながら、ドキドキしてしまう須美だったが、
何とか、冷静さを保てようとしたが_______
「ええ。もちろんよ、水月さ……いえ。時音ちゃん……」
「ありがとう、須美ちゃん。嬉しいよ、ふふっ」
「ふぇ!?ぁ、あの……こちらこそ、ありがとう……」
「おやおや〜?何でそこで顔を赤くしてるんだ須美〜?」
「頬を赤らめるわっしー…アツアツだね〜!いいねいいね〜!」
須美にちゃん付けで呼ばれたのが、嬉しかった様で
時音は、頬を緩ませて微笑んだ。普段、遠くから見つめていた彼女の顔が、こんなにも近くでその微笑み顔を
凝視した須美は、思わず頬を赤らめさせてしまう。
そして、園子のその言葉に更に恥ずかしくなり、顔を
真っ赤にしてしまう須美だった。
祝勝会を終えた4人はそれぞれ、自分達の家へ帰宅した。
須美と園子は帰りの方向が同じだったので、一緒になって帰って行った。
祝勝会が放課後の後だったので
外はすっかり、茜色の夕焼け空で覆われていた。
学校から徒歩15分程の位置にあり、イネスからも
そう遠くはない場所にある、自宅までの道のりを
銀と時音は、肩を並べて歩いていた。
「祝勝会、楽しかったな!」
「うん。それに、そのちゃんと須美ちゃんとも
仲良くなれて嬉しかったね」
「あぁ、アタシも須美と園子とダチになれて嬉しい!
いやー、にしてもな〜。」
「どうしたの、何か不満なことでもあった?」
「んや、そうじゃなくて。
クールだと思ってた鷲尾さん、もとい。須美があんなに
顔を真っ赤にするとは思わなくてさ……お前の天然スマイルで今日も二人のファンが増えたなー、とだな?」
誰にでも優しくて、同級生や先生からの頼まれ事にも
嫌な顔せずに笑顔で引き受ける。
大人並の気配りも、しっかりしており。
今日の体育の授業では、転んで怪我をしてしまった同級生の元へ駆け寄り、その子に優しく声を掛けると、自分よりも背のある子を横に抱き抱えて(所謂お姫様抱っこ)安芸先生に、保健室へ行って手当てをして来ると言い残して行った。
その姿は、御伽話で出てくるような王子様そのものだ。
園子とは、違った天然を持っている時音。
その天然に加えて、無自覚のスマイルの破壊力は
計り知れないし、オマケに頭も良くて運動も出来る。
これには、同級生だけでなく下級生の女子達からの人気も高く、、、実は男子からの人気も高い、彼女が取る行いや、女子に対する気配りの言葉の遣い方に敬意し、憧れを持つ者も多い。
そんな彼女の何よりもの魅力は
どんなことにも、どんな人であろうと、拒むことなく
笑顔で迎い入れるところだ。
「???……確かにあの時、須美ちゃん赤面してたよね?
あの後、まともに顔を合わせてくれなかったし、話もあまり出来なかったし……具合が良くなかったのかな……風邪とかじゃなかったらいいな…。それから銀ちゃんが言ってた…天然?ファン?って、何??」
「…あーうん。お前は知らなくてもいいゾ〜。
(説明したところで、どうにかなる訳でもないしな…)
まあーとにかく、時音は今のまんまでいいってこと!」
「??……うん(良くわからないけど。
銀ちゃんがそう言うなら、いいか)」
そんな他愛もない話しをしていたら、二人が歩いていた
前方に三ノ輪家の屋根が、少しずつ見えてきた。
「お、家見えて来たぞー」
「……そうだね」
もうすぐ、銀ちゃんと二人の時間が終わるのか………
もう少しだけ銀ちゃんと、二人っきりで居たかったな。
時音は何故か、そんな考えに至ってしまい
フッと、少しだけ俯いた。
「……きね」
「………」
「時音!」
「……えっ、」
「今、変な事考えてたろ?」
びく、と時音の肩が跳ねる。
銀を見ると、まるで何もかも見透かしているような目で、時音を見つめていた。
そんなことないよ。と言おうとしたら
隠しても無駄だそ?と返された。
どうやら、幼馴染みには誤魔化しは効かないらしい。
「……家に、着いたらたら、銀ちゃんと一緒の時間が、
終わるんだなって、そう考えたら……もう少しだけ、
銀ちゃんと一緒に居たかったなって思って、それだけで……」
「………」
「あはは、どうしちゃったんだろうね?
6年生にもなって、こんな子供みたいな事いうなんてさ……ごめんね。今の聞かなかったことにして…?」
「時音……」
そう言って時音は、にこりと笑い
お互い暫くの沈黙のした後。銀が時音の手を掴み、
そのまま引かれると人目の付かない林が覆い茂る中へ
入って、その内の一本の木に背を預ける体勢になる銀。
すると、時音を自身の方へ抱き寄せる。
銀よりも少し背の低い時音は、頭がちょうど銀の肩に
乗る姿勢になる。
「ほら、これでどうだ?」
「……銀ちゃん?」
「これで、寂しくならないか?」
今起こった状況に驚いたが
少しの間を置いて時音は、銀の名前を言う。
「どうする?……もう少しこのままでいる?」
銀の問いかけに時音は、小さな声を振り絞り、応えた。
「……まだ、足りない……から。このままで………居たい……」
一瞬、きょとんとした表情を浮かべた銀だったが
言葉の意味が解ると満面の笑みになり、時音の耳元でそっと囁く。
「アタシもだ。アタシも時音と、もうちょっと一緒に居たいなって思ってた」
どくん、時音の胸が高鳴った。
彼女の告げた気持ちが自分と同じだった事が嬉しかった。
それだけなのに…そう思った瞬間、僕の鼓動は早くなっていったのを確かに感じた。
…とくん、とくん。と銀の鼓動が聞こえる。
時音の鼓動も恐らく、銀に聞こえているのだろう。
「もうちょっとだけ、こうしてよっか」
「うん。……銀ちゃん温かいね」
「そうか?時音は、ちと冷たいな…」
「うん……だから銀ちゃんで暖を取ってる」
「おいおい、アタシは湯たんぽじゃないゾ?」
「え、知らなかった?銀ちゃんは僕の湯たんぽだよ?」
「え。アタシ初耳なんだが……?」
そう言って、お互いに冗談を言い合う二人の姿は
まるで本当の姉妹が、じゃれ合う姿にも見受けられる。
「こうするのも、なんだか久しぶりな感じするな…」
「そうだね…初めての戦闘に勝利して、その後の身体検査で銀ちゃんに長時間待たされて、今日は初勝利を祝う祝勝会で須美ちゃん、そのちゃんと友達にもなったもんね」
「あれ?今軽くディスられてなかったか?アタシ…?
この間までは、戦闘訓練で中々ゆっくり出来なかったもんな?まー色々あったけどさ。……今だけは、こうしてても良いよな?」
「うん……今だけは神樹様も許してくれるよ。きっと……」
「……にしても、時音は相変わらず体冷たいな?
アタシの気のせいなだけだと思うけど……冬の時期よりも冷えてないか?」
「……まぁ元々、体温も低い方だからね。寒いの苦手だしすぐ冷えるからさ。冷え症は大変なんだよ……」
「冷え症って大変だよなー……ならば!銀様の温もりで冷え冷えの時音を暖めてやろーっ!ほれ、ギュー、ギューっ!」
「うわっ!ちょっ、銀ちゃん、苦しいってば………
もう、、ふ。はははっ」
「あははっ。そろそろ温まってきたか?」
そんな他愛のないじゃれ合いをしていたら
そう聞いてきた銀の言葉に、つい我儘を言ってしまう
時音。
「んー銀ちゃんが頭撫でてくれたら、もっと暖かくなると思う……」
「ん。ほら、これでいいか?」
「んん〜、もっとして……」
「あははっ、甘えん坊だなー?」
普段の彼女とは打って変わり、年相応の女の子になっていた。決して周り見せることのない、三ノ輪銀の前だけに
見せる水月時音の、もう一つの姿である。
「銀ちゃんにしか甘えないから……いいもん。
(あ、銀ちゃんの匂いだ……やっぱり好きだなぁ)」
「………へへ、そっか。よしよし」
銀にそう言葉を返すと、時音はそのまま彼女の肩に顔を
埋めて銀の温もりを感じていた。
銀に体を包まれ、心まで銀色に包まれていく。
自分に甘えてくる姿の時音を見ていた銀は
ある想いを抱いていた。
それは幼馴染み、姉妹、家族に対しての感情とは別の……
こんな姿の時音を他の人達は知らない。
アタシの家族、父さんも母さんも、鉄男だってそうだ。
クラスメイト達も、安芸先生だって、今日ダチになった
須美や園子だって、きっと知らない。
時音が見せてくれる表情、甘えてくる声、可愛い我儘も
どれも全部アタシしか知らない、アタシだけが知ってる。
こうやって時音を抱き締めて包み込むのも、頭を撫でて
甘やかすのだって、そうだ。これはアタシだけの特権だ…
二人だけのこの時間は、誰にも邪魔されたくない。
この場所だけは誰にも譲れない、譲りたくない。
これは、アタシだけの______________
三ノ輪銀が抱くこの欲心を時音は知らない。
銀もまた、この欲念をはっきりと理解できずにいた。
……この時の銀は、まだわからなかったのだ。
もう
いうことを……
春と言えど、夕暮れ時の外は、まだ少し肌寒い。
そんな寒空の下で、二人の少女達が互いの温もりを
求め合っていた。
銀が腕の中にいる時音を抱き締めると
それに応えるように、銀の背中へ腕を回す。
お互いの体温が交わり、体に相手の熱が伝わっていく。
「………銀ちゃん」
「ん、どうした?」
「そろそろ帰らないと、お母さんに怒られない…?」
「あーそれなら大丈夫。今日は早めに帰って来るって
母さん言ってたから、それに鉄男もいるから大丈夫だろ!なんたって、この銀様のブラザーだからな!
だーかーら♪もーちょっとだけこうしていられるし。
……もし叱られる時は、時音も一緒に叱られてくれるんだろ? 」
「えっ?……ふ。はははっ、もう銀ちゃんったら。
いいよ。一緒に叱られよっか?」
一緒に怒られるのを前提にそう言ってきた銀に
思わず、えっ。と問い返した時音だが、少しの間を空けて
やっぱり彼女らしい考えだなぁと笑ってしまうのだった。
しばらくお互いの目を見つめ合った後
なんだが、今この瞬間がとても幸せ過ぎて
何故か、笑ってしまった。
「「……ふ。ははっ」」
昔からの二人だけの秘密の行い
言い出したのはどちらなのかも、もう覚えてはいない。
暮れてきた寒空には、早めに顔を出していた一番星が
二人の少女達を見守っているようだった。
この後、先に帰って来ていた銀ママに叱られましたが
その直後、二人を優しく包み込むように抱き締めました。
そのあとは銀ちゃん家族と一緒に晩御飯を食べて
お風呂に入って、結局は三ノ輪家に泊まった時音でした。
(因みに。三ノ輪家には、いつでも泊まれる様にと
時音の生活用品が備えられてるので、朝はそのまま三ノ輪家から学校へ行ったりします)
最後の方は、ずっと書きたかった百合が書けたので
結構、満足しています。
これからも、ちょこちょこ百合を入れて
行けたらいいなと思います!
それから、お話は基本
原作基準でアニメ要素を入れつつ
オリジナル要素を入れようかと思います。
感想や誤字などありました、ご報告お願い致します。